JPH0435741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えば自動車のラジエータ等に使
用される熱交換器に関するものである。

従来の技術 従来、この種の熱交換器は、例えば第６図に示
すように、並列状に配置された熱交換管３２と、
熱交換管３２の両端部にそれぞれ連通する上下一
対のヘツダ３３，３４と、対向する熱交換管３２
の中間に介在されたコルゲート・フイン３５と、
熱交換管３２およびフイン３５の両外側に配置さ
れた左右一対の側板３７（一方の図示は省略）と
を備えており、その製造においては、上下両ヘツ
ダ３３，３４の対向壁を構成する管板３８，３９
に対して熱交換管３２とフイン３５、および両側
板３７を組み合わせて、管板３８，３９と両側板
３７とを溶接した後、管板３８、３９側に開口し
た略箱形のヘツダ構成部材４８，４９を各管板３
８，３９に嵌め被せて、治具で全体をセツトし、
これらを真空ろう付け装置により一体にろう付け
していた。

考案が解決しようとする課題 しかながら、このような従来の熱交換器では、
管板３８，３９と両側板３７とを溶接により固定
するため、その作業が非常に面倒であり、左右両
側板３７に対して管板３８，３９の上下方向の位
置決めを正確に行なうことが困難で、溶接作業に
手間がかかり、両側板３７に対する管板３８，３
９の上下方向の位置がずれた場合には、管板３
８，３９同志の間隔を一定に保持することができ
ず、歪んだ形状の熱交換器が形成されてしまい、
熱交換器の製造が容易でなかつた。また従来の熱
交換器は強度が充分でなく、耐久性に劣るという
問題があつた。

この考案の目的は、上記の従来技術の問題を解
決し、熱交換器構成部材の組合わせ作業が非常に
簡単で、工数がかゝらず、また組立時間も短くて
すむとともに、組合わせのさい管板が側板に対し
て上下方向に位置ずれをすることがなく、管板同
志の間隔を一体に保持することができて、側板に
対し管板を非常に簡単にかつ正確な位置に確実に
配することができ、組合わせ状態においては、左
右両側板と管板とヘツダ構成部材とが非常に安定
に精度よく組み合わせられており、このため真空
ろう付けにより接合不良を生じるようなことがな
く、かつ熱交換器の形状が歪んだりするようなこ
とがなく、しかも従来の面倒な溶接作業を行なう
必要がないし、また左右側板および管板の加工が
簡単で、熱交換器の製造コストが安くつくうえ
に、強度が充分に大きく、耐久性にすぐれてい
る、熱交換器を提供しようとするにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、並
列状の熱交換管の上下両端部に連通しかつ管板お
よび管板側に開口した略箱形のヘツダ構成部材よ
りなる一対のヘツダと、左右一対の側板とを備
え、上下両ヘツダの管板がアルミニウム・ブレー
ジング・シートによりつくられている熱交換器に
おいて、各管板の周縁部の立上がり壁の高さの中
間部に段部が設けられ、各側板の上下両端寄り部
分に段部が設けられており、各側板の段部に管板
の段部が受け止められ、管板にヘツダ構成部材が
嵌め合わせられて、各管板の立上がり壁の段部に
ヘツダ構成部材の垂下壁の下端が受け止められ、
かつ立上がり壁の段部より上側の垂直壁部とヘツ
ダ構成部材周縁の垂下壁とが当接せしめられて、
上下両ヘツダの管板、同ヘツダ構成部材、および
左右両側板が接合されている熱交換器を要旨とし
ている。

作 用 上記熱交換器によれば、左右両側板の上下両端
寄り部分にそれぞれ設けられた段部に、各管板の
周縁部の立上がり壁の高さの中間部に設けられた
段部が受け止められ、各管板に嵌め合わせられた
ヘツダ構成部材の垂下壁の下端が、各管板の立上
がり壁の段部に受け止められているから、熱交換
器構成部材の組合わせ作業が非常に簡単で、工数
がかゝらず、また組立時間も短くてすむととも
に、組合わせのさい管板が側板に対して上下方向
に位置ずれをすることがなく、管板同志の間隔を
一定に保持することができて、側板に対し管板を
非常に簡単にかつ正確な位置に確実に配すること
ができる。

そして、組合わせ状態においては、左右両側板
と管板とヘツダ構成部材とが非常に安定に精度よ
く組み合わせられており、立上がり壁の段部より
上側の垂直壁部とヘツダ構成部材周縁の垂下壁と
が当接せしめられていて、真空ろう付けにより、
上下両ヘツダの管板、同ヘツダ構成部材、および
左右両側板を接合するさい、接合不良を生じるよ
うなことがなく、かつ熱交換器の形状が歪んだり
するようなことがない。

