JPH0438318Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、原子炉の起動時における中性子束を
測定して原子炉を制御する中性子束測定装置の改
良に関する。

〔考案の技術的背景〕

第１図は従来における中性子束測定装置の構成
図である。第１図において１は原子炉であり、こ
の原子炉１内には原子炉１から引抜き可能な核分
裂計数管２が設けられている。この核分裂計数管
２は、起動モニタ部３における高圧電源部４から
高電圧が加えられて中性子束を検出するもので、
その検出信号は前置増幅器５を経由して中性子測
定部６へ送られる。中性子測定部６は入力された
検出信号に基づいて原子炉１における中性子束レ
ベルを求めて表示するものである。また、駆動装
置７は原子炉が出力領域となつた場合に核分裂計
数管２を専用の移動管（不図示）に通して原子炉
から引抜くものである。

〔背景技術の問題点〕

このように、出力領域において原子炉から核分
裂計数管２を引抜くのは、次のようなことからで
ある。すなわち炉出力10％以上の出力領域になる
と高電圧電源部４から核分裂計数管２へ過大電流
が流れ、特に炉最大出力時には数百mAにも達す
る電流が流れる。これにより、高圧電源部４は過
負荷な状態となり、また核分裂計数管１の検出信
号は飽和して中性子束の指示が低下してしまうこ
とになる。よつて装置保護のため起動時以外は炉
心から引抜いている。

このため、専用の前記移動管が必要となり、さ
らに高放射能領域である原子炉から核分裂計数管
２を引抜くための複雑な機構（不図示）が必要と
なる。

また、この核分裂計数管２の引抜きおよび挿入
の操作は、原子炉１の起動時（中性子束レベルの
低い中性子源領域および中間領域）と運転領域
（出力領域）に対応して頻繁に行なわなければな
らない。

〔考案の目的〕

本考案は上記実情に基づいてなされたもので、
その目的とするところは、原子炉の出力領域にお
いて核分裂計数管を原子炉から引抜く操作をなく
し得、さらに出力領域において装置の保護をなし
得る中性子束測定装置を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は、中性子束検出器からの検出信号に基
づいて原子炉の中性子束レベルをモニタ部により
測定するものであつて、前記中性子束検出器へ高
電圧を加える高電圧電源部の出力電流が所定レベ
ル値となり前記原子炉が出力領域に達しようとし
たとき、前記高電圧電源部の印加高電圧を低下さ
せて前記中性子束検出器の動作を停止させる中性
子束測定装置である。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例について第２図ないし
第４図を参照して説明する。第２図は本考案に係
る中性子束測定装置の構成図である。核分裂計数
管１０は、原子炉１１内に設置されて原子炉１１
内の中性子束を検出するものであつて、具体的に
は原子炉１１の運転領域（出力領域）における中
性子束レベルの高い状態の原子炉１１内に置かれ
るので増殖型検出器（U234使用）のものが用い
られ、検出器の感度劣化を防止したものとなつて
いる。前置増幅器１２は、その入力側に高電圧を
カツトし検出信号のみを通すコンデンサが設けら
れ、核分裂計数管１０からの検出信号を所定レベ
ルに増幅して中性子束モニタ部２０へ出力するも
ので、例えば入力された検出信号をその周波数帯
域別に通過させる入力回路と、この入力回路で分
離された複数の信号を増幅し、その周波数帯域に
対応した入力インピーダンスを有する所望周波数
帯域の複数のアンプとから構成されている。

中性子束モニタ部２０は、前置増幅器１２を通
つてくる検出信号に基づいて原子炉１１の中性子
束レベルを監視するもので、中性子束測定部２
１、および電流制限部ISが設けられた高圧電源部
HVを有しており、その具体的な構成は第３図に
示す如くである。第３図において中性子束測定部
２１は、検出信号に基づいて起動領域（中性子源
領域および中間領域）における中性子束レベルを
求めるものであつて、具体的には主増幅器（不図
示）、原子炉１１の中性子源領域における中性子
束レベルを監視する中性子源領域モニタ、中間領
域における中性子束レベルを監視する中間領域モ
ニタおよびこれら両モニタをカバーするワイドレ
ンジモニタとしての各機能を持つたものである。
トリツプ部２２は中性子束測定部２１からの信号
のレベルを監視し、異常動作時にモニタ警報信号
を出力するものである。

また、高圧電源部HVは、前記核分裂計数管１
０へ所定レベルＨの高電圧を加えるもので、この
高電圧の印加は内設される電流制限部ISにより第
４図に示す如く制限される。この電流制限部IS
は、原子炉１１の炉出力が上昇し出力領域に達す
る以前の炉出力、つまり炉出力が上昇して核分裂
計数管１０への出力電流ｉが例えば10〜20mAと
なつたところで高圧電源部HVの付加電圧を第４
図に示す如く低下させるいわゆるフの字の特性を
高圧電源部HVにもたせるものである。この実施
例では出力電流が10mAになると高電圧が低下す
るように設定されている。この高圧電源部HVの
高電圧は分圧回路２３で分圧されてトリツプ部２
４に入力され、このトリツプ部２４は、入力され
た高電圧と抵抗Ｒからのトリツプ比較レベル信号
とを比較し、前記高圧電源部HVの電圧が低下し
たことを検出して核分裂計数管１０の検出停止を
示す動作不良信号を出力し、その表示をさせるも
のである。

