JPH04357351A - Ｖベルト変速機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動二輪車等に用いら
れるＶベルト変速機に関し、特に変速機構の構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のＶベルト変速機は、エンジン側の
駆動プーリおよび後輪側の従動プーリのそれぞれの可動
側プーリを移動機構によって軸方向へ移動させてＶベル
トの巻掛け径を変えるように構成されていた。前記移動
機構は、駆動プーリでは駆動プーリと共に回転する遠心
ボールの遠心力が、従動プーリでは圧縮コイルばねの弾
発力が動力源とされており、駆動プーリは、遠心ボール
から受ける力が大きくなるにしたがって可動側プーリが
固定側プーリに接近してＶベルトの巻掛け径が大きくな
るように構成されていた。また、従動プーリの可動側プ
ーリは、固定側プーリに接近してＶベルトの巻掛け径が
大きくなるよう常に圧縮コイルばねによって付勢されて
いた。

【０００３】このように構成された従来のＶベルト変速
機は、エンジンが低回転で遠心ボールの遠心力が比較的
小さい時には、従動プーリでのＶベルトの巻掛け径が駆
動プーリでの巻掛け径より大きくなる。この際には減速
比が大きくなって、従動プーリに連結された後輪は低速
回転する。そして、エンジンが高回転になると、前記遠
心力が大きくなって駆動プーリでのＶベルトの巻掛け径
が大きくなり、この反作用として従動プーリでの巻掛け
径が小さくなって後輪が高速回転することになる。この
際には、従動プーリでは前記圧縮コイルばねの弾発力に
抗して可動側プーリが固定側プーリから離間する。すな
わち、従来のＶベルト変速機では、Ｖベルトは駆動プー
リの固定側プーリと可動側プーリに、従動プーリの固定
側プーリと可動側プーリによって常に挟み付けられた状
態で回転していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、このように
Ｖベルトを固定側プーリと可動側プーリとで常に挟圧し
た状態で回転させる構造では、Ｖベルトに作用する摩擦
力は動力伝達のために最低限必要な摩擦力より大きくな
ってしまう。このため、Ｖベルト変速機の動力伝達効率
が低下し、しかもＶベルトの寿命が短くなってしまう。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るＶベルト変
速機は、可動プーリを軸方向へ移動させる移動機構を、
各可動プーリに回転自在に軸装された歯車と、駆動プー
リと従動プーリとの間に回動自在に設けられ前記両歯車
に噛合する操作用歯車と、この操作用歯車を回動させる
変速手段とによって構成し、前記両歯車に、変速機本体
に係接して回転動作を軸方向動作に変えるカムを設けた
ものである。

【０００６】

【作用】操作用歯車を回すことにより駆動プーリの歯車
と従動プーリの歯車とが同時に回り、駆動プーリおよび
従動プーリのそれぞれの可動側プーリが前記歯車と共に
軸方向へ移動する。このため、操作用歯車の回動動作に
応じて駆動プーリ，従動プーリでのＶベルトの巻掛け径
が変わって変速する。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図３に
よって詳細に説明する。図１は本発明に係るＶベルト変
速機が搭載された自動二輪車用エンジンの側面図、図２
は図１におけるエンジンのＩＩ−ＩＩ線断面図，図３は
本発明に係るＶベルト変速機を拡大して示す断面図であ
る。 これらの図において、１は自動二輪車用２サイクル単気
筒エンジン、２はこのエンジン１のクランクケース、３
は同じくシリンダである。４は前記クランクケース２に
回転自在に支持されたクランク軸で、このクランク軸４
は、後述するＶベルト変速機５，遠心多板クラッチ６お
よび遊星歯車減速機７を介して出力軸８に連結されてい
る。なお、このクランク軸４は、図１中矢印で示すよう
にエンジン１の右側からみて右回りに回転するように構
成されている。

