JPH0446759B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はオフセツト印刷機のブランケツト胴、
グラビア印刷機の版胴などの印刷機のシリンダ外
周面を洗滌する印刷機のシリンダ洗滌装置に係
り、特に印刷機のシリンダ外周面に軸中心線と平
行に形成されたシート部材巻込み用の溝内に洗浄
布に付着したインキ、紙等の異物が入り込むのを
防ぐのに好適な印刷機のシリンダ洗滌装置に関す
る。

〔従来の技術〕

以後の記述にはオフセツト印刷機のブランケツ
ト胴洗滌装置について述べるが、他の印刷機、例
えばグラビア印刷機の洗滌の場合も全く同様であ
る。オフセツト印刷機は通常第８図に示すように
構成されている。同図において、３本の円筒状の
版胴１、ブランケツト胴２および圧胴３がそれぞ
れ軸中心線を平行にして、かつ相互に当接可能に
配設されており、版胴１には振鉛またはアルミニ
ウムよりなる印刷版（図示せず）が、またブラン
ケツト胴２にはゴムなどよりなる薄板状のシート
部材であるブランケツト１５（第１０図参照）が
巻回されている。印刷版は表面が梨地状になつて
おり、水を反揆する性質を有する文字や画像の層
が形成されていて、この印刷版の表面に湿し装置
４により水を与えることにより、文字や画像の層
以外の印刷版の表面はぬれた状態になる。このよ
うな印刷版の表面にインキ着装置５により油性イ
ンキを塗布すれば、文字または画像の層の部分に
は水が付着していないので、インキが付着し、他
の部分は梨地面に保持された水分のためインキが
反揆されて付着しない。この印刷版上のインキを
ブランケツト１５上に転写し、ブランケツト胴２
と圧胴３との間を通る印刷用紙６上にさらに転写
することにより印刷が行なわれる。以上がオフセ
ツト印刷の原理である。

上記のように構成されたオフセツト印刷機にお
いて、ある時間印刷を継続するとブランケツト１
５上にインキが残留して累積されるため汚れてく
る。このため、第９図および第１０図に示すよう
なブランケツト１５の表面を洗滌する洗滌装置が
開発されている。同図において、印刷機本体の両
側のフレームに取付けられた１対のサイドプレー
ト７に１対の布供給ロール８および布巻取りロー
ル９がブランケツト胴２の軸中心線と平行に回転
可能に支持されている。そしてこれらのロール
８，９には帯状の洗滌布１０の両端が巻回されて
おり、所定の張力が与えられている。そして布巻
取りロール９は駆動装置（図示せず）により所定
の速度で間欠的に（２秒に１回）回転駆動され
る。ロール８，９間にはこれらのロール８，９の
軸方向と平行に、断面がほぼＴ字形のステー１１
が設けられており、両端はサイドプレート７に固
定されている。このステー１１のブランケツト胴
２に対向する部分は中空となつており、この対向
面には洗滌布１０の押圧手段である弾性部材より
なるプレツシヤパツド１２が気密に装着されてい
る。そしてステー１１の先端部とプレツシヤパツ
ド１２とにより形成される圧力室１３は外部に設
けられたコンプレツサ（図示せず）と接続されて
おり、空気が供給されるとプレツシヤパツド１２
が膨張して、このプレツシヤパツド１２外面を摺
動して移動する洗滌布１０をブランケツト胴２に
押圧するようになつている。そしてこの間にブラ
ンケツト胴２の外周面に巻回されたブランケツト
１５の表面を拭き取つて洗浄する。またブランケ
ツト１５の両端部は、ブランケツト胴２外周面に
軸中心線と平行に形成されたブランケツト巻込み
用の溝１６内に該溝１６に沿つて設けられた１対
のブランケツト巻込み軸１８に係止されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで第１１図に示すように、洗滌布１０に
よつて拭き取られたブランケツト１５の異物２０
は、プレツシヤパツド１２通過直後の洗滌布１０
にたまつて付着する。このような状態において、
ブランケツト胴２の溝開口部であるギヤツプ１６
ａがプレツシヤパツド１２を通過すると、洗滌布
１０に付着した異物２０が第１図ｂ，ｃに示すよ
うにギヤツプ１６ａ内に押し込まれて付着すると
いう問題がある。この問題を解決するためには、
洗滌作業中、洗滌布１０の汚れていない部分がギ
ヤツプ１６ａと当接するように洗滌布１０を巻取
りロール９によつて巻取る必要がある。

