JPH0468092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は互いに同心的な２つの円筒面を有す
る、特に薄壁であるころがり軸受けのレースリン
グを加工するための加工方法及び加工装置であつ
て、一方の円筒面がころがり軸受けのレースリン
グのレース面を成し、他方の円筒面がレースリン
グの支持面を成す形式のものに関する。

このようなころがり軸受けのレースリングは旋
盤による切削加工によつてか又は非切削加工、例
えば深絞り、押出し加工又はそれに類似したもの
によつても製造することができる。切削加工によ
つて製造した場合にはレースリングの極めて高い
形状正確性が得られはするけれども、この形状正
確性は続く熱処理の際に部分的に失なわれる恐れ
がある。これに対して非切削加工で製造された、
例えば金属薄板から引抜き加工された特に薄壁で
あるレースリングは最初から形状正確性があまり
高くなく、しかもレースリングの壁厚さが減少す
るに従つて続く熱処理の際に形状正確性の失なわ
れる度合いが高くなる。従つてこのように金属薄
板から引抜き加工されたレースリングは例えば仕
上がり状態で比較的大きな非円形性を有する。し
かしながら仕上がり状態での非円形性は一般的に
は障害とはならない。なぜならばレースリングは
ケーシング孔に押込まれた場合に初めて最終的な
形状及び最終的な直径を得るからである。従つて
このようなレースリングが非円形であつてもその
全外周に亘つて申分なく一定した壁厚さが与えら
れているならば、レースリングはケーシング孔に
組込まれてから極めて精密な支承部を成す。

引抜き加工過程において得られた表面の質が十
分に転動体のレース面と見なされないような場合
には、続いて切削加工、例えば研削による精密加
工が必要とされる。今、ころがり軸受けのレース
リングが熱処理の際に非円形に変形させられてし
まつてからそのレース面が研削されれば、確かに
そのレース面は正確な円筒形を有しはするけれど
も、このような形状ではこのレースリングは使用
することはできない。なぜならば続いてケーシン
グ孔へ押込まれるか又は軸に押嵌められた場合に
レースリングの支持面の方が円筒状の輪郭を有し
てしまい、これに対して研削された方のレース面
は非円形の輪郭を有することになるのでころがり
軸受けのレースリングとしては使用不可能となる
からである。このような理由から従来は出発状態
で外周面のところでも孔のところでも正確な円筒
面が維持されるようにレースリングはその支持面
でもそのレース面のところでも研削された。

しかしながらこのような処置は極めて費用がか
かるばかりでなはく、レースリングがはだ焼きさ
れる場合には、研削の際に失なわれる分を考慮し
て比較的に大きなはだ焼き深さを有していなけれ
ばならないという欠点も生ぜしめてしまう。さら
にこのような処置ではレースリングがもともと非
円形であることに基づいて研削後のはだ焼き深さ
がレース面の外周に亘つて種々に異なつてしまう
という欠点もある。

それ故に本発明の課題は上述したような欠点を
排除して、このようなころがり軸受けのレースリ
ングのレース面を加工するための簡単かつ安価な
方法を提供して、一作業過程を節約してレース面
に精密加工を施しかつ組込んだ後で非常に精密な
レースリグが得られるようにすることにある。そ
の後、レースリングがはだ焼きされる場合にはご
く普通のはだ焼き深さで充分であるようにした
い。

この課題は本発明によれば支持面をこの支持面
に作用する締付け部材によつて弾性的に変形させ
てこの支持面を正確な円筒形にし、次いでレース
面を切削加工によつて支持面に対して正確に同心
的でかつ正確な円筒形にすることによつて解決さ
れた。

