JPH0444262Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、プレス加工の際に生ずるスクラツプ
を処理するためのプレス金型用スクラツプカツタ
ーの改良に関するものである。

（従来の技術） 従来のプレス金型用スクラツプカツターは、第
４図及び第５図において、トリムライン１の全周
に沿つて上型２及び下型３とそれぞれ一体に上部
スクラツプカツター４及び下部スクラツプカツタ
ー５を複数箇所に配して、上型２を下降させた時
に製品が形成されると同時に当該製品となる部分
以外の外周の二点鎖線で示す環状のを当該両スク
ラツプカツターで切断せしめて、所定の寸法以下
にスクラツプを分割し、スクラツプの排出を容易
ならしめるようにしていた。

また、スクラツプカツター部では他の部分に比
較してバリの発生が多いため、トリムライン１に
沿つて、大分割用スクラツプカツター６を最小限
に配置し、上型２と下型３によるトリムライン１
に沿つた切断、及び大分割用スクラツプカツター
６による切断を同時に行つてスクラツプＳを大分
割しておき、その後にこの大分割されたスクラツ
プをトリムライン１から離して配置した上下の小
分割用スクラツプカツター７をもつて更に分割
し、細分割スクラツプS₁とするようにしていた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来のスクラツプカツターの場合、上部ス
クラツプカツター４と下部スクラツプカツター５
とが分離して別々に設置されているため、金型製
作時や、保守作業の際に、上下のスクラツプカツ
ターの位置合わせや、刃合わせ（クリアランス調
整）等の調整作業に多大の工数を必要とするのみ
ならず、スクラツプカツターも数多く配置してあ
るため、これらの作業を各カツターのそれぞれに
ついて個々に行わなければならないという欠点が
あつた。

また、刃合わせ後には位置を固定する必要があ
るので、位置決めノツクピンを打ち込むための加
工と組み付け作業をその都度必要とし、余分の労
力と時間を費やしているという問題点があつた。

さらに、生産途中において、スクラツプカツタ
ーの刃こぼれ等の不具合が発生した場合には、そ
の修正作業中は、生産の中断、もしくは他の製品
を生産するために金型の入れ替え作業を行わなけ
ればならない事態も発生し、生産効率を低下させ
ていた。

そのうえ、小分割用スクラツプカツターは、ト
リムラインから離れた位置にあるので、上部スク
ラツプカツター及び下部スクラツプカツターをそ
の位置まで伸ばして長くする必要があり不経済で
あつた。

さらにまた、製品の形状や板状母材の端末の形
状及び寸法により、各個のスクラツプカツターの
刃部の開き角度や形状及び寸法について個別に設
計する必要があるなど、従来技術では設計、製作
及び組立上のいずれの場合も自由度の低いもので
あつた。

本考案は、上記従来の問題点にかんがみ、調整
作業等が容易であり、保守作業を迅速に行うこと
ができ、生産効率が高く経済的であり、設計の自
由度も高いプレス金型用スクラツプカツターを提
供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、固定刃
体と該固定刃体に支軸をもつて開閉自在に接合し
た揺動刃体とでカツターユニツトを形成し、該揺
動刃体が前記固定刃体に対し開方向に付勢されプ
レス機のプレス加工動作に連動して開状態から閉
状態になる際に金型用スクラツプの環状のものを
切断分割する金型用スクラツプカツターにおい
て、前記プレス機の下型が取付けられているフレ
ーム上の所定位置で前記カツターユニツトを該下
型側に取付け、前記揺動刃体には押圧を受ける押
圧受部を設け、前記プレス機の昇降部には前記押
圧受部を押圧する押圧部を設け、前記プレス機の
プレス加工動作動力を利用して金型用スクラツプ
の切断分割動作をさせることを特徴とする。

（作用） 本考案に係るプレス金型用スクラツプカツター
は、所定位置に固定される固定刃体と、当該固定
刃体に支軸をもつて該固定刃体に対し開閉自在に
接合した揺動刃体とでカツターユニツトを形成し
てあり、当該揺動刃体が前記固定刃体に対し開方
向に付勢されており、プレス機のプレス加工動作
に連動して当該プレス機に備えた押圧部で揺動刃
体の押圧受部を押圧して揺動刃体を開状態から閉
状態とする際に、金型用スクラツプを切断分割す
る。

（実施例） 本考案の実施例について、図面を参照しながら
説明する。

第１図は本考案の実施例に係るプレス金型用ス
クラツプカツターの要部を示す正面図、第２図は
第１図のＡ−Ａ矢視図、第３図はプレス機へスク
ラツプカツターを取り付けた使用状態を示す正面
図である。

