JPH0452466Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば電子制御式燃料噴射装置等に
好適に用いられるフユーエルインジエクタに関
し、特に、噴射ノズルの突出端外周側から燃料が
タレ落ちるのを防止できるようにしたフユーエル
インジエクタに関する。

〔従来技術〕

第３図に従来技術によるフユーエルインジエク
タを示す。

図において、１はインジエクタ本体（以下、本
体１という）を示し、該本体１の中心側には長手
方向に伸長する筒状の保持部材２が設けられ、該
保持部材２の外周側には本体１との間に位置し
て、電磁ソレノイド３が設けられている。また、
該本体１には燃料の流入口１Ａ，１Ａと戻り口１
Ｂ，１Ｂとが径方向に穿設され、該各流入口１Ａ
と各戻り口１Ｂとはそれぞれホース等を介して燃
料ポンプとタンク（いずれも図示せず）とに接続
されている。そして、この燃料ポンプによつて加
圧された燃料は各流入口１Ａから本体１内に流入
し、その一部は戻り口１Ｂからタンク内へと戻さ
れるようになつている。

４は各流入口１Ａおよび各戻り口１Ｂを覆うよ
うに本体１の外周側に設けられたフイルタを示し
ている。なお、第２図中の右側に位置する流入口
１Ａ、戻り口１Ｂではフイルタ４を省略している
が、これらも同様にフイルタ４によつて覆われて
いる。５は本体１の一端側外周に設けられ、該本
体１の一部を構成しているノズルホルダを示し、
該ノズルホルダ５は段付筒状に形成され、その先
端側で後述のシート部材７を支持するようになつ
ている。また、６は一端側がソレノイド３のコイ
ルに接続された一対の端子ピン（一方のみ図示）
を示し、該各端子ピン６はコントロールユニツト
（図示せず）からの噴射信号に基づき、ソレノイ
ド３に給電を行い、該ソレノイド３を励磁するよ
うになつている。

７はノズルホルダ５の先端側にろう付け等の手
段を用いて固着されたシート部材を示し、該シー
ト部材７は厚肉のリング状に形成され、前面側は
平坦面７Ａとなり、その背面側には後述の弁体１
０が離着座する弁座７Ｂが凹湾曲状に形成されて
いる。８は該シート部材７の内周側にレーザ溶接
等の手段を用いて固着された噴射ノズルを示し、
該噴射ノズル８は内径が2.4mm程度の円筒状に形
成され、その基端側は閉塞端となつており、この
閉塞端側には周方向に等角度間隔をもつて、例え
ば６個の小孔９，９，……が穿設されている。

ここで、該各小孔９は弁体１０が第３図中に示
す如く開弁したときに、本体１内を矢示Ａ方向に
流入してくる燃料を噴射ノズル８内に導入し、該
噴射ノズル８内でスパイラル状に旋回させつつ、
該噴射ノズル８の先端側から図中点線で示す如く
噴射させるようになつている。一方、該噴射ノズ
ル８の先端側はシート部材７の平坦面７Ａから
1.5mm程度突出する突出端８Ａとなつており、こ
の突出端８Ａの外周側には所定の角度をもつてテ
ーパ状に傾斜する面取り部８Ｂが形成されてい
る。

１０はシート部材７とソレノイド３との間に位
置して、本体１内に軸方向に変位可能に設けられ
た弁体を示し、該弁体１０は半球体状に形成さ
れ、その背面側には略円皿状に形成された可動プ
レート１１がレーザ溶接等の手段を用いて固着さ
れている。ここで、該可動プレート１１はソレノ
イド３と共に電磁アクチユエータを構成してお
り、該可動プレート１１はソレノイド３の励磁に
よつて該ソレノイド３側に吸引され、弁体１０を
図示の如く弁座７Ｂから離座させるようになつて
いる。また、１２は保持部材２内のばね荷重調整
用ロツド１３と弁体１０との間に配設されたスプ
リングを示し、該スプリング１２は弁体１０を図
中下向きに常時付勢し、通常時は該弁体１０を弁
座７Ｂ上に着座させ、該弁体１０を閉弁させるよ
うになつている。さらに、１４は弁体１０を弱い
ばね力で図中上、下に変位可能に支持している皿
ばねである。