このような構成によつて極めて申分のない形状
正確性が与えられたレースリングはごく普通のは
だ焼き深さで熱処理される際には変形させられる
が、まず締付け部材によつて押圧されることによ
つて本来の形、つまりケーシング孔と同じ真円形
に戻され、次いでこの状態で正確な円筒形のレー
ス面に精密加工が施される。このようなレースリ
ングはレース面に加工が施された後で締付け部材
から離されれば再び弾性的に非円形の出発形状に
変形しはするが、このレースリングは本発明によ
つてその外周全体に亘つて極めて申分ない一定の
壁厚さと質の高いレース面を既に与えられてい
る。従つて円筒状のケーシング孔に組込まれるか
又は軸に押嵌められればこのレースリングは再び
正確な円筒形でかつ質の高いレース面を維持する
ということが保証されるようになつた。

上述したようにはだ焼きされたレースリングを
一例として示した本発明による利点は完全焼入れ
されたレースリングにおいても、また焼入れの前
に既にレース面に精密加工が施されるようなレー
スリングにおいても同様に得られる。

本発明によるレース面の加工方法を実施するた
めの加工装置においては締付け部材が互いに密に
接する皿ばね状の円板ユニツトによつて構成され
ており、この円板ユニツトがその一方の周面で押
圧片に支持されており、他方の周面でレースリン
グの支持面に作用するようになつていてかつ軸方
向の押圧部材によつて軸線に対するこの円板ユニ
ツトの傾きを減少するように負荷されるようにな
つている。従つてそれ自体公知であるこの締付け
部材は本発明に特に適する。なぜならばこの皿ば
ね状の円板ユニツトは変形させられた場合にその
全外周に亘つて完全に均一に半径方向で作用する
押圧力を、締付けようとするレースリングに及ぼ
し、これによつてその支持面を実地において完全
な円筒形にすることができるからである。

本発明の１実施態様によればこの締付け部材と
して中空円筒状のスリーブが使用されており、こ
のスリーブの孔がころがり軸受けのレースリング
がその支持面にプレロードがかけられた状態で押
込まれるように設計されている。従つてこのスリ
ーブによつてはレースリングは半径方向で可動の
別の締付け部材を必要とすることなしにスリーブ
の孔内に軸方向で挿入されるだけで締付けられ
る。

この円筒状のスリーブは工作機械、例えば中ぐ
り研削機械の工作物主軸上に固定されたケーシン
グ内に取付けておくことができる。この場合には
この工作物主軸にころがり軸受けのレースリング
をこの円筒状のスリーブ内に押込みかつ、又はス
リーブから押出すために端面側でこのレースリン
グに作用する長手方向で移動可能なラムが配置さ
れている。従つてこのようなラムが１つ設けられ
ているだけで、この加工装置においてはころがり
軸受けのレースリングの、円筒状のスリーブへの
押込みも、また加工後におけるスリーブからの押
出しも可能になる。

本発明の１実施態様によれば円筒状のスリーブ
を受容するケーシングがこのスリーブとラムとの
間に半径方向で見て外方に延びる横通路を有して
おり、この横通路を通つて外方からころがり軸受
けのレースリングが挿入されるようになつてい
る。円筒状のスリーブに押込まれたレースリング
はこのスリーブの孔内で例えばといし車によつて
加工される。研削過程終了後、工作物主軸はケー
シングに設けられたこの横通路が上方に向くよう
な位置で停止させられる。この横通路にはまだ加
工されていないころがり軸受けのレースリングが
挿入され、次いでこのレースリングは工作物主軸
に設けられた長手方向で移動可能なラムによつて
円筒状のスリーブに向かつて運動させられてこの
スリーブの孔内に押込まれる。その際、加工の終
了したころがり軸受けのレースリングも同時に移
動してこの円筒状のスリーブから押出される。

次に本発明の実施例を図面について詳細に説明
する。

第１図に示された実施例においては研削機械、
例えば中ぐり研削機械の工作物主軸１に締付けチ
ヤツク２がいフランジ結合されている。この締付
けチヤツク２はチヤツクケーシング３を有してお
り、このチヤツクケーシング３内に長手方向で移
動可能に押圧片４が支承されている。この押圧片
４はその孔５内で互いに密に接する皿ばね状の円
板ユニツト６を受容している。

