JPH0439842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アウタシエルと、その内部に挿着し
たインナーブーツを有するスキー靴に係り、特に
前部及び甲部を締め付ける足保持力調節装置を備
えたスキー靴に関する。

〔従来の技術〕

スキーヤーの足の前部及び甲部に対する締付具
合を変えることができる締付調節装置を備えたス
キー靴としては、特開昭51−8054号公報に示すも
のが知られている。

上記公知技術に開示されたスキー靴の締付調整
装置は、足の前部及び甲部と対向するアウタシエ
ルとインナーブーツ間に、比較的剛性のある材料
で成形された板部材を配置し、この板部材に、ア
ウタシエルに設けた複数個の締付具合調整部材を
連結し、この調整部材を手で操作して板部材をイ
ンナーブーツに遠近動作させることにより、足に
対する締付具合を調節するようになつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のような従来のスキー靴では、調整部材が
アウタシエルの前部及び甲部に螺合構造に設けら
れているため、足を靴に挿入した状態で、その前
部及び甲部に対する締付具合を直接調整し得るも
のの、足を靴から無理なく脱する場合には、調整
部材を緩め操作しなければならず、しかも再び靴
を履いた後は、再度締付具合を調整し直さなけれ
ばならず、その操作が煩雑かつ面倒になるほか、
調整機構のセツテイング具合が変わつてしまう。

また、板部材は足の前部及び甲部を上面側から
のみ押圧するため、足の両サイドに対する締付具
合はほとんど調整できず、靴内での足のフイツト
性及びホールド性が不充分となつて、エツヂング
操作等のスキーの操作性を悪くする問題があつ
た。

〔発明の目的〕

本発明は上記のような問題点を解決するために
なされたもので、足の前部及び甲部に対する締付
力の付与及び解除を、締付具合のセツテイング状
態を悪化させることなくワンタツチで同時に可能
にすると共に、靴内での足のフイツト性及びホー
ルド性を良好にしたスキー靴を提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明に係るスキー靴は、フロントカフ及びリ
ヤカフを有するアウタシエルと、このアウタシエ
ル内に挿着されたインナーブーツとを有するスキ
ー靴において、上記アウタシエルの前部に足の前
部及び甲部にそれぞれ対応して締付力調節機構を
有する足保持力調節装置を設け、かつ上記リヤカ
フの外側面には足保持力の付与及び解放を行なう
緊締装置を設けると共に、上記足の前部及び甲部
分をインナーブーツを介してそれぞれ締め付ける
各ケーブルの一端を上記それぞれの締付力調節機
構に連結し、他端を上記緊締装置に連結したもの
である。

〔発明の作用〕

本発明においては、足保持力調節装置に連結さ
れた足の前部及び甲部を締め付ける各ケーブルが
緊締装置に結合されているから、緊締装置を保持
力付与方向及び解除方向に操作することにより足
前部及び甲部に対する締付力の付与又は解放が同
時に行なわれることになる。従つて、スキーヤー
に対するスキー靴の着脱の操作が簡便になり、か
つ締付具合のセツテイング量に影響を及ぼすこと
のない安定したホールド性を可能にする。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の実施例を図面について説明す
る。

第１図乃至第３図は本発明に係るスキー靴の第
１の実施例を示すもので、第１図は一部を切り欠
いて示す全体図、第２図は第１図のアウタシエル
甲部分の平面図、第３図は第２図の−線に沿
う断面図である。

第１図において、全体符号１で示すスキー靴
は、大別して、硬質で強靭な合成樹脂材から成形
されたアウタシエル２及び、このアウタシエル２
内に挿着されたインナーブーツ３とから構成され
ている。

上記アウタシエル２は、主に足首から下方の部
分を履うシエル本体４と、足首の前面部分から脛
部を履うフロントカフ５及び、足の踵上部から脹
脛部を履うリヤカフ６とから成り、上記フロント
カフ５の下端は、上記シエル本体４の内外踝部分
４ａに枢支ピン７により前傾可能に枢着され、更
にリヤカフ６の下端はシエル本体４の踵覆部４ｂ
に枢支ピン８により後方へ傾倒可能に枢着されて
いる。また、上記インナーブーツ３のリヤカフ６
と重合する背面部３ａはリヤカフ６と一体的に開
閉できるようになつている。

