JPH0446271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えば使い捨てカメラのようなメー
カー側によつてフイルムが装填され、ユーザーは
直ちに撮影を行えばよいような簡易なカメラに用
いられる135タイプフイルム用光密容器に関する
ものである。

〔従来の技術〕 35mmフイルムと呼ばれるロールフイルムJ135
（JISK7519）はロールフイルムJ135用のパトロー
ネ（JISK7528）に光密状態に収納され、適宜の
カメラに装填されて使用に供される。

一方、前記フイルムを使用するカメラの１つの
形式は、露光とフイルム巻上げ操作とをくり返し
て順次撮影を行い、撮影終了後、巻戻し装置を操
作して巻取り軸上に巻きつけられている露光済み
フイルムをパトローネ内に巻戻した後、裏蓋を開
けて前記パトローネを取り出す。

又、他の形式のカメラにおいては、フイルム装
填後、撮影操作に先立つて巻取軸上にフイルムを
巻上げてしまい、以後、パトローネ内に一駒ずつ
フイルムを巻戻しながら撮影を行い、撮影終了
後、裏蓋を開けて前記パトローネを取り出す。

このように、上記いずれの形式のカメラにおい
ても、35mmフイルムを使用する以上、使用者がフ
イルムをカメラ内で往復給送させる必要があり、
そのためにフイルム巻戻し装置は不可欠なもので
あつた。

一方、近年、叙上のような巻戻し装置を必要と
せず、かつ、安価な使い捨てカメラが提案され、
実用化されるに至つているが、これは110タイプ
のフイルムを収納したカートリツジを使用するも
のであり、カメラ自体はその種タイプの従来カメ
ラの延長線上に存在するものである。

そして、前記形式のフイルムでは１駒の面積が
小さいために35mmフイルム（以下、135タイプフ
イルムあるいは135フイルムと言う）のフルサイ
ズ画面（24mm×36mm）で撮影した画像と引き伸ば
したプリント画像で比較した場合、鮮鋭性、粒状
性等の点で劣ることは免れ得ない。

上記点を改良するために135フイルムをカート
リツジ化することも考えられるが、遮光のための
裏紙を排除することができないのでフイルム収納
作業効率が悪いとか、フイルム収納室として大き
な容積を必要とし、結果としてカメラ外形の大型
化を招いてしまい、カートリツジが有する不具合
さを解消し得ないという別な問題が残る。

更に、フイルム処理装置との兼ね合いで考える
と次のような問題も存する。

設置面積が小さいこと、処理本数が少なくても
効率のよい処理が行えること等から無水洗・無配
管型のコンパクトラボシステムが市場に出回つて
いることは周知の通りである。

そして、特にこのようなシステムを構成するフ
イルム自動現像機においては、パトローネから突
出された135フイルムの一端部をシヨートリーダ
ーに結合せしめた状態でパトローネをフイルム装
填部に設けた収納部に保持される形態を有しては
いるもののカートリツジを同じように取り扱える
ようには構成されていない。

これは、使用されるフイルムの主流がパトロー
ネ入り135タイプフイルムであり、その使用量に
比して、カートリツジ形式の135タイプフイルム
は存在しないこと、また110タイプフイルムのカ
ートリツジ式の使用量が極めて少いことに基因す
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、現在使用されるフイルムの主流がパ
トローネ入り135タイプフイルムであつて、フイ
ルムの現像処理等を行う処理装置もパトローネ入
りの135タイプフイルムを対象として処理を行う
ように構成されている実情にふまえて、例えば使
い捨てカメラのような巻戻し機構を有しない簡易
なカメラに装填使用することを可能とした135フ
イルム用光密容器を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕 上記目的は、内部を光密としてフイルム係止用
の回動可能の軸を設けたフイルム収納室と、135
タイプフイルム用パトローネを取付けるパトロー
ネ把持部と、前記フイルム収納室と前記パトロー
ネ把持部とを接続して一体化するフイルム保護部
とよりなり、前記フイルム収納室の前記フイルム
保護部との接続部分にはフイルム引き出し口を設
け、前記フイルム保護部はカメラ本体側に設けら
れる露光枠を覆うようにするとともに前記露光枠
と対向する部分は開口し、前記パトローネ内の未
露光フイルムは前記フイルム収納室内の前記軸に
一旦巻回されたのち、撮影に伴つて前記フイルム
収納室内のフイルムは前記パトローネ内に巻取ら
れるよう構成したことを特徴とする135タイプフ
イルム用光密容器によつて達成される。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１図ないし第６図に示
す。

第１図、第２図および第３図は本考案による
135タイプフイルム用光密容器の背面、正面およ
び上面の各図を、また第４図および第５図は前記
光密容器の矢示AAおよび矢示BBの各断面を示
したものである。

