JPH0451054Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車の油圧式車高調整装置に関する
ものである。

従来の技術 自動車の車輪懸架装置として、下端を車輪支持
部材に取付けたシリンダ部材と該シリンダ部材に
摺動可能に嵌装され上端部を車体部材に取付けた
ロツドとからなる伸縮部材の上記シリンダ部材と
ロツド間に圧縮コイルスプリングを介装した所謂
コイルスプリング式ストラツト型車輪懸架装置が
従来より一般に用いられている。

上記のようなコイルスプリング式ストラツト型
車輪懸架装置においては圧縮コイルスプリングの
上下端部を支持するアツパスプリングシート（ロ
ツドに固定されている）とロアスプリングシート
（シリンダ部材に固定されている）のうちのいず
れか一方をロツド又はシリンダ部材に上下方向移
動調整可能なるよう取付け、該アツパ又はロアの
スプリングシートの一方を上下に移動調整するこ
とにより車高を上下調整することができることは
従来より一般によく知られているところであり
（例えば実開昭54−13117号公報参照）、ロアスプ
リングシートを、シリンダ部材に一端を固着した
油圧シリンダ装置の他端にて上下移動調整可能な
るよう支持し、該油圧シリンダ装置を作動させる
ことにより、例えば悪路走行に際しては車高を上
げて車体接地等の事故を防いだり、高速走行時は
車高を低くして高速走行性の安定をはかつたりで
きるようにしたものを本出願人において開発し、
既に実願昭58−60218号として出願中である。

考案が解決しようとする問題点 ところが上記のような油圧シリンダ装置を用い
てスプリングシートを上下させることにより車高
調整を行うようにした油圧式車高調整装置におい
ては、ストラツトダンパへの油圧シリンダ装置の
附加により該ストラツトダンパの小型化が困難と
なり、大型になつてしまうと言う問題を有してい
る。

本考案は上記のような問題を解消することを目
的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、コイルスプリング式ストラツト型サ
スペンシヨンにおいて、ロツドに取付けられるべ
きアツパスプリングシートをロツドに対し上下摺
動可能なるよう嵌装し、内筒の外周面と外筒の内
周面とに円環状をなす弾性材（ゴム等よりなる）
の内周面と外周面をそれぞれ固着し上記内筒の中
心部をロツド上端部に固定すると共に外筒の外周
部を車体部材に固着するようにしたストラツト型
サスペンシヨンのトツプマウント部材の上記内筒
内に、油圧シリンダを嵌装してロツドに固定し、
該油圧シリンダ内に嵌装され油室内への油の供給
及び排出によつて油圧シリンダ及びそれに固定し
たロツドに対し上下動するプランジヤの下端部で
上記アツパスプリングシートの上面部を支持した
ことを特徴とするものである。

作 用 上記の構成において、トツプマウント部材の内
筒内に嵌装された油圧シリンダの油室に油が供給
されるとプランジヤは油圧によつて下方に摺動
し、アツパスプリングシートをロツドに対し下方
に変位させて車高を高くし、油圧シリンダの油室
内の油を排出するとアツパスプリングシートはコ
イルスプリングのばね力によつてプランジヤを上
方に摺動させつつロツドに対し相対的に上方に変
位して車高を低くするものである。

実施例 以下本考案を附図実施例を参照して説明する。

図において１は下端部を図示しない車輪支持部
材に結合されたシリンダ部材、２は該シリンダ部
材１に摺動可能に嵌装されたロツドであり、該ロ
ツド２の上端部は後述するトツプマウント部材３
により車体部材（図示省略）に結合される。

トツプマウント部材３は内筒３１と外筒３２と
該内筒３１の外周面及び外筒３２の内周面に内周
面と外周面をそれぞれ結合固着された円環状の弾
性材（ゴム等よりなる）３３とから構成され、内
筒３１の上面３１ａの中心部をロツド２の上部に
嵌装固着されると共に外筒３２をボルト３４等に
より図示しない車体部材に固着し、車輪の上下動
に伴なうロツド２の上下方向振動を弾性材３３の
剪断方向の弾性変形にて吸収し、車体部材への上
記振動の伝達を低減し得るよう構成されている。

