JPH0445954B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は誘導加熱原理を応用した誘導加熱調
理器に関するものである。

従来の技術 従来のこの種の誘導加熱調理器は第６図のよう
な構成となつている。すなわち、筐体１とセラミ
ツク板などの非金属板である一枚の天板２とで内
部部品を収納・固定している。内部部品としては
誘導加熱するための円板状加熱コイル３及びその
加熱コイルを駆動するスイツチング素子４、制御
回路５、冷却用フアンモータ６がある。調理用金
属製鍋７は、加熱コイル３と対向すべく天板２の
上に置かれて加熱される。

発明が解決しようとする問題点 しかし、このような構造のものではスイツチン
グ素子４や加熱コイル３のように自己発熱するも
のの外に、天板２を介して調理鍋７からの熱が筐
体１内にこもり、部品の温度定格を超えるので、
冷却用フアンモータ６を設け内部部品の発熱を機
体内へ排出すると共に、天板２の内面に沿つて風
を流し、鍋７からの伝道・輻射熱も遮熱してい
た。従つて、せつかく加熱した鍋底を天板を介し
て冷却する訳であり熱効率が低下するという結果
をまねくと共に、機体外に不快な温風が排出され
るため、使用者が不快感をおぼえたり、テーブル
面を熱くする弊害があつた。又、天ぷらなどの高
温調理時にも内部部品の温度定格を守るため、冷
却フアンモータ６の能力に大きなものが求められ
騒音が高いという問題点もあつた。

本発明は上記問題点に鑑み、鍋からの熱伝導が
少ない誘導加熱調理器を提供するものである。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決する本発明の技術的な手段
は、上記天板を中空層で形成し、この中空層で分
割された加熱コイル側天板の一面に反射層を形成
した構成である。

作 用 この技術的手段による作用は次のようになる。

すなわち、天板に中空層を設けるために、鍋底
からの熱伝導が中空層によつてさえぎられるので
機体内部には熱伝道しにくく、内部部品の冷却の
ためにフアンモータをいたずらに大きくする必要
がない。特に誘導加熱された熱源は鍋底であり天
板の上面に置かれているので、中空層の対流は極
めておこりにくい状態にあるので大きな断熱効果
が得られる。また、中空層で分割された加熱コイ
ル側天板の一面に反射層を設けたので、中空層で
弱められた輻射熱を反射でき、また反射層の二次
放射も抑制でき、筐体内の温度上昇を効果的に抑
制できる。

実施例 以下、本発明の一実施例を添附図面にもとづい
て説明する。第１図において、筐体１の天板部は
二枚の非金属板２ａ，２ｂとその二枚で形成され
る中空層８で構成されている。従つて、上部の天
板２ａの表面は鍋７の底に接しているのでほぼ
130℃〜250℃の調理上要求される温度になるが、
中空層８の上部へ熱伝導するものの上部を熱する
ので対流は起こらず中空層８は静止したままであ
る。従つて下部の天板２ｂの表面温度（機体内
部）は、第６図の様な一枚の場合に比べて大きく
低下する。

従つて、筐体１内部での損失が同一であつても
鍋７からの熱伝導を少なくすることができるので
冷却用フアンモータ６の能力を低くしたり、極端
には廃止することが可能となり、効率の向上、低
騒音化、快適な調理を図ることができる。

第２図は誘導加熱調理器の一般的な電気回路図
を示す。

商用電源１０に静止電力変換装置２０は接続さ
れていて、第１図の筐体１内に収納・固定されて
ある。静止電力変換装置２０は以下の構成であ
る。すなわち商用電源１を全波整流器１１で整流
後、コンデンサ１２，１４及びチヨークコイル１
３で平滑後、加熱コイル３と共振コンデンサ１５
の並列共振回路をスイツチング素子であるトラン
ジスタ４とフライホイールダイオード１６の逆並
列回路で励振する接続であり、制御回路５の駆動
信号によりトランジスタ４はそのオンオフを制御
される。この構成でトランジスタ４、コイル４，
１３、整流器１１の自己損失が大きいがスイツチ
ング素子にはFETなどの低損失素子の採用によ
り低下することが可能である。又コイルや整流器
について線径を大きくしウエハー面積を増加させ
ることが可能であるので自己発熱を低下すること
は技術的に問題は少ない。従つて、第１図の天板
構成による鍋からの熱の遮断は大きな効果を生
む。

