JPH0463695B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、血管修復手術および血管組織移植技
術の器具、特に血管吻合鉗子に関するものであ
る。

［従来の技術］ 血管吻合柄には２種ある。ひとつは手縫合、他
方はある種の吻合器具を応用するものである。前
者の方法では、血管吻合は血管の内壁を破壊し、
血栓症を起こして、血管を障害することがある。
さらに、手縫合法は縫合糸により限定され、手術
は複雑で時間を消費する。

血管吻合器具法を手縫合法と比較すると、前者
が一段と良好な血管吻合結果を与える。現在、血
管吻合鉗子は一般に２種あり、ひとつは一種の吻
合釘型血管吻合鉗子、他方は吻合環（輪）型血管
吻合鉗子である。

典型的な吻合釘型血管吻合鉗子が文献
（SURGICAL 73，902，1956，日本）に公表さ
れた。文献中の血管吻合鉗子はＵ型金属釘に適合
している。使用時は、２個の分離した吻合クラン
プからなる吻合鉗子の頭部先端の半円に位置する
Ｕ型釘を置き、吻合クランプの推進部分を押し
て、吻合した血管の軸に沿つて動かし、吻合鉗子
半円上の数本のＵ型吻合釘を導き、２層の血管壁
を通過させる；釘下では、環状に柔軟に変形し、
そのようにして、血管の２切断端は緊密に互いに
連結する。

この方法では、血管壁上の６個の吻合釘が独立
に存在し、互いに接続していないため、使用時
に、吻合釘を１個ずつ設定しなければならず、多
くの時間がかかる。この吻合鉗子の構造は複雑で
あり、困難を生じ、修理が難しい。その上に、吻
合面は２層の血管壁で互いに連結し、血管に張力
が働いた時、血管壁は一定の収縮力を生じ、吻合
開口部を狭め、容易に血栓症を生じ、故に吻合後
血流速度は低くなる。

他方の典型的な吻合輪型吻合鉗子は日本で公表
された（1962年，OPERATION誌）。ここでは
吻合輪は金属環であり、対応する環面上に一定に
分布する６個の孔が設けられている；孔の間には
同様に６個の受口に結ばれた針がある。吻合鉗子
は主として、吻合輪を置ける２個の吻合クランプ
と１個の留めプライヤから構成されている。使用
時には、２個の吻合輪を別々に吻合クランプ頭部
の円上に置き、切断血管端を吻合輪の内孔に通
し、90゜返し、吻合輪の６個の鋭い針に掛ける。
留めプライヤからの圧力下で、２個の吻合クラン
プは互いに閉じ、吻合輪の６個の針は他方の吻合
輪の６個の孔に差込まれる。針の鋭い曲がつた先
端のために、それらは、他方の吻合輪上の孔の側
面に掛かり、２切断血管端は互いに連結される。
その特徴は以下の通りである； 吻合輪は、吻合開口部を広げ、血液を血栓症を
起こすことなく自由に流れさせる、血管切断端の
支持枠として作用する。しかし、吻合輪結合は、
他方の吻合輪の孔壁末端面に掛かるように鋭い先
端がわずかに曲がつている６対の針に依存してい
る；吻合輪の針の先端は非常に鋭いので、その抗
張力は比較的低い；血管の滑りを生じるのは容易
である。結合吻合輪は他方の針孔に差込む針の鋭
い先端によつており、そのことは、吻合輪製造の
ための非常に正確でどんな間違いもない非常に精
巧な技術を必要とする。それは複雑な操作を誘導
するだろうし、同時に、吻合輪の直径の多様性は
大きく制限される；吻合鉗子はクランプ竿の２片
を結ぶのにクランプ柄の弾性に依存しているの
で、かなり大きくなければならず、表面手術使用
には、非常に不便であろう。吻合後、横向きの力
を加えるまでクランプの組合わせを緩めることに
よりクランプを取去り、それから、既に吻合した
血管開口部を緩め、血管壁の針孔を広げ、それで
血管漏れと血栓症形成の機会を増加することも可
能な、比較的大きな振動である横向きの揺れを生
じるだろう。