勿論、従来の面倒な溶接作業を行なう必要がな
いし、また各管板には、これらの周縁部の立上が
り壁の高さの中間部に段部を設け、各側板には、
これらの上下両端寄り部分に段部を設ければよ
く、従つて左右側板および管板の加工が簡単であ
り、熱交換器の製造コストが安くつく。また各管
板周縁の立上がり壁に段部が全周にわたつて設け
られるとともに、各側板の上下両端寄り部分に段
部が設けられているから、熱交換器は、強度が充
分に大きく、耐久性にすぐれている。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて説
明する。

なお、この明細書において、左右および前後は
第１図を基準とし、左とは第１図左側、右とは同
右側をいい、前とは同図図面紙葉の表側、後とは
同裏側をいうものとする。

第１図〜第５図において、１は自動車のラジエ
ータとして使用されるアルミニウム製熱交換器
で、これは多数の通水路１０を有しかつ並列状に
配置された偏平状熱交換管２と、熱交換管２の両
端部にそれぞれ連通する上下一対のヘツダ３，４
と、対向する熱交換管２の中間に介在されたコル
ゲート・フイン５と、熱交換管２およびフイン５
の両外側に配置された左右一対の側板６，７とを
備えている。

上下両ヘツダ３，４は、管板８，９と、管板
８，９の周縁に設けられた立上がり壁１１，１１
内に嵌め込まれかつ管板８，９側に開口した略箱
形のヘツダ構成部材１８，１９とによつてそれぞ
れ構成されている。

１２は各管板８，９の左右両端部において立上
がり壁１１の上端に外方突出状に設けられた正面
よりみて倒Ｌ形の仮止め用係合部、２６は立上が
り壁１１の高さの中間部に設けられた段部、１３
は立上がり壁１１の上端において仮止め用係合部
１２の両側にそれぞれ設けられた切込き、１４は
各側板６，７の上下両端部に設けられた切欠き、
２５は各側板６，７の上下両端寄り部分に設けら
れた段部で、これらの段部２５には管板８，９の
段部２６が受け止められる。

そして各側板６，７の上下両端部の切欠き１４
に、管板８，９の仮止め用係合部１２が嵌め入れ
られ、この状態で仮止め用係合部１２がかしめら
れて側板６，７の端部に締め付けられることによ
り、管板８，９の左右両端部と、側板６，７の上
下両端部とが相互に仮止めされるようになされて
いる。

なお、上下両ヘツダ３，４の略箱形のヘツダ構
成部材１８，１９の周縁には、垂下壁１８ａ（下
部ヘツダ構成部材１９側の図示は省略）が設けら
れていて、管板８，９と側板６，７とが仮止めさ
れかつ管板８，９にヘツダ構成部材１８，１９が
嵌め合わせられたさいに、各管板８，９の立上が
り壁１１の段部２６にヘツダ構成部材１８，１９
の垂下壁１８ａの下端が受け止められ、かつ立上
がり壁１１の段部２６より上側の垂直壁部１１ａ
とヘツダ構成部材１８，１９周縁の垂下壁１８ａ
とが当接せしめられるようになされている。

１５は各管板８，９にこれの幅方向に設けられ
た並列状の長孔で、これには熱交換管２の上下両
端部が差し込まれる。１６は下部ヘツダ４の前面
に接続されたインレツトパイプ、１７は上部ヘツ
ダ３の前面に接続されたアウトレツトパイプ、２
０は上部ヘツダ３の頂面に接続された空気抜き
管、２３，２３は上部ヘツダ３の前後両面の右端
部にそれぞれ取付けられた一対の上部ブラケツ
ト、２４は下部ヘツダ４の下面に取り付けられた
下部ブラケツトである。

上記において、上下両ヘツダ３，４の管板８，
９およびヘツダ構成部材１８，１９と、左右両側
板６，７とがアルミニウム・ブレージング・シー
トによりつくられており、また熱交換管２がアル
ミニウム押出型材製であつてかつ対向面にろう材
層を有するクラツド・パイプによりつくられてい
る。コンゲート・フイン５は純アルミニウム板あ
るいはアルミニウム合金板によりつくられてい
る。

そして上記熱交換器１を製造するには、まず熱
交換管２と、コルゲート・フイン５と、上下管板
８，９とを組み合わせるとともに、上下管板８，
９の左右両端部に左右両側板６，７を組み合わせ
る（第４図実線部分参照）。このとき、左右両側
板６，７の上下両段部２５，２５に上下管板８，
９の段部２６，２６が受け止められるので、非常
に安定である。

