【発明の詳細な説明】
ポリカーボネートは強靭、透明で高い耐衝撃性を示す熱可塑性樹脂として周知で
ある。しかしながら、ポリカーボネートはまた比較的高い溶融粘度を有する。し
たがって、ポリカーボネートから成形物品を製造するためには比較的高い押出温
度及び成形温度が必要とされる。ポリカーボネートの所望の物理的性質を保持し
つつ、同時に溶融粘度を低減させるために種々の検討が長年にわたり試みられて
きた。これらの方法は可塑剤の使用、脂肪族連鎖停止剤の使用、分子量の低下、
長鎖脂肪族置換基をもつビスフェノール及び種々のポリカーボネート共重合体な
らびにポリカーボネートと他の重合体との製造を包含する。
可塑剤に関していえば、これらは一般により高いメルトフロー値を達成するため
に熱可塑性樹脂とともに使用される。しかしながら、ポリカーボネート組成物中
への可塑剤の配合は通常可塑剤の脆化性及び不安定性のような望ましくない性質
を伴う。
増大した流動性は脂肪族連鎖停止剤の使用によってきわめて容易に得ることがで
きるが、ノツチ付きアイゾツト試験法によって測定した耐衝撃性は顕著に低下す
る。脆化性もまた問題となり得る。
長鎖脂肪族置換基をもつビスフェノールを使用する場合には流動性の増大を認め
得る。しかしながら、これらは通常衝撃強さの望ましい性質の実質的な低下を伴
う。
薄肉断面材を必要とする用途に対しては流動性を増加するためにポリカーボネー
トの分子量を低減することも有用であった。しかしながら、分子量の減少は延性
及び衝撃強さのような性質が著しく損なわれる以前にのみ実施可能であるという
程度に制限される。
ポリカーボネートと他の重合体との配合物はメルトフロー値を増加するに有用で
あるが、一般にきわめて有用な性質である透明性を失なわせる。
ポリカーボネート共重合体に関しては、ポリカーボネート主鎖中に脂肪族エステ
ル部分を導入することによって低減されたガラス転移温度Tgを得ることができ
ることは周知である。この研究の例はGoldhc+1による最初の共ポリニス
デルカーボネートの特許にまでさかのぼる。すなわち彼の米国特許第3,169
.121号明細書には、その第3欄第64行ないし第4欄第41行に種々の脂肪
族二塩基酸が共ポリエステルカーボネートの製造に使用するに適当であることが
開示されている。低下した軟化点についても述べられている。第4欄第11行に
はアゼライン酸及びセバシン酸が開示されている。第7欄の実施例4には、エス
テル結合としてアゼライン酸を使用するビスフェノール−Aに基づく50モル%
のエステル含量をもつビスフェノール−A共ポリエステルカーボネートが開示さ
れている。それ以降、共ポリエステルカーボネートの製造における脂肪族酸の使
用については種々の他の特許、たとえば米国特許第3゜030.331号、同第
4.238.596号、同第4゜238.597号、同第4.504.634号
、同第4゜487.896号及び同第4.252.922号明細書に広く開示さ
れている。Kochxnovskiの米国特許第4,286.083号明細書は
特に、第9欄の実施例6にビスフェノール−A1アゼライン酸及びホスゲンを使
用する共ポリエステルカーボネートの製造について記載している。ビスフェノー
ルAのモル数に基づいて25モル%のアゼライン酸をホスゲンとの界面反応にお
いて連鎖停止剤としてのフェノール及び触媒としてのトリエチルアミンとともに
ビスフェノール−Aと接触させ、その際pHを35分間は6に保持し、ついで3
6分間11.4に上昇させる。一般に、脂肪族結合をもつこれらの共ポリエステ
ルカーボネートはポリカーボネートよりもかなり低いTgをもち、したがってよ
り低温で加工し得る。しかしながら、Kochxnovs日の特許明細書には、
これらの重合体の他の物理的性質、特に耐衝撃性又は加熱老化及び/又は低温の
ような種々の環境条件下における耐衝撃性については報告されていない。
連鎖停止剤は数十年もの間型合体の製造において使用されている。重合体の製造
における連鎖停止剤の作用は分子量を制御することである。一般に、これらの連
鎖停止用化合物は重合体の反復単位の官能性と同様の単官能性化合物である。連
鎖停止剤についてはそれが重合体の製造中、単量体単位と反応性でありかつ重合
体と相溶性であること以外、その構造に関してはほんのときたま僅かな注意が向
けられたに過ぎなかった。最近二、工作の間に、連鎖停止剤の構造に一層の注目
が向けられるようになってきた。その結果、連鎖停止剤化合物の構造が重合体の
性状範囲に顕著に影響を及ぼし得ることが認められた。長年の間、ポリカーボネ
ートの製造においてはフェノールが標準的な連鎖停止剤として使用されてきた。
ときどきは、p−第3級ブチルフェノールが連鎖停止剤として使用された。最近
、ポリカーボネートの製造のために他の物質に対して一層の注意が向けられるよ
うになった。米国特許第4,269,964号明細書にはポリカーボネート用の
連鎖停止剤としてイソオクチル置換及びイソノニル置換フェノールの使用が記載
されている。さらに、p−クミルフェノール及びクロマニル化合物もポリカーボ
ネートの連鎖停止用に使用された。
p−クミルフェノール及びクロマニル化合物はいずれも高いエステル含量をもつ
完全に芳香族型の分子をもつ共ポリエステルカーボネートの連鎖停止用に使用さ
れた(米国特許第4.774.315号及び同第4.788,275号明細書参
照)。より大型の末端基の使用に付随して、標準のポリカーボネートと同一の又
