JPH0442726Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は走行距離積算計（以下単に積算計と呼
ぶ）及び運行記録計（以下単に運行計と呼ぶ）の
駆動装置に係り、更に詳しくは、車両のミツシヨ
ンなどからの回転を共通の伝達軸、ギヤ等を介し
て積算計、運行計にそれぞれ伝達するようにした
ものに関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする問題
点〕 従来より車両のミツシヨンなどからの回転を共
通の伝達軸、ギヤ等を介して積算計及び運行計に
それぞれ伝達するようにしたものは知られてい
る。このような装置にあつては、運行計の速度に
関する調整、即ち速度指示、速度記録、速度表示
装置の作動点、速度警報装置の作動点及び運転手
交替記録の位置、他の記録位置等の調整を行う必
要があり、従来は積算計にあつては運行計を作動
させた場合必要な回転数分を事前に想定して減積
算後組み付けをし、最終工程で数値合せのための
追加回転を与えるようにし、また運行計にあつて
は、記録位置調整等にハートカムへの回転力伝達
を遮断し、ハートカムの上死点又は下死点に記録
計測の従動部材を固定するよに治具をセツトする
ことが行なわれていた。

しかし乍ら上記の如き調整では、最終工程にお
ける積算値のハラツキが大きく、結局個々に適宜
必要な追加回転を与える必要が生じ、作業バラン
スが悪い。また調整に不具合があると設定積算値
をオーバーする場合があり、その場合は再組み付
けが必要となる。更に記録位置は治具と実部品と
の差異に基づくバラツキが発生し調整作業が難し
いなどの欠点がある。

よつて本考案は、上記従来の問題点に鑑み、車
両のトランスミツシヨンなどからの回転を共通の
駆動軸、ギヤ列などを介して走行距離積算計及び
運行記録計にそれぞれ伝達することができ、しか
も組立最終工程での走行距離積算計の積算値の設
定作業や運行記録計の記録位置の調整作業が容易
にかつ確実に行えるようにした走行距離積算計及
び運行記録計の駆動装置を提供することを目的と
している。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するため本考案により成された
走行距離積算計及び運行記録計の駆動装置は、ギ
ヤ列の最終ギヤに中心突起を形成し、該中心突起
に回転方向に係合し、上下方向に係脱自在にカツ
プリングウオームを嵌合し、該カツプリングウオ
ームの外周部にウオーム部を形成すると共に内壁
部に十字溝付スリバチ状孔を形成し、前記ウオー
ム部を運行記録計に動力を伝達するハスバ歯車に
噛合すると共に、前記十字溝付スリバチ状孔に走
行距離積算計に動力を伝達する撓み可能な伝動軸
の一端の拡径係合部を嵌合してなり、かつ前記伝
動軸に沿つて移動され前記最終ギヤの中央突起に
対する嵌合が外された前記カツプリングウオーム
と係合してカツプリングウオームをその状態に保
持する段部を備えることを特徴としている。

〔作用〕

上記構成によつて、ギヤ列の最終ギヤに形成さ
れた中心突起に回転方向に係合し、上下方向に係
脱自在にカツプリングウオームが嵌合され、この
カツプリングウオームの外周部に形成されたウオ
ーム部に運行記録計に動力を伝達するハスバ歯車
が嵌合されると共に、カツプリングウオームの内
壁部に形成された十字溝付スリバチ状孔に走行距
離積算計に動力を伝達する撓み可能な伝動軸の一
端の拡径係合部が嵌合されていて、カツプリング
ウオームが伝動軸に沿つて移動されて最終ギヤの
中央突起に対する嵌合が外されると共に段部に係
合されてこの外された状態が保持されるようにな
つているので、一度組立てた後にカツプリングウ
オームを最終ギヤの中央突起から外し、この外し
たカツプリングウオームを段部に係合するだけ
で、走行距離積算計と運行記録計の両方と駆動軸
やギヤ列との連結が分離され、これらを駆動軸や
ギヤ列と独立に動かすことが可能になり、走行距
離積算計の積算値の設定作業や運行記録計の記録
位置の調整作業が容易にかつ確実に行えるように
なつている。

