JPH0450859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、浴槽の下面へ接着される浴槽脚部を
レジンコンクリート等により成形するための成形
型の改良に関する。

〔従来の技術〕

第４図は、一般的な浴槽２０を示すものであ
る。該浴槽２０の下面２１には、通常、脚部４０
が接着などにより一体的に設けられる。

浴槽脚部４０は、第５図に示す如く、上面４１
が下面４２よりも幅広になされた断面台形の柱状
体である。この浴槽脚部４０を製作するには、第
６図に示すような成形型５０にレジンコンクリー
トなどを流し込んで所要時間（約一日間）放置し
たのち、脱型する。上記成形型５０の形状は、第
７図ａ〜ｃに図示するように、その底面５３が浴
槽脚部４０の下面４２に対応し、二組の内側面５
１，５１，５２，５２はそれぞれ浴槽脚部４０の
側面４３，４３，４４，４４に対応している。ま
た、各内側面５１，５１，５２，５２にはいずれ
もテーパが付与されており、脱型時の抜き勾配と
なつている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の成形型５０により浴槽脚部４０を成
形した場合、該成形型５０の上部開口５４が、浴
槽脚部４０の上面４１に対応する。それ故、第６
図に示すように、脱型直後における浴槽脚部４０
の上面４１は、粗面とならざるを得ない。浴槽脚
部４０の上面４１は、浴槽２０の下面２１へ接着
されるものである（第４図参照）。そこで従来は、
グラインダ等を用いて、脱型した浴槽脚部４０の
上面４１を研磨し、第５図に示すような平滑面に
するという作業が必要であつた。

このように従来は、浴槽脚部４０を製作するの
に必要な作業数が多いため、人手と時間とがかか
り、製造効率が大変悪いという欠点があつた。そ
の上、研磨作業を施したとしても、必ずしも浴槽
脚部４０の上面４１を平坦な平滑面にできるとは
限らない。それ故、歩留りの向上を図るのが難し
いという問題点があつた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記課題を解決すべく創案されたも
のであり、その特徴は、断面が台形状の浴槽脚部
を成形するための成形型であつて、一対の内側面
がそれぞれ浴槽脚部の上面と底面とに対応する深
さの異なる平行面に形成され、底面が浴槽脚部の
長手方向に平行な一側面に対応する傾斜面に形成
され、成形材料を注入するための上部開口が浴槽
脚部の長手方向に平行な他の一側面に対応する仮
想傾斜面上に形成されていることである。

〔作用〕

上記構成に係る成形型は、一対の内側面がそれ
ぞれ浴槽脚部の上面と底面とに対応する深さの異
なる平行面に形成されているから、これを用いて
浴槽脚部を成形すれば、該浴槽脚部の上面と下面
とが互いに平行な平滑面になる。また、成形型の
底面が浴槽脚部の長手方向に平行な一側面に対応
する傾斜面に形成されていると共に、成形材料を
注入するための上部開口が浴槽脚部の長手方向に
平行な他の一側面に対応する仮想傾斜面上に形成
されている。従つて、脱型して得られた浴槽脚部
は、長手方向に平行な側面の一方のみが粗面とな
り、他の面はすべて平滑面となる。

このように、浴槽脚部において、浴槽の下面へ
接着される上面及び床面に接する下面は、互いに
平行な平滑面に成形されるから、脱型後の研磨が
全く不要である。ただし、浴槽脚部における一側
面が粗面となる。しかし、この部分は浴槽脚部の
接着や浴槽の設置に際して、何ら支障をきたすこ
とのない位置であるから、当該粗面を研磨する作
業もまた不要である。

〔実施例〕

以下、本考案の詳細を実施例を示す図面に基づ
いて説明する。

第１図は、本考案に係る成形型Ａ及び同成形型
Ａで成形した浴槽脚部１０を示す斜視図、第２図
ａ〜ｃはそれぞれ同成形型Ａの平面図、半断面正
面図及び右側面断面図である。

