JPH0455396B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、感熱転写記録用シートの製造方法に
関するものである。

〔従来の技術〕

感熱転写方式、特にコンデンサ紙又はポリエス
テルフイルムなどの基材上に常温で固体のインク
を塗布し、サーマルヘツドなどによる加熱によつ
て溶融液化したインクを普通紙に転写して記録像
を得る感熱転写方式では、通常インク用結着剤と
して、パラフイン、マイクロクリスタリン、カル
ナバ、モンタンなど特定の融点にもつ天然又は合
成系のワツクスを用い、それらに着色剤として各
種染顔料、並びに柔軟性付与等を目的として各種
樹脂、ミネラルオイル、金属塩などの各種添加剤
を分散してインクとしたものを上述の基板上に塗
布してなる記録用シートが用いられている。

インクを基板上に塗布する方法は、通常加熱溶
融したインクをそのまま基材に、グラビアロール
などを用いて塗布する場合が多いが、この場合、
加熱温度等の不均一から塗液粘度にバラつきが起
こり、塗布厚ムラ、塗液の流れ跡などが生じやす
い。これは、転写像の画質劣化につながりやす
く、特に画質を要求されるカラーハードコピー用
としては不向きである。このため、比較的溶剤に
溶けやすいワツクスを用いた溶剤塗布法が、近年
提案されている（特開昭58−128897号、同59−
57791号）。

溶剤としては、キシレン、トルエン、エタノー
ル、アセトンなどが使われている。

しかしながら、このような溶剤塗布による製造
工程では、乾燥時に大量の溶剤が蒸発するため、
火災の危険や工程作業者の健康をもそこねる可能
性があり、安全上問題がある。これらの問題に対
処するために溶剤塗布設備には、多額の資本投下
を必要とし、また、使用溶剤の蒸発が不十分であ
ると、使用時又は保管時に悪臭の原因となり、し
いては、製造コストの上昇につながる傾向が強
い。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の目的は、火災などの安全上問題のない
感熱転写シートの製造方法を提供することにあ
る。

本発明の他の目的は、作業者の健康上問題のな
い製造方法を提供することにある。

本発明の他の目的は、安価な製造装置が利用で
きる製造方法を提供することにある。

本発明の更に他の目的は安価で、かつ高画質記
録像を得ることのできる感熱転写シートの製造方
法を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

本発明者等は鋭意検討の結果、感熱転写基材上
への熱溶融性インクの塗布の際、塗液として水を
主成分とする分散媒に、インクを分散した分散系
塗液を用いることが最も効果の高いことが判明
し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、少なくとも着色剤と低融
点材料と高級脂肪酸とトリエタノールアミンと
を、該着色剤と低融点材料の量に対し、ほぼ同量
の水を主成分とする溶媒に分散混合し、この混合
液を低融点材料の融点以上に加熱し混合した後冷
却して懸濁液とし、この懸濁液を基材上に塗布
し、低融点材料の融点以上に加熱し乾燥すること
を特徴とする感熱転写シートの製造方法である。

溶剤塗布法においては従来ワツクス物質や着色
剤を溶解させる溶剤として一般に有機溶媒が用い
られてきた。通常塗布液用の溶媒として水を主成
分とする溶媒を用いることは、ワツクス物質の溶
解性から見て明らかに不利であるが、鋭意検討の
結果、少なくとも着色剤と低融点材料（即ち、ワ
ツクス材料）と高級脂肪酸とトリエタノールアミ
ンとを、該着色剤と低融点材料の量に対し、ほぼ
同量の水を主成分とする溶媒に分散混合し、この
混合液を低融点材料の融点以上に加熱し混合した
後冷却して水−ワツクス系のエマルジヨンを合成
し、このエマルジヨン状態で基材上に着色剤を塗
布し、低融点材料の融点以上に加熱し乾燥するこ
とによつて、通常の溶剤塗布法と同等もしくはそ
れ以上の均一なインク材料塗膜を得ることができ
る。

すなわち、本発明の方法ではワツクス、顔料、
高級脂肪酸とトリエタノールアミン及び水を混合
した混合液をワツクスの融点以上に加熱してかく
はんし、乳化した後、冷却すると、ワツクス微粒
子が、水中に均一に分散した懸濁液が得られる。