上記フロントカフ５の上部一側面には締付用の
バツクル９が固着され、このバツクル９と係合す
る締付バンド９ａの一端は上記バツクル９と反対
のフロントカフ側面に固着され、その自由端側を
リヤカフ６の外周に巻き付け、かつその端部をバ
ツクル９に結合することでフロントカフ５及びリ
ヤカフ６を一体に締め付けるようになつている。

また、第１図及び第２図において、符号１０
は、足の前部及び甲部に対応するインナーブーツ
３の外表面に積層配置した比較的剛性のある部材
からなる押えパツトであり、この押えパツト１０
と対向するシエル本体４の前部には、押えパツト
１０全体をインナーブーツ３方向へ押圧して足の
保持力を調節するための足保持力調節装置１１が
設置されている。

上記足保持力調節装置１１は、第１図乃至第３
図に示すように第１の調節装置１２と第２の調節
装置１３を備え、これらは、シエル本体４の前部
４ｃを覆うよう、かつ周縁がシエル本体４の外表
面と密接するように配置したトレー状のカバー部
材１４に装着されている。

上記第１の調節装置１２は、カバー部材１４の
足前部と対応する位置に形成した窓穴１５の左右
両端に内方へ向け突設されシエル本体４を貫通し
て押えパツト１０に係合する押圧部１２１ａ，１
２１ｂと、この押圧部１２１ａ及び１２１ｂにス
ライド可能に貫通支持された互いに軸線の一致す
るスライド杆１２２ａ，１２２ｂと、このスライ
ド杆１２２ａ，１２２ｂの窓穴１５側端にそれぞ
れ連設した互いにねじリードが逆のねじ部１２３
ａ，１２３ｂと、窓穴１５内に収容され上記ねじ
部１２３ａ，１２３ｂに螺合する調節ナツト部材
１２４とから構成され、そして、上記スライド杆
１２２ａ，１２２ｂの他端には締付用のケーブル
１６が結合されている。

また、上記第２の調節装置１３は、カバー部材
１４の足甲部と対応する位置に形成した窓穴１７
の左右両端に内方へ向け突設されシエル本体４を
貫通して押えパツト１０に係合する押圧部１３１
ａ，１３１ｂと、この押圧部１３１ａ，１３１ｂ
にスライド可能に貫通支持された互いに軸線の一
致するスライド杆１３２ａ，１３２ｂと、このス
ライド杆１３２ａ，１３２ｂの窓穴１５側端にそ
れぞれ連設した互いにねじリードが逆のねじ部１
３３ａ，１３３ｂと、窓穴１７内に収容され上記
ねじ部１３３ａ，１３３ｂに螺合する調節ナツト
部材１３４とから構成され、そして、上記スライ
ド杆１３２ａ，１３２ｂの他端には締付用のケー
ブル１８が結合されている。

上記第１及び第２の調節装置１２，１３に結合
したそれぞれのケーブル１６，１８はシエル本体
４の中底４ｄ側ヘインナーブーツ３の左右側面に
沿い、第１図に示す如く斜めに案内され、そして
中底４ｄの側面に突設した案内部１９，２０に引
つ掛けられていると共に、ケーブル１６は案内部
２０に引つ掛けられた後、ケーブル１８に結合さ
れ、さらにケーブル１８は集結案内部２１を通し
てシエル本体４の踵覆部４ｂ側へ斜め上方に向け
案内され、踵覆部４ｂの側面に穿設した長穴２２
を通してシエル本体４外へ導出される。さらにシ
エル本体４外、即ちリヤカフ６内に導出されたケ
ーブル１８は、リヤカフ６の下端部に穿設した貫
通穴２３からリヤカフ６外へ導出され、リヤカフ
６の背面に装置した緊締装置２４に結合されてい
る。

