JPS624403Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は円筒状ワークの真円若しくは真直加
工におけるチヤツキング装置に関するものであ
る。

従来、ドラム又は中空ロール等の円筒状ワーク
を真円若しくは真直加工をするには、円筒状ワー
クの内径を拡張式のチヤツクにより把持して行な
うか、又は内径の捨て削りを行なつてからその部
分を基準としてチヤツキングを行なうなどしてい
た。このような切削加工によれば、外径の加工は
ともかく、端面や端面内径部の加工は多工程を必
要とする。したがつて、このような切削加工方法
では多工程を経ることによる精度の悪化がむしろ
目立つのである。

この考案は円筒状ワークを１回のチヤツキング
により、外径、両端面及び両端部内径を切削出来
るようにし、また加工後の真円度及び真直度を良
好に加工しうる円筒状ワークのチヤツキング装置
の提供を図るもので、回転する主軸に嵌挿され円
筒状ワークが差込まれるスリーブと、該スリーブ
の両端部において、心押しにより圧縮されて拡張
し前記円筒状ワークの内周面と密着して該ワーク
を固定させるＯリング等のワーク固定部材と、前
記スリーブの外周面に埋込まれた主軸の回転によ
る遠心力で拡開する弾性環状の拡開リングとから
なるものである。

以下この考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、第１図は旋盤の主軸１端に取付けられたチ
ヤツク装置を示すもので、第２図はその横断要部
を示している。主軸１には軸方向にスリーブ２が
嵌挿され、このスリーブ２の両端部に弾性材から
なるＯリング３，３がフランジ４，４によつて圧
縮可能に設けられている。５はフランジ４の周端
面に形成され、Ｏリング３，３の断面を圧縮して
外方へ突出させる斜面である。フランジ４の斜面
５とスリーブ２の端面とでスリーブ２の端面とで
スリーブ２およびフランジ４間に円周溝が形成さ
れ、ここにＯリング３が装着されている。６はフ
ランジ４の一方を押圧する心押しセンターであ
る。スリーブ２にはその外周面に埋込まれ主軸１
の回転による遠心力で拡開する弾性環状の拡開リ
ング８が設けられている。拡開リング８はスリー
ブ２の軸方向に一定間隔で複数個設けられること
が好ましいもので、そのそれぞれは第２図に示す
ように軸方向において放射状で所定間隔に割溝９
を有するとともに、その各割溝９は拡開リング８
の厚方向の全長に及ばず途中で止まり、周方向に
弧状の切目１０をそれぞれ有している。切目１０
は主軸１の回転方向の後方へ切込まれ、切目１０
より外周の部分１１が舌状をなつて円筒状ワーク
１２の内周方向へ拡開する円筒状ワーク１２はス
リーブ２の外周に差込む。

前記構成に係る加工装置の動作を説明すると、
第３図及び第４図に示すように、心押しセンター
６が主軸１方向にフランジ４のセンターを押すこ
とにより、Ｏリング３がスリーブ２とフランド４
間で圧縮されて径方向に拡張し、円筒状ワーク１
２を支える。主軸１が回転して拡開リング８の部
分１１が同様に遠心力によつて拡開し、円筒状ワ
ーク１２の内周面に接する。これにより、主軸１
の回転トルクが円筒状ワーク１２に伝えられるか
ら、該ワーク１２は加工による切削抵抗に耐える
力を有するに至る。したがつて、拡開リング８の
部分１１の厚さは回転数、遠心力及びリングの質
量によつて決定できる。

以上記載したこの考案によると、弾性環状の拡
開リングをスリーブに設け、主軸の回転により遠
心力で円筒状ワークの内周面に密着して主軸の回
転トルクを伝えるようにしたから、この拡開リン
グを多数設ければ設けるだけ円筒状ワークの内周
面を均一に支えることができるので、円筒状ワー
クの真円度を変化なくクランプできて、加工時の
真円度が保たれる。またこの拡開リングにより円
筒状ワークの真直度も同様に向上することはいう
までもない。したがつて真円度や真直度が精度高
く加工でき、しかもその円筒状ワークのクランプ
も従来のように治具などを用いず１回の操作で足
り、加工作業の準備時間を短縮する。そしてこの
クランプはＯリングと拡開リングによつてなされ
るから、円筒状ワークの両端部及びその近傍の内
径部に治具などを有さずに保持できるので、円筒
状ワークの両端部及びその内径部の加工が容易と
なる。

更に、この考案のチヤツキング装置を使用すれ
ば、外径挽き、両端面挽き、両端内径挽きが１台
の機械設備で可能となるから、設備費の削減がで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係るチヤツキング装置の一実
施例を示し、第１図は旋盤の主軸端に装着し心押
しを開始する状態を示した縦断要部図、第２図は
第１図−線断面図、第３図は心押しを終了し
て主軸が回転した動作状態を示す縦断要部図、第
４図は第３図−線断面図である。 １……主軸、２……スリーブ、３……Ｏリング
（ワーク固定部材）、６……心押しセンター、８…
…拡開リング、１２……円筒状ワーク。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転する主軸に嵌挿され円筒状ワークが差込ま
   れるスリーブと、 該スリーブの両端にフランジを配置し、スリー
   ブ、フランジ間に円周溝を形成してＯリングを装
   着し、フランジの押圧によりＯリングが圧縮され
   径方向に拡張されて該ワークを固定させる固定部
   材と、 前記スリーブの外周面に埋込まれ主軸の回転に
   よる遠心力で拡開する弾性環状の拡開リングとか
   らなることを特徴とする円筒状ワークのチヤツキ
   ング装置。