JPH04359817A - 開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は電路の遮断時に発生す
るアークを消弧するための手段を備えた開閉装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図６は従来のパッファ形ガス遮断器を示
す側面断面図である。図６において、このパッファ形ガ
ス遮断器は、一方の電路１０と電気的に接続された固定
接触子１が他方の電路１１と電気的に接続された可動接
触子２に離接されてその電路を開閉するよう構成されて
いる。このパッファ形ガス遮断器は、可動接触子２が設
けられている可動部にパッファ機構を有しており、可動
接触子２の固定接触子１からの開離動作にともない発生
するアークを消弧性ガスの吹き付けにより消弧するよう
構成されている。このパッファ機構は、操作装置（図示
省略）により駆動される可動側パッファ部であるピスト
ンロッド８とこのピストンロッド８と連動するパッファ
シリンダ６、及びパッファシリンダ６の内面に摺動され
ピストンロッド８に貫通されている固定側パッファ部で
あるパッファピストン７により構成されている。したが
って、図６に示すように、パッファシリンダ６とパッフ
ァピストン７とピストンロッド８で形成されるパッファ
室Ａ内の消弧性ガスは、ピストンロッド８の右方向への
移動（開離動作）にともない、連通孔９を通って可動接
触子２と固定接触子１の間のアーク発生部位に吹き付け
られるよう構成されている。このようにして、遮断時に
固定接触子１と可動接触子２の間に発生するアークは強
制的に消弧される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の開閉装置におけ
るパッファ形ガス遮断器は以上のように構成されている
ため、遮断時に発生するアークを消弧性ガスの吹き付け
動作によって消弧しており、開閉装置の消弧能力を上げ
るためには、大形のパッファ機構を設けて、消弧性ガス
のアークへの吹き付け量を増加させなければならなかっ
た。また、アークは大きな熱エネルギー放射しているた
め、アーク周囲の消弧性ガスは高温となり、またノズル
内面等により熱エネルギーの反射、反復により、アーク
周囲の消弧性ガスの高温化とイオン化及びアーク自身の
高温化を招くため、消弧時間を長引かせる原因となって
いた。この結果、パッファ形ガス遮断器の消弧性能を向
上させるためには、大形のパッファ機構が必要となり、
開閉装置の大形化を招いていた。この傾向は定格遮断電
流が大きくなる程、又高電圧用の大容量形の開閉装置程
、顕著となって表われる。

【０００４】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、遮断時に発生するアークが放射
する熱エネルギーを効果的に吸収して、アーク発生によ
る温度上昇を抑制し、消弧性能の高い小形の開閉装置を
得ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載した開閉
装置は、一方の電路に接続され、実質的な棒状に形成さ
れた固定接触子と、他方の電路に接続され、前記固定接
触子と接離する可動接触子と、前記可動接触子の近傍に
配設され、前記可動接触子の移動とともに前記固定接触
子の外周面上を移動し、少なくとも一部がアークの放射
する熱エネルギーを吸収する黒体化処理部材で形成され
た制弧部とを具備するものである。

【０００６】請求項２に記載した開閉装置は、一方の電
路に接続され、実質的な棒状に形成された固定接触子と
、他方の電路に接続され、前記固定接触子と接離する可
動接触子であって、パッファ機構と連動する可動接触子
と、前記可動接触子の近傍に配設され、前記可動接触子
の移動とともに前記固定接触子の外周面上を移動し、少
なくとも一部がアークの放射する熱エネルギーを吸収す
る黒体化処理部材で形成された制弧部であって、前記可
動接触子の移動方向と実質的に平行な中心軸を有する貫
通孔を持ち、前記可動接触子の移動方向における前記貫
通孔の実質的な中央部を境にして前記固定接触子の配設
されている上側部が徐々に広くなっており、前記貫通孔
の前記可動接触子が配設されている下側部の内面に凹凸
面が形成されている制弧部とを具備する。

【０００７】請求項３に記載した開閉装置は、一方の電
路に接続され、実質的な棒状に形成された固定接触子と
、他方の電路に接続され、前記固定接触子と接離する可
動接触子と、前記可動接触子の近傍に配設され、前記可
動接触子の移動とともに前記固定接触子の外周面上を移
動し、少なくとも一部がアークの放射する熱エネルギー
を吸収する黒体化処理部材で形成された制弧部であって
、前記可動接触子の移動方向と実質的に平行な中心軸を
有する実質的な円筒状に形成されて、前記制弧部内面に
近接して前記固定接触子が移動するよう構成された制弧
部とを具備する。