は実質的に同一の物理的特性を、ただしより低い分子量で得ることが可能になっ
た。
このより低い分子量はより高い分子量のポリカーボネートよりも良好な流れ特性
を与える。しかしながら、これらの系は連鎖停止剤がより短かい連鎖長、すなわ
ちより低分子量のポリカーボネートの使用によって惹起される問題点を解決し得
ないような時点に達する。脆化が生起し、したがってより低い加工温度をもつが
実質的に増加した流れ特性及びポリカーボネートの性質の本質的に全範囲を有す
る重合体に対する要求は依然として存在する。
今般、きわめて高いメルトフロー値に基づく優れた加工性を靭性、透明性及び耐
衝撃性のような本質的に維持された物理的性質と組合わせて保有する新規な重合
体系が開発本発明によれば、二価フェノール、カーボネート前駆体及び脂肪族α
、ω−ジカルボン酸またはエステル前駆体から誘導された共ポリエステルカーボ
ネート重合体を含有してなり、しかも該ジカルボン酸は10個ないし約20個の
炭素原子を有するものでありかつ該カルボン酸は共ポリエステルカーボネート中
に二価フェノールの約2−30モル%の量で存在するものである組成物が提供さ
れる。
更には、本発明の共ポリエステルカーボネートは8個及び9個の炭素原子をもつ
ジカルボン酸を包含し、フェノールで末端置換(末端キャップ)された共ポリエ
ステルカーボネートよりも良好な老化後のノツチ付きアイゾツト衝撃耐性及び延
性をもつ共ポリエステルカーボネートを与えるモノフェノール化合物で末端置換
されているものに拡張さ本発明の共ポリエステルカーボネートの製造に有用な二
価フェノールは一般式
(式中、Rはそれぞれ独立的にハロゲン、−測成化水素基及び−測成化水素オキ
シ基から選ばれ、R1はそれぞれ独立的にハロゲン、−測成化水素基及び−測成
化水素オキシ基から選ばれ;Wは二価炭化水素基、−S −、−S −S −。
II II II
−Q−、−5−、−3−、及び−C−から選ばれ;n及びnlはそれぞれ独立的
にOないし4の値をもつ整数であり;そしてbは0又は1である)によって表わ
すことができる。
R及びR1によって表わされる一価炭化水素基はアルキ 、ル、シクロアルキル
、アリール、アラルキル及びアルカリール基を包含する。好ましいアルキル基は
1個ないし約12個の炭素原子を含むアルキル基である。好ましいシクロアルキ
ル基は4個ないし約8個の環炭素原子を含むシクロアルキル基である。好ましい
アリール基は6個ないし12個の環炭素原子を含むアリール基、すなわちフェニ
ル、ナフチル及びビフェニル基である。好ましいアルカリール基及びアラルキル
基は7個ないし約14個の炭素原子を含むものである。
R及びR1によって表わされる好ましいハロゲン基は塩素及び臭素である。
Wによって表わされる二価炭化水素基はアルキレン、アルキリデン、シクロアル
キレン及びシクロアルキリデン基を包含する。好ましいアルキレン基は2個ない
し約30個の炭素原子を含むものである。好ましいアルキリデン基は1個ないし
約30個の炭素原子を含むものである。好ましいシクロアルキレン基及びシクロ
アルキリデン基は6個ないし約16個の環炭素原子を含むものである。
R及びRIによって表わされる一価炭化水素オキシ基は式−0R2(式中、R2
は前記した型の一価炭化水素基である)によって表わすことができる。好ましい
一価炭化水素オキシ基はアルコキシ基及びアリールオキシ基である。
式1の範囲内に包含される二価フェノールの若干の代表的な、非限定的例はつぎ
のちのを包含する:2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフ
ェノール−A);
2.2−ビス(3,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
2.2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1.1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン;1.4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン;1.1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカ
ン;
1.1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン;
4.4−ジヒドロキシジフェニルエーテル;4.4−チオジフェノール;
4.4−ジヒドロキシ−3,3−ジクロルジフェニルエーテル;及び
4.4−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル。
上記ポリカーボネートの製造に使用するに同様に適する他の有用な二価フェノー
ルはこ\に参考文献として引用する米国特許第2,999,835号、同第3,
028,365号同第3,334.154号及び同第4,131.575号明細
書に記載されている。
本発明において使用されるカーボネート前駆体はホスゲン、ジフェニルカーボネ
ート等のごとき標準的なカーボネート前駆体の任意のものであり得る。界面法又
はビスクロルホルメート法を使用する場合には、ポリカーボネート及び共ポリエ
ステルカーボネートの合成において周知である標準的な触媒系を使用することが
さらに好ましい。典型的な触媒系は第3級アミン、アミジン又はグアニジンのよ
