JPH0469290B2 - - Google Patents

Description

請求の範囲 １ 一方で液圧流体源、他方で懸架素子の液圧室
７に連絡する中空の本体１９を備え、この本体が
弾性減衰ワツシヤ４５，４６を備えている重車輌
の懸架素子用の緩衝装置１８において、中空の摺
動部材２９が前記本体１９の内部のスリーブ２４
内に配置された固定部材２３の中に摺動可能に嵌
め込まれ、前記スリーブ２４は前記本体との間に
環状〓間２５を有し、かつ、前記液圧室７へ開く
管路１０と連絡する開口部を有し、前記固定部材
２３は前記スリーブ２４との間に間隔をおいて嵌
込まれ、かつ前記摺動部材２９の内部３１と連絡
する半径方向のポート２７を備え、前記摺動部材
２９は前記本体に支持された弾性戻しばね３２に
より前記固定部材２３に対し押圧され、該摺動部
材は、懸架素子がその共振周波数√２倍以下の低
周波振動にさらされた場合には前記環状〓間２５
と摺動部材２９の内部空間３１との間の連通をす
べて閉鎖する第１位置を占め、懸架素子がその共
振周波数の√２倍以上の振動周波数にさらされた
場合には前記スリーブ２４と本体１９との間の前
記環状〓間２５と摺動部材の内部空間３１との間
を連通させる第２位置を占めることを特徴とす
る、重車輛の懸架装置用の緩衝装置。

２ 前記固定部材２３は、一端が前記摺動部材２
９の、前記弾性戻しばね３２の反対側の端表面上
に開き、他端が絞り開口３２を備えた通路３７を
有し、前記摺動部材２９の変位を抑制することを
可能とする液体の層を前記摺動部材の下に維持す
ることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の緩
衝装置。

３ 前記絞り開口３９により生起される液体圧力
が作用する摺動部材２９の部分２９Ｂの断面積
が、液圧室７から伝達される励起圧力、即ち、摺
動部材の内部３１の圧力が作用する摺動部材の部
分２９Ａの断面積よりもわずかに大きいことを特
徴とする請求の範囲第２項に記載の緩衝装置。

明細書 本発明は重車輛の懸架素子用の緩衝装置に関す
る。

この懸架素子は、米国特許第4700969号および
第4700970号に記載された種類の懸架素子と同種
の形式のものである。

これらの米国特許には、アームを備え、それを
通つて車輛の車輪の片持ち車軸（スタブアクス
ル）が伸長し、車輛のシヤシに連結された固定部
分に回転可能に連結され、この固定部分と回転ア
ームとの中間点に転がり手段を備えた懸架素子が
記載されている。アーム内には液圧室があり、摺
動可能なピストンを含み、その上にリンク機構が
関節連結され、ピストンの反対側のリンク機構の
一端は固定部分に関節連結され、該固定部分は車
輛のシヤシに連結された固定部分の軸線と同心の
内部空間を有する。更に詳細には、米国特許第
4700969号には、車輛が走行する地面の形状に関
係なく、所定の値に合わせて車輛のシヤシと地面
との間〓を一定に制御するように、前記内部空間
に配置される地面間〓調整装置が記載されてい
る。

この懸架素子は、一方でピストンの液圧室に連
絡し、他方で２個の自由摺動するピストンにより
それぞれガス室から分離された液圧室と連絡して
いる緩衝装置を備えている。

本発明は、一方で液圧流体源、他方で懸架素子
の液圧室に連絡する中空の本体を備え、この本体
が弾性減衰ワツシヤを備えている重車輛の懸架素
子用の緩衝装置において、中空の摺動部材が前記
本体の内部のスリーブ内に配置された固定部材の
中に摺動可能に嵌め込まれ、前記スリーブは前記
本体との間に環状〓間を有し、かつ、前記液圧室
へ開く管路と連絡する開口部を有し、前記固定部
材は前記スリーブとの間に間隔をおいて嵌込ま
れ、かつ前記摺動部材の内部と連絡する半径方向
のポートを備え、前記摺動部材は前記本体に支持
された弾性戻し部材により前記固定部材に対し押
圧され、該摺動部材は、懸架素子がその共振周波
数の√２倍以下の低周波振動にさらされた場合に
は前記環状〓間と摺動部材の内部空間との間の連
通をすべて閉鎖する第１位置を占め、懸架素子が
その共振周波数の√２倍以上の振動周波数にさら
された場合には前記スリーブと本体との間の前記
環状〓間と摺動部材の内部空間との間を連通させ
る第２位置を占めることを特徴とする、重車輛の
懸架装置用の緩衝装置を提供する。

