JPH0445037Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は誘導溶解炉の炉蓋に取付けた放射温度
計の支持構造の改良に関するものである。

一般に誘導溶解炉の運転において、溶湯の温度
管理は極めて重要で、溶解材料の品質や、耐火材
の寿命、および電力の有効活用による省エネルギ
ー等に大きな影響を与えるものである。

溶湯の温度を測定する方法としては、従来、光
高温計、浸漬形温度計などにより間欠的に測定す
る方法が行なわれていたが、近年放射温度計を用
いて、溶湯温度を連続的に測定する方法が採られ
るようになつてきた。この放射温度計は、炉蓋に
測定孔を開孔し、これを臨むように取付座を設
け、この取付座に放射温度計を設置し、これに接
続された総合変換器、指示警報計、または記録
計、記録警報計により溶湯温度を連続的に測定す
るものである。

従来の放射温度計は、溶解材料の装入時や、溶
解時には、溶解材料に付着した水分や異物がガス
化し、粉じんと共に炉蓋に開孔した測定孔から噴
出し、放射温度計のカバーグラスを汚染して正確
な測定ができなくなるため、溶湯になつてから取
付座にセツトして温度測定を行い、また出湯前に
取外して使用されていた。

このため、誘導溶解炉への溶解材料の装入、溶
解時および炉体傾動出湯時には、その度に放射温
度計を取付座から取外さなければならず、溶湯の
連続的な温度測定ができるものの、作業能率が悪
い欠点があつた。

本考案は、従来の欠点を除去して、放射温度計
を保護しながら、常時炉蓋の取付座に支持させて
作業能率の向上を図つた誘導溶解炉の放射温度計
支持構造を提供することを目的とするものであ
る。

以下本考案の一実施例を第１図乃至第７図を参
照して詳細に説明する。

誘導溶解炉１は第１図に示すように耐火材で形
成された溶解室２の外周に誘導コイル３が巻回さ
れ、この底部が炉底耐火材４で支持されていると
共に、全体が炉枠５で囲まれている。溶解室２の
上部には、耐火材で形成された炉蓋６が回動自在
に取付けられ、この炉蓋６の中央部に測定孔７が
開孔されている。

この測定孔７を臨むように炉蓋６の上部に放射
温度計８が取付けられている。この放射温度計８
の支持構造は第２図および第３図に拡大して示す
ように構成されている。

取付座９は、測定孔７の上部を囲むように炉蓋
６に固定された下部の円形リング１０ａと、放射
温度計８を取付ける上部の円形リング１０ｂと両
円形リング１０ａ，１０ｂを間隔をおいて連結す
るボルト１１、六角ナツト１２および円筒スリー
ブ１３とで構成されている。

１４は取付座９に水平に取付けられた案内座で
下部の円形リング１０ａとの間に六角ナツト１２
を介して取付けられ、炉蓋６の上部との間に〓間
１５が形成されている。この案内座１４は第４図
に示すように一方側が円孔１６とボルト孔１７を
開孔した半円形状をなし、他方側がコ字形ガイド
溝１８を開孔した略長方形状をなす金属板１９で
形成され、この金属板１９の上面に、前記コ字形
ガイド溝１８の３方を囲むようにガイド枠２０が
突設されている。

２１は断熱材開閉蓋で、第５図で示すように耐
火断熱材で長方体ブロツク状に形成され、この上
下両面を貫通して長孔状のピン挿通孔２２が開孔
されている。

２３はロツクピンでボルト１１と、六角ナツト
１２およびフランジ２４で形成され、案内座１４
に突設したガイド枠２０の内側に装着された断熱
材開閉蓋２１のピン挿通孔２２と、コ字形ガイド
溝１８とを貫通して上下両面から案内座１４と断
熱材開閉蓋２１とを連結し、断熱材開閉蓋２１を
移動自在に支持すると共にロツクするようになつ
ている。