上記緊締装置２４は、上記リヤカフ６の下部側
背面に形成した凹部６ａの内に収納可能に設置さ
れるもので、下端をピン２５により凹部６ａ内に
前後方向に回動可能に取り付けた緊締レバー２６
と、この緊締レバー２６にその長手方向に配置さ
れ両端部を緊締レバー１４に回転可能に軸着した
調整ねじ杆２７と、このねじ杆２７と螺合し、ね
じ杆２７の軸回りに回転できないよう緊締レバー
２６に係合されていると共にねじ杆２７のねじリ
ードによつて緊締レバー２６の長手方向にスライ
ドされるナツト部材２８及び、上記ねじ杆２７の
上端に固定した調整用つまみ２９とから構成さ
れ、上記ナツト部材２８には上記ケーブル１８が
連結されている。

上記のように構成されたスキー靴において、ス
キーヤーの足にスキー靴１を固定する場合は、先
ず、インナーブーツ３内にスキーヤーの足を挿入
し、バツクル９及び締付バンド９ａによりフロン
トカフ５とリヤカフ６の上部側を締め付ける。そ
の後、第１図の２点鎖線に示す如く解放状態にあ
る緊締装置２４を軸ピン２５を中心に第１図の矢
印Ａ方向へ回転させて、第１図の実線に示すよう
に凹部６ａ内に収容する。この時、緊締装置２５
に連結したケーブル１６，１８は、第１図の矢印
Ｂ，Ｃに示す方向に同時に引つ張られるため、こ
の引張力がそれぞれの調節装置１２，１３に作用
し、足保持力調節装置１１全体をインナーブーツ
３側へ引つ張る。これに伴い第１及び第２の調節
装置１２，１３の押圧部１２１ａ，１２１ｂ及び
１３１ａ，１３１ｂが押えパツト１０を押圧する
ため、押えパツト１０には、第１図の矢印Ｄ，Ｆ
に示す如き向きの押圧力が発生して、足全体をシ
エル本体４の底部及び踵部方向へ押し付けるホー
ルド力が作用すると同時に、インナーブーツ３の
左右側面に沿つて案内されたケーブル１６，１８
は足の左右両側面からも締め付けるようになる。

かかる状態において、足への締付具合を調節す
る場合は、第１及び第２調節装置１２，１３の調
節ナツト部材１２４及び１３４を指先により回転
操作して、それぞれのスライド杆１２１ａと１２
１ｂ又は１３１ａと１３１ｂを互いに接近する方
向又は離間する方向にスライドさせる。即ちスラ
イド杆１２１ａと１２１ｂ又は１３１ａと１３１
ｂが互いに接近する方向にスライドされると、ケ
ーブル１６，１８への張力が増大するため、押え
パツト１０による矢印Ｄ，Ｆ方向への押圧力が増
し、足保持力が増加することになる。また、上記
の逆にスライド杆１２１ａと１２１ｂ又は１３１
ａと１３１ｂが互いに離間する方向にスライドさ
れれば、足に対する保持力は減少することにな
る。

一方、第１図の実線に示す状態にある緊締装置
２４を、第１図の２点鎖線に示す状態に回動させ
れば、足の前部及び甲部に対する保持力は同時に
かつワンタツチ操作で解除されることになる。

このように足に保持力を付与したり、これを解
放する時は、緊締装置２４を第１図の実線の状態
又は２点鎖線の状態に回動操作するだけで同時に
行なうことができ、その操作が非常に簡便となる
と共に、スキー靴の着脱も容易となり、締付具合
のセツテイング量もスキー靴着脱の際に影響を受
けることがなく、しかも、締付具合の調節もスキ
ー靴を覆つた状態でなし得る。

さらにまた、緊締装置２４はケーブル１６，１
８の張力調節機能を備えているため、これを足締
付力の粗調節用に、また、第１及び第２の調節装
置１２，１３を微調節用として機能させることが
でき、これにより、最適な締付具合のセツテイン
グを迅速にかつ適確になし得る。