本発明の緩衝装置は、この懸架素子に関連する
車輪の振動周波数あるいは励起が低い場合、摺動
部材は閉じたままであり、懸架素子に伝達される
力および変移が大きい場合、衝撃吸収度が高くな
る。他方、車輪の振動周波数が十分高く、懸架素
子に伝達される力が十分大きい場合は、摺動部材
は開いた状態を維持し、得られる衝撃吸収度は低
くなる。換言すれば、その場合は車輛は大きな垂
直変移をしなくなるとう作用効果が得られる。

第１図は本発明の緩衝装置を用いることが可能
な懸架素子の一部立面図を含む長手方向の断面
図、 第２図は摺動部材が閉じた状態の、本発明に従
つた緩衝装置の実施例の軸方向の断面図、 第３図は摺動部材が開いた状態を示す。第２図
に類似の図、 第４図は懸架素子およびその緩衝装置に伝達さ
れた振動周波数の関数としての衝撃吸収度の変化
を図示したダイヤグラム。

第１図は前記米国特許第4700970号に記載され
たのと類似の重車輛用の懸架素子を図示してい
る。

この懸架素子はアーム４と、それを通つて伸長
している車輪片持ち車軸５とを備えてなり（車輪
は図示されていない）、前記アーム４はシヤシ
（図示されていない）に連結された軸６と同心で
ある固定部分３上に回転可能に連結されている。
アーム４内には液圧室７が配置され、室７から空
洞９を分離する摺動可能なピストン８を含んでい
る。リンク機構が一方でボールジヨイント１２に
よりピストン８に、他方で固定部分３に連結され
たラグ１３にピン１４により連結されている。ア
ーム４は又２個のガス室１５を備え、それぞれが
自由に摺動するピストン１７により液圧室１６か
ら分離され、一方で通路１０を経て液圧室７に、
他方で通路２１を経て２個の液圧室１６へ連結さ
れている緩衝装置１８を有する。

緩衝装置１８を除いたこれら様々の素子および
その液圧供給回路については、前記米国特許にそ
の詳細が説明されている。

ここでは第２図から第４図を参照して更に詳細
に本発明の実施例である緩衝装置１８を説明す
る。

緩衝装置１８は一連のポート２１を備えた円筒
形部分を有する中空の本体１９を備え、本体１９
内部にスリーブ２４が環状〓間２５により本体１
９から分離されて配置され、その中に固定部材２
３が配置されている。

本体１９は、管路１０により液圧室７へ入る開
口部へ連絡する開口部２６を有し、固定部材２３
が間〓を置いてスリーブ２４内に嵌め込まれてい
る。半径方向のポート２７が固定部材２３に設け
られ、固定部材２３内に軸方向に摺動可能に取り
付けられた中空の摺動部材２９に設けられた開口
部２８に連通している。開口部２８は摺動部材２
９の内部空間３１に開き、摺動部材２９は固定部
材２３の内端に対し戻しばね３２により押圧さ
れ、戻しばね３２の他端は本体１９の端部で支持
されている。

摺動部材２９の壁には他のポート３４が設けら
れ、これにより液体が内部空間３１から摺動部材
２９の戻しばね３２に隣接する端に形成された環
状溝３６内へ移動することが可能となる。

固定部材２３内に形成されている通路３７は、
固定部材２３の摺動部のばね２９の反対側の端に
対面するボア３８へ一端が開口し、他端は再供給
バイパス弁を備えることのできる絞り開口３９を
備えている。

液圧室７から来る励起圧力P₁が作用する摺動
部材２９の戻しばね３２側の部分２９Ａの断面積
は、詳細に後述するように、絞り開口３９、通路
３７およびボア３８を経て伝達される液圧圧力
P₀が作用する摺動部材２９の部分２９Ｂの断面
積よりもわずかに大きい。