図面からわかるように、当該成形型Ａは、一対
の内側面１，２が互いに長手方向に平行であつ
て、異なる深さを有している。他の一対の内側面
３，３は、成形物の脱型を円滑にするため、若干
の抜き勾配が付与されている。底面４は、前記の
平行な一対の内側面１，２に対して所定の傾きを
有する傾斜面になされる。また上部開口５は、上
記内側面１，２と中央部で直行する仮想水平面に
対して、上記底面４と面対称な仮想傾斜面上に形
成されている。従つて、当該成形型Ａは、側面断
面図が第２図ｃの如く、等脚台形状を呈すること
になる。

上述の如く構成された成形型Ａを用いて浴槽脚
部を製造するには、レジンコンクリートなどの成
形材料を上部開口５から内部へ注入し、そのまま
放置する。この場合、上部開口５が水平となるよ
うに、成形型Ａの姿勢を保持することが望まし
い。所要時間の経過後、硬化した成形物を脱型す
れば、第１図に示すような浴槽脚部１０を得るこ
とができる。

該浴槽脚部１０は、上面１１の方が下面１２よ
りも幅広で、該上面１１と下面１２とは互いに平
行で且つ平滑になされた、断面が台形の柱状体で
ある。長手方向に平行な側面１４，１５のうち、
成形型Ａの底面で成形される方の面１４は平滑で
あるが、他方の面１５は、上部開口５に臨むため
平滑面とはならない。しかしながら、この側面１
５は、第３図に示すように、当該浴槽脚部１０の
上面１１を浴槽２０の下面２１へ接着するのに
も、浴槽脚部１０の下面１２を床面３０へ接地さ
せるのにも、何らの支障きたすことがない。すな
わち前記側面１５を粗面のままにしておいたとし
ても、浴槽２０の設置作業を容易に行うことがで
きる。しかも前記側面１５は、浴槽２０の下側と
なるから、見栄え等を損うおそれもない。

なお、本考案の実施例は前記に限定されるもの
ではなく、実施の態様に応じて、細部の具体的な
構成等は適宜変更できるものである。

〔考案の効果〕

本考案に係る成形型によれば、得られる浴槽脚
部の上面及び下面を、互いに平行で且つ面精度の
高い平滑なものとすることが簡単にできる。従つ
て、当該浴槽脚部の浴槽下面への接着性及び接着
強度が、従来に比べて格段に向上する。また、当
該浴槽脚部における上面と下面との平行状態が確
実に得られるから、浴槽を設置する際の水平出し
が容易である。しかも、成形後に粗面となる浴槽
脚部の側面は、当該浴槽脚部を浴槽へ接着させる
際にも、浴槽を設置する際にも、全く支障をきた
すことがない。それ故、当該浴槽脚部に対して、
脱型後に何ら加工を加える必要がないから、人手
と時間とが節約され、従つて製造効率の大幅な改
善がもたらされる。

このように、本考案は、数多くの優れた効果を
発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、本考案に係るものであつ
て、第１図は本考案に係る成形型と該成形型によ
り成形された浴槽脚部とを示す斜視図、第２図ａ
〜ｃはそれぞれ同成形型の平面図、半断面正面
図、右側面断面図、第３図は本考案に係る成形型
で成形した浴槽脚部を用いて浴槽を設置した状態
を示す側面図である。第４図乃至第７図は、従来
技術に係るものであつて、第４図は浴槽の設置状
態を示す側面図、第５図は従来の浴槽脚部を示す
斜視図、第６図は従来の成形型及び同成形型で成
形した浴槽脚部の脱型状態を示す斜視図、第７図
ａ〜ｃはそれぞれ従来の成形型を示す平面図、半
断面正面図、側面断面図である。 Ａ……成形型、１，２，３……内側面、４……
底面、５……上部開口、１０……浴槽脚部、１１
……上面、１２……下面、１４……側面、１５…
…側面（粗面）、２０……浴槽、２１……浴槽下
面、３０……床面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面が台形状の浴槽脚部を成形するための成形
   型であつて、一対の内側面がそれぞれ浴槽脚部の
   上面と底面とに対応する深さの異なる平行面に形
   成され、底面が浴槽脚部の長手方向に平行な一側
   面に対応する傾斜面に形成され、成形材料を注入
   するための上部開口が浴槽脚部の長手方向に平行
   な他の一側面に対応する仮想傾斜面上に形成され
   ていることを特徴とする浴槽脚部の成形型。