しかし、従来の洗滌装置では、洗滌布１０の巻
取りは、ブランケツト胴２のギヤツプ１６ａが洗
滌布１０と当接する周期と全く関係なく巻取られ
ており、洗滌布１０に異物２０がたまつている状
態でギヤツプ１６ａがプレツシヤパツド１２を通
過することが多い。そのためギヤツプ１６ａの汚
れが甚しく、印刷用紙６に異物２０が付着するこ
とがあり印刷性能を低下させるという問題があつ
た。そこで、ブランケツト１５の洗滌が終つた後
にブランケツト胴２の回転を止めて作業者が布な
どにより手作業でギヤツプ１６ａに入り込んだ異
物２０を拭き取つている。このように従来は手作
業によるギヤツプ１６ａの洗滌作業があるため多
くの労力と時間を要するという問題があつた。

なお、ブランケツト胴２の回転中にギヤツプ１
６ａを検知して、ギヤツプ１６ａが洗滌布１０に
近づいたとき、洗滌布１０をブランケツト胴２か
ら後退させるようにして、異物がギヤツプ１６ａ
内に入り込むのを防止することが考えられるが、
洗滌布１０を後退させるための装置が複雑にな
り、印刷機全体が大型化する欠点がある。

本発明の目的は、シリンダの外周面に形成され
たシート部材巻込み用の溝のギヤツプに異物が入
り込むのを防止し、しかも印刷機全体の大型化を
回避することができる印刷機のシリンダ洗滌装置
を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

かかる目的達成のため、本発明は、サイドプレ
ートにそれぞれ回転可能に支持された布供給ロー
ルと布巻取りロールとの間に懸架された帯状の洗
滌布と、前記巻取りロールを回転させ前記洗滌布
を巻取る巻取り機構と、外周面にシート状のシー
ト部材が巻回されかつ該シート部材の両端部巻込
み用の溝が形成された印刷機のシリンダと、該印
刷機のシリンダの外周面に前記洗滌布を押圧又は
離脱させる押圧手段とを備えた印刷機のシリンダ
洗滌装置において、前記溝のギヤツプが前記洗滌
布と当接する直前近傍に配置され、前記ギヤツプ
を検知する手段を含むギヤツプ検知部と、該ギヤ
ツプ検知部からの検知信号を取り込んで、前記ギ
ヤツプが前記洗滌布に当接する直前に前記巻取り
機構を駆動させる駆動制御部と、を設けたもので
ある。

〔作用〕

上記の構成によれば、ギヤツプが洗滌布と当接
する直前において、ギヤツプ検知部によりギヤツ
プの位置が検知され、この検知時に発する信号に
より駆動制御部が作動して布巻取りロールが回転
し洗滌布を巻取る。これによつて異物の付着した
洗滌布は布巻取りロール側に移動し、ギヤツプは
新鮮な洗滌布と当接する。従つて、異物がギヤツ
プに入り込むのを防ぐことができる。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示す実施例に基いて説明
する。