上記の二つの型の吻合鉗子と類似する従来技術
の血管吻合鉗子が日本特許公報（1981年６月12日
発行第70759号および1981年９月12日発行第
116451号）に開示された。これら２種の吻合鉗子
は共に吻合輪型である。これらの器具の構造は複
雑であり、操作は複雑で時間を消費する。

他に、米国特許第4467804号にある種の吻合鉗
子が開示されている。それは、血管の切断端確保
のための一対の環部材、吻合される管状部材、お
よび互いに連れ合つて環状部材に連結する環状連
結構造を有している。環状部材は互いに予め定め
られた距離での固定関係にある。この構造は、血
管組織のほぼ外表面まで末端を共に延長させるこ
とが可能なように、各々の管状部材切断端に隣接
する位置で連結するよう備えられている。この吻
合鉗子は次の特徴を有している：吻合作業がなさ
れ、外来物質を形成する吻合鉗子は血管中の空間
を占めており、そのため血流速度に変化をもたら
す；この吻合鉗子は種々の異なる直径に作製する
ことが可能であるが、その特異な連結構造のた
め、また、製作規模が限定されているため、小さ
い寸法は造れず、その入手可能性は非常に限られ
ている。

米国特許第4474181号（1984年10月２日発行）
に、手縫合法と吻合鉗子環法の組合わせでなる、
ある種の小さな血管吻合鉗子が発表された。この
吻合鉗子は環部材型で、その構成部材は、血管の
外表面のものより大きい直径の内表面を有する。
血管連結縫合の束縛のため一定の距離を置いて少
なくとも３個の空間的に離れた位置が、環手段上
に有る。その使用時には、環は血管切断端の周囲
に配置され、それから、少なくとも３個の空間的
に離れた位置で血管端が縫合のために連結され、
縫合糸は環部材上につながれる。これは連結した
血管に外向きの放射状圧力を適用するためであ
り、幾つかの方向の圧力は、吻合血管中の血液の
自由な流れが可能であることを確実にするのを助
けるためである。小血管吻合用のこの種の装置の
故に、血管径が１mm以下のものにのみ適用され
る。大きな血管を縫う時は、縫合空間は非常に限
定され、他にも、血液がしみこみまたは漏れ、吻
合結果に影響を及ぼすだろう。それでこの型の吻
合鉗子はあまり適合できるものではない。

［発明の開示］ 特別な特徴と欠点を持つ上述の従来技術を考え
て、本発明は新規に修正した血管吻合鉗子を提供
する。それは、吻合クランプ、吻合輪を留めるプ
ライヤ、血管壁を引いたり、返したりするのに使
う掛け鉤、血管を吻合輪の鉤爪すなわち針先に留
めた後、血管壁を堅く固定するための圧し針、お
よび、吻合クランプ用延長柄の集合部品を伴う、
２個の吻合輪の特別な設計をとつている。本法の
吻合手術は上述従来技術の欠点を克服し、最良の
手術結果を与えることが可能である。

本発明の目的は、まず、構造単純、製造容易な
型の血管吻合鉗子を提供するものであり、その吻
合輪は、打抜き工程のために便利でより優れた技
術では量産が可能な構造特性と外観を有する。

本発明の第２の目的は、手術消費時間が短い簡
単で信頼できる手術法を提供するものであり、血
管吻合鉗子の習得が非常に容易である。本発明に
よれば、吻合鉗子使用時、吻合輪は留めプライヤ
の作用下にあり、吻合輪を形成する材料の弾性の
ために不変状態に変形する。吻合輪の鋭利なピン
は鉤に曲がり、他方の吻合輪の円状壁上で、安定
で緊密に留まる。一般に、熟練手術者は本器具を
使つて吻合作業を最も速くて約５分で終わること
ができ、通常の医療従事者は１ないし２週間の訓
練で使用することができるようになる。

