JPH047519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はスクラツプ予熱槽に関する。

〔従来技術〕

従来から、製鋼工程においては、一般に例えば
アーク炉の排ガスを利用して次工程に溶解するス
クラツプを加熱し、溶解能率を高めるスクラツプ
予熱方式がとられている。

スクラツプ予熱槽は、鉄皮のみの構造では熱に
よる変形が起きやすく、耐用寿命が短かいため、
従来では第３図にその一部の断面を示すように、
鉄皮１の内面に不定形耐火物２を内張りし、鉄皮
１に植設されたＹスタツド等のアンカ部材３，３
……により不定形耐火物２の剥離を防止するよう
にした構造とされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかるに上記従来の構造では、不定形耐火物２
の焼付けができないので強度を高めることが難か
しく、かつスクラツプの排出時にスクラツプが不
定形耐火物２に接触してこれを引つかくため剥離
させやすいという問題がある。またスクラツプ予
熱槽全体を水冷構造とすることもあるが、水冷構
造によると熱損失が大きく、しかも水漏れを起し
やすいという難点がある。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は上記従来技術の問題点を解決するた
め、スクラツプ予熱槽の直胴部の鉄皮にそつて内
部に冷却水を通水する水冷用鋼管を間隔をあけ垂
直方向に配設してかご状に形成し、これら水冷用
鋼管間の隙間に焼成レンガ等の耐火物を充填した
スクラツプ予熱槽を提供するものである。

〔作用〕

上記の構成により、スクラツプの排出時にスク
ラツプは水冷用鋼管の表面にそつて排出されるの
で耐火物に引掛ることがなく、耐火物の摩耗や剥
離を生じず、しかも水冷用鋼管の間には耐火物が
充填されていることにより水冷による熱損失が少
なく、かつ水漏れの防止に役立ち、耐久性に優れ
た構造のスクラツプ予熱槽を得ることができる。

〔実施例〕

以下この考案の一実施例を第１図および第２図
を参照し、第３図と共通する部材には同一の符号
を用いて説明する。

第１図はこの考案によるスクラツプ予熱槽の全
体を示し、第２図はその直胴部４の縦断面を示し
ている。

第１図において符号５は、直胴部４の上部を閉
鎖する上蓋、６は胴下部を開閉する底板であり、
直胴部４から底板６を含む外周はシールカバー７
で被包されている。前記上蓋５の頂部にはアーク
炉（図示せず）の排ガスを導入する排ガス導入口
８が設けられており、シールカバー７の下部一側
には予熱後の排ガスを排出する排気口９が設けら
れている。

直胴部４は、第２図に示すように、上下にヘツ
ダ兼用のパイプからなる補強リング１０，１１が
配置され、これら補強リング１０，１１間には多
数の鋼管１２，１２……が一定の間隔をあけ垂直
方向に接続されていて、かご状に形成されてい
る。これら鋼管１２，１２……は、所要数の耐火
物受兼用のリング状のサポータ１３，１３……で
支持され、補強リング１０，１１、鋼管１２，１
２……およびサポータ１３，１３……で格子状の
かご状となつており、これらサポータ１３，１３
……の外周に鉄皮１が設けられている。

前記鋼管１２，１２……およびサポータ１３，
１３……の間には耐火物１４，１４……が充填さ
れ鋼管１２，１２……の表面より低くなつてい
る。この耐火物１４としては、強度を高めるため
に焼成レンガを用いることが望ましいが、不定形
耐火物（キヤスタブル）の充填によるものであつ
ても鋼管１２，１２……およびサポータ１３，１
３……の間に埋込まれるので、剥離するおそれを
少なくすることができる。

なお、上記の構成については、スクラツプの排
出による剥離現象が少ない上方部は不定形耐火物
による内張りとし、下方部のみにかご状の鋼管１
２，１２……を用いて水冷する構造としてもよ
い。

つぎに上記実施例の作用を説明する。

アーク炉から供給される予熱用排ガスは、上蓋
５の導入口８からスクラツプ予熱槽内に導入さ
れ、スクラツプを予熱した排ガスはシールカバー
７の排気口９から排出される。

一方、冷却水は、下部のヘツダ兼用の補強リン
グ１１に供給され、かご状鋼管１２，１２……の
内部を通つて上昇し、上部のヘツダ兼用の補強リ
ング１０から排出されることになり、その間に鋼
管１２，１２……間に埋込まれている耐火物１
４，１４が冷却される。これにより水冷による熱
損失が耐火物１４，１４……によつて極力抑えら
れる。

また、スクラツプの排出時には、スクラツプは
最も内側に位置する鋼管１２，１２……の表面が
ガイドとして作用し、耐火物１４に接触すること
がないので、スクラツプが耐火物１４に引掛つて
これを損傷させることがなく、スムーズな排出が
行なわれる。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案は、スクラツプ予
熱槽の直胴部を、鉄皮の内側に所要の間隔をおい
て垂直方向に配列した多数の水冷用鋼管と、これ
ら鋼管間の隙間に充填した耐火物とで構成し、水
冷用鋼管内を流れる冷却水により耐火物を冷却す
るとともに耐火物を水冷用鋼管により保護する構
造としたので、冷却用鋼管の存在により耐火物の
摩耗や損壊、剥離等が保護され、また、かご状を
なす鋼管は予熱槽全体を水冷構造とする場合に比
べ溶接量が少ないことと拘束力が弱いため熱応力
による水漏れを起すことが少なく、かつ冷却水の
流れが直線状であるから冷却水の流速が速く、冷
却効果が大きい。また耐火物により保護されてい
るので熱損失が少ない。さらに耐火物に焼成レン
ガを使用することが可能となるので、不定形耐火
物による場合に比し強度を高めることができるな
どの種々の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す一部を断面
表示した正面図、第２図は第１図における直胴部
の縦断面図、第３図は従来技術を示す直胴部の一
部の断面図である。 １……鉄皮、４……直胴部、１０，１１……補
強リング、１２……水冷用鋼管、１３……サポー
タ、１４……耐火物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 予熱槽の直胴部の鉄皮にそつて内部に冷却水を
   通水する水冷用鋼管を間隔をあけ垂直方向に配設
   してかご状に形成し、これら水冷用鋼管間の隙間
   に焼成レンガ等の耐火物を充填したことを特徴と
   するスクラツプ予熱槽。