前記光密容器は局部的に弾性を備えられるよう
合成樹脂等により一体に成形されたフイルム収納
室とフイルム保護部とパトローネ把持部とから成
る本体部とそれに該パトローネ把持部に取付られ
るJ135用パトローネ（JISK7528、以下単にパト
ローネと称す）とによつて構成される。

図において１はフイルム収納室で上部に弾性に
より着脱可能なキヤツプ１Ａを備え、該キヤツプ
１Ａと底部の各軸受穴の間にフイルム係止用の軸
１Ｂを回動自在に支持している。

２はパトローネ把持部で上下の対称位置に円弧
形で弾性状の突起部２Ａを設けていて２つの該突
起部２Ａの間に前記パトローネＰを圧入して保持
させまた逆に弾性に抗して取外すことも出来るよ
うになつている。

３は前記フイルム収納室１と前記パトローネ把
持部２とを接続して一体化するフイルム保護部で
あつてカメラ本体側の露光枠より若干長くつくら
れていて前記フイルム収納室１との接続部分に該
フイルム収納室１のフイルム引き出し口１Ｃを設
けている。なお該フイルム引き出し口１Ｃには前
記パトローネＰにある如く引き出されるフイルム
の遮光と保護を兼ねるテレンプが取付られてい
る。

前記光密容器に対してロールフイルムJ135（JIS
K7519、以下単にフイルムと称す）Ｆは次に記す
手順により装填される。

前記フイルムＦと前記パトローネＰには市販形
態のパトローネ入り35mmフイルムの使用が可能で
予め暗室もしくは光密装置内においてその全長が
引き出され乳剤面を内側にして前記軸１Ｂに巻回
された状態にて前記フイルム収納室１に収められ
たのち該フイルム収納室１に対する前記キヤツプ
１Ａの装着により光密状態に保たれる。

なお本実施例ではフイルム収納室１とフイルム
保護部３とは同一の樹脂部材をもつて構成してい
るが、フイルム収納室１を金属構造とし、接着剤
等を用いてフイルム保護部３と一体化することも
可能である。

さらにこの状態から明室において前記パトロー
ネＰを光密容器の前記パトローネ把持部２に装着
すると前記フイルム収納室１に収められたフイル
ムＦはその一部が前記フイルム保護部３の前面に
引き出され乳剤面を外向にして位置される。

従つてこの状態にある光密容器はカメラに装填
して２枚程度の空撮影を行うのみにてフイルムＦ
の未露光部分が前記フイルム保護部３の前面に位
置して撮影が可能となりまた撮影終了時には有効
画面部分はすべて前記パトローネＰ内に巻取られ
ているので該パトローネＰを前記フイルム把持部
２より取外すことにより一般のカメラ同様フイル
ムＦをパトローネＰに収めた状態として処理に移
すことが可能となる。

前記光密容器は第５図に示す要領にてカメラに
装填される。

前記光密容器をカメラ本体の光密容器室内に収
め裏蓋を閉じると裏蓋の圧着バネの押圧により前
記フイルム保護部３の上下の側縁部がカメラ本体
側のおよびのレール面に押圧され同時にフイ
ルムＦの上下部分がおよびのレール面に対面
する。

周知の如くおよびのレール面とおよび
のレール面の間には光軸方向に所定の小さな段差
を設けているのでフイルムＦはこの段差間に収め
られて平面性を保つと同時に巻取りに伴う摺動、
移送を容易なものとしている。

なお前記フイルムＦを移送するためあるいは該
フイルムＦの移送に従動して回転するスプロケツ
ト歯車の歯先に相当する位置にはフイルム保護部
３に凹部３Ａが設けられていてスプロケツト歯車
がフイルムＦのパーホレーシヨンに充分な深さで
噛合出来るようになつている。なお本実施例では
フイルム保護部３に片側にのみ凹部３Ａを設けて
あるが、他の側のパーホレーシヨン対応位置にも
凹部を設けてあることが望ましい。

第６図は前記光密容器を使用するフイルム一体
型カメラの一例を示したものである。

参照数字１０はカメラ本体ともいうべき第１ユ
ニツトでフイルム巻上機構等を備えている。２０
および３０は前記第１ユニツト１０を覆い、か
つ、該ユニツト１０に対して一体不可分に結合さ
れる第２ユニツト（以後、前面側外枠という場合
がある）および第３ユニツト（以後、背面側外枠
という場合がある）である。前記全てのユニツト
は樹脂により形成されている。

本明細書において、「一体不可分」なる語は、
前記ユニツトが組込まれ（結合され）、カメラの
体裁をなしている状態において、無理な力が加え
られない限り、それらユニツトが分離しないよう
に結合されている態様を意味するものとして使用
される。

前記第１ユニツト１０には露光部である画面枠
１３を挟んで光密容器室１１と１２が設けられて
いて第１図ないし第５図に示した光密容器を装填
した場合前記フイルム収納室１が前記光密容器室
１２に、またパトローネ把持部２に保持された前
記パトローネＰが前記光密容器室１１に収められ
同時に前記フイルム保護部３の前面が前記画面枠
１３の上下に相対して形成したレール面１４の表
面に当接されるようになつている。