本発明の他の目的は、吻合血管併合症を減少す
る、手術において機敏である、ある種の血管吻合
鉗子を提供する。本発明では、該吻合クランプは
圧縮ばねを使つて固定される；それは、表面手術
がより融通がきくようにより少ない空間を占め
る。深部手術使用時には、吻合クランプに延長柄
を付け、それで適用の範囲を広げることができ
る；他に、本発明吻合輪は、吻合血管が高速の自
由な血流を持つように、種々の直径を有する。血
管内腔には外来物質は無く、吻合開口部には感染
を意図する狭窄はなく、それで満足な結果を得る
ことができる。

上記を集約すると、本発明が明白著名な進歩的
特徴を特に示したことが実際に証明される。本発
明は以下にも適用可能である：戦時、戦争負傷者
外傷処置のための戦場における血管手術；切断四
肢の再移植のための血管吻合；血管ペデイクル組
織と組合わせた吻合血管の移植；心臓、肺、舌、
および喉などのヒト内器官の移植の吻合、人造血
管吻合や併合症減少のための吻合法を与えること
ができる；妊娠していない男性あるいは女性の関
係器官に対して本器具を使えば、高速自由流れを
伴う吻合法を得る。

本発明の好ましい具体例は、幾つかの部品を包
含する一組の血管吻合鉗子である。それは以下を
包含する： 一対の吻合輪、吻合輪が置かれる一対の吻合ク
ランプ、吻合輪を互いに留める１個のプライヤ、
血管切断端を返し、血管が吻合輪の鉤爪に留めら
れた後、血管壁を堅く固定するための幾つかの鉤
と圧し針、および、深部手術のための一対の吻合
クランプ用延長柄。

各構成部分を添附図面について１個、１個確認
し、それら相互の関係を以下に説明する： 添附図面に従つて、まず、本発明の部品の全て
について説明する。

打抜き工程で造られた、一種の金属円状輪であ
る吻合輪１（第１図参照）は、円状内孔３を伴う
円状環面２、および、円状面２の縁に均一対称に
分布した幾つかの鋭利なピン（あるいは、鉤爪）
を有する。鋭利なピン４は、円状面に対して90゜
曲げられている。各々の鋭利なピンは円状面２の
内孔３に垂直、孔壁に平行であり、先端は非常に
鋭く、幅が約0.34ないし0.8mmの比較的広い根部
で円状面２と連結している。円状面２、内孔壁
３、および鋭利なピンの深さは、全て0.25ないし
0.3mmである。それで、比較的大きな圧力下では
血管はピン４により容易に掛かるだろう；等張力
条件時には、血管壁とピン間の接触面積はより大
きく、圧力は小さくなり、それで血管壁を貫通す
る孔は容易に拡張あるいは裂かれない。

吻合輪の円状面２、内孔３、および鋭利なピン
４は一体に造られる。それらの個々の機能は以下
の通りである： 吻合輪の円状面２については、留めプライヤ圧
力下で、２個の該吻合輪は互いに留め合い、留め
合い中に材料の弾性のために、不変的に変形し、
吻合輪の鋭利なピンは鉤形に曲げられ、他方の吻
合輪の円状面２に留まる（第２図参照）； 内孔３は血管切断端を通し、鋭利なピン４に掛
けるために外側へ返すのに使われ、内孔３の壁
は、吻合輪がその中に置かれる吻合クランプの頭
部の円形溝に合うように使用される； 鋭利なピン４については、一つには血管切断端
を掛けるように働き、他には他方の輪１の円状面
２に留まるように使用される（第２図参照）。

吻合輪１は他の重要な特徴を持つ。つまり、内
孔３の内側は円状面２の吻合面の方へ90゜曲げら
れ、この隅はかなり広いフイレツトを有する隅と
なつている（第６ａ，６ｂ図参照）。本法の吻合
は血管内壁の損傷を避け、最良の結果を与える。

吻合輪１はステンレス鋼、タンタルあるいはチ
タン製である。この材料は比較的良好な弾性と優
れた耐腐蝕性を有し、非常に軽く、加工容易で、
本発明に従う吻合輪１は、１ないし30mmの範囲の
多様な直径に造ることができる。血管の異なる直
径に合わせて、適する径の吻合輪１を吻合手術に
対して選べる。もちろん、有機材料、あるいは、
血管吻合後体組織により溶解され得る吻合輪形成
材も本発明の範囲に属する。

