JPH0656089B2 - 中空エンジンバルブの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、内燃機関に使用する中空エンジンバルブの製
造方法に関する。

従来の技術 内燃エンジンのエンジンバルブは、エンジンの高速高出
力化の要求に伴って、高熱雰囲気に耐えることは勿論、
弁の慣性から生じる弊害を回避するためになるべく軽量
であることが望まれている。

軽量化の対策の１つとして傘部に対してバルブステム部
分を細くする試みがなされ、かつ、実用化されている
が、軸径の強度上の限界のため軽量化には限度がある。
又バルブの軽量化の他の試みとしては、バルブ自体を中
空にすることが行なわれている。例えば実公昭 ６０−
３４７２５号明細書は、鋼素材或いは弁頭及び弁軸を形
成した予備成形品に孔あけ加工を施して中空にし、でき
た孔にアルミニウム合金或いはマグネシウム合金の芯を
装填固定したエンジンバルブを開示している。又特公昭
５１−２９１０６号明細書或いは特公昭 ５１−２９
５０６号明細書には、パイプ素材を用い、パイプの内側
に捨中子となるインサートを挿入するか或いは、芯とな
るインサートを挿入接着した後アプセット鍛造及び熱間
プレス加工を行って製造されるエンジンバルブが開示さ
れている。さらに中空バルブの傘部、ステム部分及び軸
端部分を別々に用意した後これらを溶接することも行な
われている。バルブの軽量化のさらに別の試みとしてバ
ルブ自体を軽金属で作ることも行なわれている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような試みでエンジンバルブを軽量
化するものにあっては、中空化するために正確、精密な
孔あけ加工を必要としたり、捨中子となるインサートを
削出し或いは腐食酸による溶出によって除去する加工を
必要としたり、或いは芯となるインサートやバルブの各
部分を溶接しなくてはならないため、加工が複雑かつ困
難で製造コストが高くなりやすいという問題点があっ
た。又軽金属でエンジンバルブを製造する場合には、材
料が高価であり、加工が困難な上に窒化処理等により表
面をを硬化させる必要があるため、特殊エンジンを除い
ては一般的でないという問題点があった。

本発明の目的は上述した問題点を除去し、煩雑な加工を
行うことなく製造することのできる中空エンジンバルブ
の製造方法を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

従って、本発明は、エンジンバルブを製造するにあた
り、後方押出し加工により耐熱鋼から成る素材の中心部
に孔を形成し、熱間成形時に溶解せず熱間鍛造後、前記
素材より取り出しやすい黒鉛、炭素等の物質からなる芯
材を前記孔に装填し、前記素材と孔に装填した芯材を加
熱した後、前記素材の前記孔の開口と反対側に熱間押出
し成形によって芯材の入ったバルブステム部分を形成
し、次いで芯材を完全に除去し、前記素材の残部のみを
加熱した後前記素材残部の内外面に所定形状の傘部内面
形状を有するポンチと所定形状の傘部外面形状を有する
ダイとに熱間プレス据込成形を同時に施して傘部を形成
し、次いで栓により前記孔の開口部を溶接密栓すること
を特徴とする。

以下図面により本発明を説明する。

実施例 第１図は本発明による中空エンジンバルブの製造過程を
示す一例の概略断面図である。耐熱鋼或いはチタン合金
の棒材を用意しこれを所定の寸法に切断して素材４を得
る。これを第２図に示すようにダイ１の凹所６に挿入
し、ストックピン５を図に示す通常位置に設定してポン
チ２によって温間や熱間で後方押出し加工を施し、これ
により素材４に一端が閉じた孔３を中心部に形成する。
孔を成形した素材４はストックピン５の左方向へ移動に
よってダイ１から抜出すことができる。

次いで第１図(a)に示すように、素材４の孔３に芯材７
を装填する。この芯材７は、後の熱間成形において溶解
せず流動変形しやすい物質である上に熱間鍛造後、素材
４より取り出しやすい凝固しない物質であることが必要
であり、従って芯材としては黒鉛、炭素等が好ましく、
本例では黒鉛が用いられる。