〔実施例〕 第１図は本考案実施例の全体構造を示す分割斜
視図であり、細部は省略してある。ケース１には
ヒンジ３によりカバー２が開閉自在に取り付けら
れ、内部に固定部１ａを有している。固定部１ａ
には支持板４がネジ等により固定され、支持板４
には積算計及び運行計の主要部品が装着される。
例えば支持板４上には２本のガイドアーム５，６
が設けられ、一方のガイドアーム６上には記録計
７を装着した案内板８が摺動自在に取り付けられ
ている。案内板８の先端８ａはハートカム９に係
合しており、ハートカム９を回転させる駆動ギヤ
部１０によつて車両のトランスミツシヨンに接続
されている。

１１はカバー２の表側に設けられた速度計（図
示せず）に連結されるピニオンであつて、支持板
４の下方に設けられた速度検出駆動部１２により
駆動軸１３を介して回転駆動されるものである。

尚駆動軸１３は車両のトランスミツシヨンへ連
結されており、前述の駆動ギヤ部１０をも駆動さ
せる。

第２図は支持板４上の各部品を示す上面図であ
り、中心部のピニオン１１には一方のガイドアー
ム５に装着したスライダ１４のラツク１４ａが噛
合しており、スライダ１４の移動によりスライダ
１４上に設けた接点１４ｂが固定接点１５に対し
て順次接触すると、車両の間欠速度表示であるウ
オーニングランプを点灯するようになつている。

第３図、第４図は駆動軸から積算計及び運行計
の記録計７への駆動伝達部分を拡大した平面図及
び側面図であつて、駆動軸から車両の速度に比例
した回転が第１、第２、第３の減速ギヤ１６，１
７，１８を介してカツプリングウオーム１９に伝
達される。このカツプリングウオーム１９は第３
の減速ギヤ１８の中心突部１８ａにその内壁部１
９ａが同軸的に嵌合しており、この嵌合部の断面
形状は正六角形あるいは凹凸面付の略円形状等で
あつて回転方向に係合し、上下方向に係脱自在で
ある。

カツプリングウオーム１９外周のウオーム部１
９ｂは、カツプリングウオーム１９の軸線と直交
方向に配設された軸２０のハスバ歯車２１と噛合
しており、この軸２０のウオーム部２０ａを介し
てハートカム９のハスバ歯車（図示せず）に連結
されている。ハートカム９はこのハスバ歯車と同
軸的に回動可能に取り付けられており、外周のカ
ム面９ａには前述の案内板８の先端部８ａがバネ
２１によつて常に付勢されて摺動自在に当接して
いる。従つて、前記駆動軸、第１、第２、第３減
速ギヤ１６，１７，１８、カツプリングウオーム
１９、軸２０、ハートカム９、案内板８等により
運行計の伝達機構を構成している。

また前記カツプリングウオーム１９はその内壁
部に伝動軸２２の一端を連結している。この伝動
軸２２の一端は拡径の係合部２２ａを有し、この
係合部２２ａが内壁部の十字溝付スリバチ状孔１
９ｃに上方より嵌合することにより、カツプリン
グウオーム１９と同軸的に回転可能に連結され
る。伝動軸２２の他端はギヤ部２２ｂを有してお
り、このギヤ部２２ｂが文字車２３のギヤ部２３
ａと噛合し、積算計２４を駆動させる。従つて駆
動軸、第１、第２、第３の減速ギヤ１６，１７，
１８、カツプリングウオーム１９、伝動軸２２等
で積算計の伝達機構を構成している。尚２５は積
算計のケースであり、２６はこの駆動部分を覆う
カバーである。

上記装置において駆動軸１３より速度に比例し
た回転が伝達されると、減速ギヤ１６，１７，１
８を介してカツプリングウオーム１９が回動され
る。この回転は軸２０を介してハートカム９に伝
達され、ハートカム９の上死点９ｂ、下死点９ｃ
により一定のストロークをもつ案内板８の上下運
動に変換され、記録計７により一定振幅で速度に
応じた周波数をもつ波形が運行計の記録紙に記入
される。