異なる直径の一対の吻合輪１に適合させるため
に、異なる径の吻合輪１を置ける一対の吻合クラ
ンプ５ａ，５ｂが必要である。吻合クランプは血
管吻合鉗子の主要な器具である。

吻合クランプ５ａ，５ｂの各対は、雄クランプ
５ａと雌クランプ５ｂからなり、各吻合クランプ
は長板と短板で構成される（第３ａ図参照）。第
３ａ図中、左は雄クランプ５ａ、右は雌クランプ
５ｂである；各クランプは３部分に分かれる：頭
部６、えら７、および柄８である。えら部には、
雄クランプの長板５a′と短板５a″を、雌クランプ
の長板５b′と短板５b″を、各々結合して一体にす
る、えら軸９がある。各クランプの頭部６は、吻
合輪１が置かれる円形溝１０を有する。円形溝１
０の半分は長板上に、他半分はクランプの短板上
にある。さらに、クランプの柄部８は圧縮ばね１
１を備える。ばね１１の一端は吻合クランプの短
板上、つまり、５a″あるいは５b″に固定され、他
端は、短板の方へばね１１を圧縮する方向に回転
でき、その逆も真である調整ねじ１２を通して長
板に固定されている。クランプ柄上の圧縮ばね１
１の弾性により、２枚の板は緊密に押合い、同時
に、吻合クランプ頭部６の円形溝１０に置かれた
適当な径の吻合輪１は堅く押合うことが可能であ
る。上述のばね１１は非常に小さい空間を占め
る；吻合終了時には、血管からクランプを取去
る。クランプ５ａ，５ｂに垂直にかかる力は横向
きの揺れおよび振動を避け、血管壁の損傷と血液
漏れを減少し、同様に血栓症の形成も減少させ
る。

各吻合クランプ単位については、えら軸９は回
転中心で、それを通して長板および短板が互いに
結合し、その相互の接触面積は一平面である。

雄クランプ５ａと雌クランプ５ｂ間にはわずか
な差異がある。雄の長板５a′上には円形溝１０付
近に固定ピンボルト１３ａが置かれ、雄の短板５
a″上にはえら軸９付近にもう１個の固定ピンボル
ト１３ａが置かれている。同様に、雌クランプ５
ｂ上には、雄クランプ５ａのピンボルト１３ａに
対応する位置に２個のピンホール１３ｂが開けら
れている。吻合中は、雄クランプのピンボルト１
３ａを雌クランプ５ｂのピンホール１３ｂに挿入
するのみで、２個の吻合輪１は正確に誤りなく相
互に留め合うことが可能である。

雄の長板５a′の下部は次の形を有する：（第３
ｂ図参照）下方ピンボルト１３ａへ向けて、反対
方向にある角度傾き、柄が伸びており、吻合面と
長板柄１４ａ間に90゜の角度をなす。柄１４ａの
内面は圧縮ばね１１の調整ねじ１２の固定に使用
され、外面は柄の垂直圧縮に使用される；雄クラ
ンプ長板５a′の下端からさらに伸びて、後述する
吻合クランプの延長柄に差込めるように、燕尾コ
ネクタ１５ａが形成されている。

雄クランプの短板５a″の下部は上記同様である
が、燕尾コネクタを有しない。

雌クランプの長板５b′と短板５b″は雄クランプ
のそれと対応する対称構造であり、同様に長板５
b′は燕尾コネクタ１５ｂを有する。雄クランプ５
ａと雌クランプ５ｂが結合した様子は第３ｂ図に
示される。ここには、雄および雌クランプの長板
のみが見られる。

次に第３ｃ図に示した吻合クランプ頭部の円形
溝１０の構造を説明する。この図は本発明によ
る、結合した一対の吻合クランプの垂直断面図で
あるが、吻合血管は示していない。