第４図は本発明のスキー靴の第２の実施例を示
す足保持力調節装置の一部の断面図である。

この図において、上記第１の実施例と異なる点
は、足保持力調節装置１１をシエル本体４内に収
容できるようにしたところにある。このために本
実施例では、足の前部及び甲部位置（本実施例で
は一方のみを示す）に対応して凹状の押えパツト
押圧部材３０をシエル本体４を押えパツト１０間
に配置し、この押圧部材３０の上端部をシエル本
体４の前部壁４ｃに形成した窓穴３１に上下動可
能に嵌合すると共に、押圧部材３０には、一対の
スライド杆３２ａ，３２ｂを軸線を一致して左右
方向にスライド可能に取り付け、スライド杆３２
ａ，３２ｂの押圧部材３０の内突出端には、互い
に逆リードのねじ部３３ａ，３３ｂを連設し、こ
のねじ部３３ａ，３３ｂにナツト部材３４を螺合
する。そしてナツト部材３４と噛合する調節ダイ
ヤル３５を軸３６により押圧部材３０の上端部内
に回転可能に支持したものである。なお、３７は
窓穴３１の部分を閉塞する蓋部材で、これはシエ
ル本体４に開閉可能に取り付けられている。ま
た、１６はスライド杆３２ａ，３２ｂに結合した
ケーブルである。

この実施例に示す足保持力調節装置において、
足に対する締付具合を調節する場合は、蓋部材３
７を開き、調節ダイヤル３５を指先により回転さ
せる。これにより、調節ダイヤル３５と噛合する
ナツト部材３４が回転するため、スライド杆３２
ａ，３２ｂが互いに接近又は離間する方向にスラ
イドし、ケーブル１６にかかる張力を加減する。
この結果、押えパツト１０に対する押圧部材３０
の押え力も増減され、足への保持力が調節される
ことになる。

この実施例においても、上記第１の実施例と同
様な効果が得られる。

なお、本発明における足保持力調節装置１１
は、上記各実施例に示す構造のものに限定されな
いことは勿論のこと、緊締装置２４のケーブル張
力調節機構を省略したものであつても良い。

〔発明の効果〕

以上のように本発明によれば、足の前部及び甲
部をインナーブーツを介して締め付けるそれぞれ
のケーブルを、シエル本体の前部に装着した足保
持力調節装置のそれぞれの調節機構に連結し、更
にこれらケーブルをリヤカフに取り付けた緊締装
置に連結して、足の前部及び甲部に対する締付け
及びその解放を同時に行なうようにしたものであ
るから、足の前部及び甲部に対する締付力の付与
及びその解放を、締付具合のセツテイング状態を
変化させることなしにワツタツチで行なうことが
でき、これに伴い、その操作が簡便になると共
に、スキーヤーに対するスキー靴の着脱が迅速か
つ容易になる。また、各ケーブルは、調節機構を
介して足前部及び甲部の上面側から、及び左右両
側から締め付けるため、靴内での足のフイツト性
及びホールド性が向上し、スキーの操作性が良く
なる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスキー靴の第１の実施例を示
す一部切欠きの側面図、第２図は第１図における
シエル本体前部分の平面図、第３図は第２図の
−線に沿う断面図、第４図は本発明のスキー靴
の第２の実施例を示す要部の断面図である。 １……スキー靴、２……アウタシエル、３……
インナーブーツ、４……シエル本体、４ｃ……前
部、５……フロントカフ、６……リヤカフ、１０
……押えパツト、１１……足保持力調節装置、１
２，１３……調節装置、１６，１８……ケーブ
ル、２４……緊締装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フロントカフ及びリヤカフを有するアウタシ
   エルと、このアウタシエル内に挿着されたインナ
   ーブーツとを有するスキー靴において、上記アウ
   タシエルの前部に足の前部及び甲部にそれぞれ対
   応して締付力調節機構を有する足保持力調節装置
   を設け、かつ上記リヤカフの外側面には足保持力
   の付与及び解放を行なう緊締装置を設けると共
   に、上記足の前部及び甲部分をインナーブーツを
   介してそれぞれ締め付ける各ケーブルの一端を上
   記それぞれの締付力調節機構に連結し、他端を上
   記緊締装置に連結したことを特徴とするスキー
   靴。