スクラツプカツターは、フレーム１０ａと一体
の基盤１０ｆ上の所定位置に固定される固定刃体
１３と、当該固定刃体１３に支軸１６をもつて該
固定刃体１３に対し開閉自在に接合した揺動刃体
２０とでカツターユニツト１２を形成してあり、
当該揺動刃体２０が前記固定刃体１３に対し開方
向に付勢されており、プレス機１０のプレス加工
動作に連動して当該プレス機１０に備えた押圧部
１１で揺動刃体２０の押圧受部２０ａを押圧して
揺動刃体２０を開状態から閉状態とする際に、金
型用スクラツプを剪断分割する。

プレス機１０は、第３図に示すように、フレー
ム１０ａ上の所定位置に固定した下型１０ｂと、
当該下型１０ｂの真上に配置され板状母材の製品
となる部分を上から押えるパツド１０ｃと、パツ
ド１０ｃの側面に沿つて昇降自在な昇降部１０ｄ
とを備え、昇降部１０ｄの下面に上型１０ｅを固
定し、第４図に示すと同様の各位置へ配置される
複数のカツターユニツト１２のそれぞれの押圧受
部２０ａに対向させて昇降部１０ｄの所定位置に
押圧部１１を固定してある。

押圧部１１は、第３図において、下端面が上型
１０ｅの下端面よりも高い位置にあり、上型１０
ｅと下型１０ｂとによる母材の剪断動作で大分割
スクラツプＳが発生するのと相前後して、押圧受
部２０ａの押圧を開始し、大分割スクラツプＳが
後述のガイド１４ｂに案内されて自重により固定
刃体１３と揺動刃体２０との間に入つた直後に当
該揺動刃体２０を固定刃体１３に対し閉じた状態
にしてスクラツプを細分割せしめる。

カツターユニツト１２は、固定刃体１３と、当
該固定刃体１３に支軸１６をもつて接合した揺動
刃体２０とで構成されている。

固定刃体１３は、頂部に下型側上昇方向に傾斜
した斜め上向きの固定刃部１４ａを有する基部１
４と、この固定刃部１４ａよりも若干高く上向き
に突出した平断面コ字形の支持部１５とを一体に
形成してあり、この固定刃部１４ａが支持部１５
の内寸法Ｄに対し略半分の厚味に形成されてお
り、当該固定刃部１４ａの傾斜延長上に延設し先
端を下型１０ｂに側面に当接させたガイド１４ｂ
を備え、支持部１５の上部に設けた軸受１５ａで
支承される支軸１６を設け、基部１４に形成した
座ぐり穴１４ｃに頭部を挿入したボルト１７をも
つてプレス機１０のフレーム１０ａに一体に設け
た基盤１０ｆ上の所定位置に固定してある。

また、固定刃体１３は、支持部１５の下部にね
じ穴１５ｂ及び透孔１５ｃを備え、この透孔１５
ｃにばね装着用のピン１８を挿通させ、ねじ穴１
５ｃに先端の雄ねじ部１８ａを螺合させて当該ピ
ン１８を取り付けてあり、一端側を基部１４の上
面に当接させた捩りばね１９が当該ピン１８の外
周に巻装されており、さらに支持部１５の頂部近
傍に斜め上向きに突設したストツパー１５ｄを有
している。

揺動刃体２０は、基部２１と、固定刃部１４ａ
に対向する側に支持部１５の内寸法Ｄに対し厚味
を略半分にして形成した揺動刃部２２と、捩りば
ね１９の端部に係合する接線カム上の下向き突片
２１ａを有するボス部とを一体に備え、当該ボス
部がスラストワツシヤー２３及び軸受１５ａを介
在させ支持部１５に支軸１６をもつて揺動自在に
枢支されている。スラストワツシヤー２３は、揺
動刃体２０と支持部１５との間に介在し、図示し
ないビスにより支持部１５に固定されており、そ
れ自体の厚味の調節又は図示しない薄板を介在さ
せその厚味を調節することにより揺動刃体２０と
支持部１５間のクリアランスを任意に設定するこ
とができ、スラスト荷重を受けるとともにぶれを
抑制し、且つ揺動刃体２０を滑らかに揺動させる
働きをする。そして複数箇所に配置される各カツ
ターユニツト１２は、ユニツト毎に予め両刃体の
クリアランスを最適に調整した後に所定位置に組
み付け配置され、その後クリアランス調整作業を
一切必要としないようにしてある。また、揺動刃
体２０は、基部２１のボス部寄りの部分に形成し
た段差部２１ｂと、先端寄りに上に凸の部材を固
着して形成した押圧受部２０ａとを備え、捩りば
ね１９で前記固定刃部１４ａに対し揺動刃部２２
が開く方向に付勢され、プレス機１０のプレス加
工動作に連動して当該プレス機１０に備えた上型
１０ｅと共に昇降する押圧部１１で前記押圧受部
２０ａがプレス加工動作用動力を利用して押圧さ
れ、捩りばね１９の付勢力に抗して開状態から閉
状態となる際に、固定刃体１３と協働にて金型用
スクラツプを剪断分割する。