うなアミン系の触媒である。第3級アミンが一般にか\る反応に使用される。ト
リエチルアミンのような第3級アミンが一般に好ましい。
共ポリエステルカーボネート中のエステル単位を供給する単量体は10個ないし
約20個、好ましくは10個ないし12個の炭素原子をもつ脂肪族α、ω−ジカ
ルボン酸である。この脂肪族系は直鎖、分岐鎖又は環式系である。該脂肪族系の
例はセバシン酸、ドデカンジ酸、C14,C18及びC20ジ酸を包含する。直
鎖飽和脂肪族α、ω−ジカルボン酸が好ましい。セバシン酸及びドデカンジ酸が
もっとも好ましい。ジ酸の混合物も使用し得る。ジ酸と言及されているが、酸ハ
ライド、好ましくは酸クロライド、ジ酸のジフェニルのようなジ芳香族エステル
、たとえばセバシン酸のジフェニルエステル、のような任意のエステル前駆体を
使用することができる点に留意すべきである。さきに述べた炭素原子数に関して
は、エステル前駆体部分、たとえばジフェニル、中に含まれ得るいかなる炭素原
子も含まないものとする。
本発明の共ポリエステルカーボネートは既知の方法、たとえばQoinnの米国
特許第4,238,596号明細書及びQuinn及びMa+kexichの米
国特許第4,238.597号明細書に記載の方法、によって製造し得る。か\
る方法の例は酸ハライドを形成してからそのエステル形成性基を二価フェノール
と反応させ、ついでホスゲン化を行なう方法を包含する。さらにまた、前記米国
特許第3,169゜121号明細書に記載されるピリジン溶剤を使用するGol
dbe rgの塩基性溶液法をジカルボン酸それ自体をも使用しながら採用する
ことができる。α、ω−ジカルボン酸のジエステルを使用する溶融法も使用する
ことができる。か\る化合物の一例はセバシン酸のジフェニルエステルである。
多くの実験を行なった後に、本発明の共ポリエステルカーボネートの製造のため
の好ましい方法が存在することが見出された。Kochanovskiの米国特
許第4,286.083号(083)明細書に記載の方法を先ず利用し、ついで
これに改良を加えた。アジピン酸のような低級ジ酸は重合体主鎖中に何等望まし
い程度には結合されなかった。より適切にいえば、重合体主鎖中に何らかの有意
なジ酸の結合が認められるまでには、より多数の炭素原子をもつジカルボン酸の
使用にまで進まなければならなかった。本発明者は二価フェノール及びα、ω−
ジ酸をホスゲン化の約70=95%に対しては約8ないし9のpHにおいてホス
ゲン化すべきであることを認めた。その後、反応のpH値を残りのホスゲン化の
期間的10ないし12、好ましくは10.2ないし11.2の水準に高めるべき
である。ホスゲン以外の反応剤を当初の反応pH8ないし9、好ましくは8ない
し8.5において、たとえば3ないし10分の期間、予備平衡化することによっ
て重合体中へのジ酸の結合が改善されると考えられる。混合が樹脂反応器中にお
けるほど有効ではない実験室規模の場合、ドデカンジ酸はたとえば約50ないし
300メツシユのような微粒子状で使用すればより良好に結合されるように思わ
れる。この界面反応を実施する場合、反応器はさらに触媒量のアミン、好ましく
はトリエチルアミンを含有すべきである。二価フェノール含量に基づいて約0.
75ないし約3モル%の範囲の量のアミン触媒を使用し得る。
さらに実験を行なった結果、界面反応においてジカルボン酸塩の溶液を使用する
ことによって反応時間を実質的に減少することができ、しかもジ酸を共ポリエス
テルカーボネート中に完全に又は実質的に結合せしめ得ることが認められた。す
なわち、ジカルボン酸それ自体よりもむしろジカルボン酸塩の溶液を反応器に装
入する。10個又はそれ以上の炭素原子をもつ酸が好ましい。界面反応において
水性媒質として使用されているものと同一のジカルボン酸塩の溶液を製造するこ
とが勿論好ましい。たとえば、水酸化ナトリウム水溶液を界面反応における水性
相としてならびに反応のpHを制御するために使用する場合にはジカルボンiの
ナトリウム塩′が製造される。その他の塩、たとえばカリウム、カルシウム等か
ら製造されるごとき塩も使用し得る。これはジ酸を通常はその固形物の形で水酸
化ナトリウム水溶液と接触させそしてその溶液を反応器中にポンプで送入するこ
とによって簡単に行なわれる。二価フェノールは塩基水溶液及び末端キャツピン
グ剤とともに予め存在せしめ得る。ホスゲンのようなカーボネート前駆体を添加
して反応を行なわせる。
ジ酸塩溶液の使用によって前述したp)1期間が実質的に変わることは興味ある
ことである。高いpH,約10−1.、2、における期間を所望の生成物を得る
ためになお使用すべきである。しかしながら、より低いpH189、における期
間は顕著に減少せしめ得る。たとえば、予め製造されたナトリウムドデカンジオ
エートを用い、全反応をpi(10で僅か20分間行なった場合には、酸の99
%が共ポリエステルカーボネート中に結合された。20分の反応期間の25%の
みをpi(8に保持し、残り15分はpH10に保持し、しかも予め製造された
ナトリウムドデカンジオエートを使用した場合には酸の100%が共ポリエステ
ルカーボネート中に結合された。したがって、カーボネート前駆体添加時間の約
〇−約95%を約8−8.5のp++値で、残りのカーボネート前駆体添加時間
を約10−1.2のp)!値で行なうべきである。カーボネート前駆体添加の初
期期間は約5−85%であることが好ましい。