従来技術によるフユーエルインジエクタは上述
の如き構成を有するもので、その噴射量の制御は
コントロールユニツトからの噴射信号によつて行
われる。まず、噴射信号が出力されないときに
は、弁体１０をスプリング１２のばね力によつて
弁座７Ｂ上に着座させ、噴射ノズル８からの燃料
の噴射を停止させる。そして、前記噴射信号が出
力される度毎に、ソレノイド３が励磁されて可動
プレート１１を図中上向きに吸引し、弁体１０を
弁座７Ｂから離座させ、本体１内を矢示Ａ方向に
流入してくる燃料を各小孔９を介して噴射ノズル
８の突出端８Ａから外部に向けて霧状に噴射させ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上述した従来技術では、燃料を噴射
ノズル８から噴射させるときに、この燃料の一部
が噴射ノズル８の突出端８Ａ外周側に付着し、こ
れが該噴射ノズル８の外周面とシート部材７の平
坦面７Ａとの間の角隅側に油滴状の粒１５となつ
てたまることがある。そして、この油滴状の粒１
５は噴射ノズル８の外周面側を周方向に流動し
て、徐々に大きく成長し、噴射ノズル８の周囲を
一周したときに、大きな油滴となつてたれ落ちて
しまう。このため、従来技術では、燃料のボタ落
ち現象が発生し、燃料と空気を良好に混合させる
ことができなくなるという未解決な問題が生じて
いる。

本考案は上述した従来技術の問題に鑑みなされ
たもので、本考案は噴射ノズルの周囲に付着した
燃料の一部が大きな油滴に成長する前に、これを
噴射ノズルから噴射される燃料と共に外部に向け
て飛散させることによつて、燃料のボタ落ち現象
を防止でき、燃料と空気を良好に混合させること
ができるようにしたフユーエルインジエクタを提
供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した問題点を解決するために本考案が採用
する構成の特徴は、シート部材の平坦面となつた
前面側に、一端側が噴射ノズルの突出端側外周に
当接し、他端側が該噴射ノズルを中心として径方
向外向きに放射状に伸長する複数本のリブ状突起
を設けたことにある。

〔作用〕

噴射ノズルから燃料を噴射させるときに、この
燃料の一部が噴射ノズルの突出端外周側に付着
し、シート部材の前面側との間で油滴状の粒とな
り、噴射ノズルの周方向に流動するようになつて
も、シート部材の前面側には噴射ノズルの突出端
側から放射方向に伸長する複数本のリブ状突起が
突設されているから、燃料の粒は噴射ノズルの周
囲を一周して大きく成長するのを各リブ状突起に
よつて規制され、噴射ノズルから噴射される燃料
と共に外部に向けて飛散される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図および第２図に
基づいて説明する。なお、実施例では第３図に示
す従来技術と同一の構成要素に同一の符号を付
し、その説明を省略するものとする。

図中、２１はノズルホルダ５の先端側にろう付
け等の手段を用いて固着されたシート部材を示
し、該シート部材２１は従来技術で述べたシート
部材７とほぼ同様に形成され、前面側は平坦面２
１Ａとなり、背面側には弁体１０が離着座する弁
座（図示せず）が形成されている。そして、該シ
ート部材２１には噴射ノズル８が設けられ、該噴
射ノズル８の突出端８Ａ側はシート部材２１の平
坦面２１Ａから、例えば1.5mm程度の突出長さＨ
をもつて第１図中の下方へと突出している。

