JPH0445488B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（技術分野） 本発明は、ペントキシフイリンを配合してなる
養毛化粧料に関し、詳しくは、頭皮の血行を持続
的に促進し育毛効果、脱毛予防効果及びふけ防止
効果に優れた養毛化粧料に関する。 （従来の技術） 従来より、トウガラシチンキ、センブリエキ
ス、朝鮮ニンジンエキス、ニコチン酸、ニコチン
酸メチル等の頭皮の血行促進物質を配合してなる
養毛化粧料は知られている。 しかし、これらの血行促進物質は、皮膚刺激が
強くその配合量に制約が生じるものであつたり、
血行促進作用が短時間に減少するものまたは血行
促進作用が弱いものであり、育毛、脱毛防止、ふ
け防止等の効果を充分に発現する程に有効なる物
質ではなかつた。 （発明の開示） そこで本発明者等は、養毛化粧料に配合して有
効なる血行促進物質に関して鋭意研究した結果、
ペントキシフイリンを配合してなる養毛化粧料
は、皮膚刺激性が低く頭皮の血行を持続的に促進
し、育毛、脱毛予防及びふけ防止等に優れた効果
を有することを見出し本発明を完成するに至つ
た。 （発明の目的） 即ち、本発明の目的は、頭皮の血行を持続的に
促進し、育毛、脱毛及びふけ防止等の効果に優れ
た養毛化粧料を提供するにある。 （発明の構成） 本発明は、ペントキシフイリンを配合してなる
養毛化粧料である。 （構成の具体的な説明） 本発明に用いるペントキシフイリン公知の物質
であり、化学構造等は下記の通りである。 (1) 構 造： (2) 化学名：１−（５−オキソヘキシル）テオブ
ロミン １−（５−oxohexyl）theobro−mine (3) 分子式：C₁₈H₁₈N₄O₈ (4) 分子量：278.31 (5) 融 点：104〜106℃ 本発明に用いるペントキシフイリンを養毛化粧
料中に配合し、頭皮に塗布した場合には、速に皮
膚に吸収され、頭皮内における該薬物の有効濃度
を持続するものであり、かつ皮膚刺激性も低い (1) 血球の変形態を防止し、 (2) 頭皮の微小血流を円滑に促進し、 (3) 頭皮組織を賦活し、 (4) 脱毛を防止し、 (5) ふけを防ぐ という薬理効果を頭皮局所において発揮する。ま
た、本発明に用いるペントキシフイリンは頭皮細
胞中のATP及びサイクリツクAMPの増加させる
ことによる皮膚の代謝改善効果をも有している。
この持続的な血行促進作用が、毛母細胞を不活し
て優れた育毛、脱毛予防効果を発現し、更には頭
皮代謝機能を正常化してふけ防止効果を高めるも
のと推察される。 ペントキシフイリンの配合量は、本発明の養毛
化粧料の組成物の全重量に対して0.05〜1.0重量
％（以下wt％と略記する）であればよく、好ま
しくは0.1〜0.7wt％である。配合量が0.05wt％未
満では、本発明の目的とする効果に充分でなく、
一方1.0wt％を越えても、その増加分に見合つた
効果の向上は望めないものである。 本発明の養毛化粧料は、常法に従つて、ヘアー
トニツク、ヘアーローシヨン、ヘアークリーム等
の剤型にすることが可能である。 本発明の養毛化粧料には、色素、香料、殺菌
剤、防腐剤、角質溶解剤、抗アンドロゲン剤、養
毛剤、抗酸化剤等を本発明の目的を達成する範囲
内で適宜配合することができる。 （実施例） 以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳
説する。 尚、実施例に記載の皮膚血流量試験法、マウス
毛成長促進効果試験法、ヒト頭髪毛成長促進効果
試験法及び実用試験法を下記に示す。 (1) 皮膚血流量試験 ニユージーランドホワイト系家兎３羽の腹部を
刈毛し、18時間絶食させた後、ペントバルビトー
ルのナトリウム塩を35mg／Kgの割合で静脈注射し
麻酔処置する。家兎の背部を固定し、プレートタ
イプトランスジユーサーを腹部の試料塗布部位
（試験部位）上にセロフアンテープでとめ、交叉
熱電堆式皮膚血流計（シンエイ社製シンコーダ
ー、201型）を用いて皮膚血流量（μV）を測定す
る。 試料は３×２cmの皮膚部位に対して0.1ｇを均
一に塗布し、試料塗布前の血流量（C_B）と試料
塗布後一定時間後（0.5、1.0、2.0時間後）の血流
量（Ct）を測定し、下記の式により血流量増加
率（％）を算出する。 試験結果は３羽の血流量増加率の平均値で示し
た。 血流量増加率（％）＝Ct−C_B／C_B×100 クリーム基剤を試料として塗布した場合でも５
〜20％程度の血流量増加率が認められるが、血行
促進作用の顕著な成分を配合した試料を塗布した
ときは、40〜80％のごとく増加率は高くなる。 (2) マウス毛成長促進効果試験 ddY系白色マウス（雄・６週齢・平均体重35
ｇ）の尾部よりの背部皮膚を電気バリカンで刈つ
た後、脱毛クリームにより完全に除毛し、翌日よ
り実施例及び比較例の各試料を被験部皮膚に毎日
朝夕２回、一匹当り0.1ml塗布した。一試料に対
して動物は一群10匹使用した。 養毛効果の判定は、下表に示す判定基準による
肉眼判定の評価点と、毛長、毛重量を対照群と比
較することにより行つた。 実験開始後15日目に動物を屠殺し判定基準によ
り肉眼判定し、その評価点を合計し、一匹当りの
平均評価点を求めた。さらに、被験部の皮膚を切
除し、直径12mmのパンチで一定面積の皮膚を打ち
抜き乾燥した後、毛の重量を測定し、その中の20
本の毛の長さについても測定し、各々の平均値で
示した。