分子量を制御するためには、単官能性化合物である連鎖停止剤を使用することが
標準的実施方法である。この化合物は適当な単量体と反応させると非反応性末端
を与える。
したがって、連鎖停止剤の量が重合体の分子量を制御する。
フェノールよりも嵩高の連鎖停止剤は当然低温耐衝撃性のような実質的に良好な
物理的性質を与えるであろう。これらの嵩高な置換体の例はp−第3級ブチルフ
ェノール、イソノニルフェノール、イソオクチルフェノール、m−及びp−クミ
ルフェノールのようなりミルフェノール、好ましくはp−クミルフェノール、な
らびにクロマンIのようなりロマニル化合物を包含する。
標準的な末端キャッピング試薬をもつ本発明の共ポリエステルカーボネートは実
質的に低下したガラス転移温度Tgをもち、したがってより低温での加工性を提
供する。驚くべきことに、このより低温における加工性とともに、本発トと実質
的に同等の物理的性質及びきわめて高い流量が得られる。か\る嵩高の末端基を
使用する場合には、老化後耐衝撃性及び/又は低温耐衝撃性のような優れた物理
的性質を保持しつつ、きわめて高い流量を有しながらより低い分子量をもつ共ポ
リエステルカーボネートを得ることも可能である。これによって、本発明の共ポ
リエステルカーボネートは透明性、耐衝撃性、モジュラス、及び総合的靭性のよ
うなポリカーボネートの特性を要求され、しかも増加した流量による増加した加
工性を与えなければならないような用途への使用が可能となる。か\る用途はオ
ーディオディスク、ディジタルディスク、その他のメディア記憶(蓄積)用デバ
イス、包装材料、その他の肉薄材料及びフィルム、ファイバーオプティックスを
包含する光学ディスク等のような光学的に純粋材料を包含する。
脂肪族α、ω−ジカルボン酸エステルは二価フェノールに基づいて約2ないし3
0モル%の量で共ポリエステルカーボネート中に存在する。一般に、約2モル%
以下の量では、Tgの低下は不十分であり、また流量の有意な変化は認められな
い。約30モル%以上では、共ポリエステルカーボネートの物理的性質が脂肪族
エステル結合をもたないポリカーボネートと比較して著しく妨害される。脂肪族
α。
ω−ジカルボン酸エステルの好ましいモル%は二価フェノールの約5ないし25
モル%、より好ましくは約7ないし15モル%である。
共ポリエステルカーボネートの重量平均分子量は一般にポリスチレン標準を用い
てGPCによって測定し、ポリカーボネートに対して補正して約10.000な
いし約10o、oooの範囲で変動し得る。好ましい分子量は約18゜000な
いし約40.000である。
1001のガラス製容器に脱イオン水(30J)、塩化メチレン(3℃1M)、
ビスフェノール−A (BPA)(11,34kg;49.68モル)、p−ク
ミルフェノール(319g;1.50モル)、トリエチルアミン(70ml;0
.90モル)、セバシン酸(1005g;4.97モル)及びグルコン酸ナトリ
ウム(17,5g)を添加した。この反応混合物に、8.0−8.5のpH範囲
を保持しながら、ホスゲンを150 g/分の速度で34分間(6600g;6
6.73モル)導入した。pHを10.0に調整してからホスゲン化を10分間
続けた。
このホスゲンを含まない溶液を塩化メチレン(約451)の添加によって固形分
10%に稀釈しそしてこの重合体溶液を溶液中の有機塩化物濃度が検出し得なく
なるまでがっトリエチルアミン含量が1 ppm以下になるまで抽出した。
抽出された重合体溶液を1.9J/分の供給速度及び10Qp*iの供給圧力の
水蒸気による沈殿法によって単離した。水で湿った、粗い粉末をフィッ゛ソミル
(FitXmill)中でチョップしてより均一な粒度としそして熱窒素を供給
した流動床式乾燥3中で最高110℃の温度で乾燥した。
この共ポリエステルカーボネート樹脂は約128℃のTgを有していた。標準的
なポリカーボネートは150℃のTgを有する。230℃における押出し及び2
75℃における成形によって透明な物質が得られ、これは改善された流動性及び
300℃における加工性(g / 10分)、MFI=15、ならびに優れた機
械的性質を示した。1/8インチのノツチ付きアイゾツトは880 J/M、1
. 8MPxで測定したDTULは119℃であった。
ドデカンジ酸(DDDA)のジナトリウム塩をその遊離酸(7,2g;31ミリ
モル)及びN、OHペレット(2゜7g;68ミリモル)を水(180ml)中
に溶解することによって生成させた。
底部出口を備えた2 000 mlの万言モートン(Mar+on)フラスコに
機械的攪拌機、pHプローブ、水酸化ナトリウム水溶液(50%)導入管、ドラ
イアイス冷却器をとりつけたクライゼンアダプター及びガス導入管をとりつけた
。このフラスコにビスフェノール−A(71g;311ミリモル)、トリエチル
アミン(0,9m1) 、p−クミルフェノール(2,0g;9ミリモル)、塩
化メチレン(220ml)及び前記したDDDAのジナトリウム塩溶液を装入し
た。
ついで、pHを苛性アルカリの添加によって8に保持しながら、ホスゲンを2g
/分の速度で10分間導入した。ついでpHを約10.5に上昇させかつこの値
に保持してホスゲンの添加をさらに10分間続けた。ホスゲンの全添加量は40
g(400ミリモル)であった。ptlを11−11.5に調整しそして有機相
をブライン(塩水)層から分離しそして2%塩酸(3X300ml)で洗滌しそ
して脱イオン水(5X300ml)で洗滌した。