【０００８】請求項４に記載した開閉装置は、一方の電
路に接続され、実質的な棒状に形成された固定接触子と
、他方の電路に接続され、前記固定接触子と接離する可
動接触子と、前記可動接触子の近傍に配設され、前記可
動接触子の移動とともに前記固定接触子の外周面上を移
動し、少なくとも一部がアークの放射する熱エネルギー
を吸収する黒体化処理部材で形成された制弧部であって
、所定間隙を有して配設された複数の消弧板を有し、各
消弧板がアークを誘引するためのスリットを有するよう
に構成された制弧部とを具備する。

【０００９】

【作用】請求項１に記載した開閉装置は、可動アーク接
触子の近傍に配設された制弧部が熱吸収部材である黒体
化処理部材で形成されており、可動接触子が固定接触子
から開離する時に発生するアークは前記制弧部に誘引さ
れ、アークの放射する熱エネルギーは前記制弧部により
吸収されて、アーク発生空間における消弧性ガスの温度
上昇およびイオン化が抑制される。

【００１０】請求項２に記載した開閉装置は、制弧部の
貫通孔の上側部を徐々に広くし、下側部の内面に凹凸面
を形成して、遮断時に発生するアークから放射された熱
エネルギーを吸収し、且つ、そのアークに消弧性ガスを
適切な時期に勢いよく吹き付け、アーク周囲の高温化と
イオン化及びアーク自身の高温化を抑制する。

【００１１】請求項３に記載した開閉装置は、制弧部を
可動接触子の移動方向と略平行な中心軸を有する実質的
な円筒状に形成し、制弧部内面を固定接触子が近接して
移動する構成としているため、アーク周囲の高温化とイ
オン化及びアーク自身の高温化を抑制する。

【００１２】請求項４に記載した開閉装置は、制弧部を
所定間隔を有して配設した複数の消弧板により、遮断時
に発生したアークは大きな冷却作用を受けて、アーク電
圧は短時間で回路電圧を越えてアークが消弧される。

【００１３】

【実施例】

＜第１実施例＞以下、請求項１及び請求項２に記載の開
閉装置の第１実施例であるパッファ形ガス遮断器につい
て図を参照して説明する。図１はこの発明の第１実施例
のパッファ形ガス遮断器の消弧室を示す側面断面図であ
る。

【００１４】図１において、このパッファ形ガス遮断器
は、一方の電路と電気的に接続された固定接触子１２が
他方の電路と電気的に接続された可動接触子１３に操作
装置（図示なし）によるピストンロッド１８の上下方向
への作動により接離されるよう構成されている。このピ
ストンロッド１８の作動によりパッファ機構の可動部が
駆動されており、可動接触子１３はピストンロッド１８
に固着されたパッファシリンダ１６とともに上下方向へ
移動して前記固定接触子１２と接離する。このピストン
ロッド１８はパッファ機構の固定部であるパッファピス
トン１７を貫通して摺動し、パッファ室Ａ内の消弧性ガ
スを圧縮して可動接触子１３の方へ吹き付けるよう構成
されている。このパッファ機構の可動部には、可動接触
子１３の上部近傍に制弧部１４が配設されている。この
制弧部１４はフッ素樹脂に熱吸収特性の優れた黒色充填
剤を配合したもので、例えば酸化（黒色化）アルミナ粉
末配合フッ素樹脂や、炭化処理アルミナ粉末配合フッ素
樹脂や、炭素粉末配合フッ素樹脂で形成した黒色化処理
部材である。図２は、制御部１４のみを図１のＩＩ−−
−ＩＩ線で切断したところを示す断面図である。図２に
示されているように、この制弧部１４の上下方向の略中
央を境にして制弧部１４の下側部１４ｂの内面には放射
状に延設された複数の溝１４ｃが形成されている。制弧
部１４に形成された溝１４ｃは、図１の側面断面図に示
されているように、可動接触子１３の先端に近づくにし
たがって深く形成されている。一方、制弧部１４の上側
部１４ａの内面形状は上方に向って徐々に拡がるよう形
成されている。したがって、図１に示すように、制弧部
１４の略中央においてその内面の開口面積は最小となっ
ている。この最小開口面積の直径Ｂは、前記固定接触子
１２の直径Ｃより僅かに大きく形成されており、制弧部
１４の略中央部分が固定接触子１２の外周面上を近接し
て移動するよう形成されている。