チヤツク縦軸線に対して傾けられたこの円板ユ
ニツト６は孔５の壁面に支持されている一方、軸
方向では押圧リング７，８に支持されている。押
圧リング７は押圧片４に、押圧リング８はチヤツ
クケーシング３のカバー９に支持されている。押
圧片４には工作物主軸１によつて案内された中空
円筒状の押圧棒１０が作用するようになつてい
る。この押圧棒１０も同様にその孔内で押出し部
材１１を受容している。押圧棒１０も押出し部材
１１もそれ自体公知の形式で液圧式に作動させら
れる。

次に本発明によるレース面の加工方法を述べ
る：皿ばね状の円板ユニツト６の孔内には加工し
ようとするころがり軸受けの外レースリング１２
が挿入される。この外レースリング１２は図示の
実施例では左側の端部で閉じられた底部を有する
ブシユとして構成されている。次いで押圧棒１０
が負荷されて押圧片４が図平面で見て右に向かつ
て運動させられると共に押圧リング７を介して皿
ばね状の円板ユニツト６が押圧される。この円板
ユニツト６は他方では押圧リング８を介してカバ
ー９に支持される。このように皿ばね状の円板ユ
ニツト６を軸方向で押すことによつてこの円板ユ
ニツトのチヤツク軸線に対する傾きを減少させる
と同時に、円板ユニツト６が外レースリング１２
の外周面に接触してこれを変形させることによつ
てこの外レースリング１２の外周面が正確な円筒
形になるまで円板ユニツト６の孔直径が減少させ
られる。この状態で工作物主軸１が回転させられ
かつそれ自体公知の形式で研削主軸１３上で回転
するといし車１４が外レースリング１２の孔内に
挿入されて、研削が行なわれる。この外レースリ
ング１２の孔の研削が終了するとといし車１４が
引出され、かつ押出棒１０の圧力負荷を除くこと
によつて外レースリング１２の締付けが解除され
る。次いで押出し部材１１を介してころがり軸受
けの外レースリング１２は締付けチヤツク２から
押出される。

第２図に示された実施例では工作物主軸１にケ
ーシング１５がフランジ結合されている。このケ
ーシング１５はその孔内に円筒状のスリーブ１６
を受容している。このスリーブ１６はケーシング
１５にねじ固定されたカバー１７によつて固定さ
れている。円筒状のスリーブ１６の後ろではこの
ケーシング１５に、半径方向で見て外方に案内さ
れる横通路１８が設けられている。工作物主軸１
には長手方向で移動可能にラム１９が支承されて
いる。