【０００８】前記Ｖベルト変速機５はエンジン１の右側
に配設され、前記クランク軸４を駆動軸として構成され
ている。１０は従動軸で、この従動軸１０はクランク軸
４より後側にクランク軸４に対して平行に設けられ、ク
ランクケース２およびこのクランクケース２の右側部に
取付けられた変速機ハウジング５ａに軸受を介して回転
自在に支持されている。この従動軸１０のエンジン中央
側端部には後述する遠心多板クラッチ６のクラッチドラ
ムが一体に形成されている。そして、前記クランク軸４
に駆動プーリ１１が、従動軸１０に従動プーリ１２がそ
れぞれ軸装されており、これらのプーリにはＶベルト１
３が巻掛けられている。

【０００９】前記駆動プーリ１１は固定側プーリ１４と
、このこの固定側プーリ１４に対向するよう固定側プー
リ１４よりクランク軸４の軸端側に位置づけられた可動
側プーリ１５とからなり、これら両部材によってＶベル
ト溝が形成されている。そして、固定側プーリ１４はク
ランク軸４にスプライン結合され、軸方向への移動を規
制された状態で装着されている。また、前記可動側プー
リ１５は、クランク軸４にスプライン嵌合した筒体１６
に貫通支持され、クランク軸４と一体的に回転すると共
に軸方向へ移動自在となるようにクランク軸４に装着さ
れている。すなわち、可動側プーリ１５の支持部分の構
造は、可動側プーリ１５の筒状ボス部１５ａにクランク
軸方向に長い長穴を穿設し、この長穴に筒体１６の回転
力伝達用連結ピン１６ａを嵌入させる構造である。

【００１０】前記従動プーリ１２は、従動軸１０の軸端
側に位置づけられた固定側プーリ１７と、この固定側プ
ーリ１７に対向する可動側プーリ１８とからなり、前記
駆動プーリ１１と同等に構成されている。すなわち、こ
の従動プーリ１２の固定側プーリ１７は従動軸１０に軸
方向への移動を規制されてスプライン結合され、可動側
プーリ１８は従動軸１０と一体的に回転すると共に軸方
向へ移動自在となるように従動軸１０に装着されている
。なお、１９は可動側プーリ支持用の筒体、１９ａは回
転力伝達用連結ピンを示す。

【００１１】２０は前記駆動プーリ１１の可動側プーリ
１５と従動プーリ１２の可動側プーリ１８とを軸方向に
沿って同方向へ移動させるための移動機構である。この
移動機構２０は、駆動プーリ１１の可動側プーリ１５に
回転自在に軸装された駆動側歯車２１と、従動プーリ１
２の可動側プーリ１８に回転自在に軸装された従動側歯
車２２と、駆動プーリ１１と従動プーリ１２との間に位
置づけられ、前記両歯車２１，２２に噛合する操作用歯
車２３と、クランクケース２上に設置され、前記操作用
歯車２３を変速レバー２４およびワイヤー（図示せず）
を介して回動させる変速用モータ２５等とから構成され
ている。前記駆動側歯車２１は、筒状ボス部２１ａが可
動側プーリ１５のボス部１５ａに軸受２６を介して回転
自在に支持され、可動側プーリ１５と共に軸方向へ移動
自在に設けられている。また、前記筒状ボス部２１ａに
は、図２に示すように、可動側プーリ１５の回転方向前
方へ向かうにしたがって次第に固定側プーリ１４から離
間するよう斜めに延びるカム溝２１ｂが形成されている
。そして、この筒状ボス２１ａ内には、変速機ハウジン
グ５ａに固定された筒体２７が同軸状に挿入されている
。この筒体２７には前記カム溝２１ｂ内に係入されるロ
ーラ２８が自転自在に取付けられている。すなわち、前
記カム溝２１ｂとローラ２８とによって、回転動作を軸
方向動作に変えるカムが構成されることになり、駆動側
歯車２１を図１において右回り（クランク軸４の回転方
向）に回すと、変速機ハウジング５ａに対して設置位置
が固定されたローラ２８にカム溝２１ｂの内壁が圧接し
て駆動側歯車２１は可動側プーリ１５と共にクランク軸
４の軸端側へ、換言すれば固定側プーリ１４から離間す
る方向へ移動することになる。この際には駆動プーリで
のＶベルト１３の巻掛け径が小さくなる。