なお図において２５は溶解室２内の溶湯、２６
は測定孔７と放射温度計８とを結ぶ測定路であ
る。

次に上記構成をなす放射温度計支持構造におい
て溶湯２５の温度測定方法を説明する。

先ず溶解開始時には、ロツクピン２３をピン挿
通孔２２に沿つてスライドさせてロツクを解除し
た後、コ字形ガイド溝１８の長手方向にスライド
させ、断熱材開閉蓋２１を横方向にスライドさせ
て、第２図および第３図の状態から第６図および
第７図に示すように放射温度計８の下方に位置さ
せてロツクし、測定路２６をしゃ断する。

この状態で溶解室２に装入した溶解材料が誘導
加熱により溶解し始めると、溶解材料に付着した
水分や異物がガス化し、粉じんと共に測定孔７か
ら噴出する。噴出したガスや粉じんは測定路２６
が断熱材開閉蓋２１によつてしや断されているの
で案内座１４との間の〓間１５を通つて横方向に
放射され、放射温度計８を高温のガスや粉じんか
ら保護することができる。

また溶解材料が溶けて溶湯２５になり、この状
態から連続的に温度測定を行う場合、ロツクピン
２３と断熱材開閉蓋２１とを上記と逆の操作によ
りスライドさせて、第６図から第２図の状態にし
て測定路２６を開放することにより、放射温度計
８が溶湯２５に露出して測定を行なうことができ
る。なお放射温度計８はエアーで冷却されてお
り、高温の加熱から保護するようになつている。

従つて、放射温度計８は常時、取付座に固定し
たままで良く、溶解材料の装入時や測定不要時、
出湯時には、断熱材開閉蓋２１をスライドさせて
測定路２６をしや断することにより、保護するこ
とができ、測定時には開放するだけで良く、作業
性に優れている。また路体を傾動させて出湯する
場合には、ロツク機構が設けられているので、断
熱材開閉蓋２１の外れを防止することができる。

第８図はロツク機構の他の実施例を示すもの
で、ロツクピン２３は上下フランジ２４，２４の
間の上方に大径部２７が、下方に小径部２８が形
成されている。断熱材開閉蓋２１には大径部２７
よりやや大きい円形のピン挿着孔２２が形成さ
れ、また案内座１４には２個の大径孔２９，２９
間に長溝３０が連通したガイド溝１８が形成され
ている。このロツク機構では、断熱材開閉蓋２１
をスライドさせる場合にはロツクピン２３を引き
上げた状態で行い、ロツクする場合には引き下げ
ることにより、大径部２７がピン挿通孔２２とガ
イド溝１８の大径孔２９に嵌合して移動を防止す
ることができる。

以上説明した如く、本考案によれば、ロツク機
構を有する断熱材開閉蓋が開閉自在に取付けられ
ているので、放射温度計を保護しながら常時、炉
蓋の取付座に支持されることができ、従来の構造
に比べて著しく測定作業能率を向上させた誘導溶
解炉の放射温度計支持構造を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第７図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は放射温度計を取付けた誘導溶解炉
の縦断正面図、第２図は放射温度計支持構造を示
す平面図、第３図はその正面図、第４図は案内座
を示す傾斜図、第５図は断熱材開閉蓋を示す斜視
図、第６図は断熱材開閉蓋を閉じた状態の放射温
度計支持構造を示す平面図、第７図はその縦断正
面図、第８図は本考案の他の実施例によるロツク
機構を示す放射温度計支持構造の要部斜視図であ
る。 １……誘導溶解炉、２……溶解室、６……炉
蓋、７……測定孔、８……放射温度計、９……取
付座、１４……案内座、１８……ガイド溝、２１
……断熱材開閉蓋、２２……ピン挿通孔、２３…
…ロツクピン、２５……溶湯、２６……測定路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 誘導溶解炉の炉蓋に開孔された測定孔と、この
   測定孔を臨む炉蓋の上部に設けられ放射温度計を
   支持する取付座と、この取付座に炉蓋上部との間
   に〓間を設けて水平に取付けられた案内座と、こ
   の案内座に移動自在に取付けられ放射温度計の測
   定路を開閉する断熱材開閉蓋と、この断熱材開閉
   蓋と案内座を移動自在に連結するロツク機構とか
   らなることを特徴とする誘導溶解炉の放射温度計
   支持構造。