次に上記の如く構成された装置の動作について
説明する。原子炉１１が起動領域にあるとする。
この領域において、高圧電源部HVから核分裂計
数管１０へは、電圧レベルＨの高電圧が加えられ
ている。そこで、核分裂計数管１０の検出信号は
前置増幅器１２を通つて中性子束測定部２１へ送
られ、この中性子束測定部２１の主増幅器で原子
炉出力に比例した電圧信号となる。中性子束測定
部２１はこの電圧信号に基づいて起動領域におけ
る中性子束レベルを求める。さらに、トリツプ部
２２は中性子束測定部２１からの中性子束レベル
を示す信号のレベルを監視する。

次に原子炉１１の炉出力が上昇し起動領域から
出力領域に達しようとしている場合を考える。こ
のように原子炉１１の炉出力が上昇すると核分裂
計数管１０の検出信号すなわちパレス信号は連続
的に発生し、重なり合つて直流成分を含んだもの
となる。これに従つて、高電源部HVから核分裂
計数管１０へ流れる出力電流ｉ（消費電流）は増
加する。

ここで、この出力電流ｉが10mAになると電流
制限部ISにより高電圧電源部HVの印加高電圧は
第４図に示す如く低下する。これにより、核分裂
計数管１０は出力領域に達する以前で中性子束の
検出を停止する。しかして、原子炉１１が出力領
域に達すると、本装置は、自動的に中性子束レベ
ルの測定が停止する。

一方、前記核分裂計数管１０への印加高電圧が
低下すると、トリツプ部２４はトリツプ比較レベ
ルと比較することによりこれを検出して動作不良
信号を出力する。これによつて、中性子束レベル
の測定が停止したことの表示が行なわれる。

再び、原子炉１１が出力領域から起動領域に低
下すると、電流制限部１Ｓにより高電圧電源部
HVから核分裂計数管１０へ電圧レベルＨの高電
圧が印加され、再び中性子束レベルの測定が行な
われる。

このように本装置においては、原子炉１１が出
力領域に達する以前すなわち核分裂計数管１０の
出力電流ｉが10mAになると電流制御部ISにより
高電圧電源部HVから核分裂計数管１０への印加
高電圧を低下させるので、原子炉１１が出力領域
となつても高電圧電源部HVから核分裂計数管１
０へ数百mAもの大電流が流れることなく装置全
体を保護することができる。これにより、出力領
域に達しても核分裂計数管１０を炉心から引抜く
操作を省くことができる。したがつて、核分裂計
数管１０は出力領域においても原子炉１１内に設
けておくことができ、従来用いられた駆動装置や
専用の移動管を省くことができる。これにより、
原子炉１１の下部の構造が簡素化し、さらに引抜
きの操作が無くなつて運転員の負担が大きく軽減
できる。

なお、本考案は上記一実施例に限定されるもの
ではない。上記一実施例では中性子検出器として
核分裂計数管１０を用いたが、中性子検出器はこ
れに限らず電離箱検出器等を用いても上記一実施
例と同様な効果を奏することができる。

また、上記一実施例では、高電圧電源部HVの
高電圧レベルを監視して動作不良信号を出力して
いるが、高電圧レベルだけではなく高電圧電源部
HVの出力電流レベルも同時に監視して前記高電
圧レベルが低下する以前に動作不良信号を出力し
ても良い。

〔考案の効果〕

本考案によれば、高電圧電源から中性子束検出
器への出力電流が所定の値、すなわち原子炉が出
力領域となる前になると電流制限部により高電圧
電源部から中性子束検出器への印加高電圧を低下
するので、他に検出器を付加することなく中性子
束検出器のみで原子炉の出力領域において中性子
束検出器を原子炉から引抜く操作をなくし得、さ
らに出力領域において装置の保護をなくし得る中
性子束測定装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来における中性子束測定装置の構成
図、第２図は本考案に係る中性子束測定装置の一
実施例を示す構成図、第３図は本装置における中
性子束モニタ部の具体的な構成図、第４図は本装
置における高圧電源部の出力特性図である。 １０……核分裂計数管、１１……原子炉、２０
……中性子束モニタ部、２０……中性子束測定
部、２２……トリツプ部、２３……分圧回路、２
４……トリツプ部、HV……高圧電源部、IS……
電流制限。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 原子炉の起動時における中性子束レベルを測定
   する中性子束測定装置において、前記原子炉内に
   設けられ前記起動時における中性子束を検出する
   中性子束検出器と、この中性子束検出器に高電圧
   を加えて動作状態にし、かつ前記原子炉が出力領
   域に達する以前の前記中性子束検出器への出力電
   流値が所定レベル値に達すると前記中性子束検出
   器に加える前記高電圧のレベルを低下させる高圧
   電源部と、この高圧電源部の高電圧レベルおよび
   出力電流の低下を検出して前記中性子束の測定停
   止の動作不良信号を出力するとともに前記起動時
   において前記中性子束検出器からの検出信号に基
   づいて前記中性子束レベルを測定するモニタ部と
   を具備したことを特徴とする中性子束測定装置。