JPH045884B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、例えば沸騰水型原子力発電プラント
における給水加熱器内の伝熱管内面を洗浄する際
に好適な給水加熱器に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

一般に、沸騰水型原子力発電プラントでは、給
水系配管から持込まれるクラツドが原子炉内で放
射化されることにより、発電プラントでの放射量
が増大し、ひいては被曝増大につながることが知
られている。そのため、沸騰水型原子力発電プラ
ントでは給水クラツド低減対策として、復水脱塩
装置によるクラツドの除去あるいは給水酸素ガス
注入による配管の腐食低減などを実施している
が、本来給水を加熱することを目的とした給水加
熱器のステンレス製伝熱管内でのクラツド付着が
給水クラツド低減にはかなり期待できる効果とな
つている。しかし、運転経歴を重ねた発電プラン
トの給水加熱器伝熱管はクラツド付着量が大きい
ため、発電プラントの出力変動等による給水流量
変動時に給水加熱器の伝熱管に付着したクラツド
が剥離して一時的に給水クラツド濃度のスパイク
現象が生じ、給水クラツドの原子炉への持込みが
増大する原因となつている。そのため、給水加熱
器管の定期洗浄により給水加熱器の伝熱器からの
スパイク現象によるクラツド剥離の減少および伝
熱管によるクラツド付着効果向上が期待されてい
る。

しかしながら、沸騰水型原子力発電プラントの
給水加熱器は、Ｕ字型伝熱管であるため、伝熱管
出入口末端が１枚の板に溶接されており、それを
境に水室と胴とに分かれている。その水室部にお
いて、出入口水が混在しないように仕切板が設け
られているため、通常、出口末端または入口末端
のどちらかしか接触できない。そのため、伝熱管
単独を洗浄することは仕切板を切断しないかぎり
不可能となつていた。

〔発明の目的〕

本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、
その目的は、発電プラント運転中に給水加熱器の
伝熱管内面に付着したクラツドを洗浄する際に伝
熱管のみを独立して洗浄できる給水加熱器を提供
するにある。

〔発明の概要〕

本発明は、上記目的を達成するために、原子炉
から発生した蒸気がタービンにて仕事を終え、復
水となつた水を再び加熱して原子炉へ給水する給
水加熱器において、前記給水加熱器本体内にはそ
の端部に固定された管板にＵ字形伝熱管を接続す
るとともに前記管板を覆うように蓋体を設けて水
室部とし、この水室部に仕切板上部平面部と、ド
レン孔に連なる着脱式盲板と、流入管を有する仕
切板下部平面板及び着脱式仕切板とから構成され
た仕切装置を設けたことを特徴とするものであ
る。そして、前記流入管の先端部が前記仕切板下
部平面板より突出するとともに前記流入管の先端
部には仮蓋を被せるようにしたものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例を第１図について説明
する。

先ず、本発明の給水加熱器の構成について説明
する。第１図において、有底筒状の給水加熱器本
体１の側面には伝熱媒体を流入する入口ノズル２
とその伝熱媒体を流出させる出口ノズル３が接続
されている。この本体１内にはその端部に固定さ
れた管板４にほゞＵ字状の伝熱管５が多数本接続
されている。この管板４を覆うようにして被加熱
液体の流入管６及び流出管７が接続された蓋体８
が本体１に連接して水室部９を形成している。こ
の蓋体８内には伝熱管５の両端開口を区画するよ
うにして、仕切装置１０が配設されている。この
仕切装置１０は仕切板上部平面板１１，仕切板下
部平面板１４，着脱式仕切板１２，着脱式盲板１
８によつて構成されている。この仕切板上部平面
板１１および仕切板下部平面板１４は管板４に固
定されている。

また、着脱式仕切板１２は仕切板上部平面板１
１および仕切板下部平面板１４とに着脱式仕切板
とめボルト１３によつて接合され、着脱式盲板１
８は仕切板下部平面板１４に着脱式盲板とめボル
ト１９によつて接合されていて、被加熱液体の流
入側と流出側とに区画される。そして、流入管６
から流入した被加熱液体は、伝熱管５の一端開口
から流入して加熱され、加熱された液体は、他方
の開口から流出して流出管７から本体１外へ流れ
るようになつている。一方、流入管６の蓋体内先
端部１５は、仕切板下部平面板１４より突き出て
仕切板下部平面板１４と接続されており、取つ手
１７をもつ配管用仮蓋１６がかぶせられている。

