JPH0451436Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は物品を乾燥したり加熱したりする遠赤
外線を放射する遠赤外線ヒーター及びこれに使用
する遠赤外線放射体に関する。

〔従来の技術〕

従来の遠赤外線ヒーターは遠赤外線を放射する
物体を電気、ガス、灯油バーナー等を熱源として
間接的に加熱するものがほとんどであり、例えば
ニクロム線を内蔵したシースヒーターの外管の表
面に遠赤外線放射物質を被着させたものや、遠赤
外線放射物質を被着した板をニクロム線やシース
ヒーターで加熱するもの、またニクロム線をセラ
ミツク等に埋設したもの、更にはセラミツクをガ
スや灯油のバーナーで加熱するもの等が使用され
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

これらはいずれも熱源から遠赤外線物質に熱が
伝わるまでには、絶縁物質やシース管あるいは金
属板等を介在しているので、所定のヒーター温度
になるまでに時間がかかり、またバーナー加熱に
おいて顕著であるように供給した熱の一部しか遠
赤外線放射物質に伝わらないため、熱効率が悪い
という欠点を有している。そして、遠赤外線加熱
（乾燥）と熱風加熱（乾燥）とを単一のヒーター
で行うには、通常のヒーターは適していない。

本考案はこれらの欠点を除き、短時間で所定の
温度に上昇させる高速応答性をもつと共に、熱効
率がよく、遠赤外線加熱（乾燥）と熱風加熱（乾
燥）とを同時に可能にする遠赤外線放射体と、こ
れを使用したヒーターを提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の遠赤外線放射体は高電気抵抗を有する
金属の発泡体の表面に遠赤外線放射物質を被着さ
せたものである。

遠赤外線ヒーターは上記遠赤外線放射体と、こ
れに通電する手段を備える。そして、前記遠赤外
線放射体に送風するフアンを加えれば、遠赤外線
加熱（乾燥）と熱風加熱（乾燥）とを同時に行え
る。また、前記遠赤外線放射体に通電する手段を
設ける代わりに、前記送風フアンの前又は後もし
くは前後に加熱源を設け、送風フアンによつて熱
風を遠赤外線放射体に通すことにより、遠赤外線
放射体を加熱してもよい。更に、これに遠赤外線
放射体に通電する手段を設ければ、更に遠赤外線
を容易に放射でき、更に高温の熱風を得ることが
できる。

遠赤外線放射物質は例えばアルミナやジルコニ
ア等の金属の酸化物などが使用され、金属の発泡
体は例えばニツケルやニツケルクロム合金、ステ
ンレス等の鉄系合金などが用いられる。そして、
遠赤外線放射物質はプラズマ溶射等により金属の
発泡体の表面に被着される。

〔作用〕

高電気抵抗をもつ金属の発泡体に通電すると、
ジユール熱により発熱し、表面に被着した遠赤外
線放射物質が直接加熱され、遠赤外線放射物質は
効率よく短時間で所定の温度に上昇して遠赤外線
を放射する。

この金属の発泡体は連続気泡性の多孔質である
ので、気体が自由に流通し、ジユール熱により発
熱させれば、低温の気体を通すことによつて高温
の気体を得ることができる。したがつて、送風フ
アンによつて空気を遠赤外線放射体に送り込み、
通電によつて遠赤外線放射体を加熱すれば、遠赤
外線放射体から遠赤外線が放射されるとともに、
遠赤外線放射体を通過して加熱された熱風が吹き
出し、遠赤外線加熱（乾燥）と熱風加熱（乾燥）
とを同時に行える。この際、遠赤外線放射体に熱
風を通せば遠赤外線放射体に通電して発熱させな
くてもよい。したがつて、送風フアンによる風を
加熱源を通過させて熱風とし、これを遠赤外線放
射体に吹き込めば、熱風によつて遠赤外線放射体
が加熱されて遠赤外線を放射するとともに、熱風
が吹き出す。更に、これに加えて遠赤外線放射体
に通電する手段を備えれば、更に遠赤外線が容易
に放射され、更に高温の熱風を得ることができ
る。

〔実施例〕

第１図は金属発泡体の表面に遠赤外線放射物質
をプラズマ溶射により被着したものの断面図、第
２図はその一部拡大図、第３図は平板状の遠赤外
線放射発泡体をジグザグ状に形成したものの平面
図、第４図は第３図の発泡体を筒の中に配設し送
風フアンと組み合わせた遠赤外線ヒーターの一部
断面正面図であり、例えばヘアドライヤーとして
利用できる。