【００１５】以上のように構成された、第１実施例のパ
ッファ形ガス遮断器における遮断時の動作について説明
する。

【００１６】遮断指令を受けた操作装置（図示なし）の
引き外し動作により、この操作装置と連動するピストン
ロッド１８は、図１における下方向（遮断方向）へ移動
される。このピストンロッド１８の遮断方向への移動動
作について時間を追って説明する。制弧部１４の最小開
口部は固定接触子１２により実質的に閉塞されているた
めに、遮断動作の初期段階では、ピストンロッド１８の
移動によりパッファシリンダ１６とパッファピストン１
７で構成されるパッファ室Ａ内の消弧性ガスは圧縮され
る。そして、ピストンロッド１８に固着されている可動
接触子１３は、固定接触子１２から開離し、可動接触子
１３と固定接触子１２の間にアーク５０が発生する。こ
のアーク５０は引き続く可動接触子１３の遮断動作によ
り引き伸ばされ、制弧部１４の下側部１４ｂに包囲され
る。この時、アーク５０は制弧部１４の下側部１４ｂに
おいてアーク電流に比例する多量の熱エネルギーを放射
している。この制弧部１４は熱吸収特性の優れた黒色充
填剤を配合したフッ素樹脂で形成されており、且つ、下
側部１４ｂの内面は複数の溝１４ｃが設けられて凹凸状
に形成されているために、このアーク５０は制弧部１４
の下端部１４ｂの凹凸面と接触し、制弧部１４の下側部
１４ｂの溝１４ｃ内に誘引されたアークの放射する熱エ
ネルギーはこの制弧部１４によって直接的に吸収される
。制弧部１４に吸収された熱エネルギーは、この制弧部
１４からの直接的な熱放射と、制弧部１４に機械的に接
続されているパッファ機構の可動部への熱伝導により放
出とにより、制弧部１４は冷却されている。このように
、アーク５０からの熱エネルギーは直接的に制弧部１４
によって吸収されるため、従来の装置におけるノズル内
面等によるアーク５０からの熱エネルギーの反射による
アーク５０自身の高温化及びその周囲の消弧性ガスの高
温化とイオン化という問題は、黒体化処理部材で形成し
た制弧部１４をアーク発生部位近傍に設けることにより
解決されている。

【００１７】このように、アーク５０からの熱エネルギ
ーが制弧部１４によって吸収されているとき、可動接触
子１３が遮断方向へ移動して固定接触子１２の先端は制
弧部１４の最小開口部を通過すると、固定接触子１２の
外周面と制弧部１４の内面との間の隙間は拡がるために
、パッファ室Ａ内で圧縮されていた消弧性ガスは急激に
流れ始める。パッファ室Ａ内のこの消弧性ガスは前記パ
ッファ機構の作動により連通孔１９を通って勢いよくア
ーク５０に吹き付けられる。このとき、アーク５０は引
き伸ばされており、且つ、前述のように制弧部１４によ
ってアーク５０の放射する熱エネルギーは吸収されてい
るため、アーク５０は高速流動する消弧性ガスにより電
路に流れている交流アークの零値になったときに確実に
消弧される。最小開口断面の直径Ｂは遮断時に発生する
アーク５０のいわゆるアーク柱の断面の直径より十分大
きく設定されているため、アーク５０の拡散による消弧
作用を高めて、本実施例のパッファ形ガス遮断器の消弧
能力をさらに高いものとしている。なお、アーク５０が
消弧された後、可動接触子１３はさらに遮断方向へ移動
されて、可動接触子１３と固定接触子１２の間隔は回復
電圧に十分耐える絶縁距離となり、このパッファ形ガス
遮断器の遮断動作は終了する。

【００１８】なお、上記第１実施例の制弧部１４に設け
た複数の溝１４ｃは、可動接触子１３の移動方向と略平
行に直線的に延設されているが、この溝を螺旋状に形成
して、遮断時の消弧性ガスの流動方向をアーク発生空間
において、過巻流とし、制弧部１４及びその周辺部の冷
却効率をさらに高めて、当該装置の消弧能力をさらに向
上させることができる。

【００１９】＜第２実施例＞以下、請求項１及び請求項
３に記載の開閉装置の第２実施例であるパッファ形ガス
遮断器について図を参照して説明する。図３はこの発明
の第２実施例のパッファ形ガス遮断器の消弧室を示す側
面断面図である。