これを、通常の溶液塗布と同様に、グラビアロ
ール、オフセツトグラビア又はバーコーターなど
を用いて、ポリエステルなどの基材上に塗布す
る。その乾燥工程において、低融点材料の融点以
上の雰囲気温度で充分水を蒸発させれば、感熱転
写シートが得られる。

乾燥工程において、乾燥後の塗膜強度は高くな
り、また塗布面の表面平滑性も充分なものとな
る。

このような感熱転写シートの製造方法に用いら
れるワツクスの種類としては、通常の感熱転写イ
ンク用結着剤として用いられるカルナバワツク
ス、モンタンワツクス、パラフインワツクス、み
つろう、マイクロクリスタリンワツクス、セレシ
ン、その他の各種エステル系ワツクスを単独又は
ブレンドして、かつ柔軟性を付与するためにポリ
マーをブレンドして用いることができる。

また、着色剤としては、通常のカーボンブラツ
クその他各種の染料や顔料を用いることができる
が、分散系塗液を作成した際、水性相に着色剤が
含まれる確率が高いと基材上に塗膜を形成させた
時、結着剤から着色剤が遊離しやすくなり、記録
時の地汚れや印字ムラなどを生じやすく、また着
色剤の再凝集などにより、所望の色相が得られな
かつたりするため、望ましくは着色剤として、油
性のものを使用し、分散塗液（Ｏ／Ｗ相）内の油
性層（Ｏ層）に着色剤が含まれる確率が高くなる
ようにする方がよい。染顔料では、化学構造上、
また、合成時の後処理などで、油性とすることが
容易であり、カーボンブラツクでもミネラル油そ
の他のオイルを使用して表面処理などを行なう
と、充分な油性を得ることができる。

また、塗布に充分な安定性を有する分散系塗液
を作るための分散剤としては、高級脂肪酸とトリ
エタノールアミンが用いられる。高級脂肪酸とし
ては、ステアリン酸等を用いることができる。

また、塗布時のコーターとしては、キスコータ
ー（メイヤーロツドつきを含む）、グラビアコー
ター、オフセツトグラビア、リバースロールコー
ターなど、各種方式で使用可能であるが、乾燥工
程で多量の水の蒸発を伴なうので乾燥室内のサビ
発生などに充分注意する必要がある。

〔実施例〕

実施例 １ 三菱化成社製染料Diaresin RED E5B 150ｇ
を実施例１と同様にまず、パラフインワツクス
＃140 1850ｇとともにプレミキシングがま中で、
加熱下で混合した後、３本ロールで充分混練して
原料インクを得た。

下記組成 原料インク 50ｇ ステアリン酸 ２ｇ トリエタノールアミン １ｇ 水 60ｇ の材料を80℃の加熱下で、急速にかくはんし、冷
却して、分散系塗液を得た。

この塗液をグラビアコーターを用いて、厚さ
6μのポリエステル基材上に塗布し、乾燥室温度
及び風量を充分高くしながら、乾燥したところ、
均一かつ強度のあるインク層が形成できた（この
とき生成蒸気の回収は必要としないため室内及び
大気中に放散した。）。

この熱転写シート富士ゼロツクス製P6プリン
ターで印字テストを行なつたところ鮮明な、青み
がかつた赤の記録像が得られた。

〔発明の効果〕

感熱転写シートの製造を溶剤塗布法で行う場合
に溶剤としては従来有機溶媒が用いられており、
安全衡生上問題があつた。溶媒として水を主成分
としたものを用いることが出来ればこのような問
題を減少させることができるが、通常ワツクス系
物質と水とは、溶融性において相反するものであ
り、感熱転写シートの製造方法における溶剤とし
て安全な水を主成分とする系を用いることは困難
であつたのであるが、本発明の製造方法によつて
水を主成分とする分散媒を用いることができるよ
うになり、その結果、安全上の問題や、健康上の
問題が解消され、また安価で高画質印字が可能な
均一塗膜を有する感熱転写シートを得ることがで
きるようになつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 少なくとも着色剤と低融点材料と高級脂肪酸
   とトリエタノールアミンとを、該着色剤と低融点
   材料の量に対し、ほぼ同量の水を主成分とする溶
   媒に分散混合し、この混合液を低融点材料の融点
   以上に加熱し混合した後冷却して懸濁液とし、こ
   の懸濁液を基材上に塗布し、低融点材料の融点以
   上に加熱し乾燥することを特徴とする感熱転写シ
   ートの製造方法。