一方カツプリングウオーム１９の回転は伝動軸
２２を介して文字車２３に伝達され、ピニオン２
３ｂにより順次上位の文字車に桁送されることに
より、複数の文字車で走行距離が積算表示される
のである。

次に上記装置の各機能を調整する方法について
以下に説明する。

まず、カバー２６の外した状態で予めカツプリ
ングウオーム１９を第３の減速ギヤ１８の突部１
８ａから離脱させ、第４図に２点鎖線にて示すよ
うにケース１内壁の段部１ｂに係止しておく。カ
ツプリングウオーム１９の上記離脱は、伝動軸２
２を撓ませカツプリングウオーム１９を上方に抜
き出し、伝動軸２２の係合部２２ａとテーパ面１
９ｃとの係合を解除することでなされる。この場
合伝動軸２２を可撓性のある合成樹脂により形成
しておけば、離脱作用は容易である。

次に他の全ての部品組付後、速度指示、記録速
度表示装置の検出部の作動点、ウオーニングラン
プの作動点、運転手交替記録の作動確認及び各記
録の位置調整等を行い、その時の回転で積算計、
運行計が動作しないようにする。

全て調整確認終了の後、カツプリングウオーム
１９を第３減速ギヤ１８に嵌合し、伝動軸２２と
カツプリングウオーム１９及びハスバ歯車２１と
ウオーム１９ａとをそれぞれ係合させ、カバー２
６をケースに固定する。

尚、カツプリングウオーム１９を離脱させてい
る際は、案内板８の先端部８ａは常にバネ２１で
ハートカム９側に押圧されているからハートカム
９の下死点９ｃ（第３図の状態）に係合して停止
状態である。従つて記録計７の位置はこの下死点
９ｃを基準に調整することにより、特別な治具を
用いずに可能である。

〔効果〕

以上説明したように本考案によれば、車両のト
ランスミツシヨンなどからの回転を走行距離積算
計及び運行記録計にそれぞれ伝達する共通のギヤ
列に対して回転方向に係合し、上下方向に係脱自
在にカツプリングウオームを嵌合し、このカツプ
リングウオームによつて運行記録計と走行距離積
算計に動力を分岐するようにしているので、カツ
プリングウオームと最終ギヤの嵌合を外してその
状態を保持しておくだけで、走行距離積算計と運
行記録計との両方を駆動軸やギヤ列と独立に動か
すことが可能になり、走行距離積算計の積算値の
設定作業や運行記録計の記録位置の調整作業が容
易にかつ確実に行えるようになるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の全体を示す分割斜視
図、第２図は支持板上の構造を示す平面図、第３
図は支持板上の要部部品拡大平面図、第４図は本
実施例要部の側面図である。 １ｂ……段部、１３……駆動軸、１６，１７，
１８……減速ギヤ、１８ａ……中央突起、１９…
…カツプリングウオーム、１９ｂ……ウオーム
部、１９ｃ……十字溝付スリバチ状孔、２１……
ハスバ歯車、２２……伝動軸、２２ａ……拡径係
合部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車両のトランスミツシヨンなどからの回転を共
   通の駆動軸、ギヤ列などを介して走行距離積算計
   及び運行記録計にそれぞれ伝達するようにした駆
   動装置において、 前記ギヤ列の最終ギヤに中心突起を形成し、該
   中心突起に回転方向に係合し、上下方向に係脱自
   在にカツプリングウオームを嵌合し、該カツプリ
   ングウオームの外周部にウオーム部を形成すると
   共に内壁部に十字溝付スリバチ状孔を形成し、前
   記ウオーム部を運行記録計に動力を伝達するハス
   バ歯車に噛合すると共に、前記十字溝付スリバチ
   状孔に走行距離積算計に動力を伝達する撓み可能
   な伝動軸の一端の拡径係合部を嵌合してなり、か
   つ前記電動軸に沿つて移動され前記最終ギヤの中
   央突起に対する嵌合が外された前記カツプリング
   ウオームと係合してカツプリングウオームをその
   状態に保持する段部を備えることを特徴とする走
   行距離積算計及び運行記録計の駆動装置。