【００２０】図３において、一方の電路に電気的に接続
された略円筒状の固定接触子２０は、他方の電路に電気
的に接続された可動接触子２１の上下方向への移動によ
り接離されるよう配設されている。可動接触子２１は、
パッファシリンダ２３とピストンロッド２５により構成
されるパッファ機構の可動部に設けられており、ピスト
ンロッド２５と連動する操作装置（図示なし）により駆
動されるよう構成されている。ピストンロッド２５は、
パッファ機構の固定部であるパッファピストン２４を貫
通して摺動し、パッファ室Ａ内の消弧性ガスを圧縮して
可動接触子２１の方向へ吹き付ける構成となっている。 パッファ機構の可動部の可動接触子２１の上部近傍には
、制弧部である略円筒状のフローガイド２２が配設され
ている。このフローガイド２２は、フローガイド２２の
内面が固定接触子２０の外面に対して僅かの間隙を有す
るよう、配設されている。このために、可動接触子２１
の接離動作時にフローガイド２２の内面は、固定接触子
２０の外面上を近接して移動するよう構成されている。 フローガイド２２は、アーク５０から放射する熱エネル
ギーを吸収する黒体化処理部材である黒色充填剤配合の
フッ素樹脂、例えば酸化（黒体化）アルミナ粉末配合フ
ッ素樹脂、炭化処理アルミナ粉末配合フッ素樹脂又は炭
素粉末配合フッ素樹脂で形成されている。

【００２１】以上のように構成された第２実施例のパッ
ファ形ガス遮断器における遮断動作について説明する。

【００２２】図示を省略した操作装置の引き外し動作に
より、この操作装置と連動するパッファ機構のピストン
ロッド２５は、図３における下方向（遮断方向）へ移動
される。このピストンロッド２５の遮断方向への移動に
より、パッファ室Ａ内の消弧性ガスは圧縮される。そし
て、このピストンロッド２５と連動する可動接触子２１
は固定接触子２０から開離し、可動接触子２１と固定接
触子２０の間にアーク５０が発生する。この時、発生す
るアーク５０はフローガイド２２の内部においてアーク
電流に比例する多量の各種エネルギー（熱、光、電磁波
等）を放射しており、このアーク５０の放射する各種エ
ネルギーの内、熱エネルギーは高い割合を占めている。 この第２実施例のパッファ形ガス遮断器においては、ア
ーク５０の放射する熱エネルギーはフローガイド２２に
よって直接的に吸収され、また、この熱エネルギーの反
射は抑制されている。 そして、アーク５０は、ピストンロッド２５の引き続く
遮断方向への移動により引き伸ばされ、消弧性ガスがパ
ッファ機構により吹き付けられて、短時間で消弧される
。

【００２３】アーク５０が消弧されるのは、固定接触子
２０と可動接触子２１の間の距離が遮断できる最小絶縁
距離、すなわち最小遮断距離、を越えたときで、且つ、
電路の交流アーク電流が零値に達したときである。そし
て、可動接触子２１が前記最小遮断距離を越えたときか
ら、交流アーク電流が零値に達するまでの最長経過時間
は、電路を流れる交流電流の周波数の１／２サイクル後
である。アーク５０の放射する熱エネルギーは、アーク
５０の発生から消弧されるまでの消弧時間の間において
、アーク５０が発生した瞬間から指数関数的に増大して
いく。しかし、この第２実施例のパッファ形ガス遮断器
においては、遮断時に発生したアーク５０がフローガイ
ド２２内に誘引されて、熱吸収部材である前記黒体化処
理部材で形成されたフローガイド２２により、アーク５
０から放射された熱エネルギーは効率高く吸収されてい
る。そして、アーク５０から放射される熱エネルギーは
、このフローガイド２２により反射しないよう構成され
ているため、アーク発生空間であるフローガイド２２の
内部において、消弧性ガスの高温化とイオン化及びアー
ク５０自身の高温化は抑制されている。したがって、可
動接触子２１が最小遮断距離を通過してから電路の周波
数の１／２サイクルが経過するまでの最長期間の間、ア
ーク５０が発生しても、アーク５０周囲の高温化とイオ
ン化及びアーク５０自身の高温化は確実に抑制されてい
るため、請求項１及び請求項３の開閉装置の第２実施例
であるパッファ形ガス遮断器は高い消弧能力と常に安定
した消弧性能を示す。