【００１２】前記従動側歯車２２は、上述した駆動側歯
車２１と同等の構造とされ、その筒状ボス部２２ａが従
動プーリ１２の可動プーリ１８に軸受２９を介して回転
自在に支持されている。また、筒状ボス部２２ａに形成
されたカム溝２２ｂは、駆動側歯車２１のカム溝２１ｂ
と傾斜角度が等しくされている。すなわち、カム溝２２
ｂは、従動プーリ１２の回転方向前方へ向かうにしたが
って次第に固定側プーリ１７に接近するように斜めに延
びている。なお、３０は前記カム溝２２ｂに係入するロ
ーラ、３１はこのローラ３０を支持する筒体で、この筒
体３１は、クランクケース２における従動軸貫通部に固
定されている。すなわち、この従動側歯車２２が図１に
おいて右回りに回ると、カム溝２２ｂの傾斜角度の関係
からこの従動側歯車２２は従動プーリ１２の可動側プー
リ１８と共に固定側プーリ１７側へ移動する。この際に
は従動プーリでのＶベルト１３の巻掛け径が大きくなる
。前記操作用歯車２３は、一端がクランクケース２に軸
受３２を介して支持されると共に、他端が変速機ハウジ
ング５ａに軸受３３を介して支持されている。そして、
この操作用歯車２３のクランクケース側端部に変速レバ
ー２４が固定されている。３４はＶベルト１３の緩み側
を付勢してＶベルト１３に引張力を付与するためのテン
ションプーリで、このテンションプーリ３４は外周部に
押圧体が回転自在に設けられており、前記操作用歯車２
３に偏心した状態で回動自在に支持されている。また、
このテンションプーリ３４は操作用歯車２３との間に捻
りばねが弾装され、常にＶベルト１３を付勢するように
構成されている。

【００１３】このように構成された移動機構２０では、
操作用歯車２３を回動させると駆動側歯車２１および従
動側歯車２２が操作用歯車２３とは逆方向にそれぞれ回
ることになる。そして、両歯車２１，２２は、カム溝の
傾斜角度が等しい関係から軸方向に沿って同一方向へ移
動する。本実施例のＶベルト変速機５において操作用歯
車２３を図１において左回りに回すと、駆動プーリ１１
でのＶベルト１３の巻掛け径が小さくなると共に従動プ
ーリ１２での巻掛け径が大きくなる。この際には、従動
軸１０はクランク軸４より減速されて回転する。また、
操作用歯車２３を右回りに回すと、従動軸１０はクラン
ク軸４より増速されて回転することになる。

【００１４】前記遠心多板クラッチ６は、前記従動軸１
０と一体形成されたクラッチドラム６ａ内に遠心ボール
６ｂ，クラッチプレート６ｃ等を内蔵し、クラッチドラ
ム６ａの回転数が所定値以上となった時に動力をクラッ
チドラム６ａからクラッチ出力軸６ｄへ伝達するように
構成されている。また、前記クラッチ出力軸６ｄは軸端
部に遊星歯車減速機７の太陽歯車７ａが形成され、遊星
歯車７ｂを介して出力軸８に連結されている。なお、７
ｃは遊星歯車減速機７の内歯車である。すなわち、Ｖベ
ルト変速機５の従動軸１０が高速回転すると、エンジン
１の動力は、Ｖベルト変速機５から遠心多板クラッチ６
および遊星歯車減速機７を介して出力軸８に伝達される
。４１は出力軸８に結合された後輪駆動用スプロケット
で、後輪（図示せず）への動力伝達はチェーン（図示せ
ず）によって行われる。４２はキックスターター用レバ
ーで、このレバー４２はクランクケース２の左側部に装
着されており、クランク軸４の左側端部のドリブンギア
４３をドライブギア４４によって回転させるように構成
されている。

【００１５】上述したように構成されたＶベルト変速機
５では、操作用歯車２３を回動させることで駆動プーリ
１１の可動側プーリ１５と従動プーリ１２の可動側プー
リ１８とを軸方向へ同時に移動させて変速することがで
きる。すなわち、駆動プーリ１１と従動プーリ１２とで
は、Ｖベルト溝の幅寸法が操作用歯車２３の回動量に応
じて自動的に決定することになる。したがって、従来の
ようにばねの弾発力によってＶベルト１３が従動プーリ
により挟み付けられるようなことはないので、Ｖベルト
変速機５が無負荷状態にある時にはＶベルト１３は駆動
プーリ１１や従動プーリ１２に軽い摩擦力で接触するこ
とになる。