次に、本発明の給水加熱器の操作について説明
する。すなわち、給水加熱器本体１の伝熱管５に
付着したクラツドを伝熱管５単独で洗浄するに際
しては、まず、着脱式仕切板１２は着脱式仕切板
とめベルト１３をはずすことによつて仕切板上部
平面板１１および仕切板下部平面板１４から取り
はずし、洗浄治具を伝熱管５の出入口末端に設置
できるようにする。配管用仮蓋１６を流入管６の
先端部１５にはめ込み万一洩れた場合の洗浄流体
が流入管６へ侵入するのを防ぎ、また、洗浄流体
が洩れても着脱式盲板１８をはずすことにより、
洗浄流体は蓋体８のドレン管２０およびドレン弁
２１を通つて本体１外へ完全に除去することがで
きる。

以上説明したところから明らかなように蓋体８
内の水室部９を仕切装置１０によつて仕切つてい
るため給水加熱器伝熱管５の出入口末端にて閉ル
ープを形成しており、単独で伝熱管を洗浄するこ
とができる。また、この仕切装置１０は従来の一
枚板とは異なり、容易に取りはずせるため一枚板
の切断，溶接作業を必要としない。さらに洗浄
時、万一洗浄流体が漏洩した場合でも仕切板下部
平面１４を突き出た流入管先端部１５に配管用仮
蓋１６がかぶせているため、仮蓋１６と突き出た
流入管先端部１５の堰の効果とで確実に流入管６
への洗浄流体の侵入を防止することができる。ま
た、漏洩した洗浄流体は、着脱式盲板１８をはず
すことにより、給水加熱器蓋体８のドレン管２０
を通つて給水加熱器外へ洗浄流体を容易に排出す
ることができる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、仕切装置は仕切板上部平面部
と、ドレン孔に連なる着脱式盲板と、流入管を有
する仕切板下部平面板及び着脱式仕切板とから構
成されているので、従来の１枚板とは異なり１枚
板の切断、溶接作業を必要とせず容易に取外せ
る。したがつて、給水加熱器のＵ字形伝熱管を単
独に容易に洗浄でき、Ｕ字形伝熱管からの付着ク
ラツドの剥離がなくなり、かつＵ字形伝熱管への
クラツド付着効果が増加するため原子炉へ入るク
ラツドが減少する結果、原子力発電プラントの放
射量および被曝低減を図ることができる等のすぐ
れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明に係る給水加熱器の一実施例を示す
断面図である。 １……給水加熱器本体、２……入口ノズル、３
……出口ノズル、４……管板、５……伝熱管、６
……流入管、７……流出管、８……蓋体、９……
水室部、１０……仕切装置、１１……仕切板上部
平面板、１２……着脱式仕切板、１３，１９……
ボルト、１４……仕切板下部平面板、１５……先
端部、１６……仮蓋、１７……取つ手、１８……
着脱式盲板、２０……ドレン管、２１……ドレン
弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原子炉から発生した蒸気がタービンにて仕事
   を終え、復水となつた水を再び加熱して原子炉へ
   給水する給水加熱器において、前記給水加熱器本
   体内にはその端部に固定された管板にＵ字形伝熱
   管を接続するとともに前記管板を覆うように蓋体
   を設けて水室部とし、この水室部に仕切板上部平
   面部と、ドレン孔に連なる着脱式盲板と、流入管
   を有する仕切板下部平面板及び着脱式仕切板とか
   ら構成された仕切装置を設けたことを特徴とする
   原子力発電所用給水加熱器。 ２ 前記流入管の先端部が前記仕切板下部平面板
   より突出するとともに前記流入管の先端部には仮
   蓋を被せるよう構成した特許請求の範囲第１項記
   載の原子力発電所用給水加熱器。