上部の雄クランプ５ａおよび下部の雌クランプ
５ｂは、各々、吻合輪１の内孔３の孔壁を通過さ
せる同一径の内孔１６ａ，１６ｂを有することが
図からわかる；吻合血管壁を吻合クランプ内孔１
６ａ，１６ｂから吻合面３０へ伸ばし、延長部を
吻合クランプの水平環状部１７ａ，１７ｂに通
す。吻合輪１の円状面は、この水平環状部により
ちようど合致して、互いに接触し、吻合輪１を置
くのに適している。；吻合面３０へ伸ばし続けた
延長部は、吻合クランプ単位の円形溝１０の一部
である弧部１０ａ，１０ｂを通過する。孤の機能
については後述する。

次に第４図に示した吻合輪留めプライヤ１８の
説明を行なう。該留めプライヤ１８は、吻合クラ
ンプ５ａ，５ｂ相互の、および、吻合クランプ５
ａ，５ｂと吻合輪１相互の、緊密な留めあわせに
使用される。第４ｄ図の留めプライヤ１８の正面
図からその構造がわかる；これは３部分を有す
る：頭部１９、えら２０、および柄２１であり、
左右の板はえら部でえら軸ねじ１８ａを通じて互
いに結合し、一体となる；柄部分２１はバンドス
プリング部品１８ｂで結合している；頭部１９は
各々開放フオーク２２，２２を有し、各フオーク
２２は、その接合部が丸い孤形をなす、２個の平
行腕を備えている。左右板が接合する時、２個の
フオーク腕の対応する側面は留めプライヤ１８の
前面に垂直である。フオーク腕の反対側面は、ク
ランプを留めた時のプライヤの滑りを避けるため
に、エンボシングとねじ切りで作製された。２個
のフオーク腕の方向は第４ｄ図矢印Ａで示すよう
にプライヤ柄２１と鈍角を成す。

２個のフオーク腕接合部は丸い弧形をなし、こ
こに異なる直径の血管を通し、関連した大きさの
吻合クランプ５ａ，５ｂに合わせることができ
る。それで、留めプライヤは種々の仕様を行なえ
る。

本発明によれば、留めプライヤ１８の全長は17
cmである。

本発明による圧し針２３と掛鉤２４を第４図に
示す。これらは全て吻合鉗子の構成部分である。

圧し針２３の柄は円筒金属竿であり、外表面は
操作時の滑りを避けるため刻みが付けられてお
り、竿軸に縦に付いている中心孔は異なる直径の
針２３を差し込むために使用し、その先端はスク
リユーナツト２３ｂをねじつて糸を差し込めるよ
うに糸をラースされている。

スクリユーナツト２３ｂも円筒金属竿でできて
おり、竿軸に縦に中心孔があり、内部の糸をラー
スしている。該中心孔はそこを通過する圧し針２
３の異なる直径に合わせることができる。

圧し針２３の先端部は柄２３ａに対してある角
度で傾いており（第４ｂ図参照）、先端に、上面
図の第４ｂ図に詳細に示したピンホールがある。
ピンホールに関しては、使用時に、吻合輪１の孔
径と鋭利なピン４の幅に従い、適当な孔径の圧し
針を選ぶ。血管切断端壁を返し、吻合輪１の鋭利
なピン４に掛ける時、圧し針２３を使つて血管壁
を押し、鋭利なピン４をピンホール２３′に通し、
このようにして、血管壁は緊密に吻合輪１に掛け
られる。

鉤２４は血管を返し、血管切断端を引くときに
使用する。第４ｃ図に示すように曲がつた形をし
ており、その柄部２４ａと圧縮スクリユーナツト
２４ｂは、圧し針２３の対応する部分と類似の構
造をしている。

上記のように、吻合クランプの延長柄２５は、
方形柄２５ａ、および、柄の先端に位置し、固定
ボルト２５b′でねじ込まれている圧縮スクリユー
ナツト２５ｂから構成される。深部手術のために
吻合クランプ延長柄２５を使用する時は、雄およ
び雌クランプ５a′，５b′の長板の燕尾コネクタ１
５ａ，１５ｂを延長柄２５b′，２５b′の各々の固
定ボルトに差し込み、固定ボルトを堅く回して、
深部手術を行うことができる。

