JPH0459410B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はコンクリートを地中へ打設して場所打
ち杭や連続壁を構築する際、レベルセンサーを用
いてコンクリートの上面を正確にかつ簡単に検出
する方法に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

従来の場所打ち杭工法において、コンクリート
の上面を検出するには、作業員が重錘付き検尺テ
ープを掘削孔内へ吊り下げて手探りでコンクリー
トの上面に届かせ、検尺テープの基準点に向う目
盛を読んでコンクリートの上面レベルを知り、コ
ンクリートの打設が進行してこのレベルが予定値
に達すると打設を終了するという方法を行つてい
る。しかし場所打ち杭の掘削孔には鉄筋籠を建て
込んでその中央にトレミー管を吊り込み、コンク
リートをミキサー車からトレミー管のホツパーへ
投入している。掘削孔の上口はこのように交錯し
た状態であるから、作業員が手を延ばして掘削孔
の中で検尺テープを静かに上下し、手探りで重錘
が正しくコンクリートの上面に位置するように操
作し、素早く基準点での検尺テープを読取るの
は、危険を伴うだけでなく検尺テープの曲りやた
るみにより誤差を生じやすい。このほか目盛付き
コードの先端に検知子を結び付けた抵抗式測定器
も使用されている。この測定器は掘削孔の中で検
知子を吊下げてコンクリートの上面へ届かせ、抵
抗が変化したときコードの目盛を読んでコンクリ
ートの上面レベルを測定するが、コードの曲りぐ
せによる長さの狂いや検知子のコンクリート内へ
の挿入程度の不確実さ等により大きな誤差が免れ
ない。

このため従来は作業者が場所打ち杭の天端が計
画よりも低く仕上がつた場合の不都合を思い浮か
べ、コンクリートの打止めを遅らせ勝ちとなる。
その結果杭の天端が高く仕上がるので、上部の構
造物を構築する前に杭の天端を所定の位置までは
つりとる必要がある。余分に打つたコンクリート
材料とはつり仕上げの手間と二重の無駄を招くこ
とになる。

本発明の目的はレベルセンサーを鉄筋に仮止め
することにより、コンクリートの上面を正確かつ
簡単に検出しうる方法を提供することにある。

〔問題点の解決手段〕

本願発明は、場所打ち杭や連続壁を構築するコ
ンクリート打設工法におけるコンクリート上面の
検出方法において、打設されたコンクリートによ
り揺動してコンクリート上面を検出する、水銀ス
イツチを内蔵し、比重の調節可能なウエイトから
なるレベルセンサーをコンクリートの計画打設最
上レベル付近の鉄筋に複数個配列仮止めし、打設
コンクリートの上面が前記全レベルセンサーを揺
動させて計画打設最上レベルに到達したことを検
知した時、コンクリートの打ち込みを止めて地上
より前記レベルセンサーと結合したコードを引つ
張り、前記レベルセンサーの仮止めを外してレベ
ルセンサーを回収するものである。

〔実施例〕

本発明の一実施例を場所打ち杭について説明す
る。

場所打ち杭工法においては、第１，２図に示す
如く地面に大口径の深い孔１を掘削して緩い円錐
形の底面を地盤２に到達させる。この掘削孔１は
まず地面にケーシングパイプ３を建て込んで地表
近くの孔壁の崩落を防止し、孔壁を保護するため
泥水４を注入してほゞ一杯に満し、この状態で掘
削機（図示なし）を回転させて掘削してゆく。掘
削孔１の底部には掘削屑やスライムが堆積してお
り、コンクリートの打設前にこの掘削屑やスライ
ム層５を除去するが、完全な除去は難しいのでそ
の一部は残留する。次の工程として鉄筋籠６をク
レーンで建て込み、この鉄筋籠を掘削孔１の孔壁
に沿わせて正確に所定の高さに固定し、続いてト
レミー管７をクレーン（図示なし）のフツク９で
吊り込んで掘削孔１の中央に位置させ、トレミー
管を利用して孔底の掘削屑やスライム層５を除去
したのち頂端にホツパー８を取付ける。

続いてミキサー車（図示なし）を接近させてコ
ンクリート１０の打設を開始する。当初トレミー
管７は掘削孔１の底部近くに達しており、コンク
リートの上面の中央部１１及び周縁部１２が孔内
の泥水４を押しのけて次第に上昇し、この泥水を
ポンプ（図示なし）で排出する。コンクリートの
上面１１，１２がある程度上昇すると打設を中断
し、トレミー管７を引上げてその上部を除去し、
トレミー管の全長を短くしてコンクリートの打設
を再開する。この作業を繰返して計画の最上レベ
ルまでコンクリート１０を打上げるとトレミー管
７を取除いて打設が完了する。