次に、本考案の実施例に係るプレス金型用スク
ラツプカツターの動作について説明する。

予めクリアランスの調整をして複数のカツター
ユニツト１２を第４図に示すのと同様の所定位置
にそれぞれ組み付け配置する。

第３図において、昇降部１０ｄに設けた押圧部
１１は、上型１０ｅの下降で発生したスクラツプ
Ｓがガイド１４ｂで案内されて固定刃部１４ａと
揺動刃部２２との間に達すると、押圧受部２０ａ
を押圧し、揺動刃体２０を反時計方向に回動させ
る。この時、突片２１ａが捩りばね１９の一端を
押して行き、揺動刃部２２が固定刃部１４ａに対
し閉じた状態になると、スクラツプの切断が終了
し、次に昇降部１０ｄが上昇すると、捩りばね１
９の付勢力で揺動刃体２０が時計方向へ回動して
固定刃体１３に対し開いた状態になり、ストツパ
ー１５ｄに段差部２１ｂが当接して原位置へ復帰
する。かくしてプレス加工動作に連動しこれと同
時に、スクラツプは、排出し易いように所定の形
状及び大きさに分割される。

なお、本考案は、上記実施例に限定されるもの
ではなく、固定刃体及び揺動刃体共にスクラツプ
の材質、厚味及び所要耐久性等に合せ、適宜に材
質、形状を選定することができ、その他種々の変
形が可能である。

（考案の効果） 本考案は上述の如く構成され、所定位置に固定
される固定刃体と、該固定刃体に支軸をもつて該
固定刃体に対し開閉自在に接合した揺動刃体とで
カツターユニツトを形成し、プレス機の下型が取
付けられているフレーム上の所定位置で該カツタ
ーユニツトを下型側に取付けたことにより、当該
ユニツトについて予め調整しておくことができる
ので、プレス機への組み付け時に刃合わせ（クリ
アランス調整）作業を必要とせず、また、厳密な
位置合わせが不要になつて、位置決め用のノツク
ピンを打ち込むための加工と組み付け工数を大幅
に低減でき、さらに、生産途中においてスクラツ
プカツターの不具合が発生した場合にも単にカツ
ターユニツトを交換するだけでよく、調整作業等
のロスタイムが発生せず、円滑なプレス加工によ
る生産が可能であり、揺動刃体には押圧を受ける
押圧受部を設け、プレス機の昇降部には押圧受部
を押圧する押圧部を設け、プレス機のプレス加工
動作用動力を利用して金型用スクラツプの切断分
割動作をさせるので、スクラツプの処理を円滑に
能率良く行うことができ、構造も簡単で、設計に
際しても両刃部の開き角度等の設定時に、カツタ
ーユニツト毎に設定位置や角度を決めるだけでよ
く、また設計変更などによる修正時にも同様に簡
単に対処できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るプレス金型用ス
クラツプカツターの要部を示す正面図、第２図は
第１図のＡ−Ａ矢視図、第３図はプレス機へスク
ラツプカツターを取り付けた使用状態を示す正面
図、第４図は従来のスクラツプカツターを示す平
面図、第５図はその要部を示す部分拡大正断面図
である。 １０……プレス機、１０ａ……フレーム、１０
ｂ……下型、１０ｄ……昇降部、１０ｅ……上
型、１０ｆ……基盤、１１……押圧部、１２……
カツターユニツト、１３……固定刃体、１６……
支軸、１９……捩りばね、２０……揺動刃体、２
０ａ……押圧受部、２１ａ……突片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定刃体と該固定刃体に支軸をもつて開閉自在
   に接合した揺動刃体とでカツターユニツトを形成
   し、該揺動刃体が前記固定刃体に対し開方向に付
   勢されプレス機のプレス加工動作に連動して開状
   態から閉状態になる際に金型用スクラツプの環状
   のものを切断分割する金型用スクラツプカツター
   において、前記プレス機の下型が取付けられてい
   るフレーム上の所定位置で前記カツターユニツト
   を該下型側に取付け、前記揺動刃体には押圧を受
   ける押圧受部を設け、前記プレス機の昇降部には
   前記押圧受部を押圧する押圧部を設け、前記プレ
   ス機のプレス加工動作用動力を利用して金型用ス
   クラツプの切断分割動作をさせることを特徴とす
   る金型用スクラツプカツター。