この状態で管板８，９両端の仮止め用係合部１
２をかしめて、これを側板６，７の上下両端部に
係合させる（同図２点鎖線部分参照）。これによ
つて管板８，９の端部と側板６，７の端部とが仮
止めされ、熱交換管２とフイン５、および側板
６，７と管板８，９とが一体に組み合わされる。
その後、管板８，９にヘツダ構成部材１８，１９
を嵌め合わせる。このとき、各管板８，９の立上
がり壁１１の段部２６にヘツダ構成部材１８，１
９の垂下壁１８ａの下端が受け止められ、かつ立
上がり壁１１の段部２６より上側の垂直壁部１１
ａとヘツダ構成部材１８，１９周縁の垂下壁１８
ａとが当接せしめられる。ついでこの状態で熱交
換器構成部材全体を治具でセツトし、これらを真
空ろう付け装置により一体にろう付けするもので
ある。

ろう付け後においては、管板８，９の左右両端
部の立上がり壁１１の段部２６と側板６，７の上
下両端寄り部分の段部２５，２５は勿論のこと、
すべての部材がろう材層により接合せられるもの
である。

なお、上記実施例においては、側板６，７と管
板８，９の双方がアルミニウム・ブレージング・
シートによりつくられているが、これらのうち少
なくとも一方がアルミニウム・ブレージング・シ
ートによりつくられておればよい。

考案の効果 この考案は、上述のように、並列状の熱交換管
の上下両端部に連通しかつ管板および管板側に開
口した略箱形のヘツダ構成部材よりなる一対のヘ
ツダと、左右一対の側板とを備え、上下両ヘツダ
の管板がアルミニウム・ブレージング・シートに
よりつくられている熱交換器において、各管板の
周縁部の立上がり壁の高さの中間部に段部が設け
られ、各側板の上下両端寄り部分に段部が設けら
れており、各側板の段部に管板の段部が受け止め
られ、管板にヘツダ構成部材が嵌め合わせられ
て、各管板の立上がり壁の段部にヘツダ構成部材
の垂下壁の下端が受け止められているから、熱交
換器構成部材の組合わせ作業が非常に簡単で、工
数がかゝらず、また組立時間も短くてすむととも
に、組合わせのさい管板が側板に対して上下方向
に位置ずれをすることがなく、管板同志の間隔を
一定に保持することができて、側板に対し管板を
非常に簡単にかつ正確な位置に確実に配すること
ができ、組合わせ状態においては、左右両側板と
管板とヘツダ構成部材とが非常に安定に精度よく
組み合わせられているものである。

そして、立上がり壁の段部より上側の垂直壁部
とヘツダ構成部材周縁の垂下壁とが当接せしめら
れた状態で、真空ろう付けにより、上下両ヘツダ
の管板、同ヘツダ構成部材、および左右両側板が
接合されることにより、ろう付けのさい管板が側
板に対して上下方向に位置ずれをすることがな
く、管板同志の間隔を一定に保持することがで
き、側板に対し管板を非常に簡単にかつ正確な位
置に確実に取り付けることができて、熱交換器の
製造が容易であり、しかも接合不良を生じるよう
なことがなく、かつ熱交換器の形状が歪んだりす
るようなことがない。

しかも従来の面倒な溶接作業を行なう必要がな
いし、また左右側板および管板の加工が簡単で、
熱交換器の製造コストが安くつくうえに、強度が
充分に大きく、耐久性にすぐれているという効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す正面図、第２
図は右側面図、第３図は部分切欠き拡大平面図、
第４図は第３図−線に沿う拡大断面図、第５
図は第２図の要部拡大側面図である。第６図は従
来例を示す斜視図である。 １……熱交換器、２……熱交換管、３，４……
上下ヘツダ、５……コルゲート・フイン、６，７
……左右側板、８，９……上下管板、１１……立
上がり壁、１１ａ……垂直壁部、１８，１９……
ヘツダ構成部材、１８ａ……垂下壁、２５，２６
……段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 並列状の熱交換管２の上下両端部に連通しかつ
   管板８，９および管板８，９側に開口した略箱形
   のヘツダ構成部材１８，１９よりなる一対のヘツ
   ダ３，４と、左右一対の側板６，７とを備え、上
   下両ヘツダ３，４の管板８，９がアルミニウム・
   ブレージング・シートによりつくられている熱交
   換器において、各管板８，９の周縁部の立上がり
   壁１１の高さの中間部に段部２６が設けられ、各
   側板６，７の上下両端寄り部分に段部２５が設け
   られており、各側板６，７の段部２５に管板８，
   ９の段部２６が受け止められ、管板８，９にヘツ
   ダ構成部材１８，１９が嵌め合わせられて、各管
   板８，９の立上がり壁１１の段部２６にヘツダ構
   成部材１８，１９の垂下壁１８ａの下端が受け止
   められ、かつ立上がり壁１１の段部２６より上側
   の垂直壁部１１ａとヘツダ構成部材１８，１９周
   縁の垂下壁１８ａとが当接せしめられて、上下両
   ヘツダ３，４の管板８，９、同ヘツダ構成部材１
   ８，１９、および左右両側板６，７が接合されて
   いる熱交換器。