ブライン層を濃HCIでpHLまで酸性化した。未反応DDDAは沈殿しなかっ
た。
溶液を乾燥(t%sOn ) L、濾過し、ついでメタノール(1500ml)
中に沈殿させた。樹脂をメタノール(1×500m1)で及び脱イオン水(4X
500ml)で洗滌しそして100℃で15時間乾燥した。
実施例2−6
100Rのガラス製容器に脱イオン水(3C1))、塩化メチレン(35f)、
BPA (11,34kg;49.68モル)、p−クミルフェノール(319
g;1.50モル)、トリエチルアミン(70ml;0.90モル)、ドデカン
ジ酸(1155g;4.97モル)及びグルコン酸ナトリウム(17,5g)を
添加1.た。この反応混合物に、そのptlを8.0−8.5の範囲に保持しな
がら、ホスゲンを150g/分の速度で34分間(6600g;66.73モル
)導入した。pHを10.0に調整しそしてホスゲン化を10分間続けた。
このホスゲンを含まない溶液を塩化メチレン(約45))の添加によって固形分
10%まで稀釈しそして重合体溶液を溶液中の有機塩化物濃度が検出し得なくな
るまでかつトリエチルアミン含量が1 ppm以下になるまで抽出した。
抽出された重合体溶液を1.9Jl/分の供給速度の水蒸気で100 p@ig
の供給圧力で沈殿させることにより単離した。水で湿った粗い粉末をフィッッミ
ル中でチョップしてより均一な粒度としそして熱窒素を供給した流動床式乾燥3
中で最高110℃の温度で乾燥した。
この共ポリエステルカーボネート樹脂は約1.25℃のTgを有していた。25
0℃で押出しかつ275℃で成形して透明な物質を得た。この物質は同様の又は
同一の分子量をもつ標準的ポリカーボネートと比較して改善された流動性及び加
工性、300℃におけるMF I =13 (gel、 0分)ならびに優れた
機械的性質を示した。1/8インチのノツチ付きアイゾツトは880J/Mであ
り、1.82MPaで測定したDTULは119℃であった。
10モル%のドデカンジオイルエステルを含有する種々の固有粘度をもつ共重合
体を本発明の方法に従って製造した。これらの共ポリエステルカーボネートはパ
ラクミルフェノールで末端置換された。これらの共ポリエステルカ−ボネートを
、標準的な市販級BPAポリカーボネートとしてGEプラスチックス社によって
製造された“レキサン(Lexan )”125,145及び135(いずれも
フェノールで末端置換されている)ならびに同様の固有粘度をもつステアリン酸
で末端置換されたポリカーボネート(SAPC)と比較した。すべての物質は0
.05重量%のホスフェートで安定化された。
一般に、本発明の共ポリエステルカーボネートは標準的なポリカーボネートより
も実質的に低いガラス転移温度及び加熱撓み温度を有する。実際、これらはステ
アリン酸で末端置換されたポリカーボネートの比較例ときわめて類似するもので
あった。しかしながら、これらのステアリン酸で末端置換された物質は通常のポ
リカーボネート及び本発明の共ポリエステルカーボネートと比較してきわめて脆
化性であった。本発明の物質は標準的なポリカーボネートに対して傑出した流動
性を示し、しかもそれと同等の耐衝撃性を示す。
下記の表において、本発明の実棒例4を標準的なりPAポリカーボネートにただ
し7重量%のジホスフェート可塑剤を含むものあるいは10重量%のポリブチレ
ンテレフタレートを配合したものと比較する。
嚢
実施例胤 I V Tg MF [(g/IQ分) 125N+ 透過率300
℃ (J/M)
4 G、411 124 46 883(Dl傘 907%CR?335 0.
5!1 128 45 50CB+書 90IO%PBT配合物 0.49 H
645SO[81本 89*Dは延性破壊、Bは脆性破壊である。
上記データから明らかに認められるごとく、可塑剤又はポリエステルの存在は本
発明の共ポリエステルカーボネートと同等の流動性を及び透明性をポリカーボネ
ートに付与するが、後者と比較してポリカーボネートを著しく脆くする。
実施例7−9
実施例2と同様の方法に従って、同一量のドデカンジ酸及び種々の量のp−クミ
ルフェノール末端キャツピング剤を結合したビスフェノール−A共ポリエステル
カーボネートを製造した。これらのp−クミル末端置換共ポリエステルカーボネ
ートの性質をp−クミルフェノール末端置換ビスフェノール−Aポリカーボネー
ト対照物と比較した。共ポリエステルカーボネート中に10モル%のドデカンジ
酸エステルを含む場合についての結果を下記に示す。こ\で、!、V、は塩化メ
チレン中で25℃で測定した固有粘度であり、MwはGPCによって測定した重
量平均分子量である。MFIは300℃におけるメルトフローインデックス(g
/ 10分)である。Y、1.はASTM D1925に従って測定された黄
色度指数であり、そしてN。■、はASTM D256に従って室温(RT)及
び−10℃で測定したノツチ付きアイゾツト衝撃強さである。
=10℃における対照試験を除くすべての試験の5個の試片のすべての破壊は1
00%延性破壊であり、例外の対照試験の破壊は100%脆性破壊であった。
寒隻遭 匹 セ 淋−厖 T、 1. N、 1. fl/輩)1丁 −10℃
対ffl 、439 H,00fl 22 149 − 623 1567 、
t95 27.766 16 130 1.9 831 7798 .48g
26.363 25 .125 1.7 831 7799 .456 21.