前記第１ユニツト１０にはフイルム巻上機構が
組込まれ装填した光密容器の保持するパトローネ
ＰのスプールＳに係脱可能な巻上軸１５を備えて
いて該巻上軸１５と一体の巻上ノブ１６を反時計
方向に回転することにより前記フイルム収納室１
内のフイルムＦを前記パトローネＰ内に巻取るよ
うになつている。

また、前記第１ユニツト１０には前記フイルム
Ｆのパーホレーシヨンに歯合するスプロケツト歯
車１７が設けられていて前記巻上ノブ１６の回転
に伴うフイルムＦの移送により前記スプロケツト
歯車１７が従動回転して内蔵するシヤツタチヤー
ジ機構のセツトを行うようになつている。

このようにカメラの主要機能を組込んだ第１ユ
ニツト１０の前面には第２ユニツト２０が取りつ
けられる。又、第１図に示す光密容器に収めたフ
イルムＦを装填したのちの第１ユニツト３０が取
付けられ、カメラとしての外観が形成され、一
方、前記フイルムＦは遮光状態に保たれる。

すなわち前記第２ユニツト２０および前記第３
ユニツト３０にはそれぞれの左右の内側面上下に
突起２１および３１が備えられており、また、前
記第１ユニツト１０にも前記夫々の突起と対応す
る位置に嵌合孔１８および１９が備えられてい
て、圧入により相互に係合して一体化される。

同時に前記第２ユニツト２０の周縁部に連続し
て形成された壁２２が前記第３ユニツト３０の周
縁部に相対するよう連続して形成した溝３２に入
りこみ、遮光壁が構成されるので前記フイルムＦ
は遮光状態に保たれるようになつている。

上記構成を有するフイルム一体型カメラの外形
寸法は、巾120mm、高さ55mm、奥行35mm程度のコ
ンパクトなものである。

また前記第３ユニツト３０はその内面に圧着バ
ネ３３を取付けていて前記第１ユニツト１０に装
填された光密容器を背面より押圧してフイルム保
護部３の前面を第１ユニツト１０のレール面１４
に圧接させフイルムＦを撮影レンズの焦点面に設
定させるようになつている。

なお光密容器の前記フイルム収納室１に収める
末露光のフイルムＦを前記軸１Ｂを用いずブル巻
状態にて収容することも可能であるが、この場合
には当然前記フイルム収納室１底部の軸受穴は廃
止されまた同じく軸受穴の開口していないキヤツ
プが使用される。

〔考案の効果〕

本考案による光密容器は、135タイプフイルム
を対象とし、カートリツジタイプのもつているカ
メラへの装填の容易なことと、撮影状態の画面位
置にあるフイルムを除いては光密を保持するとい
う特長を有するようにした光密容器であつて、か
つ裏紙を用いないことでスペースをとらない小型
形状のカートリツジタイプの光密容器を提供した
ものである。また撮影終了後はカメラから取り出
されたカートリツジタイプの光密容器から容易に
撮影済みフイルムを内蔵したパトローネを分離可
能としたもので、本考案によつて従来圧倒的に普
及しているラボ（フイルム現像）システムに影響
を与えることなく、かつ135タイプフイルムを用
いた簡易な構造のカメラを実現することを可能と
する効果を有した135タイプフイルム用光密容器
を提供したものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の135タイプフイルム用光密容
器の背面図、第２図はその正面図、第３図はその
上面図および第４図はその断面図である。第５図
は前記光密容器のカメラ本体に対する取付態様を
示す断面構成図。第６図は前記光密容器を使用す
るフイルム一体型カメラの展開斜視図。 １……フイルム収納室、１Ａ……キヤツプ、１
Ｂ……軸、１Ｃ……フイルム引き出し口、２……
パトローネ把持部、２Ａ……突起部、３……フイ
ルム保護部、３Ａ……凹部、Ｐ……パトローネ、
Ｓ……スプール、Ｆ……フイルム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内部を光密としてフイルム係止用の回動可能の
   軸を設けたフイルム収納室と、135タイプフイル
   ム用パトローネを取付けるパトローネ把持部と、
   前記フイルム収納室と前記パトローネ把持部とを
   接続して一体化するフイルム保護部とよりなり、
   前記フイルム収納室の前記フイルム保護部との接
   続部分にはフイルム引き出し口を設け、 前記フイルム保護部はカメラ本体側に設けられ
   る露光枠を覆うようにするとともに前記露光枠と
   対向する部分は開口し、 前記パトローネ内の未露光フイルムは前記フイ
   ルム収納室内の前記軸に一旦巻回されたのち、撮
   影に伴つて前記フイルム収納室内のフイルムは前
   記パトローネ内に巻取られるよう構成した ことを特徴とする135タイプフイルム用光密容器。