これまで本発明の実施例として血管吻合鉗子と
全ての構成部分を個々に説明した。

ここからは、構成部分間の関係と血管吻合鉗子
操作の方法について記述する。

血管吻合を行う時は、血管と手術器具の伝統的
な条件を整えねばならない。まず、血管径に従
い、血管径と同じ、あるいは、差が0.3ないし0.5
mmを超えない径の一対の吻合輪１，１を選ぶ；そ
の２個の輪１，１を雄および雌吻合クランプ５
ａ，５ｂの円形溝１０，１０に別々に置く；吻合
輪１を取付ける時は、鋭利なピン４，４が一致せ
ず、互いに食い違つて置かれるように注意する。
次に、血管２７，２７の各切断端を各々雄および
雌吻合クランプ頭部の内孔１６ａ，１６ｂに通
す。操作者は鉤２４で血管切断端を90゜返し、吻
合輪１の６個の鋭利なピン４に対称に掛け、それ
から、圧し針２３で掛けた血管を固定する；雄ク
ランプ５ａの２個の固定ピンボルト１３ａ，１３
ｂを雌クランプの５ｂのピンホール１３ｂ，１３
ｂに通す。適した寸法の留めプライヤ１８で吻合
クランプ頭部６，６をきつく押して２個のクラン
プ５ａ，５ｂを結合する；留めプライヤ１８圧力
下で、２個の吻合輪１，１は次第に閉じる。これ
が、第６ａ図に示す血管吻合の前段階である。

血管壁を貫き、他方の吻合輪の鋭利なピン４の
間にある、吻合輪１の６個の鋭利なピン４は、同
時に、反対側の吻合クランプ５ａあるいは５ｂの
円形溝１０の円弧１０ａあるいは１０ｂに沿つて
曲がり始める。留めるために加えられた圧力が吻
合輪１の材料の弾性限界を超える時、鋭利なピン
４は不変状態に変形して、反対側の輪１の円状面
２上に互いに留められ、血管の２切断端は堅く相
互に留められる。この時の吻合血管の状態を第６
ｂ図に示す。

他に、本発明の吻合鉗子を使つて、第７図に示
す血管端一側吻合手術も可能である。

［発明の効果］ 本発明の血管吻合鉗子は従来技術と比較して以
下の多くの効果を有する： １ 本発明による一対の吻合輪１は、圧力を受け
てほぼ半円形に曲がり、他方の吻合輪の円状面
２上に留められる鋭利なピン４によつて、相互
に留め合あうので、高い抗張力を有し、吻合血
管はどんな緩みおよび漏れ現象も起こさない。

２ 吻合輪１の鉤爪つまり鋭利なピン４は他方の
２本の鋭利なピン４間に留められるので；それ
らは相互に比較的に大きな距離を持つて置くこ
とができ、手術の成功率を高め、その時間を短
縮し得る。

３ 吻合輪の高い抗張力のため、比較的大きな血
管の吻合に応用できる。

４ 吻合輪の鋭利なピンの幅が既知の吻合輪のも
のよりかなり広いので、血管壁を貫くピンホー
ルは容易に拡張あるいは裂けない。

５ そこで血管外壁が90゜外向きに返される輪１
のフイレツトを有する隅はかなり大きな円周角
を持つので、血管の外膜の損傷が容易でない。

６ 本発明で使用する吻合クランプは、圧縮ばね
１１により長板および短板を堅く固定し、垂直
の余分の力により緩んでとれるので、横方向の
揺れと振動を避け、血液漏れと血栓症形成の機
会を減少する。

７ 本発明による吻合鉗子については、吻合輪が
軽量精巧、打抜き製造に適し、量産可能なだけ
でなく、圧縮ばね１１を使用する吻合クランプ
５ａ，５ｂも場所をとらず、より良い適応性を
有している。