こゝに掘削孔１へ打設されるコンクリートは孔
内の泥水を押しのけて上昇し、このコンクリート
は種々の原因により上部の流れが不同であるから
その上面１１，１２に凹凸を生じ、しかも鉄筋籠
６の外側はコンクリートの回り込みが悪いので、
上面の周縁部１２は鉄筋籠内の上面中央部１１よ
りも低くなり、さらにコンクリート上面１１，１
２では掘削屑やスライム層５の残留物が泥水４に
混合し、コンクリートから生じたレイタンスも泥
水に混合し、これらの混合物により生じた高粘度
物質１３がコンクリートの上面１１，１２の上に
存在する。このようなコンクリート上面１１，１
２の凹凸、上面周縁部１２が中央部１１よりも低
いこと及び高粘度物層１３の存在等が、従来の重
錘付き検尺テープや抵抗式測定器の手探りによる
計測をより不正確なものにしている。

本実施例はレベルセンサーとして第３図に示す
如く水銀スイツチを内蔵するウエイトを用いる。

ウエイト１４は両端を気密に閉塞した円筒を本
体とし、この本体の両端面にアーム１５，１５を
取付け、本体の中央部に水銀スイツチ１６を納め
て直径方向に配置する。こゝにウエイト１４の比
重を掘削孔内の泥水３の比重よりもはるかに大き
く、高粘度物質１３の比重よりもかなり大きい値
に選定し、ウエイト１４が泥水３は勿論のこと、
高粘度物質１３から浮力を受けても浮上がらない
ようにし、このため本体に鉛粒を入れてその重量
を調節する。水銀スイツチ１６は公知の通りガラ
ス製の小さな器体１７に水銀１８と２本のリード
線１９，１９を封じ込んだもので、器体１７が前
下りの姿勢をとると、水銀１８が器体の下部に溜
つて２本のリード線１９，１９から離れるので、
水銀スイツチ１６がオフとなり、器体１７が水平
又は少し上向きの姿勢になると水銀１８がリード
線１９，１９を導通して水銀スイツチ１６をオン
にする。

２０に縦長の逆Ｕ字形をなす支持杆で、両脚片
の中腹部に設けたヒンジに支軸２１を挿通し、こ
の支軸にウエイトのアーム１５，１５を枢着して
ウエイト１４を軽快に揺動できるように支持し、
この支持杆を鉄筋籠に添わせて両脚端と鉄筋６′
にビニールテープ２２を数回巻き、ウエイト１４
をビニールテープで鉄筋籠６に仮止めする。２３
はウエイト１４に連なる丈夫なコードで、２本に
分離して曲がりやすくした下端をウエイト１４に
挿入して接着剤で挿入口をシールし、この２本を
水銀スイツチのリード線１９，１９に結び、分離
部の少し上方を支持杆２０の頂片に巻付けてコー
ド２３を支持杆に結合する。このような水銀スイ
ツチ付きのウエイト１４を数個用い、第２図に示
す如く各ウエイトの水銀スイツチに結ばれたコー
ド２３を１つの指示器２４へ接続する。指示器２
４は各ウエイトの水銀スイツチ毎にブザー２５と
表示灯２６をもつており、掘削孔１の入口からな
り離れた場所に置いて監視しやすくなる。

本実施例は掘削孔１の孔径によつて異なるが、
通常は４〜６個のウエイト１４を用い、６個の場
合は掘削孔の中央位置Ａに２個のウエイトを配置
し、周縁位置Ｂ，Ｃに４個のウエイトを配置し、
各ウエイトの支持杆２０をビニールテープで鉄筋
籠６に仮止めする。ウエイト１４の仮止め位置は
コンクリートの計画最上レベルで水銀スイツチ１
６が水平姿勢となるように予め正確に計測して鉄
筋籠６に目印をつけておき、鉄筋籠を建て込む際
この目印が地表付近にくると建て込みを一旦中止
し、各ウエイトの支持杆２０をビニールテープで
鉄筋籠６に結付けたのち鉄筋籠を降下させる。こ
の作業により各ウエイト１４を正確にコンクリー
トの計画最上レベルにて鉄筋籠に取付けることが
できる。

