JPH045962Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、冬期は昼間に太陽を蓄熱体に蓄熱
し、夜間に放熱して暖房とし、夏期は昼間の日射
を遮断するとともに夜間の冷気を蓄熱体に蓄熱
し、昼間に冷気を放出して冷房とするようにした
蓄熱体を移動させる強制暖冷房装置に関するもの
である。

従来の技術 従来、太陽熱を利用して暖房するものとして
は、蓄熱壁の前方にフレネルプリズムシートを設
けることにより、冬期のみ太陽光を透過させて蓄
熱壁に蓄熱し、夜間の暖房に利用し、夏期には太
陽光を透過させず蓄熱壁を加熱しないようにした
蓄熱用壁構造（特開昭59−35749号広報参照）お
よび前側に太陽光透過体を、中央に断熱壁を設
け、丸棒状体をブラインド状に設けた蓄熱体を断
熱壁の前後に回動できるように設けて、昼間前方
にある蓄熱体に太陽光を当てて蓄熱し、夜間蓄熱
体を室側に回動し室内を暖房するようにした蓄熱
体移動型ユニツト（実開昭58−39453号の明細書
および図面参照）が知られている。

考案が解決しようとする問題点 前記従来の蓄熱用壁構造においては、蓄熱壁が
固定されているので直接室内に向つて放熱できな
いため暖房効率がよくないとともに、夏期には蓄
熱壁に太陽光が当らないだけで蓄熱壁を利用して
冷房を行うことができない問題点があり、また従
来の蓄熱体移動型壁ユニツトにおいては、蓄熱体
を前方で蓄熱した後、室側へ移動して室内を暖房
するので暖房効果はよいが、やはり夏期の昼間に
冷房を行うことができない問題点があつた。

問題点を解決するための手段 前記の問題点を解決するためこの考案は、外側
にフレネルプリズムを、中央に断熱パネルを設け
て断熱パネルの外側を蓄熱室、その内側を上部通
風口を有する放熱室とし、断熱パネルの上下端両
側部に取付けたホイールに環状体を係合して蓄熱
室と放熱室との間を移動自在とし、この環状体の
半周に潜熱蓄熱材を充填した多数の丸棒状の蓄熱
体を水平に連設してすだれ状とし、蓄熱室と放熱
室の下部にそれぞれダンパーを設けて送風室と連
通させるとともに送風室の内側に下部通風口を設
け、かつ蓄熱室の上部に外気と連通するダンパー
を、また送風室の外側下部に外気と連通するダン
パーを設けた蓄熱体移動型強制暖冷房装置の手段
を講じるものである。

実施例 この考案の１実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図において壁面１に開口２が設けられ、そ
の外側にフレネルプリズム３（多数のプリズムを
連続して多段に設けてパネル状としたものをい
う。）を、その内側にガラリ４ａ付き上部通風口
４を有する仕切壁４ｂを、その中間にガラス繊
維、ロツクウール等の断熱材５の両側面にアルミ
はく６を貼着して熱反射面とした断熱パネル７を
それぞれ設けることによつて、その前部は蓄熱室
８、その後部は放熱室９となつている。断熱パネ
ル７の上下端両側部にはチエーンホイール等のホ
イール１０が回転自在に設けられ、ホイール１０
に係合するチエーンのような環状体１１の半周に
多数の丸棒状の蓄熱体１２が水平に連設されすだ
れ状に取付けられている。蓄熱室８と放熱室９と
の間は断熱パネル７の上下にモヘア等の気密材１
３が設けられ断熱パネル７と蓄熱体１２の間を封
鎖している。

なお、ホイール１０と環状体１１をチエーンホ
イールとチエーンとする代わりにプーリーとロー
プその他適宜の手段を用いることができる。

蓄熱体１２は第２図に示すように太陽光線の熱
線の吸収を良好にするため表面にブラツククロ
ム、アルキツドエナメル等の熱線吸収膜１４が被
覆されたアルミニウム等の熱伝導の良好な金属製
パイプ１５中に塩化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、硫酸ナトリウム等の潜熱蓄熱材１６が充填さ
れたものである。