この遠赤外線ヒーター１は第４図に示すよう
に、筒状本体２の下面に把手３が突出し、本体２
の両端に開口部が設けられ、本体２内に、第３図
に示すようにジグザグ状に形成した平板状の遠赤
外線放射体４（なお、遠赤外線放射発泡体４は板
状でなくともよく、また形状も上記に限らず矩
形、円形等の他の形状でもよい）と送風フアン５
が配設され、両者４，５はコンセント６を電源に
差し込むことによつて、通電され、遠赤外線放射
発泡体４は加熱されるとともに、送風フアン５は
回転して後方の開口から空気を取り込んで、遠赤
外線放射発泡体４を通過した空気が前方の開口か
ら吹き出す。遠赤外線放射発泡体４は第１〜２図
に示すように、高電気抵抗を有する金属発泡体７
の表面に遠赤外線放射物質８をプラズマ溶射によ
り被着したものである。

したがつて、コンセント６を電源に差し込ん
で、遠赤外線放射発泡体４と送風フアン５に通電
すると、通電によつて遠赤外線放射発泡体４はジ
ユール熱にり直接加熱されて、遠赤外線放射発泡
体４から遠赤外線が放射される。それとともに、
送風フアン５によつて後方の開口から本体２内に
吸い込まれた空気は、遠赤外線放射発泡体４を通
過する管に発泡体４のジユール熱により加熱さ
れ、熱風となつて前方の開口から吹き出す。した
がつて、遠赤外線加熱（乾燥）と熱風加熱（乾
燥）とが同時に行える。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、高電気抵
抗をもつ金属の発泡体に電流を流してジユール熱
により発熱させ、表面に被着した遠赤外線放射物
質を直接加熱することにより、遠赤外線放射物質
は効率よく短時間で所定の温度に上昇して遠赤外
線を放射する。

そして、この金属の発泡体は連続気泡性の多孔
質であるので、送風フアンによつて空気を遠赤外
線放射体に送り込めば、遠赤外線放射体を通過す
る間に空気はジユール熱により加熱されて、熱風
が得られる。したがつて、通電によつて遠赤外線
放射体を加熱し、送風フアンによつて遠赤外線放
射体に空気を送り込めば、遠赤外線放射体から遠
赤外線が放射されるとともに、熱風が吹き出し、
遠赤外線加熱（乾燥）と熱風加熱（乾燥）とを同
時に行える。この際、送風フアンによる風を加熱
源を通過させて熱風とし、これを遠赤外線放射体
に吹き込めば、熱風によつて遠赤外線放射体が加
熱されて遠赤外線を放射するとともに、熱風が吹
き出すので、遠赤外線放射体に通電する手段を備
えなくともよい。更に、これに遠赤外線放射体に
通電する手段を備えれば、更に遠赤外線が容易に
放射され、更に高温の熱風を得ることができる。

水分含有物質を乾燥するには種々の手段がある
が、通常は水分を含む物体に何らかの手段で熱が
伝えられ、これを潜熱として水分の蒸発分離され
る操作であり、熱を被加熱物にいかに効率よく伝
えるかが最も重要である。本考案によれば、熱風
加熱（乾燥）と遠赤外線加熱（乾燥）とを単一の
ヒーターで行うことができるので、熱を被加熱物
に伝えるには最良の手段である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は遠赤
外線放射発泡体の断面図、第２図はその一部拡大
図、第３図は平板状の遠赤外線放射発泡体をジグ
ザグ状に形成したものの平面図、第４図は第３図
の発泡体を筒の中に配設し送風フアンと組み合わ
せた遠赤外線ヒーターの一部断面正面図である。 １は遠赤外線ヒーター、２は本体、３は把手、
４は遠赤外線放射発泡体、５は送風フアン、６は
コンセント、７は金属発泡体、８は遠赤外線放射
物質。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 高電気抵抗を有する金属の発泡体の表面に遠
   赤外線放射物質を被着させた遠赤外線放射体。 (2) 請求項１記載の遠赤外線放射体と、これに通
   電する手段とを備えた遠赤外線ヒーター。 (3) 請求項１記載の遠赤外線放射体と、これに通
   電する手段と、送風フアンとを備えた遠赤外線
   ヒーター。 (4) 請求項１記載の遠赤外線放射体と、送風フア
   ンと、この送風フアンによる風を加熱する熱源
   とを備えた遠赤外線ヒーター。 (5) 請求項１記載の遠赤外線放射体と、これに通
   電する手段と、送風フアンと、この送風フアン
   による風を加熱する熱源とを備えた遠赤外線ヒ
   ーター。