【００２４】なお上記第２実施例のフローガイド２２は
黒色充填剤をフッ素樹脂に配合したもので黒体化処理部
材を形成したが、他の実施例のフローガイド２６として
図４に側面断面図で示すように、絶縁物であるフッ素樹
脂で形成した略円筒状のフローガイド２６にリング状の
黒体化処理部材２７を複数個その内面に埋設するように
構成して、絶縁性能の高いフローガイド２６としても上
記第２実施例と同様の効果を奏する。

【００２５】また、上記第２実施例ではパッファ形ガス
遮断器について説明したが、他の形式である空気吹付形
開閉装置等において、アーク発生部位近傍に黒色充填剤
を配合したフッ素樹脂の黒体化処理部材の制弧部を用い
ることによって消弧性能の高い空気吹付形開閉装置等を
得ることができる。

【００２６】さらに、一般家庭用として用いられるいわ
ゆる低圧用遮断器においては、その低圧用遮断器に用い
られている限流要素としての制弧部に黒色充填剤を配合
した黒体化処理部材を用いることによって、制弧部の限
流効果を高めることができ、遮断性能の高い低圧用遮断
器を得ることができる。

【００２７】＜第３実施例＞次に、請求項１及び請求項
３に記載の開閉装置の第３実施例として磁気遮断器に前
述の第１実施例と第２実施例で説明した黒体化処理部材
を用いたものを図を参照して説明する。

【００２８】図５は磁気遮断器の要部を示す側面図であ
る。図５において、この磁気遮断器は、固定接触子２８
が略円弧上に移動する可動接触子２９に離接されて、電
路を開閉するものであり、遮断時に固定接触子２８と可
動接触子２９の間に発生するアーク５０を前部アークホ
ーン３０と後部アークホーン３１の間に転流させるよう
構成されている。固定接触子２８は後部アークホーン３
１と電気的に接続されており、可動接触子２９は後述す
る電磁コイル３３を介して前部アークホーン３０に接続
されている。前部アークホーン３０と後部アークホーン
３１の間に転流したアーク５０は、電磁コイル３３の作
る磁界の作用により上向きに駆動され中間アークホーン
３５によって仕切られた２つの消弧室３２，３２内へ吹
き上げられる。それぞれの消弧室３２，３２内には、熱
吸収特性の優れた黒体化処理部材、例えば炭化珪酸塩、
酸化処理（黒色化）金属、炭素基材により形成された制
弧部である複数個の消弧板３４が横方向に所定間隔を有
して配列されている。この消弧板３４にはその略中央に
アークを誘導するスリットが形成されており、このスリ
ットは消弧板３４の下側を開口部とし上方向へ行くにし
たがって狭く形成されている。横方向に配列された複数
の消弧板３４におけるそれぞれのスリットが形成されて
いる位置は、上方向へ行くにしたがって隣り合うスリッ
トの位置は異なっており、すなわち、それぞれのスリッ
トの中心点を結ぶ横方向の線は上方向へ行くにしたがい
徐々に蛇行するよう構成されている。

【００２９】以上のように構成された第３実施例の磁気
遮断器における遮断動作について説明する。可動接触子
２９が固定接触子２８より開離すると、この可動接触子
２９と固定接触子２８の間にはアーク５０が発生する。 このアーク５０は、可動接触子２９の引き続く開離動作
により引き伸ばされ、前部アークホーン３０と後部アー
クホーン３１の間へ転流する。前部アークホーン３０と
後部アークホーン３１の間にアーク５０が転流すると、
前部アークホーン３１と後部アークホーン３１の間に電
気的に直列に接続されている電磁コイル３３に電流が流
れて、消弧室３２の両側（図５における消弧室３２の手
前側と向う側）に設けられた磁極板によりアーク５０と
直交する磁界が発生する。この磁界の発生により、アー
ク５０は、２つの消弧室３２，３２が配設されている上
方向へ駆動される。このため、アーク５０は消弧室３２
内の複数の消弧板３４に設けられたスリットに誘引され
てさらに上方向へ押し上げられる。このとき、アーク５
０の上方向への移動により、より狭くなっているスリッ
トの細隙効果に加え、消弧板３４の優れた熱エネルギー
吸収効果が相乗して、アーク５０は大きな冷却作用を受
ける。すなわち、アーク５０は消弧板３４のスリットに
よって蛇行させられて引き伸ばされ、且つ、アーク５０
から放射する熱エネルギーは消弧板３４の前記黒体化処
理部材により吸収される。このため、アーク電圧は、ア
ーク５０の消弧板３４内の移動により、急激に、且つ、
速やかに上昇し、短時間の間に回路電圧を越える値とな
る。このとき、電路に交流電流が流れている場合には、
アーク電流が零値になるときアーク５０は確実に消弧さ
れ、直流電流が流れている場合には、短時間で限流され
てアーク電圧が回路電圧以上の値になったときアーク５
０は消弧される。