第１図は本発明の第１実施例に係り、同図にお
いて第８図から第１０図に示す従来例と同一又は
同等部分には同一符号を付して示し、説明を省略
する。

本実施例の特徴は溝開口部であるギヤツプ１６
ａの位置を検出するギヤツプ検知部２１を設けた
点にある。該ギヤツプ検知部２１はプレツシヤパ
ツド１２通過直後の洗滌布１０近傍に配置されて
おり、反射式のフオトセルを使用している。そし
て、ギヤツプ検知部２１からの検知時に発する信
号により、駆動制御部５１が作動し、該駆動制御
部５１により巻取り機構５２が駆動して布巻取り
ロール９を間欠的に回転させ洗滌布１０を巻取る
ように構成されている。

次に本発明の第１実施例の作用を説明する。

第１図ａに示すように洗滌時においては、洗滌
布１０はプレツシヤパツド１２によりブランケツ
ト１５表面に押圧され当接しており、この当接部
Ｐでブランケツト１５の表面を洗滌している。そ
して洗滌が進むに伴つてプレツシヤパツド１２通
過直後の洗滌布１０に付着する異物２０の集まり
が大きくなる。

このような状態において、ギヤツプ１６ａが洗
滌布１０の当接部Ｐ近傍に達すると、ギヤツプ１
６ａの位置がギヤツプ検知部２１によつて検知さ
れる。すると、ギヤツプ検知部２１からの検出信
号によつて駆動制御部５１が作動し、巻取り機構
５２が駆動して布巻取りロール９が図中反時計方
向に間欠的に回転し洗滌布１０を適当量（５〜
10m／ｍ）巻取り、これによつて当接部Ｐ近傍の
異物２０の付着している洗滌布１０が移動し、第
１図ｂに示すように新鮮な洗滌布１０がブランケ
ツト１５に当接するようになる。この状態でギヤ
ツプ１６ａが当接部Ｐを通過することにより、第
１図ｂ，ｃに示す如く、異物２０がギヤツプ１６
ａに入り込むことはない。

第２図および第３図は本発明の第２実施例に係
り、ギヤツプ検知部２１は近接センサ２２とセン
サドツグ２３とからなつている。近接センサ２２
は第１実施例と同様、プレツシヤパツド１２通過
直後の洗滌布１０近傍に配置されサイドプレート
７に固定されている。センサドツグ２３はギヤツ
プ１６ａ近傍のブランケツト胴２端面に固定され
ている。そしてセンサドツグ２３が近接センサ２
２に到達すると、該近傍センサ２２からの検出信
号により巻取りロール９が前述の如く回転する。
その他の構成および作用は第１実施例に示すもの
と同様である。なお、第２図および第３図におい
て、２５がブランケツト軸、２６は軸受である。

第４図および第５図は本発明の第３実施例に係
り、ギヤツプ検知部２１はリミツトスイツチ２８
とカム２９とからなつている。リミツトスイツチ
２８は第２実施例の近傍センサ２２と同様の位置
に配置されサイドプレート７に固定されている。
カム２９はブランケツト軸２５に固定されてお
り、その外周面に形成された凸部２９ａはギヤツ
プ１６ａ近傍に対向する位置に配置されている。
そして凸部２９ａがリミツトスイツチ２８の接点
２８ａに当接すると、リミツトスイツチ２８から
の検出信号により巻取りロール９が前述の如く回
転する。その他の構成および作用は第１実施例に
示すものと同様である。

第６図および第７図は本発明の第４実施例に係
り、ギヤツプ検知部２１は光電管センサ３１を使
用している。該光電管センサ３１は第１実施例と
同様、プレツシヤパツド１２通過直後の洗滌布１
０近傍に配置されており、サイドプレート７に取
り付けられた光電管取付け棒３２先端に固定され
た光電管取付け板３３と、該光電管取付け板３３
に固定された光電管発光部３５および光電管受光
部３６とからなつている。そして第７図ａに示す
ように、光電管発光部３５から発光した投射光３
８によるブランケツト１５表面からの反射光３９
が光電管受光部３６に受光されるように設定され
ている。第７図ｂは、ギヤツプ１６ａが当接部Ｐ
に接近した状態を示したもので、この状態では投
射光３８による溝１６底面からの反射光３９は光
電管受光部３６に受光されない。すると光電管受
光部３６からの信号により巻取りロール９が前述
の如く回転する。その他の構成および作用は第１
実施例に示すものと同様である。