71? 48 125 1.9 623 675上記の結果から認められるごと
く、標準的な“高い流動性の”p−クミルフェノールで末端置換されたポリカー
ボネート、対照試験、は約22.000の分子量において妥当な流動性、MFI
=22、を示した。しかしながら、−10℃におけるノツチ付きアイゾツトは低
くかつ完全に脆性破壊であった。しかるに、本発明の共ポリエステルカーボネー
トはほとんど同一の分子量においてかけ値なしに2倍を超える流動性、MFI=
48を有し得るものであり、しかも−10℃の低温においてさえ完全な延性破壊
による高い衝撃強さを示す。
本発明の本質はポリカーボネート中に脂肪族α、ω−ジカルボン酸単位を導入す
ることであり、それによって構造:(式中、1’<、R:’ 、n、n’ 、W
及びbはさきに述べたとおりでありモしてXは約8ないし約18個の炭素原子を
もつ脂肪族基である)の反復単位をもつ共ポリエステルカーボネートを提供する
ものである。dの反復単位は共ポリエステルカーボネート中に反復単位c+dの
合計の約2ないし30モル%の割合で存在し、Xは好ましくは約10ないし18
個の炭素°原子をもつものである。この脂肪族系は好ましくは飽和のかっ直鎖、
分岐鎖、環式又はアルキレン置換環式系である。dのモル%は好ましくは約5な
いし25、より好ましくは約7ないし15モル%である。
本明細書中に示されるごとく、本発明の共ポリエステルカーボネートはそれらと
同様の又は同一の分子量をもつポリカーボネートの物理的性質の重要な部分を本
質的に維持するが、HDTのようなTgに関係する性質を除くか〜る性質を加工
についての必要条件の減少を伴って達成するものであり、これはこれらの新規物
質についてはメルトフローインデックスが実質的に高められるからである。維持
される、またある場合にはさらに改善されるもっとも重要な性質はおそらくは1
/8インチのノツチ付きアイゾツト衝撃強さである。同様に、標準のポリカーボ
ネートと同一の加工性をもつ本発明の共ポリエステルカーボネートは顕著により
高い分子量を有し得るのでその結果としての性質の改善が得られ得る。
したがって、本発明の別の形態は前記特定した本発明の組成物の使用法である。
これは前記本発明の共ポリエステルカーボネートを、エステル単位をもたない同
一の重量平均分子量をもつ同一の芳香族ポリカーボネートよりも高いメルトフロ
ーインデックスによって表示されるごとく顕著により低い温度で及びより少ない
仕事量で加工することからなる樹脂の加工法である。任意の型の加工操作はたと
えば射出成形、回転式成形、吹込成形、圧縮成形、及びシート及びフィルム押出
、異形押出、同時押出及び一般的コンパウンディングのような押出法を包含する
。射出成形及び押出成形が好ましい。
用語“同−又は同様の分子量をもつポリカーボネート”又は“標準的なポリカー
ボネート”を使用する場合は同一の二価フェノールから製造された、た望し脂肪
族エステル反復単位をもたないポリカーボネートを指すものとする。
本発明の共ポリエステルカーボネートの押出製品の別の例は通常のシート製品な
らびに多層シート及びフィルムを包含する。一般に、′フィルム”と呼ばれるよ
うな最大厚みのものである押出物品の厚みは約0.5−1nnである。
か\る押出物品はすべてが本発明の共ポリエステルカーボネート組成物から製造
される必要はない。むしろ、か\る物品は少なくとも90重量%の本発明の共ポ
リエステルカーボネートを含む組成物から製造することができる。該組成物中に
は他の重合体を存在せしめ得る。か\、る重合体の好ましい例はポリアルキレン
テレフタレート、好まし5くはポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンプ
レフタレート、ならびにシクロヘキサンジメタツール(CHDM)含有ポリエス
テルのようなポリエステルである。
か\るポリエステルの例はCHDM及びテレフタル酸、テレフタル酸及びイソフ
タル酸の混合物、CHDMが好ましくは存在するグリコールの20−80モル%
であり、残部がアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコールであるよ
うなCHD M及びアルキレングリコール、好ましくはエチレングリコールの混
合物、から製造されたポリエステルを包含する。CHDM含有ポリエステルの酸
部分はテレフタル酸、イソフタル酸、それらの混合物又は好ましくはテレフタル
酸である。か\るポリエステルの例はいずれもイーストマン・ケミカル社から入
手可能なものであるPCT(100%CHDM、テレフタル酸)、PCTG(8
0%CHDM、20%エチレングリコール、テレフタル酸)及びPETG (8
0%エチレングリコール、20%CHDM、テレフタル酸)である。熱成形製品
はシート又はフィルムから容易に製造される。
驚くべきことに、これらの押出フィルム又はシート製品はビスフェノール−Aポ
リカーボネートのような慣用の芳香族ポリカーボネートから製造された押出製品
と比較していくつかの予想外の利点を示す。
慣用の芳香族ポリカーボネートからの押出シートはそれらを高温で熱成形し得る
までに予備乾燥工程を必要とする。
これらを予備乾燥しない場合には、熱成形シートの表面に泡立ちが生ずる。
本発明の共ポリエステルカーボネートに基づく熱可塑性組成物からの押出シート
は熱成形前に予備乾燥工程を必要としないことが認められた。
さらに、本発明の共ポリエステルカーボネートに基づく熱可塑性組成物からの押
出シートは慣用の芳香族ポリカーボネートからの押出シートと比較してDIN4
102に従う難燃性試験においてより耐性であることも認められた。