蓄熱室８と放熱室９の下方にはガラス繊維、ウ
レタンフオーム等の断熱材で構成された送風室１
７が設けられ、その中央にフアン１８が配置さ
れ、内側の壁面にはガラリ１９ａ付き下部通風口
１９が設けられるとともに、蓄熱室８の上部およ
び送風室７の外側下部には外気と連通するダンパ
ーＡおよびダンパーＣが、また送風室１７と蓄熱
室８および放熱室９の各下部とを連通するダンパ
ーＢおよびダンパーＤが設けられ、機械的または
電気的に開閉の制御が可能となつている。なお、
ダンパーの一部には形状記憶合金を用いることが
できる。

作 用 上記実施例における段冷房装置の作用は次のと
おりである。

冬期暖房に用いる場合について述べると、冬期
の日射角度は低く北緯35度の地点で冬至では第３
ａ図に示すように頂角が20度のフレネルプリズム
３では太陽光線は透過して蓄熱体１２を直射す
る。蓄熱体１２の間から漏れた太陽光線は断熱パ
ネル７のアルミはく６により反射されて蓄熱体１
２の蓄熱に熱損失ができるだけ生じないようにな
つている。

蓄熱体１２は熱線吸収膜１４で被覆されている
ので太陽光線中の熱線を吸収して潜熱蓄熱材１６
を加熱して蓄熱する。

そして、昼間の日射時に蓄熱室８の上部のダン
パーＡおよび送風室１７と蓄熱室８の下部とを連
通するダンパーＢを閉じて太陽光線で蓄熱体１２
に蓄熱させる。夜間暖房するには、この蓄熱され
た蓄熱体１２を室内側の壁面に設けたハンドル
（図示しない）を回転することによりホイール１
０を回転させ環状体１１環を半回転させ前方の蓄
熱室８から後方の放熱室９側へ移動させるととも
に送風室１７の外側下部のダンパーＣを閉じ、送
風室１７と放熱室９の下部を連通するダンパーＤ
は開きフアン１８を回転させる。そうすると放熱
室９内上部の暖気は矢印ａのように上部通風口４
から放熱室９内に吸引され蓄熱体１２（鎖線で示
す）の潜熱蓄熱材１６に蓄熱された熱量を奪つて
ダンパーＤを経て下部通風口１９から矢印ｂのよ
うに室内に温風を強制的に吹き出すようになる。
このとき蓄熱体１２の潜熱蓄熱材１６は放熱する
に従つて潜熱を発生するので少量の蓄熱材で多量
の熱量の発生が可能である。また、送風室１７は
フアン１８の騒音を吸収するので静粛である。

以上のように昼間は蓄熱体１２を環状体１１を
回転させた蓄熱室８へ移動させて蓄熱し、夜間は
放熱室９へ移動させてフアン１８により放熱させ
るサイクルを繰返えし暖房を行うものである。

つぎに、夏期冷房に用いる場合について述べる
と、昼間の日射角度は第３ｂ図に示すように春
分、秋分時には次第に高くなり太陽光線は透過せ
ず、夏至では第３ｃ図に示すように太陽光線を全
反射するようになる。したがつて、蓄熱室８内に
ある蓄熱体１２はフレネルプリズム３によつて太
陽光線を遮断されるので蓄熱体１２の温度は上昇
しない。そして夜間、蓄熱室８のダンパーＡ、送
風室１７のダンパーＢおよびダンパーＣを開いて
フアン１８を回転させると室外上部の冷気は矢印
ＣのようにダンパーＡから入りダンパーＢを経て
ダンパーＣから矢印ｄのように通過するので蓄熱
体１２は外気温の降下によつて冷やされ冷温を蓄
熱する。

