JPH0457326B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、シートバツクの傾斜角度を調整可能
としたリクライニングシートに関し、特にこの傾
斜角度を無段階に変える（即ち、任意の傾斜角度
に変える）ことができるようにしたリクライニン
グシートに係るものである。

〔従来の技術〕

従来の無段階式リクライニングシートとして
は、例えば第３図の透視図に示すような構造があ
る。

この第３図において、１はシートバツク、２は
シートクツシヨン、３，４はアツパアーム、５，
６はロアアームであつて、このロアアーム５，６
はシートクツシヨン２の左右にそれぞれ一つづつ
取り付けられているとともに、前記アツパアーム
３，４もシートバツク１の左右にそれぞれ一つづ
つ取り付けられている。

前記ロアアーム５は断面が略コ字形状をなして
おり、ロアアーム６は断面が略Ｌ字形状をなして
いるとともに、通常、これらロアアーム５，６に
は、図示してないがカバーが被せられている。

尚、この第３図では、前記カバーを取り外した
状態を示している。

１１は操作ノブで、前記シートバツク１の傾斜
角度を変えるものであるとともに、１２はプーリ
で、このプーリ１２と回動シヤフト１３とは一体
的に形成されている。

前記操作ノブ１１とプーリ１２との間にはチエ
ーン１４が巻回されており、操作ノブ１１を回動
させるとチエーン１４を介して操作ノブ１１の回
転がプーリ１２に伝達され、プーリ１２と回動シ
ヤフト１３とが回転することにより、アツパアー
ム３，４を傾斜させ、これによつてシートバツク
１を傾斜させることになる。

通常、プーリ１２及びこれと一体の回動シヤフ
ト１３の一回転に対してアツパアーム３，４及び
シートバツク１は12度傾くように設定されてお
り、このような動きは、図示しない遊星歯車装置
によつてなされる。

ここで、この第３図において回動シヤフト１３
が設けられているのは、プーリ１２の回転によつ
て左右のアツパアーム３，４を同時に傾斜させる
ためである。

プーリ１２の回転によつて図の右側のアツパア
ーム３を傾斜させるだけでもシートバツク１を傾
斜させることは可能であるが、そうするとアツパ
アーム３に無理が掛かつてしまうため、一般的に
はシートバツク１を傾斜させるには、左右のアツ
パアーム３，４を同時に傾斜させることが望まし
く、このために左右のアツパアーム３，４を連結
し、連動するための回動シヤフト１３が設けられ
ている。

第４図は、第３図の−断面図であり、この
第４図において、矢印Ｆはフロント方向、矢印Ｒ
はリヤ方向を示している。

シートバツク１内にはクツシヨンパツド２１が
設けられており、このクツシヨンパツド２１は回
動シヤフト１３の下方側まで回り込んで配設され
ている。

そして、このクツシヨンパツド１による回動シ
ヤフト１３の下方側までの回り込み配設により、
シートバツク１とシートクツシヨン２との間に生
じる隙間を隠蔽して、第３図の矢印Ｐ方向から見
た場合における見栄え低下を防止するようになつ
ている。

ところで、第３図及び第４図に示される従来の
無段階式リクライニングシートにおいては、クツ
シヨンパツド２１が回動シヤフト１３の下方側ま
で回り込んで配設されているため、シートバツク
１を傾斜させるべく、操作ノブ１１の回動に連動
して回動シヤフト１３が第４図に図示する如く、
例えば矢印Ａ方向に回転すると、クツシヨンパツ
ド２１が回動シヤフト１３に巻き込まれることが
ある。

従つて、回動シヤフト１３の回転に抵抗が生じ
て、相対的に操作ノブ１１の回転抵抗が増加する
ため、所謂操作ノブ１１が重くなる。

また、クツシヨンパツド２１と回動シヤフト１
３とが擦れてキユーキユーという異音が発生する
ことにもなる。

そこで、このような不具合を防止するため、ク
ツシヨンパツド２１が回動シヤフト１３に巻き込
まれないように対策した構造が提案されており、
例えば実開昭60−97044号があり、この構造を第
５図に示す。

この第５図に示された構造は、狙つた角度まで
一気にシートバツクを傾斜することができるよう
な装置（一般に大送り装置と称している）を備え
た無段階式リクライニングシートであつて、前記
回動シヤフト１３は、円筒状の鉄パイプ２２内に
遊嵌された構造となつているため、回動シヤフト
１３が回転しても、クツシヨンパツド２１を巻き
込むことはなく、前記不具合を解消することがで
きる。

ここで、この前記鉄パイプ２２の両端はビス２
３によつて、図示してないロアアームに固定され
ている。

尚、このような円筒状パイプ内に回動シヤフト
を遊嵌した構造を示すものとしては、第５図（実
開昭60−97044号）に示した構造以外に、例えば
特開昭59−22522号がある。