加工過程を開始するにあたつては横通路１８を
介して外レースリング１２が挿入され、次いでラ
ム１９を軸方向で移動させることによつてこの外
レースリングが円筒状のスリーブ１６内に押込ま
れる。このスリーブ１６への外レースリング１２
の挿入を容易にするためには、スリーブ１６の左
側端部に面取り部２０が設けられている。このよ
うにスリーブのに挿入されてレースリングの支持
面に予めプレロードがかけられた状態で、工作物
主軸１が回転させられると、それ自体公知の形式
で研削主軸１３上で回転するといし車１４が外レ
ースリング１２の孔内に挿入されて、研削が行な
われる。この外レースリング１２の孔の研削が終
了すると、といし車１４が引出され、次いで工作
物主軸１はその横通路１８が上方に向く位置で停
止させられる。この横通路１８を通つてはまだ加
工されていない外レースリング１２が挿入され
る。今、ラム１９が新たに作動させられると新ら
しい外レースリング１２が円筒状のスリーブ１６
の孔内に押込まれ、それと同時に、加工の終了し
た外レースリングがこの円筒状のスリーブ１６の
孔から押出される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるレースリングのレース面
の加工装置の１実施例の縦断面図、第２図は本発
明による加工装置の別の実施例の縦断面図であ
る。 １……工作物主軸、２……締付けチヤツク、３
……チヤツクケーシング、４……押圧片、５……
孔、６……円板ユニツト、７，８……押圧リン
グ、９……カバー、１０……押圧棒、１１……押
出し部材、１２……外レースリング、１３……研
削主軸、１４……といし車、１５……ケーシン
グ、１６……スリーブ、１７……カバー、１８…
…横通路、１９……ラム、２０……面取り部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ はだ焼きした円筒形の、しかしまだ歪みを有
   している、薄い壁厚のころがり軸受けレースリン
   グにおける、レースリングの支持面に対して同心
   的に延びているレース面を切削仕上げ加工するた
   めの、切削仕上げ加工中レースリングを支持面の
   ところで締付け部材によつて固定して行う切削仕
   上げ加工法において、レースリングを該レースリ
   ングに作用する締付け部材によつて弾性変形させ
   て支持面を正確に円筒形にすることを特徴とす
   る、ころがり軸受けのレースリングのレース面を
   加工するための加工方法。 ２ はだ焼きした円筒形の、しかしまだ歪みを有
   している、薄い壁厚のころがり軸受けレースリン
   グにおける、レースリングの支持面に対して同心
   的に延びているレース面を切削仕上げ加工するた
   めの、切削仕上げ加工中レースリングを支持面の
   ところで締付け部材によつて固定して行う切削仕
   上げ加工法を実施する装置であつて、締付け部材
   が、工作物主軸に結合されたチヤツク内に配置さ
   れており、かつ該締付け部材が、軸方向押圧手段
   により負荷される、互いに密に接触した皿ばね状
   の円板のユニツトによつて、形成されており、該
   皿ばね状の円板はこれらの一方の周面で押圧片に
   支持されており、他方の周面でレースリングの支
   持面に作用する形式のものにおいて、上記押圧片
   ４がチヤツク２のチヤツクケーシング３内に軸方
   向で移動可能に支承されており、かつ上記押圧片
   ４に、工作物主軸１中を貫通して延びている軸方
   向で移動可能の押圧棒１０により、円板６を締め
   る方向に力が負荷されることを特徴とする、ころ
   がり軸受けのレースリングのレース面を加工する
   ための加工装置。 ３ 押圧棒１０が中空円筒形に構成されていて、
   その孔内に、チヤツク２からころがり軸受けレー
   スリング１２を押出すための押出し部材１１が配
   置されている、特許請求の範囲第２項記載の加工
   装置。 ４ はだ焼きした円筒形の、しかしまだ歪みを有
   している、薄い壁厚のころがり軸受けレースリン
   グにおける、レースリングの支持面に対して同心
   的に延びているレース面を切削仕上げ加工するた
   めの、切削仕上げ加工中レースリングを支持面の
   ところで締付け部材によつて固定して行う切削仕
   上げ加工法を実施する装置であつて、締付け部材
   が工作物主軸に結合されたチヤツク内に配置され
   ている形式のものにおいて、締付け部材として、
   チヤツクケーシング１５内に、ころがり軸受けレ
   ースリング１２の支持面を圧入させる孔を有する
   中空円筒形のスリーブ１６がはめ込まれているこ
   とを特徴とする、ころがり軸受けのレースリング
   のレース面を加工するための加工装置。 ５ 工作物主軸１内に、ころがり軸受けレースリ
   ング１２を中空円筒形のスリーブ１６内へ又は外
   へ圧入又は押出すための、ころがり軸受けレース
   リング端面に作用する軸方向で移動可能なラム１
   ９が配置されている、特許請求の範囲第４項記載
   の加工装置。 ６ 中空円筒形のスリーブ１６を受容するチヤツ
   クケーシング１５内の、スリーブ１６とラム１９
   との間に、ころがり軸受けレースリング１２を供
   給するための、半径方向で外側へ延びている通路
   １８が設けられている、特許請求の範囲第５項記
   載の加工装置。