然るに、該シート部材２１の平坦面２１Ａには
噴射ノズル８の突出端８Ａ側を中心として、放射
方向に伸長する複数本のリブ状突起としてのリブ
２２，２２，……が、例えば90度の等角度間隔を
もつて４本突設されている。ここで、該各リブ２
２はその高さ寸法ｈが0.5mm、幅寸法ｗが１mm程
度となるように設計され、その内側端２２Ａは噴
射ノズル８の突出端８Ａ側外周面に当接し、外端
側は径方向外向きに伸長している。そして、該各
リブ２２は燃料の噴射時に、この燃料の一部が噴
射ノズル８の突出端８Ａ外周側に付着し、シート
部材２１の平坦面２１Ａ側で油滴状の粒１５とな
つたとしても、この油滴状の粒１５が第２図中に
例示する如く、矢示Ｂ方向に流動するのを規制
し、大きな油滴に成長するのを防止するようにな
つている。

本実施例によるフユーエルインジエクタは上述
の如き構成を有するもので、その基本的作動につ
いては従来技術によるものと格別差異はない。

然るに、本実施例では、シート部材２１の平坦
面２１Ａに、噴射ノズル８の突出端８Ａ側を中心
として放射方向に伸長する各リブ２２を突設した
から、燃料の噴射時にこの燃料の一部が噴射ノズ
ル８の突出端８Ａ外周側に付着し、これが平坦面
２１Ａ側で油滴状の粒１５となつたとしても、こ
の油滴状の粒１５が噴射ノズル８の周囲で、例え
ば矢示Ｂ方向に一周するように流動するのを各リ
ブ２２によつて規制でき、この油滴状の粒１５が
大きく成長する前に、噴射ノズル８から噴射され
る燃料と共にこの粒１５を外部に向けて飛散させ
ることができる。

従つて、本実施例では、燃料の一部が大きな油
滴となつて噴射ノズル８の突出端８Ａ外周側から
たれ落ちるボタ落ち現象を防止でき、燃料と空気
とを良好に混合することができる。

なお、前記実施例では、噴射ノズル８の突出長
さＨを1.5mm、各リブ２２の高さｈを0.5mm程度と
したが、本考案はこれに限定されず、突出長さＨ
や高さｈ等を適宜に変えてもよい。

また、各リブ２２の本数を４本としたが、該各
リブ２２は等角度間隔をもつて２本、３本または
５本以上設けてもよい。

〔考案の効果〕

以上詳述した通り、本考案によれば、シート部
材の前面側に、噴射ノズルの突出端側を中心とし
て放射方向に伸長する複数本のリブ状突起を突設
したから、燃料の噴射時にこの燃料の一部が噴射
ノズルの突出端外周側に付着し、シート部材の前
面側で油滴状の粒となつたとしても、これが噴射
ノズルの周囲を一周して大きく成長するのを各リ
ブ状突起によつて規制でき、燃料のボタ落ち現象
を防止でき、燃料と空気を良好に混合させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の実施例を示し、
第１図はシート部材および噴射ノズルの先端側を
拡大して示す縦断面図、第２図は第１図の底面
図、第３図は従来技術のフユーエルインジエクタ
を示す縦断面図である。 １……インジエクタ本体、３……ソレノイド、
５……ノズルホルダ、８……噴射ノズル、８Ａ…
…突出端、１０……弁体、２１……シート部材、
２１Ａ……平坦面、２２……リブ（リブ状突起）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電磁アクチユエータを内蔵するインジエクタ本
   体と、該インジエクタ本体の先端側に設けられ、
   前面側が平坦面となり、背面側に弁座が形成され
   たシート部材と、該シート部材に設けられ、先端
   側が該シート部材の前面側から突出した噴射ノズ
   ルと、前記インジエクタ本体内に設けられ、電磁
   アクチユエータの作動によつて前記シート部材の
   弁座に離着座し、該噴射ノズルの突出端側から燃
   料を噴射させる弁体とからなるフユーエルインジ
   エクタにおいて、前記シート部材の前面側には、
   一端側が前記噴射ノズルの突出端側外周に当接
   し、他端側が該噴射ノズルを中心として径方向外
   向きに放射状に伸長する複数本のリブ状突起を設
   けたことを特徴とするフユーエルインジエクタ。