本体１９は板４１により閉じられ、板４１の中
心を通つて軸方向にスリーブ２４の管状伸長部４
２が伸長し、通路１０へ開いている。板４１の両
側には、それぞれナツト２０で重ねられた弾性可
撓性のワツシヤ４５，４６と連係するオリフイス
４３ａ，４３ｂが設けられている。ピストン８が
室７内へ押込まれる場合には、オリフイス４３ｂ
へ液体が入り、オリフイス４３ｂの対向する端に
取付けられたワツシヤ４６を押し上げ、環状〓間
２５へ入る。

反対に、ピストン８が室７から引出される場合
には、液体が環状〓間２５からオリフイス４３ａ
へ流入し、ワツシヤ４５を押上げて通路１０へ流
れる。

上述の緩衝装置１８は以下のように作動する。

懸架素子がその共振周波数より低い低振周波数
を受けた場合、摺動部材２９の内部３１に作用す
る流体励起圧力P₁の増加は（液体は、固定部材
２３とスリーブ２４との間の間〓を通じて摺動部
材２９内へ入ることが可能である）ばね３２の反
対方向へ戻す力に抗して固定部材２３の内端から
離す方向へ摺動部材２９を変位させるには不十分
である。そのため、摺動部材２９は第２図に図示
された位置に留まり、環状〓間２５と、溝３６、
ポート３４および内部空間３１との間の連絡を閉
じている。従つて、液体はオリフイス４３ｂを通
つて、ワツシヤ４６を押上げ、環状〓間２５へ流
入し、ポート２１を通つて本体１９から出る。そ
のため、衝撃吸収度が大きくなり、懸架素子、従
つて、車輛の上下方向の変位が大きくなる。

振動周波数が懸架素子の共振周波数よりも大き
い場合、例えば、凸凹が近接して連続する不整な
地面の上を車輛が急激な変化が懸架素子に加えら
れた場合、十分に強い初期応力が結果として生
じ、この応力により内部空間３１に作用する圧力
差が増加し、これにより摺動部材２９が、戻しば
ね３２の力に抗して固定部材２３の内端から離れ
るように移動する。実際に、高い振動周波数のた
め、液体の大部分はオリフイス４３ａを通つて流
れる十分な時間を持てず、そのためスリーブ２４
の管状伸長部４２および、固定部材２３とスリー
ブ２４との間の〓間を通つて摺動部材３１へ入
る。更に、固定部材２３の内端と摺動部材２９の
部分２９Ｂの端との間に絞り開口３９により作ら
れ閉じ込められている液体の層は、圧力変化が十
分に短い時間に起こる（高い振動周波数）場合、
開いたままに維持されている摺動部材２９の変位
を遅らせる。

そこで、摺動部材２９の内部が第３図の位置に
あつて環状〓間２５と連絡しているので、液体の
大部分は摺動部材２９の内部を通つてバイパスす
る。そのため、液体は実質的に摺動部材２９の内
部、環状〓間２５および横方向のポート２１を通
つて流れ、衝撃吸収度は低い。

緩衝装置の作動は絞り開口３９とばね３２の籍
切な調節により最適化される。

第４図には、励起周波数の懸架素子の共振周
波数_pに対する比を、横座標として、懸架素子に
伝達される変位D_tの励起変位D_e（懸架素子に関連
する車輪の変位）に対する比D_t／D_eを縦座標と
してプロツトされている。

Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅの各曲線は、横座標上の
／_p＝√２および縦座標上のD_d／D_e＝１に位
置する点Ｉを通過し、望ましい曲線はＡある。実
際に、横座標の０と√２との間に位置する曲線Ａ
の部分は（その間では摺動部材２９は閉じてい
る）、低い応力と大きな衝撃吸収度を得る懸架質
量の最小変位振巾に対応している。

横座標上の√２の点Ｉを越える範囲にある曲線
Ａの部分は、その間では摺動部材２９は開いてお
り原則として摺動部材２９の内部を通過するか
ら、衝撃吸収度は小さく、急激な励起変動に対す
る車輛のシヤシおよび懸架素子の小さな変位に対
応している。

以上のとおり衝撃吸収度は、低い励起周波数に
対しては高く、懸架素子の共振周波数の√２倍以
上の高い励起周波数に対しては低い。換言すれ
ば、懸架質量の変位は任意の励起周波数に対し本
発明の緩衝装置により最小化される。