DIN4102に従う試験は建築及び建設工業にとって重要なものである。
つぎに本発明の別の実施例を示す。これらの実施例は本発明をさらに例証するた
めのものである。
実施例1〇
二基列のシート(3−の厚みをもつ)をウニルナ−・プライブラー二軸スクリュ
ー押出機上での押出しによって製造した。第一の系列(A)のシートはビスフェ
ノール−A及びホスゲンから誘導された、20℃でCH2(Jz中で測定して5
8 ml / gの固有粘度をもつ慣用の芳香族ポリカーボネートから製造した
。第二の系列(B)のシートは二価フェノール及びジ酸の合計に基づいて10モ
ル%のドデカンジ酸(HOOC[CH2] +・C00H)含有をもちかつ20
℃でCHzCIz中で測定して58.2ml/Hの固有粘度をもつ本発明に従う
共ポリエステルカーボネートから製造した。
これらのシートを湿分に暴露し、ついで熱成形に先立って乾燥工程を行ない又は
乾燥工程を行なうことなしに、熱形成した。熱成形はガイス(Geiss )の
1000X600ツ真空成形機上で100℃に加熱されたアルミニウム金型を用
いて行なった。これらのシートは熱成形に先立って輻射加熱した。輻射温度はシ
ートの実際の温度よりも約25℃高い温度である。熟成形後に表面を検査した。
正確な予備処理、輻射温度及び観察された表面の品質を次表に示す。
系列 予備処理 輻射温度 観察
℃
A 58−79%の範囲で 212 成形製品の全体に泡立ち変動する相対湿度
で あり、直径1−1.5m、14日間、熱成形前 平均泡散8個/al。
に乾燥せず
180 成形不能
100℃で24時間 212 泡立ちなし乾燥、
8 58−79%の範囲で 180 4つの温度のすべてに変動する相対湿度で
185 おいて優れた成形能、14日間、熱成形前に 190 認め得る泡立
ちなし、乾燥せず、 195
212 −若干の泡立ちが認められ
た。直径0.5m、平均
泡数0. 2個/al。
5B−79%の相対湿度 180 泡立ちなし、優れた成形で14日間貯蔵、つ
いで 能、
21℃で24時間水中下 190 小さい泡が生成、直径に置く、熱成形前に乾
燥 9.5wm*1泡数0.3個せず、 /ld。
211 泡が生成、l−1,5m。
泡数0. 3個/a1
100℃で24時間乾燥 211 優れた成形能、泡立ちなし
上記の表に示された結果から認め得るごとく、本発明に従うシートは予備乾燥し
ない場合でさえも泡立ちなしに成形し得る。さらに、か〜る熱成形は慣用のポリ
カーボネートよりも低い温度で行ない得ると思われる。
実施例11
10モル%のドデカンジ酸含量をもち、20℃でCH2C1z中で測定して58
. 2 ml/ Hの固有粘度をもつ本発明に従うポリエステルカーボネートか
ら190x1000x3(mm)の寸法をもつシートを押出した。
これらのシートをDIN4102、バート1煙突(lrsndschxchl=
chimnc7)試験に従うB1燃焼試験用に規定されるレイアウトに配列しそ
して非老化条件で試験した。
この燃焼試験中、本発明に従うシートはシート内部にガス体の発生(泡)を全く
示さず、試験片は着火せず、火炎の滴下を示さずかつ試験後の残留長は70an
であった。
慣用の芳香族ポリカーボネートの押出シートを同一の試験に供した場合には、若
干のガス体の発生(泡)がシート中に生起し、試験片は着火しそして火炎の滴下
が生じた。
残留長は4O−60alであった。
さらに、本発明の共ポリエステルカーボネートの特に好ましい実施態様は式2の
組成物及び請求の範囲第14項の組成物中に重合体中の二価フェノール及びジ酸
のモル数に基づいて無水物が約0.5モル%未満の量で存在する組成物である。
驚くべきことに、ホスゲン化の末期においてpH範囲を10以上、好ましくは約
11に十分な時間保持しなければある割合の無水物結合が形成されそして重合体
中に保持されることが認められた。大部分の不純物は、特にこ5で経験された低
濃度で存在するようなか\る不純物は、重合体の安定性に悪影響を及ぼさないが
、無水物結合は本発明の共ポリエステルカーボネートの熱安定性にとってきわめ
て有害である。
用語“無水物”はドデカンジ酸を例として下記に説明するごとく重合体のジ酸部
分と第二の酸部分との間に無水物結合を有する重合体のジ酸部分を意味する。
II 11 11 1+
−C(CH2) +a −C−0−C−(CH2) to C−0−これらの無
水物結合は低い方のpH範囲における重合反応の間に形成される。より高いpH
範囲は無水物結合を除去して重合体の再配列を達成するためまたより純粋な共ポ
リエステルカーボネート組成物を得るために必要である。
本発明の共ポリエステルカーボネートは0.5モル%未満、好ましくは0.3モ
ル%未満、より好ましくは0. 1モル%未満の無水物結合を有すべきである。
重合体中の無水物結合は高磁界’HNMRの使用によって検出され得る。か\る
NMRスペクトルはGE NMRオメガ−30ONMR分光光度計上で6 kH
xの掃引幅、10sのリサイクル遅れ、30°のフリップ角、16にのメモリー
サイズ及び32のトランジェントを用いて得られた。より低い91(範囲におい
て及び不十分な時間のより高いpH範囲の条件で製造された10モル%のドデカ
ンジオニー\ ト含有ビスフェノールーA共ポリエステルカーボネートのスペク
トルは重合体内に無水物結合の存在を実証した。エステルの三重項は2,531
1111に存在した。無水物の三重項は2.43ppmに存在した。
各々の場合に、三重項は下記に示す星印のメチレン炭素原子によって示されるご
とくドデカンジ酸中のカルボニル基に直接隣接するメチレンプロトンに基づくも
のである。
0**O
II l!