【００３０】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ので、次に記載する効果を奏する。

【００３１】請求項１の開閉装置においては、アークの
発生部位近傍にアークが放射する熱エネルギーを吸収す
る黒体化処理部材で形成された制弧部を設けているので
、この制弧部によりアークから放射された熱エネルギー
は効率高く吸収され、アーク発生による過度の温度上昇
は抑制されて、消弧性能の優れた、小形で大容量の開閉
装置が得られる効果がある。

【００３２】請求項２の開閉装置においては、制弧部の
貫通孔の上側部を徐々に広くし、下側部の内面に凹凸面
が形成されているので、アークから放射された熱エネル
ギーは効率高く吸収され、且つ、アークに消弧性ガスが
適切な時期に勢いよく吹き付けられるため、アーク周囲
の高温化とイオン化及びアーク自身の高温化は抑制され
て、高い消弧能力と短い消弧時間を有する開閉装置が得
られる効果がある。

【００３３】請求項３の開閉装置においては、制弧部を
可動接触子の移動方向と略平行な中心軸を有する実質的
な円筒状に形成し、制弧部内面を固定接触子が近接して
移動するよう構成しているので、アーク周囲の高温化と
イオン化及びアーク自身の高温化は確実に抑制され、高
い消弧能力と常に安定した消弧性能を示す開閉装置が得
られる効果がある。

【００３４】請求項４の開閉装置においては、制弧部を
所定間隔を有して配設した複数の消弧板により構成して
いるので、遮断時に発生したアークは大きな冷却作用を
受けて、アーク電圧は短時間で回路電圧を越えてアーク
が消弧されるため、消弧時間の短い開閉装置が得られる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明における開閉装置の第１実施例のパッ
ファ形ガス遮断器の消弧室を示す側面断面図。

【図２】図１に示すパッファ形ガス遮断器の制弧部のみ
をＩＩ−−−ＩＩ線で切断したところを示す断面図。

【図３】この発明における開閉装置の第２実施例のパッ
ファ形ガス遮断器の消弧室を示す側面断面図。

【図４】この発明の第２実施例のパッファ形ガス遮断器
のフローガイドの他の実施例を示す側面断面図。

【図５】この発明における開閉装置の第３実施例の磁気
遮断器の要部を示す側面図。

【図６】従来の開閉装置の消弧室を示す側面断面図。

【符号の説明】 １２　　　　固定接触子 １３　　　　可動接触子 １４　　　　制弧部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　一方の電路に接続され、実質的な棒状
   に形成された固定接触子、他方の電路に接続され、前記
   固定接触子と接離する可動接触子、前記可動接触子の近
   傍に配設され、前記可動接触子の移動とともに前記固定
   接触子の外周面上を移動し、少なくとも一部がアークの
   放射する熱エネルギーを吸収する黒体化処理部材で形成
   された制弧部、を具備することを特徴とする開閉装置。
2. 【請求項２】　　前記可動接触子がパッファ機構と連動
   し、前記制弧部が前記可動接触子の移動方向と実質的に
   平行な中心軸を有する貫通孔を持ち、前記可動接触子の
   移動方向における前記貫通孔の実質的な中央部を境にし
   て前記固定接触子の配設されている上側部が徐々に広く
   なっており、前記貫通孔の前記可動接触子が配設されて
   いる下側部の内面に凹凸面が形成されている請求項１記
   載の開閉装置。
3. 【請求項３】　　前記制弧部が前記可動接触子の移動方
   向と実質的に平行な中心軸を有する実質的な円筒状に形
   成されて、前記制弧部内面に近接して前記固定接触子が
   移動するよう構成された請求項１記載の開閉装置。
4. 【請求項４】　　前記制弧部が所定間隙を有して配設さ
   れた複数の消弧板を有し、各消弧板がアークを誘引する
   ためのスリットを有するように構成された請求項１記載
   の開閉装置。