JPH0444062Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、家庭などで手軽に利用できる水耕
栽培装置に関するものであつて、特にトマトなど
果菜類（以下「果菜類」）の栽培に用いて好適の
ものである。

（従来の装置） 家庭などで果菜類を栽培する装置として、近
年、上面開放する箱体内に肥料液と共にブロツク
状の吸水体を収容し、この箱体に被装した蓋板の
上面に設けた開口部に吸水性の育苗ポツトを嵌挿
し、その上面に種子をまいて発芽育成させる構造
のものが開発されている。

（考案が解決しようとする問題点） この方法は、苗に対する肥料液の供給が吸水体
を介して適量に行われ、また蓋体により箱体内に
は光が入らぬため苗の根が弱つたり、また肥料液
に藻が発生したりするおそれがない利点を有して
いるが、肥料液の補給などのため蓋板を開く場合
に、育苗ポツトが蓋板と共に動かされ、このため
育苗ポツトから箱体内の吸水体にわたつて延びて
いる根が切断されてしまうおそれがあり、かつ蓋
板の表面から雨水などの汚水が肥料液に流下混入
する不利があつた。

（問題点を解決するための手段） これに対し、この考案は蓋板を二分割してその
一方の蓋板を開閉することにより育苗ポツトが動
かされる欠点を除去し、併せてその分割部分に傾
斜溝を設けて蓋板上の水分がそのまま外部に流出
されるようにしたことにより上記欠点を除去した
ものである。

（考案の実施例） この考案の実施例を図面について説明すると、
第１図に示すように、全体は断熱性を考慮してそ
れぞれ発泡スチロールよりなる上面開口する箱体
１に、蓋板２を嵌合載置するとともに、箱体１内
には予め肥料液と共にロツクウールよりなる厚板
状の栽培ベツド３を、箱体底面のストツパー４，
４により移動不能に嵌合収容し、次いで蓋体２中
央部に設けられた方形状の角孔５に同じくロツク
ウールよりなり、周面にビニールフイルムを巻装
した角柱状の育苗ポツト６を嵌挿して、その下面
を栽培ベツド３上面に当接させてある。

蓋板２は、下面周縁に垂下縁７が周設され、こ
の垂下縁を箱体内周縁に嵌合して移動しないよう
にかぶせられるが、この蓋体２は第２図に明らか
なように予め上記角孔５を形成する方形の一辺に
沿つて左右に切断されて２個の蓋板部材２ａ，２
ｂに作られており、このため育苗ポツト６は、そ
の三方面を蓋板部材２ｂに囲まれているが、一方
面は単に蓋板部材２ａに接しているだけである。

これら蓋板部材２ａ，２ｂの切断面は、蓋板部
材２ａでは上半部が下半部より突出する載架縁８
に、また蓋板部材２ｂでは下半部が上半部より突
出する受支縁９としてそれぞれ段状に形成されて
おり、さらに、受支縁９，９の上面には外方に向
つて下降する傾斜溝１０が刻成され、この実施例
においては受支縁９，９も若干外方に向つて下降
傾斜面となつている。こうして第３図に示すよう
に載架縁８を受支縁９上に載置して両蓋板部材２
ａ，２ｂは緊密につき合わされ、かつ前記したよ
うに垂下縁７を箱体１に嵌合して互に移動不能で
あるとともに、つき合わされた部分のすき間から
入つた水は、この傾斜溝１０，１０を介して蓋板
部材２ｂの外側方に流出するようになつている。
なお、この蓋板２の上面には角孔５を囲んで排水
溝１１−−−が設けられ、また周面の適所には垂
下縁７にわたつて箱体１の通気凹部１２−−−と
一体になつて屈折路が形成され空気は流通する
が、光線は遮断される通気路１３−−−が付設さ
れ、さらに蓋板部材２ａには手掛け部１４が凹設
されている。なお、１５−−−は箱体１底面に点
設された半球状突起であつて、栽培ベツド３の下
面に間〓を設けることにより水流、根ばりをよく
し、根腐れを防ぐためのものである。

（作用、効果） この考案は上記の構造であつて、箱体１内に栽
培ベツド３を収容したのち、肥料液をその表示線
１６（第４図）に達するまで入れ、次いで蓋板２
を被装し、その角孔５に育苗ポツト６を嵌装立設
し、この育苗ポツト６上面に種子を数個まき、発
芽したのちは、室外の日当りのよい場所において
育成を続けるものであるが、前記したように蓋板
２は、２個の蓋板部材２ａ，２ｂに分割形成され
ており、このうち蓋板部材２ａは育苗ポツト６の
一つの面に単に接しているだけであるから、この
蓋板部材２ａを手掛け部１４により引き上げて傾
斜状態とすることにより、育苗ポツト６になんら
外力を与えることなく開閉ができ、このことは、
前記、肥料液の補給などに便利であるほか、苗の
育成が進んで他の容器に移し変える必要が生じた
場合や、水垢で汚れた栽培ベツド３の下面を清掃
する場合等、栽培ベツド３を苗ごと外部に取り出
す際に極めて便利である。さらに上記傾斜状態と
した蓋板部材２ａの上面に付着していた雨水等
は、蓋板部材２ｂの受支縁９上面に落ち、そのま
ま傾斜溝１０，１０を介して外部に排出されるか
ら、肥料液等に悪影響を与えるおそれがなく、極
めて効率的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断側面図、第２図は蓋板の斜面図、
第３図は雨蓋板部材のつき合わせ部分を示す側面
図、第４図は箱体の斜面図である。 図中、１は箱体、２は蓋板、２ａ，２ｂは蓋板
部材、３は栽培ベツド、５は角孔、６は育苗ポツ
ト、７は垂下縁、８は載架縁、９は受支縁、１０
は傾斜溝である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上面開口する箱体１に、吸水性材料よりなる厚
   板状の栽培ベツド３を収容定置するとともに、別
   に中央部に方形状の角孔５を設けた蓋板２を載置
   して、この角孔５に同じく吸水性材料よりなる角
   柱状の育苗ポツト６を挿通した装置であつて、こ
   の蓋体２は、下面周縁に箱体１の内周縁に嵌合す
   る垂下縁７を有するとともに、板面を上記角孔５
   を形成する方形の一辺に沿い切断して２部分に形
   成され、これら切断端面は、前記方形の一辺に連
   なる側を載架縁８，８に、また残り三辺に連なる
   側を受支縁９，９として相互に係合され、さらに
   上記受支縁９，９上面に予め蓋板側面に向つて下
   降する傾斜溝１０が各付設されている水耕栽培装
   置。