次に芯材７を孔３に装填した素材４を熱間押出成形に適
した所定温度まで加熱し、第３図の押出し成形用のダイ
８にこの加熱された素材４を挿入し、ポンチ９で素材４
にその孔３の開口側から圧縮を加えて反対側の端からバ
ルムステム１０として熱間前方押出しを行う。バルムス
テム１０が所定長さ押出し成形されたとき、ダイ内には
弁頭部となるべき部分１１が残部として残る。第１図
(b)に示すように、素材中の芯材黒鉛は素材とともに押
出される結果、ステム１０の中心に一様に入込む。

次に部分１１の開口から芯材を完全に除去した後、部分
１１のみを加熱する。次いで加熱された素材を第４図に
示すダイ１２に挿入し、ポンチ１３で部分１１に熱間プ
レス据込成形を施して傘部の内外面に所定形状を有する
傘部１４を形成する。第１図(c)に傘部１４の据込形成
後ダイ１２より取出されたエンジンバルブを示す。ポン
チ１３の頭部には、傘部１４の内面に形成すべき所定の
輪郭をもった部分１３ａと、素材４の孔３が開口する端
面を押圧する環状の部分１３ｂとが設けられており、一
方ダイ１２の内面には傘部の外面に形成すべき所定の形
状が形成されている。

次いで第１図(d)に示すように、傘部１４における孔３
の開口部分に耐熱鋼より成る栓１５を溶接して密栓す
る。この溶接としては抵抗溶接、ＴＩＧ溶接、電子ビー
ム溶接、摩擦溶接等を適用することができる。同時にバ
ルブステム部分１０の端に、軸端部１６を形成する。軸
端部１６は、第１図(d)のようにステム部分に直接形成
してもよく、又第５図に示すようにステム部分とは別の
軸端部品１６ａを溶接してもよい。

中空エンジンバルブの中空内部には、必要に応じて金属
ナトリウムを封入し、冷却効果の向上を図ることができ
る。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように本発明による中空エンジ
ンバルブの製造方法によれば、耐熱鋼素材の中心に黒
鉛、炭素等の芯材を装填して熱間押出し成形によりバル
ブステム部を形成し、次いで全部の芯材を取出し、素材
を空洞化した後、傘部内面に形成すべき所定形状をもっ
たポンチと、傘部外面に形成すべき所定形状をもったダ
イとによって強制的に傘部の内外面を同時に成形するよ
うにしたため、芯材の密度、気孔率又はプレスの型打寸
法等のばらつきに影響されないで所望の傘部形状を確実
に作ることができ、又極めて軽いエンジンバルブを簡単
かつ低コストで製造することができる。

さらに傘部成形用のポンチとダイの形状を選択すること
によって、素材に設ける孔の形状に拘らず種々の傘内面
形状を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図(a)〜(d)は、本発明による中空エンジンバルブの
製造方法を示す一例の概略断面図、 第２図は、本発明の中空エンジンバルブの製造に使用す
る素材を後方押出し加工によって形成するダイとポンチ
を示す概略図、 第３図は、中空エンジンバルブのバルブステムを熱間前
方押出しにより成形するダイ及びポンチを示す概略図、 第４図は、本発明による中空エンジンバルブに熱間プレ
ス据込成形によって傘部を形成するダイ及びポンチを示
す概略図、 第５図は第１図の中空エンジンバルブの軸端部の他の例
を示す一部切欠き断面図である。 ４……素材、７……芯材、１２……ダイ、 １３……ポンチ、１４……傘部分。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンバルブを製造するにあたり、後方
   押出し加工により耐熱鋼から成る素材の中心部に孔を形
   成し、熱間成形時に溶解せず熱間鍛造後、前記素材より
   取り出しやすい黒鉛、炭素等の物質からなる芯材を前記
   孔に装填し、前記素材と孔に装填した芯材を加熱した
   後、前記素材の前記孔の開口と反対側に熱間押出し成形
   によって芯材の入ったバルブステム部分を形成し、次い
   で芯材を完全に除去し、前記素材の残部のみを加熱した
   後前記素材残部の内外面に所定形状の傘部内面形状を有
   するポンチと所定形状の傘部外面形状を有するダイとに
   熱間プレス据込成形を同時に施して傘部を形成し、次い
   で栓により前記孔の開口部を溶接密栓することを特徴と
   する中空エンジンバルブの製造方法。