【表】 (3) ヒト頭髪毛成長促進効果試験 男性型脱毛症患者である被試験者10名の頭部の
耳の上５cmの位置の頭髪の左右２ヶ所に於て直径
１cmの円形状に剃毛した被験部位に、実施例また
は比較例の試料を左側に毎日朝夕２回、約３ml塗
布し、無処理の右側と比較した。効果の判定は、
試験開始後28日目に、左右の被験部位の毛髪各々
20本ずつを剃毛し、左側（実施例または比較例を
塗布）の毛20本の長さの平均値(B)を右側（無処
置）の毛20本の長さの平均値(A)で除した値を求め
て評価した。 判定結果は、被試験者10名の(B)／(A)の平均値で
示した。 (4) 実用試験 男性型脱毛症患者である被試験者20名の頭部に
毎日朝夕２回、連続６ヶ月間塗布した後の効果を
評価した。試験結果は、育毛効果、脱毛予防効
果、ふけ防止効果の各項に対して、「生毛が剛毛
化した或いは生毛が増加した」、「脱毛が少なくな
つた」、「ふけが少なくなつた」と回答した人数で
示した。 実施例１〜４、比較例１〜４ 〔オイリーヘアートニツク〕 下記の原料組成に於いて、第１表に記載のごと
く各種頭皮血行促進物質を配合して各々のヘアー
トニツクを調製し、前記の諸試験を実施した。 尚、皮膚血流量試験では試料塗布0.5、1.0、2.0
時間後の各々の血流量増加率を測定した。

【表】 (2) 調製法 (A)成分の内、トウガラシチンキを(C)成分中に
溶解し、他の成分を(B)成分中に溶解して、(B)、
(C)成分を各々均一に溶解した。次いで(B)成分と
(C)成分を混合撹拌分散した後容器に充填する。
使用時には内容物を均一に振盪分散して使用す
る。 (3) 特 性 各オイリーヘアートニツクの諸試験を実施し
た結果を第１表右欄に記載した。 第１表に示すごとく、比較例１〜４は血流量
増加率が低いかまたは時間を経るに従つて血流
増加率が低減するものであつた。また、比較例
２〜４は皮膚刺激があり、ヒト皮膚での試験は
不可能であつた。 実施例１〜４の本発明の養毛化粧料は諸試験
の総てに亘つて明らかに良好な結果を示した。 尚、実施例１〜４はヒト皮膚での諸試験に於
いて皮膚刺激は生じなかつた。 実施例５〜７、比較例５〜７ 〔ヘアークリーム〕 実施例１と同様にして各々のヘアークリームを
調製して諸試験を実施し、その結果を第１表右欄
に記載した。

【表】 (2) 調製法 (A)成分の内、トウガラシチンキを(C)成分中に
溶解し、他の成分を(B)成分中に溶解或いは分散
して、(B)、(C)成分を各々温度80℃に加熱溶解し
た次いで、(B)、(C)成分を混合した後、撹拌しつ
つ冷却して温度50℃になつたところで(D)成分を
加え、更に温度を30℃まで撹拌を続けて各ヘア
ークリームを調製した。 (3) 特 性 第１表に示すごとく、本発明の養毛化粧料で
ある実施例５〜７の養毛化粧料は、比較例５〜
７と比較して持続的な血流料増加率を示すと共
に諸試験に於て優れた効果を示し、ペントキシ
フイリンの配合量は0.05〜1.0wt％の範囲で本
発明の目的を達成し得るものであつた。

【表】 （発明の効果） 以上記載のごとく、本発明は、頭皮の血行を持
続的に促進し、育毛、脱毛予防及びふけ防止等の
効果に優れると共に、皮膚刺激の無い養毛化粧料
を提供することは明らかである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ペントキシフイリンを配合してなる養毛化粧
   料。