４は前記シリンダ部材１とロツド２間に設けら
れた圧縮コイルスプリングであり、該圧縮コイル
スプリング４の下端部はシリンダ部材１の外周に
溶接等にて固着された図示しないロアスプリング
シートに支持され、上端部は後述するアツパスプ
リングシート５に支持されている。

アツパスプリングシート５はロツド２に摺動可
能なるよう嵌挿組付けられており、ロツド２の上
端部に固着され前記トツプマウント部材３の内筒
３１内に嵌装されている油圧シリンダ６のプラン
ジヤ７下端面によつて上記アツパスプリングシー
ト５はその上面を支持されている。

該プランジヤ７の中心孔内をロツド２が貫通
し、該プランジヤ７はロツド２に対し上下移動可
能に組付けられている。

プランジヤ７は、油注入口６ａより油圧シリン
ダ６の油室内に油を供給することによりその油圧
にて下降し、ブーツホルダ９ａ、プレート１０及
びベアリング１１等を介してアツパスプリングシ
ート５をロツド２に対し下方に移動させ、該プラ
ンジヤ７がその下限位置を規制するストツパリン
グ８に当接したとき車高を最高位置とし、油室内
の油をドレーンさせアツパスプリングシート５の
プランジヤ７による支持力がなくなると、ロツド
２は車体重量によつてシリンダ部材１に対し下方
に収縮し、アツパスプリングシート５はコイルス
プリング４のばね力にて支持されているのでロツ
ド２に対し相対的に上方に変位しつつベアリング
１１、プレート１０及びブーツホルダ９ａ等を介
してプランジヤ７を油圧シリンダ６に対し上方に
押圧摺動させ、図示の上限位置となつて車高を最
低位置とすることができるようになつている。

尚図において９は上下両端をトツプマウント部
材３の内筒３１下端部とブーツホルダ９ａとにそ
れぞれ嵌合され油圧シリンダ６の開放端部を覆う
ブーツ、１２はバンプストツパを示す。

考案の効果 上記のように構成した本考案によれば、例えば
車高アツプ信号が発せられると油圧ポンプが作動
し油圧シリンダ６の油室に油を供給してプランジ
ヤ７によりアツパスプリングシート５を下降させ
て車高を高くし、ダウン信号が発せられると油圧
回路のドレーン通路が開となつてアツパスプリン
グシート５及びプランジヤ７がロツドに対し相対
的に上方移動して車高を低くする等、車両走行中
においても走行条件に応じて任意に車高を調整す
ることができると共に、油圧シリンダはトツプマ
ウント部材の内筒内に嵌装された構造としている
ので、車高調整機能を有しない在来の一般的なス
トラツト型車輪懸架装置と全く同様で全体の著し
い小型コンパクト化をはかることができるもの
で、在来の一般的なストラツト型車輪懸架装置に
油圧シリンダ装置を追加するだけで容易に車高調
整機能を持たせることができる点、部品数が少く
組立作業性及び整備性が良好なることと相俟つて
実用上多大の効果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

附図は本考案の実施例を示す縦断正面図であ
る。 １……シリンダ部材、２……ロツド、３……ト
ツプマウント部材、４……圧縮コイルスプリン
グ、５……アツパスプリングシート、６……油圧
シリンダ、７……プランジヤ、８……ストツパリ
ング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下部を車輪支持部材に結合したシリンダ部材
   と、該シリンダ部材に摺動可能に嵌装されたロツ
   ドと、該シリンダ部材とロツドとの間に設けられ
   る圧縮コイルスプリングとからなり、ロツド上端
   部に固定される内筒と車体部材に固着される外筒
   と該内，外筒の外周及び内周間に接合固着された
   ゴム等の弾性材とからなるトツプマウント部材に
   よりロツド上端部を車体部材に結合したコイルス
   プリング式ストラツト型車輪懸架装置において、
   上記圧縮コイルスプリングの上端部を支持するア
   ツパスプリングシートをロツドに上下摺動可能な
   るよう嵌装し、油圧シリンダを上記トツプマウン
   ト部材の内筒内部に嵌装してロツドに固定し、ロ
   ツドに上下移動可能に嵌装したプランジヤを上記
   油圧シリンダ内に嵌装し、該プランジヤの下端面
   で前記アツパスプリングシートの上面を支持した
   構造とすると共に、該油圧シリンダの油室内への
   油の給排手段を設けたことを特徴とする自動車の
   油圧式車高調整装置。