また、円筒状パイプに代えて、長尺板状の断面
略Ｃ字形状に湾曲成形した保護板を設けることに
より、前記不具合を解消するようにした構造があ
り、例えば実開昭60−88841号がある。

そして、この構造においても、円筒状パイプに
相当する前記保護板は、その上端及び下端の各端
部近傍部位がシートを構成する部位及び部材に複
数個所で固定された構造となつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、第５図（実開昭60−97044号）
に示す構造、及び前記特開昭59−22522号、実開
昭60−88841号に示された構造は、以下のような
不具合を生じる。

まず、円筒状パイプを設けた構造の場合には、
この円筒状パイプが鉄製材料で形成されているた
め、その重量が増加し、車両全体の重量も増加す
るとともに、このように車両全体が重くなると、
相対的に燃費も低下する。

また、回動シヤフト１３を円筒状鉄パイプに遊
嵌挿しただけでは、円筒状鉄パイプと回動シヤフ
ト１３とが直接接触してカタカタ音等の異音が発
生すため、これを防止するためには、前記円筒状
鉄パイプを第５図に示すようにビス２３等で、図
示してないシート側の各部位及び部材に固定する
必要がある。

従つて、前記円筒状鉄パイプを固定するための
部品、装置等が必要となり、構造が複雑になると
ともに、固定作業も必要となつて、コストアツプ
にも繋がり、さらにその作業性も低下することな
る。

さらに、円筒状鉄パイプではなく、長尺板状の
断面略Ｃ字形状に湾曲成形した保護板を設けた構
造を示す実開昭60−88841号の場合には、前記パ
イプ形状のものに比較して、相対的に保護板が大
きくなり、重量増加になるとともに、その上下各
端部近傍部位をシート側の部位及び部材に複数個
所で固定する必要があるため、部分点数の増加及
び構造の複雑化が一層顕著になり、しかもその作
業工数も増加し、かつ作業性が低下することにな
る。

そこで本発明の目的は、重量の増加及び構造の
複雑化を招くことなく、しかも作業性を低下させ
ることなく、操作ノブが重くなつたり、あるいは
異音が発生したりすることを確実に防止すること
である。

〔問題点を解決するための手段〕

そのため、本発明はシートバツクの左右下端に
それぞれアツパアームが取り付けられており、こ
の二つのアツパアームを回動シヤフトを介して同
時に回動させることによつて前記シートバツクを
シートクツシヨンに対して傾斜させるとともに、
前記回動シヤフトには円筒部材が被せられてお
り、この回動シヤフトを相対回転可能に遊嵌した
無段階式リクライニングシートにおいて、前記円
筒部材を摩擦抵抗の小さい非金属材料で形成する
とともに、この円筒部材はリクライニングシート
を構成する何れの部位及び部材にも固定されてお
らずフリー状態に配設したものである。

〔作用〕

上述の手段によれば、回動シヤフトを相対回転
可能に被せられてこれを遊嵌する円筒部材は、摩
擦抵抗の小さい樹脂あるいは布等の非金属材料で
形成されているため、軽量化を図ることができる
とともに、この円筒部材はリクライニングシート
を構成する何れの部位及び部材にも固定されずフ
リー状態に配設されているため、円筒部材を固定
するための部品、装置及び作業等を不要とするこ
とができ、部品点数の削減、構造の簡素化、及び
作業性の向上を図ることができる。

また、円筒部材は非金属材料で形成されるた
め、フリー状態に配設されていても、回動シヤフ
トとの接触による異音発生を防止できるととも
に、操作ノブが重くなつたり、異音が発生したり
することを確実に防止できる。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を説
明する。

第１図及び第２図の図面は本発明の一実施例を
示しており、第１図は本発明の一実施例に係る無
段階式リクライニングシートの透視図、第２図は
第１図の−断面図である。

尚、この第１図及び第２図において、前述した
従来技術を示す第３図乃至第５図と同一符号は同
一部位（名称）を示しており、その詳細説明は省
略する。

そして、第１図において、３４は遊星歯車部材
であり、この遊星歯車部材３４はビス３５でロア
アーム５に固定されており、前記遊星歯車部材３
４とロアアーム５との間にアツパアーム３が回動
可能に配置されている。

このアツパアーム３，４にはストツパピン４１
が取り付けられており、ストツパピン４１がスト
ツパ４２，４３に当接することによつてシートバ
ツク１の最大傾斜角度が決められる。

３１，３２はレールであり、図示しない機構に
よりシート全体を前後に摺動させるためのもので
あるとともに、このレール３１，３２とロアアー
ム５，６とは、ビス３３で連結されている。