昼間冷房するには、この冷却された蓄熱体１２
を前記と同様チエーン１１環を半回転させて放熱
室９に移動させた後、蓄熱室８のダンパーＡ、送
風室のダンパーＢおよびダンパーＣを閉じ同じく
ダンパーＤを開いてフアン１８を回転させる。そ
うすると、室内上部の暖気は矢印ａのように上部
通風口４を通過して放熱室９内に吸引され冷却さ
れた蓄熱体１２によつて冷却され、送風はダンパ
ーＤを経て下部通風口１９から矢印ｂのように室
内に冷風を強制的に吹き出すようになる。

以上のように夜間は蓄熱体１２を環状体１１を
回転させ蓄熱室８へ移動させた後フアン１８を回
転させて冷熱を蓄熱し、昼間は蓄熱体１２を放熱
室９へ移動させてフアン１８によつて冷風を送り
出すサイクルを繰返えし冷房を行うものである。

考案の効果 この考案は前記の手段からなるものであり、蓄
熱体に潜熱蓄熱材が充填してあるので一定温度で
潜熱を発生し、したがつて少量の蓄熱材で多量の
熱量の蓄熱が可能である。そして蓄熱室は後方を
断熱パネルで区画されているので蓄熱室の放熱を
防止し蓄熱効果が良好であるとともに、放熱室に
おいても放熱室内の温度を有効に保持するので放
熱効果がよく、また蓄熱体を蓄熱室と放熱室との
間に移動させるのにブラインド状に連結した蓄熱
体をチエーンのような環状体で回転できるように
したので、蓄熱体固定式のように加熱空気で間接
的に蓄熱するものとは異なり蓄熱室において蓄熱
体を直接太陽光線で照射するので熱効率がよく、
蓄熱室の上部のダンパーおよび送風室と蓄熱室下
部を連通するダンパーを閉じて蓄熱体に蓄熱させ
放熱室においてはフアンを回転させることによつ
て強制的に放熱させるので暖房効果が向上し、さ
らにフレネルプリズムを蓄熱室の外側に設けたの
で冬期は太陽光線を透過して暖房に利用できるに
もかかわらず、夏期は太陽光線を遮断し蓄熱体の
温度を上昇させることなく、したがつて夜間の冷
気の蓄熱効率が良好となり、また蓄熱室の上部の
ダンパー、送風室の外側下部および送風室と蓄熱
室の下部を連通するダンパーの開放とフアンの回
転によつて強制的に冷気が蓄熱体全表面を通過す
るようにさせるので冷却効率がよく、蓄熱体を移
動させてダンパーの開閉を切換えフアンを回転さ
せるだけで強制暖房と冷房が兼用できる装置を得
ることがきる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の１実施例を示すもので縦
断側面図、第２図は蓄熱体の拡大切断側面図、第
３ａ図、第３ｂ図、第３ｃ図はそれぞれフレネル
プリズムの１部の拡大側面図である。 ３……フレネルプリズム、４……上部通気口、
７……断熱パネル、８……蓄熱室、９……放熱
室、１１……環状体（チエーン）、１２……蓄熱
体、１６……潜熱蓄熱材、１７……送風室、１８
……フアン、１９……下部通気口、Ａ……ダンパ
ー、Ｂ……ダンパー、Ｃ……ダンパー、Ｄ……ダ
ンパー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外側にフレネルプリズム３を、中央に断熱パネ
   ル７を設けて断熱パネル７の外側を蓄熱室８、そ
   の内側を上部通風口４を有する放熱室９とし、断
   熱パネル７の上下端両側部に取付けたホイール１
   ０に環状体１１を係合して蓄熱室８と放熱室９と
   の間を移動自在とし、この環状体１１の半周に潜
   熱蓄熱材１６を充填した多数の丸棒状の蓄熱体１
   ２を水平に連設してすだれ状とし、蓄熱室８と放
   熱室９の下部にそれぞれダンパーＢ，Ｄを設けて
   送風室１７と連通させるとともに送風室１７の内
   側に下部通風口１９を設け、かつ蓄熱室８の上部
   に外気と連通するダンパーＡを、また送風室１７
   の外側下部に外気と連通するダンパーＣを設けた
   蓄熱体移動型強制暖冷房装置。