〔発明の効果〕

上述のとおり、本発明によれば、異物の付着し
た洗滌布にギヤツプが当接する直前にギヤツプ検
知部により洗滌布を巻取り、常に新鮮な洗滌布と
ギヤツプが当接するようになつているので、ギヤ
ツプに異物が入り込むことなく印刷性能が向上す
る。またギヤツプの洗滌作業が不要となり、労力
と時間を節減できる。さらに、ギヤツプ検知部と
駆動制御部は主に電子部品で構成することができ
るので、印刷機全体が大型化するのを回避するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃは本発明の第１実施例に係る
洗滌作業時における作動状態を示す説明図、第２
図および第３図は本発明の第２実施例に係り、第
２図はギヤツプ検知手段に近接センサを設けた印
刷機のシリンダ洗滌装置の概略正面図、第３図は
第２図の−矢視概略側面図、第４図および第
５図は本発明の実施例に係り、第４図はギヤツプ
検知手段によりリミツトスイツチを設けた印刷機
のシリンダ洗滌装置の概略正面図、第５図は第４
図の−矢視概略側面図、第６図および第７図
は本発明の第４実施例に係り、第６図はギヤツプ
検知手段に光電管センサを使用した印刷機のシリ
ンダ洗滌装置の概略正面図、第７図ａ，ｂは第６
図に示すもののギヤツプ検知装置の作動状態を示
す概略側面図、第８図はオフセツト印刷機の概略
構成を示す側面図、第９図は従来のブランケツト
胴洗滌装置の斜視図、第１０図は第９図の断面
図、第１１図は第９図に示すものの洗滌作業時に
おける作動状態を示す説明図である。 １……印刷機のシリンダの一例であるブランケ
ツト胴、７……サイドプレート、８……布供給ロ
ール、９……布巻取りロール、１０……洗滌布、
１２……洗滌布の押圧手段であるパレツシヤパツ
ド、１５……シート部材の一例であるブランケツ
ト、１６……シート部材巻込み用の溝、１６ａ…
…溝開口部であるギヤツプ、２１……ギヤツプ検
知部、２２……近接センサ、２２……リミツトス
イツチ、３１……光電管センサ、５１……駆動制
御部、５２……巻取り機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ サイドプレートにそれぞれ回転可能に支持さ
   れた布供給ロールと布巻取りロールとの間に懸架
   された帯状の洗滌布と、前記布巻取りロールを回
   転させ前記洗滌布を巻取る巻取り機構と、外周面
   に薄板状のシート部材が巻回されかつ該シート部
   材の両端部巻込み用の溝が形成された印刷機のシ
   リンダと、該印刷機のシリンダの外周面に前記洗
   滌布を押圧又は離脱させる押圧手段とを備えた印
   刷機のシリンダ洗滌装置において、前記溝のギヤ
   ツプが前記洗滌布と当接する直前近傍に配設さ
   れ、前記ギヤツプを検知する手段を含むギヤツプ
   検知部と、該ギヤツプ検知部からの検知信号を取
   り込んで、前記ギヤツプが前記洗滌布に当接する
   直前に前記巻取り機構を駆動させる駆動制御部
   と、を設けた印刷機のシリンダ洗滌装置。 ２ 前記ギヤツプ検知手段が近接センサである特
   許請求の範囲第１項記載の印刷機のシリンダ洗滌
   装置。 ３ 前記ギヤツプ検知手段がリミツトスイツチで
   ある特許請求の範囲第１項記載の印刷機のシリン
   ダ洗滌装置。 ４ 前記ギヤツプ検知手段が光電管センサである
   特許請求の範囲第１項記載の印刷機のシリンダ洗
   滌装置。