JPH0440028Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は油圧クラツチの弁装置の改良に関す
る。

（従来技術とその問題点） 従来、油圧クラツチシステムにおいては、クラ
ツチのミートをスムースに行なわせるために、油
圧クラツチとマスターシリンダとの間の油圧通路
途中に弁装置が設けられている。

当該弁装置は、第２図に示すように、弁本体１
の油圧通路２の油圧クラツチＯ／Ｃ側に、通路開
口３ａを有し、第１スプリング４で油圧クラツチ
Ｏ／Ｃ側に付勢されるピストン３が摺動自在に設
けられ、該油圧通路２のマスターシリンダＭ／Ｃ
側に、上記ピストン３の通路３ａが嵌入して、ピ
ストン３のマスターシリンダＭ／Ｃ側への移動に
伴つて通路開口３ａとの間の隙間６を絞り込む弁
ピン５が設けられて構成されている。

そして、マスターシリンダＭ／Ｃ側でペダル圧
力を受けたブレーキ油は、弁ピン５のスリツト開
口５ａを通り、弁ピン５とピストン３の通路開口
３ａとの隙間６を通つて油圧クラツチＯ／Ｃに供
給される一方、油圧クラツチＯ／Ｃ側でクラツチ
圧力を受けたブレーキ油は、弁ピン５とピストン
３の通路開口３ａとの隙間６を通り、弁ピン５の
スリツト開口５ａを通つてマスターシリンダＭ／
Ｃに戻されるようになる。

このブレーキ油の戻り工程において、ブレーキ
油が隙間６を通る際、ピストン３が油圧を受け、
第１スプリング４の付勢力に抗して左方へ移動さ
れることにより隙間６が絞り込まれるので、油圧
クラツチＯ／ＣからマスターシリンダＭ／Ｃにブ
レーキ油圧が徐々に戻されるようになつて、クラ
ツチのミートがスムースになるのである。

ところが、上記従来装置では、弁ピン５は弁本
体１に固定されていて、ピストン３の通路開口３
ａとの隙間６の絞り比率（面積）が一定であるか
ら、温度が低くブレーキ油の粘度が高くなつてい
る場合には、粘度による油圧の上昇によりピスト
ン３がさらに左方へ移動されて隙間６を絞り込む
ので、クラツチのミート時間を遅くなるという問
題があつた。

（考案の目的） 本考案は上記従来の問題を解消するためになさ
れたもので、ブレーキ油の粘度に影響されること
がなくクラツチのミートをスムースに行なうこと
ができる油圧クラツチの弁装置を提供することを
目的とするものである。

（考案の構成） このため本考案は、弁ピンは、弁本体の油圧通
路に摺動自在に設けられ、第２スプリングで油圧
クラツチ側に付勢されて所定位置で当て止めら
れ、ブレーキ油の粘度に応じてマスターシリンダ
側へ移動して通路開口との間の隙間を広げるよう
になつていることを特徴とするものである。

（考案の効果） 本考案によれば、弁本体の油圧通路に摺動自在
に設けられた弁ピンは、第２スプリングで油圧ク
ラツチ側に付勢されて当て止められ、ブレーキ油
の粘度が低いときは通常のようにピストンの移動
で隙間が絞り込まれる一方、ブレーキ油の粘度が
高いときは、ブレーキ油の粘度に応じて第２スプ
リングの付勢力に抗して弁ピンがマスターシリン
ダ側へ移動するから、隙間が広げられてブレーキ
油の戻り量が確保されるので、クラツチのミート
時間が遅れることがなくなる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面について詳細
に説明する。

第１図に示すように、弁本体１０には油圧通路
１１が形成され、該油圧通路１１の右端部にはパ
ツキン１２を介して第１プラグ１３が締結され、
該第１ピラグ１３にパツキン１４を介して第２プ
ラグ１５が締結され、該第２プラグ１５と第１プ
ラグ１３との間には、油圧クラツチＯ／Ｃに接続
されるジヨイント部材１６がパツキン１４，１７
を介して共締めされている。