８ 本発明の吻合鉗子を使用する手術は、良好満
足な結果を与える。これは、２個の吻合輪１，
１の吻合面間に、吻合後、一定の安全な間隙が
存在するためでもある。

上記は本発明の非常に重要な利点を充分に説明
するが、本発明は更に改良される余地が有り、例
えば、胸部あるいは腹部血管吻合手術での曲がつ
た形の吻合クランプ延長柄の使用；吻合輪径の変
更；吻合輪に代わる吸収材料の使用；鉤、圧し針
など付属物の形の改良、多様化などは、全て本発
明の範囲内にある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による一対の吻合輪の立面図を
示す。第２図は既に留め合わされた吻合輪の図を
示す。第３図は一対の吻合クランプの側面図を示
す。第３ａ図は一対の吻合クランプの正面図であ
り、左は雄クランプ部品、右は雌クランプ部品で
ある。第３ｂ図は、吻合クランプ部品の一対の長
板の側面図であり、互いに内側面を差込んでい
る。第３ｃ図は、互いに結合した一対の吻合クラ
ンプ頭部の垂直断面図である。第４ａ図は、本発
明による圧し針と鉤、および吻合輪留めプライヤ
を示す。第４ｂ図は、本発明の圧し針の正面図お
よび平面図を示す；ここで、上が正面図であり、
下が平面図である。第４ｃ図は、本発明による鉤
の正面図である。第４ｄ図は、吻合輪留めプライ
ヤの正面図および側面図であり、左が正面図、右
が側面図である。第５図は、本発明による吻合ク
ランプ用延長柄の正面図および側面図であり、左
が正面図、右が側面図である。第６ａ図は、本発
明による血管吻合鉗子の垂直断面図を示す。血管
は吻合されつつあり、吻合輪はまだ留められてい
ない。第６ｂ図は、本発明による血管吻合鉗子の
垂直断面図を示す。血管は吻合されつつあり、吻
合後である。第７図は、本発明による血管端一側
吻合の図を示す。 図中、１は吻合輪、２は吻合輪円状環面、３は
吻合輪円状内孔壁、４は吻合輪の鋭利なピン、５
は吻合クランプ、１８は留めプライヤ、２３は圧
し針、２４は鉤、２５は延長柄である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円状面２と、円状内孔３を規定する壁と、上
   記円状面の外縁に沿つて均等且つ左右対称的に分
   布する幾つかの鋭利なピン４と、を有する金属円
   状輪であつて、 上記円状面２が上記内孔３を規定する壁に対し
   て90゜の角度をなし、上記鋭利なピン４が上記円
   状面２に対して90゜の角度をなすように曲げて形
   成され、 使用時に一対の吻合輪１，１が、上記鋭利なピ
   ン４に血管切断端を係留した状態で互いにしつか
   りと留合わされる血管修復手術用血管吻合輪。 ２ 上記円状面２、上記円状内孔３を規定する
   壁、及び、上記鋭利なピン４が打抜き成形で一体
   的に製造される特許請求の範囲第１項記載の吻合
   輪。 ３ 上記鋭利なピン４の頂部が尖り、その根部幅
   が0.34乃至0.8mmで上記円状面２の外縁に結合し、
   上記鋭利ピン４の数が４乃至６である特許請求の
   範囲第１項記載の吻合輪。 ４ 上記吻合輪１の上記内孔３を規定する壁が、
   上記円状面２に向かつて90゜に曲がり、この曲が
   り角部で円周角を形成する特許請求の範囲第１項
   記載の吻合輪。 ５ 上記吻合輪が、１乃至30mmの範囲の種々の直
   径を有する特許請求の範囲第１項記載の吻合輪。 ６ 上記吻合輪が、ステンレス鋼、タンタル、チ
   タン、或いは吸収性材料から形成される特許請求
   の範囲第１項記載の吻合輪。 ７ 円状面２と、円状内孔３を規定する壁と、上
   記円状面の外縁に沿つて均等且つ左右対称的に分
   布する幾つかの鋭利なピン４と、を有する金属円
   状輪であつて、上記円状面２が上記内孔３を規定
   する壁に対して90゜の角度をなし、上記鋭利なピ