第３図に第２の実施例の天板構成を示す。

二枚の天板２ａ，２ｂの間には複数のしきり板
２ｃが配設されていて、上下二枚の天板２ａ，２
ｂの間かくを一定に保つと共に、機械的強度の向
上を図つたものである。この場合にあつても中空
層８を断熱層として作用するが、しきり板２ｃを
介して二枚の天板２ａ，２ｂ間に若干の熱伝導が
行なわれる。しかし、天板間の距離を確保できる
構成であるため、天板２ａが薄さや強度面で不十
分であり鍋７を置いた時に二枚の天板間の距離が
狭くなり断熱が不完全になる場合には効果的であ
る。

第４図に中空層を設けた天板に反射層を設ける
構成について示している。天板には鍋底の高温に
耐え、機械的強度を有する非金属が求められる
が、その最適な材料としてはセラミツク板があ
る。しかし赤外線の透過率が高いために、湯沸し
などの場合はともかく、鉄板焼きや天ぷらなどの
高温料理に際しては輻射により機体内部の温度が
上昇する場合がある。そこで下部の天板２ｂの上
面に酸化錫や酸化インジウムなどの蒸着膜を形成
し錫底からの輻射熱を反射することで機体内部の
温度上昇を防止すると共に、鍋底へ放射すること
で少しでも熱効率を高めることができる。上部の
天板２ａのみに反射層を形成した場合、伝導熱に
よりその反射層自体が温度上昇するので、反射層
から下方へ赤外線が二次放射され効果は弱い。従
つて、本発明の如く二枚の天板構成をとることに
より、赤外線反射層を下方の天板の少なくともい
ずれか一面に形成でき、それ自体の温度は断熱構
造で十分低いので反射効果が大きい。

以上、中空層については空気層で説明を加えて
来たが、断熱という目的上、真空層であつても何
らさしつかえない。又、空気層を多量に含んだ発
泡材であつても効果は同様である。また上記実施
例では中空層を二枚板にて形成したが、これに限
定されるものでなく、第５図に示すように加熱コ
イル３と相対する天板部を中空状としても本発明
の効果を達成するものである。

発明の効果 本発明は天板を二枚の非金属板と中空層で構成
するので鍋からの熱伝導が少ないため内部部品の
温度をいたずらに上昇させることがない。

従つて、以下の効果を奏する。

１ 冷却用フアンモータを小型又は廃止できるの
で小型、軽量、低コスト化が図れる。

２ 騒音が低くなり快適さが向上する。

３ 鍋からの熱放散が減るので熱効率が向上す
る。

４ 加熱コイル側天板に反射層を設けたので、輻
射熱による筐体内の温度上昇を抑制でき、また
反射層からの二次放射も抑制でき、反射層を介
して輻射熱が筐体内に放射されるのを抑制でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２
図は同回路図、第３図、第４図、第５図は本発明
の他の実施例を示す要部断面図、第６図は従来例
を示す断面図である。 １……筐体、２ａ，２ｂ……天板、３……加熱
コイル、４……トランジスタ、８……中空層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加熱コイルとそれを駆動するスイツチング素
   子を有する静止電力変換装置と、その静止電力変
   換装置を収納する筐体と、この筐体の上面を覆設
   する天板を備え、前記天板は、少なくとも加熱コ
   イルと相対する部分を中空層とし、この中空層で
   分割される加熱コイル側天板の少なくとも一面に
   反射層を形成してなる誘導加熱調理器。