このようにしてウエイトの支持杆２０を仮止め
した鉄筋籠６を掘削孔１に建て込み、これが終る
とコンクリートの打込みを開始する。こゝに各ウ
エイト１４は掘削孔内の泥水４の中に沈んで泥水
から浮力を受けるが、その比重が孔内泥水よりも
はるかに大きいから浮上がることなく、第３図に
示すように自重で垂れ下つた姿勢をとり、ウエイ
トに内蔵された水銀スイツチ１６はオフになつて
いる。コンクリートの打込みによりその上面が孔
内泥水４を押上げて次第に上昇し、この泥水をポ
ンプで排出する。コンクリートの上昇によりまず
高粘度物質１３がウエイト１４……を通過する。
この際各ウエイト１４は高粘度物質１３から孔内
泥水４よりも大きな浮力を受けるが、ウエイトの
比重が高粘度物層１３の比重よりもかなり大きい
から、各ウエイト１４は引続いて浮上がることな
く垂下つた姿勢をとり、ウエイトに内蔵された水
銀スイツチ１６もオフの状態を継続する。

間もなくコンクリートの上面中央部１１が中央
位置Ａのウエイト１４に達したのち、コンクリー
トの上面周縁部１２が周縁位置Ｂ，Ｃのウエイト
１４に届く。コンクリートの上面１１，１２がウ
エイト１４……に到達するとその盛上がり力によ
つて各ウエイトが鎖線１４′に示すように押上げ
られ、コンクリートの上面が計画レベルに達した
ときウエイト内の水銀スイツチ１６が水平姿勢と
なり、こゝで水銀１８がリード線１９，１９を導
通して水銀スイツチ１６がオンとなる。このスイ
ツチオンにより指示器２４に備えるブザー２５が
鳴ると共に表示灯２６が点灯する。これによりコ
ンクリートの上面中央部１１は勿論、コンクリー
トの回り込みにくい上面周縁部１２も計画レベル
に到達したことが確認できるので、自信をもつて
コンクリートの打込みを止める。

なおウエイト１４……のうち１〜２個の仕上り
面よりも100mm位下寄りに取付けておけば、コン
クリート上面の仕上に面への接近を予知できるか
らより正確なコンクリートの打止めが可能とな
る。コンクリートの打込みが終るとコード２３…
…を強く引張ることにより、鉄筋籠６へのウエイ
ト１４……の仮止めをはずしてコード２３……と
ウエイト１４を回収し、コードやウエイトが構造
物を構築する作業の邪魔にならないようにし、併
せてコード２３……とウエイト１４……を再使用
する。

以上は本発明の一実施例を説明したもので、本
発明はこの実施例に限定されることなく、発明の
要旨内において設計変更できる。又本発明は場所
打ち杭のほか、地中又は水中に連続壁その他のコ
ンクリート構造物を構築する場合にも使用できる
し、掘削孔の内部が乾燥している場合においても
使用できる。

〔発明の効果〕

本発明においてはレベルセンサーを鉄筋に仮止
めしてコンクリート上面の到達をレベルセンサー
により検知し、作業員は指示器の表示を見るだけ
であるから、極めて正確にかつ簡単にコンクリー
トの上面を検出することができ、従来法にみられ
たコンクリートの回り込み不足による不良構造物
の構築やコンクリートの打込み過ぎによる無駄が
皆無となり、計画通りの上面をもつた場所打ち杭
や連続壁を能率よく構築しうる効果があり、レベ
ルセンサーを鉄筋に仮止めしてそれを回収するか
ら、コードやレベルセンサーが構造物を構築する
作業の邪魔にならないし、コードとレベルセンサ
ーを再使用できる利点もある。又レベルセンサー
として水銀スイツチを内蔵するウエイトを用い、
ウエイトの支持杆を鉄筋に仮止めしたものは、泥
水中に沈めるレベルスイツチを丈夫にかつ安価に
製作することができ、鉄筋への着脱も容易に行い
うるから、コンクリートの上面検出用として好適
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は場所打ち杭の構築工法を示す断面図、
第２図は本発明の実施例を示す場所打ち杭の断面
図、第３図はレベルセンサーの拡大斜視図であ
る。 なお６は鉄筋籠、６′は鉄筋、１０はコンクリ
ート、１１と１２はコンクリートの上面、１４は
ウエイト、１６は水銀スイツチ、２０はウエイト
の支持杆、２３はコードである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 場所打ち杭や連続壁を構築するコンクリート
   打設工法におけるコンクリート上面の検出方法に
   おいて、打設されたコンクリートにより揺動して
   コンクリート上面を検出する、水銀スイツチを内
   蔵し、比重の調節可能なウエイトからなるレベル
   センサーをコンクリートの計画打設最上レベル付
   近の鉄筋に複数個配列仮止めし、打設コンクリー
   トの上面が前記全レベルセンサーを揺動させて計
   画打設最上レベルに到達したことを検知した時、
   コンクリートの打ち込みを止めて地上より前記レ
   ベルセンサーと結合したコードを引つ張り、前記
   レベルセンサーの仮止めを外してレベルセンサー
   を回収することを特徴とするコンクリート打設工
   法におけるコンクリート上面の検出方法。