   ン４が上記円状面２に対して90゜の角度をなすよ
   うに曲げて形成され、使用時に一対の吻合輪１，
   １が上記鋭利なピン４に血管切断端を係留した状
   態で互いにしつかりと留合わされる血管修復手術
   用血管吻合輪が夫々載置される一対の吻合クラン
   プ５ａ，５ｂを有するクランプ装置であつて、 上記吻合クランプ５ａ，５ｂが雄クランプ５ａ
   及び雌クランプ５ｂを具備し、各クランプが長板
   ５a′，５b′及び短板５a″，５b″からなり、各クラ
   ンプの上記長板及び短板がえら部７でえら軸９に
   より結合して一体をなし、上記各クランプの頭部
   ６に上記吻合輪１を置く円形溝１０が形成され、
   上記各クランプの柄部８に、一端がクランプの上
   記短板５a″，５b″に固定されると共に他端がクラ
   ンプの上記長板５a′，５b′に調整ねじ１２を介し
   て固定される圧縮ばね１が配設される血管修復手
   術用吻合クランプ装置。 ８ 上記雄クランプ５ａが２個のピンボルト１３
   ａを、上記雄クランプ５ｂが２個のピンホール１
   ３ｂを備え、各長板５a′，５b′の先端が燕尾コネ
   クタ１５ａ，１５ｂを有する特許請求の範囲第７
   項記載の吻合クランプ装置。 ９ 上記吻合クランプ５ａ，５ｂの頭部の上記吻
   合輪１を載置する上記円形溝１０が、 上記吻合輪１の上記内孔３を規定する壁内の血
   管壁が、上記クランプの内孔１６ａ，１６ｂを通
   過し、次に水平円状部１７ａまたは１７ｂを通つ
   て吻合面３０へ延び、再び弧部１０ａまたは１０
   ｂを通過して吻合面３０へ延びることができるよ
   うに形成されている特許請求の範囲第７項記載の
   吻合クランプ装置。 １０ 円状面２と、円状内孔３を規定する壁と、
   上記円状面の外縁に沿つて均等且つ左右対称的に
   分布する幾つかの鋭利なピン４と、を有する金属
   円状輪であつて、上記円状面２が上記内孔３を規
   定する壁に対して90゜の角度をなし、上記鋭利な
   ピン４が上記円状面２に対して90゜の角度をなす
   ように曲げて形成され、使用時に一対の吻合輪
   １，１が上記鋭利なピン４に血管切断端を係留し
   た状態で互いにしつかりと留合わされる血管修復
   手術用血管吻合輪が夫々載置される一対の吻合ク
   ランプ５ａ，５ｂを有するクランプ装置であつ
   て、上記吻合クランプ５ａ，５ｂが雄クランプ５
   ａ及び雌クランプ５ｂを具備し、各クランプが長
   板５a′，５b′及び短板５a″，５b″からなり、各ク
   ランプの上記長板及び短板がえら部７でえら軸９
   により結合して一体をなし、上記各クランプの頭
   部６に上記吻合輪１を置く円形溝１０が形成さ
   れ、上記各クランプの柄部８に、一端がクランプ
   の上記短板５a″，５b″に固定されると共に他端が
   クランプの上記長板５a′，５b′に調整ねじ１２を
   介して固定される圧縮ばね１が配設される血管修
   復手術用吻合クランプ装置に載置された一対の上
   記吻合輪１，１を留合わせるための専用プライヤ
   であつて、 上記プライヤは頭部１９、えら部２０、及び柄
   部２１からなる一対のプライヤ板を具備すること
   と、 上記一対のプライヤ板は上記えら部２０でえら
   軸ねじ１８ａにより連結されていることと、 上記一対のプライヤ板の夫々は、上記頭部１９
   に、上記クランプ装置に載置された一対の上記吻
   合輪１，１を挟むと共に、上記吻合輪１，１と係
   合する２股状に形成されたフオーク２２を有する
   ことと、 上記一対のプライヤ板は、上記柄部２１におい
   て自己復帰用バンドスプリング手段１８ｂで結合
   されることと、 上記フオーク２２は、上記柄部２１と鈍角をな
   すように延びることと、 を特徴とする血管修復手術用吻合輪留合わせプラ
   イヤ。