【００１６】なお、本実施例では駆動プーリ１１の可動
側プーリ１５を固定側プーリ１４よりクランク軸４の軸
端側に、従動プーリ１２の可動側プーリ１８を固定側プ
ーリ１７よりエンジン中心側にそれぞれ配設したが、固
定側プーリ１４，１７と可動側プーリ１５，１８との左
右の位置関係は適宜変更することができる。例えば、従
動プーリ１２の固定側プーリ１７，可動プーリ１８の配
置位置を左右逆にして駆動プーリ１１の可動側プーリ１
５と従動プーリ１２の可動側プーリ１８を同側に位置づ
けることもできる。このようにする際には、一方の可動
側プーリが他方に対して反対側へ移動するようにカム溝
を形成する。また、本実施例では変速手段としての変速
用モータ２５をクランクケース２上に設置した例を示し
たが、この変速用モータ２５の取付け位置も適宜変更す
ることができる。さらに、変速手段としては、変速用モ
ータ２５を用いて電動式とする以外に、手動式とするこ
ともできる。さらに、本実施例では駆動側歯車２１およ
び従動側歯車２２の全周に歯を設けたが、歯の形成範囲
は、これらの歯車が操作用歯車２３と噛合する範囲のみ
とすることができる。その際にはこれらの歯車２１，２
２は側面視円形に形成しなくてもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係るＶベル
ト変速機は、可動プーリを軸方向へ移動させる移動機構
を、各可動プーリに回転自在に軸装された歯車と、駆動
プーリと従動プーリとの間に回動自在に設けられ前記両
歯車に噛合する操作用歯車と、この操作用歯車を回動さ
せる変速手段とによって構成し、前記両歯車に、変速機
本体に係接して回転動作を軸方向動作に変えるカムを設
けたため、操作用歯車を回すことにより駆動プーリの歯
車と従動プーリの歯車とが同時に回り、駆動プーリおよ
び従動プーリのそれぞれの可動側プーリが前記歯車と共
に軸方向へ移動して駆動プーリ，従動プーリでのＶベル
トの巻掛け径が変わって変速する。このため、従来のよ
うにばねの弾発力によってＶベルトが従動プーリにより
挟み付けられるようなことはないので、Ｖベルト変速機
が無負荷状態にある時にはＶベルトは駆動プーリや従動
プーリに軽い摩擦力で接触することになる。したがって
、Ｖベルトには動力伝達のために最低限必要な摩擦力が
作用することになるから、動力伝達効率を高めることが
でき、しかもＶベルトの寿命を延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るＶベルト変速機が搭載された自動
二輪車用エンジンの側面図である。

【図２】図１におけるエンジンのＩＩ−ＩＩ線断面図で
ある。

【図３】本発明に係るＶベルト変速機を拡大して示す断
面図である。

【符号の説明】

４　　　　クランク軸 ５　　　　Ｖベルト変速機 １０　　　　従動軸 １１　　　　駆動プーリ １２　　　　従動プーリ １３　　　　Ｖベルト １４　　　　固定側プーリ １５　　　　可動側プーリ １７　　　　固定側プーリ １８　　　　可動側プーリ ２０　　　　移動機構 ２１　　　　駆動側歯車 ２１ｂ　　カム溝 ２２　　　　従動側歯車 ２２ｂ　　カム溝 ２３　　　　操作用歯車 ２５　　　　変速用モータ ２８　　　　ローラ ３０　　　　ローラ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　駆動プーリおよび従動プーリのそれぞ
   れの可動側プーリを移動機構によって軸方向へ移動させ
   てＶベルトの巻掛け径を変えるＶベルト変速機において
   、前記移動機構を、各可動プーリに回転自在に軸装され
   た歯車と、駆動プーリと従動プーリとの間に回動自在に
   設けられ前記両歯車に噛合する操作用歯車と、この操作
   用歯車を回動させる変速手段とによって構成し、前記両
   歯車に、変速機本体に係接して回転動作を軸方向動作に
   変えるカムを設けたことを特徴とするＶベルト変速機。