−0−CCH2(CH2)8−CH2=C−〇−共ポリエステルカーボネート重
合体中のこれら無水物結合の存在は本発明の共ポリエステルカーボネートの熱安
定性にとってきわめて有害である。たとえば、同一製造ロットの樹脂からの粉末
及び押出ベレットの ’HNMRスペクトルは異なる組成を示す。単一の押出条
件、230℃、においで共ポリエステルカーボネートは無水物結合の分解により
もたらされると思われる熱劣化を受ける。さらに、下記の表に検出し得る量の無
水物基の存在及び不存在の場合の一連の10モル%のドデカンジオエート含有ビ
スフェノールA共ポリエステルカーボネートについてカーシャ指数、Kl、によ
って測定された溶融粘度に対する無水物結合の影響を示す。
KIはつぎの方法で測定する。すなわち、125℃で最低90分間乾燥した樹脂
ペレット7gを改良型テイニアスーオルセン(Tinius−01sen)型式
T3のメルトインデックス測定装置に添加する。この装置内の温度を300℃に
保持しそして樹脂をこの温度で6分間加熱する。6分後、樹脂を4..737−
の半径をもつプランジャーを用いて1゜048=の半径をもつオリフィスを通し
て8.03kg1の力を加えて押出し、このプランジャーが50.8mm移動す
るに要する時間を10−2秒単位で測定してこれをKlとして示す。
無水物結合の存在を通常高磁界’HNMRの検出限界である0、1モル%以下に
低減する最適の製造法はつぎのごときものである。
本発明の共ポリエステルカーボネートの製造のためのこの最適の方法は重合体中
に存在する無水物結合を最低限にしかつ重合体中に結合されるジ酸の量を最大に
する。ジ酸の部分的結合は生成物の均質性に影響するのみならず、反応の終了時
に未反応ジ酸を塩として水性相中に保留し、水性相の後処理において問題を提起
し得る。したがって、重合は重合体中へのジ酸の結合を確保するために特定のp
H範囲でかつ特定の時間行なわなければならないが、pHはついで重合の後段階
において無水物結合をエステル結合に変化せしめ得るに十分な時間ある特定の水
準まで高めなければならず、それによって本質的に無水物結合を含まない本発明
の共ポリエステルカーボネートを提供し得る。
一般に、二価フェノール及びジ酸のモル当り1.2当量のホスゲンを通送する場
合、ホスゲン化のpHはホスゲン化時間の約50−85%の範囲の期間的8に保
持し、ついで約30秒で(小型バッチ)約11まで上昇させてホスゲン化時間の
残り、全期間の約1 ’5−50%の範囲の期間このpHに保持すべきである。
pHを上昇させる最適時間はホスゲン化期間の約70%の時点であると思われる
。
勿論、装置をもっとも生産性よく利用する最小反応時間を達成するようにホスゲ
ン化速度を最大にすることが望ましい。ホスゲン化速度はジ酸それ自体に対立す
るものとしてジ酸の塩、好ましくはナトリウム塩の予め製造された溶液を反応器
に導入することによって実質的に増加し得る。
たとえば、10モル%のドデカンジオエートを含有するビスフェノール−A共ポ
リエステルカーボネートを大型実験設備中で製造するために26分の反応時間を
pH8で18分、pH1lで8分の条件で用いた場合、ドデカンジ酸のジナトリ
ウム塩の溶液を反応器に導入すれば無水物結合が検出限界以下である共ポリエス
テルカーボネートが形成され、水性相中に74 ppmの遊離のジ酸が残留した
。
ドデカンジ酸(D D D A)の好ましいジナトリウム塩の溶液を製造する実
験はより小さいDDDAの粒度、より低い固形物%及び僅かに過剰の水酸化ナト
リウムの使用がいずれも溶解時間の減少に寄与することを示している。粗いフレ
ーク状DDDAはステンレス鋼製ワーリングブレンダ−(Waring Ble
nded)中で粉砕することによって製造された粒状物質よりも2倍以上長い溶
解時間を必要とする。結果を下記に示す。
ジ酸の塩の溶液の添加は9モル%のドデカンジオエートを含有するビスフェノー
ル−A共ポリエステルカーボネートのより多量の製造において実証された。各反
応において約111ポンドのホスゲンを添加した場合、ホスゲン化の速度は反応
時間を低減させるように増大した。各場合に、pHはホスゲン60ポンドが反応
器に添加されるまで8ないし8.5に保持した。ついでPHをつぎの5分間で1
0.5−11.0まで次第に高めそして残りの反応時間の間その値に保持した。
高磁界のNMRは試料中に無水物結合を同等検出し得なかった。DDDAの結合
はホスゲン化速度によって同等重要な影響を受けなかった。下表において、ボン
ド/時はpphとして表わす。
青
pH傾斜の
pH傾斜の 終了点
ホスゲンの 開始点 (ホスゲン 水性相中の添加速度 (ホスゲン のボンド
数) 未反応DDDA(pph) のボンド数) (反応の%) (ppm)1
90 60 77゜5(70) 47220 60 77、7 (71) 27
260 60 86.1(7g) 5
330 60 92、0 (84) NA0.5モル%未満の無水物結合をもつ
本発明のこの共ポリエステルカーボネートから成形又は押出成形された製品は改
善された熱安定性を有する。か\る共ポリエステルカーボネート製品の例は周知
である。これらの共ポリエステルカーボネートはまた共ポリエステルカーボネー
ト中に存在するC8ジ酸(スペリン酸)又はC9ジ酸(アゼライン酸)を唯一の
エステル単位として有し得る、すなわち結合されるジ酸の炭素数の下限は、その
他の変数は同一のま\保有しつつ、C1lから08に拡張されるものである。し
たがって、式2において、Xは6個の炭素原子の下限値をもつであろう。本発明
の重合体は水性相中に約500 ppm未満の遊離ジ酸を伴って容易に製造され
る。
要 約 書
二価フェノール、カーボネート前駆体及び脂肪族α、ω−ジカルボン酸又はエス
テル前駆体から誘導された共ポリエステルカーボネートを含有してなり、しかも
前記ジカルボン酸又はエステル前駆体は10個ないし約20個の炭素原子を有す
るものでありかつ共ポリエステルカーボネート中に二価フェノールの約2ないし
30モル%の量で存在する、組成物。
国際調査報告
国際調査報告
US 9007521
’SA 44161