このように構成された無段階式リクライニング
シートであつて、第１図及び第２図に示すよう
に、前記回動シヤフト１３を相対回転可能に遊嵌
する円筒部材５１を、鉄製等の金属材料で形成す
ることなく、摩擦抵抗の小さい樹脂あるいは布等
からなる非金属材料で形成して、前記回動シヤフ
ト１３を遊嵌することにより、この回動シヤフト
１３がシートバツク１内のクツシヨンパツド２１
と直接接触しないようにする。

また、この円筒部材５１は、その両端もしくは
他部位が、リクライニングシートを構成する何れ
の部位及び部材にも固定されず、フリー状態の所
謂浮動固定状態に配設されている。

即ち、前記円筒部材５１は、単に回動シヤフト
１３に被せられており、この回動シヤフト１３
は、前記円筒部材５１内で自由に回転可能なよう
に遊嵌されている。

そして、第２図に示すように、クツシヨンパツ
ド２１は前記円筒部材５１の下方側まで回り込ん
で配設されている。

尚、第２図から分かるように、前記回動シヤフ
ト１３は中空状の棒部材からなり、その内周には
セレーシヨンが刻設されており、図示してないヒ
ンジピンを挿嵌することにより、回動シヤフト１
３とプーリ１２とを一体化するようなつている。

而して、このように回動シヤフト１３を相対回
転可能に遊嵌する円筒部材５１を、樹脂あるいは
布等の非金属材料で形成したため、この円筒部材
５１の重量を大幅に低減することができるととも
に、これにより車両全体の重量をも低減でき、燃
費を向上することができる。

また、樹脂あるいは布等の非金属材料で形成さ
れた前記円筒部材５１は、その両端を含めた各部
位が、シート構成する何れの部位及び部材にも固
定されておらず、フリー状態に配設されており、
しかも前記回動シヤフト１３に単に被せるのみで
よいため、円筒部材５１を固定するための部品、
装置、及び作業等を不要とすることができ、これ
によりその構造を極めて簡単にすることができる
とともに、コストを大幅に低減することができ
る。

そして、これにより円筒部材５１の配設を含め
たシート全体の組立作業性を大幅に向上すること
ができる。

さらに、このような前記円筒部材５２は固定さ
れずフリー状態に配設されているが、前述したよ
うにこの円筒部材５１は、樹脂あるいは布等の非
金属材料で形成されているため、振動等で動いた
り、回動シヤフト１３もしくはクツシヨンパツド
２１等の他部材と接触したりしても、カタカタ音
等の異音が発生することは全くない。

一方、このように構成された円筒部材５１の配
設により、回動シヤフト１３が回転しても、クツ
シヨンパツド２１が巻き込まれることはないとと
もに、これにより、操作ノブ１１が重くなつた
り、あるいは回動シヤフト１３とクツシヨンパツ
ド２１との擦れによるキユーキユーという異音が
発生することを確実に防止できる。

即ち、本実施例では、回動シヤフト１３の回転
によるクツシヨンパツド２１の巻き込み防止によ
り操作ノブ１が重くなること、あるいは回動シヤ
フト１３とクツシヨンパツド２１との擦れにより
キユーキユーという異音が発生することを防止す
るために円筒部材５１を配設するように構成とし
ても、重量、部品点数、作業工数、コスト等の増
加を招くことは全くないとともに、構造の複雑化
及び作業性の低下を招くことも全くない。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明は回動シヤフトを遊
嵌するべく被せられる円筒部材を、摩擦抵抗の小
さい非金属材料で形成し、かつシートを構成する
何れの部位及び部材にも固定されずフリー状態に
配設したものであつて、軽量化、部品点数及びコ
スト低減を図つて、簡単な構造で作業性を向上し
つつ、操作ノブが重くなつたり、異音が発生した
りすることを確実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例に係る無段階式の
リクライニングシートの透視図、第２図は、第１
図の−断面図、第３図は、従来の無段階式リ
クライニングシートの透視図、第４図は、第３図
の−断面図、第５図は、他の従来例を示す無
段階式リクライニングシートの回動シヤフト部分
の斜視図である。 １……シートバツク、２……シートクツシヨ
ン、３，４……アツパアーム、１３……回動シヤ
フト、５１……円筒部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シートバツクの左右下端にそれぞれアツパア
   ームが取り付けられており、この二つのアツパア
   ームを回動シヤフトを介して同時に回動させるこ
   とによつて前記シートバツクをシートクツシヨン
   に対して傾斜させるとともに、前記回動シヤフト
   には円筒部材が被せられており、この回動シヤフ
   トを相対回転可能に遊嵌した無段階式リクライニ
   ングシートにおいて、 前記円筒部材を摩擦抵抗の小さい非金属材料で
   形成するとともに、この円筒部材はリクライニン
   グシートを構成する何れの部位及び部材にも固定
   されておらずフリー状態に配設したことを特徴と
   する無段階式リクライニングシート。