そして、第１プラグ１３、第２プラグ１５、ジ
ヨイント部材１６には、弁本体１０の油圧通路１
１に連通する油圧通路１１ｃが形成されている。

また、弁本体１０の油圧通路１１の左端部に
は、マスターシリンダＭ／Ｃから油圧通路１１に
連通する油圧通路１１ｄが形成されている。

一方、弁本体１０の油圧通路１１の油圧クラツ
チＯ／Ｃ側には、大径油圧通路１１ａに摺動自在
に嵌合するピストン２０が設けられ、該ピストン
２０の中心部には通路開口２０ａが形成され、該
ピストン２０は、マスターシリンダＯ／Ｃ側の段
部１１ｅとの間に縮装された第１スプリング２１
で油圧クラツチＯ／Ｃ側に付勢されて第１プラグ
１３の前端で当て止められている。

上記弁本体１０の油圧通路１１のマスターシリ
ンダＭ／Ｃ側には、小径油圧通路１１ｂに摺動自
在に嵌合する弁ピン２３が設けられ、該弁ピン２
３の斜面に形成された弁部２３ｂが上記ピストン
２０の通路開口２０ａに嵌入して、ピストン２０
のマスターシリンダＭ／Ｃ側への移動に伴つて通
路開口２０ａとの間の隙間２４が絞り込まれるよ
うになる。

該弁ピン２３は、小径油圧通路１１ｂの底部と
の間に縮装された第２スプリング２５で油圧クラ
ツチＯ／Ｃ側に付勢され、上記段部１１ｅに固定
されたストツパー２６に当て止められている。

第２スプリング２５は第１スプリング２１より
もばね力が弱く、かつ、ブレーキ油の粘度による
油圧の上昇に伴つて弁ピン２３が左動するのを許
容するばね力に設定されている。

上記ストツパー２６及び弁ピン２３には、大径
油圧通路１１ａと小径通路１１ｂを連通するスリ
ツト開口２６ａ，２２ａがそれぞれ形成されてい
る。

上記のような構成であれば、ブレーキ油の粘度
が低いときは、弁ピン２３は第２スプリング２５
で付勢されてストツパー２６に当て止められてい
るから、油圧の戻り工程において、ブレーキ油が
隙間２４を通る際、ピストン２０が油圧を受け、
第１スプリング２１の付勢力に抗して左方へ移動
されることにより隙間２４が絞り込まれるので、
油圧クラツチＯ／ＣからマスターシリンダＭ／Ｃ
にブレーキ油が徐々に戻されるようになつてクラ
ツチのミートがスムースになる。

つぎに、ブレーキ油の粘度が高いときは、ブレ
ーキ油の粘度による油圧の上昇によりピストン２
０が高い油圧を受けて左方へ移動されることによ
り隙間２４がさらに絞り込まれるが、同様に高い
油圧を受ける弁ピン２３が、第２スプリング２５
の付勢力に抗して左動するので、隙間２４が広げ
られるようになり、ブレーキ油の戻り量が確保さ
れるので、クラツチのミートが遅れることがなく
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る弁装置の断面図、第２図
は従来の弁装置の断面図である。 １０……弁本体、１１ａ〜ｄ……油圧通路、２
０……ピストン、２０ａ……通路開口、２１……
第１スプリング、２３……弁ピン、２４……隙
間、２５……第２スプリング、２６……ストツパ
ー、Ｏ／Ｃ……油圧クラツチ、Ｍ／Ｃ……マスタ
ーシリンダ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 油圧クラツチとマスターシリンダとの間の油圧
   通路途中に設けられる弁装置であつて、 弁本体の油圧通路の油圧クラツチ側に、通路開
   口を有し、第１スプリングで油圧クラツチ側に付
   勢されるピストンが摺動自在に設けられ、該油圧
   通路のマスターシリンダ側に、上記ピストンの通
   路開口に嵌入して、ピストンのマスターシリンダ
   側への移動に伴つて通路開口との間の隙間を絞り
   込む弁ピンが設けられていて、該弁ピンは、弁本
   体の油圧通路に摺動自在に設けられ、第２スプリ
   ングで油圧クラツチ側に付勢されて所定位置で当
   て止められ、ブレーキ油の粘度に応じてマスター
   シリンダ側へ移動して上記隙間を広げるようにな
   つていることを特徴とする油圧クラツチの弁装
   置。