JPH0435638B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は温水、気泡液体（発泡性）その他一
般の清水などの水を吸上げる渦巻ポンプにおける
自吸方法に関するものである。

〔従来の技術〕

通常の渦巻ポンプは渦巻室内でインペラを高速
回転させ、これにより生ずる遠心力により水をは
ね飛ばし、その中心部を負圧とすることにより大
気圧の作用で水を吸上げるものである。

このため、ポンプの運転開始に当つては、渦巻
室と吸水管内に呼び水を入れてこれをインペラで
回転させることによりインペラの中心に負圧を発
生させる必要がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

通常の渦巻ポンプは上記のように呼び水を注入
したのちでないと始動できないので、水道などの
給水設備のある場所ではケーシングの上部に給水
コツクのついた給水管を連結しておいて、運転開
始時に給水すればよいが、給水設備のない場所で
は汲み上げた水を渦巻室などに注入しなければな
らないのできわめて手数がかかり不便である。ま
た、吸水管の先端にはフート弁を設けて水を溜め
る必要がある。

このような問題を解決するために自吸式の渦巻
ポンプもあるが、この従来の自吸式ポンプは始動
前に水を貯溜しておき、始動とともにこの水を循
環させて空気と水を混合し、この混合水を吐出室
で水と空気に分離し、分離した水はインペラや渦
巻室を通る水の流速による負圧を利用して循環さ
せるため自吸作用が遅く不安定であり、渦巻室の
側壁に自吸孔があるため、揚水後にポンプ効率が
低下するなどの問題点があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するための、この発明は渦
巻室にインペラを設けて、これの回転による遠心
力で吸込口から吸込んだ水を吐出口に送り出す渦
巻ポンプにおいて、渦巻室の吸込口に連通する吸
込室を上記吸込口から上方に向けて形成し、この
吸込室上端には吸水管に連通する吸水口を設け、
この吸水口には吸込室から吸水管への逆流を阻止
する吸水弁を設け、吐出口の上部には揚水管に通
じる吐出室を設けて、この吐出室の容積を渦巻室
と吸込室の容積を合せた容積より大とし、渦巻室
と吸込室に水が貯溜されている条件で渦巻室内の
インペラの回転により渦巻室と吸込室の水を撹拌
して吸水口側の空気と水を混合しながらこの混合
水を吐出室に移動させて、この吐出室内で静置状
態となつた水と空気の混合水から気泡となつて分
離した空気を揚水口へ排出し、インペラの停止に
より吐出室から渦巻室と吸込室に水が戻つた条件
で再びインペラの回転を始めることの繰返えしに
より水に混合した吸水口側の空気を排出して吸水
口側の真空度を高める水と空気の交換操作を繰返
えして吸水管内の空気を排除し、吸水を開始した
のちはインペラを連続運転とするものである。

〔実施例〕

第１図に示す第１の実施例において、１は渦巻
ポンプで、その内部に渦巻室２がある。この渦巻
室２内にはインペラ３があり、このインペラ３は
渦巻室２の後側の蓋４に設けた軸受により支持さ
れた回転軸５に固定してある。

渦巻室２の前側の中心部から上方にかけては吸
込室８を一体に形成し、この吸込室８の下部は渦
巻室２の後部中央の吸込口９に連通させ、同吸込
室８の上端後側には吸込室８への水の流入は許す
がその逆は許さない逆止弁式の吸水弁１０を有す
る吸水口１１を設け、この吸水口１１を図示省略
してある吸水管に連結する。

また、渦巻室２の上部には吐出室１４を設け、
その上部を揚水口１５とし、この揚水口１５を図
示省略してある揚水管に連結し、吐出室１４の下
部は渦巻室２の吐出口１６に連通させる。

なお、上記吐出室１４は渦巻室２と吸込室８を
合せた容積以上の容積をもつものとする。その
他、図中１７はインペラ３の前後の水や空気の流
通をよくするための連通孔で必ずしも必要ではな
い。つぎに上記装置を説明すれば、最初に渦巻き
室２と吸込室８とに水が貯溜されている条件にお
いて、インペラ３を回転させる。これにより渦巻
室２内の水は高速出回転するとともに吸込室８の
水を渦巻室２内に吸込むがこの際吸水口１１側の
空気も引込んで渦巻室２内で水と撹拌混合して空
気と水の混合水としながら吐出室１４へ移動させ
る。

吐出室１４へ移動した混合水はそれ以上には上
昇せずに静置状態となり、この混合水に混合して
いた空気は気泡となつて水から分離し、揚水口１
５へと排出されるので吸込室８内や吸水口１１側
の空気圧は低下する。

こうして渦巻室２と吸込室８内に水がなくなる
とインペラ３を停止する。これにより吐出室１４
で空気を分離した水は自重により再び渦巻室２と
吸込室８内に戻る。

渦巻室２と吸込室８へ水が戻ると再びインペラ
３の回転を開始する。

上記の操作を繰り返すことにより、吸水口１１に
連結した吸水管内の空気が殆んどなくなると吸水
が開始されるのでインペラ３を連続回転とする。

上記のようなインペラ３の間欠回転は回転軸５
を駆動するモータの電源をスイツチにより開閉し
て行つたり、モータの軸と回転軸５間にクラツチ
を設けてこれの断続により行つてもよい。

また、スイツチの操作は手動で行うこともでき
るが、渦巻室２、吸込室８、吐出室１４にそれぞ
れレベル計や圧力計を設け、その信号によつてモ
ータやクラツチの制御回路を作用させることによ
り自動的に行なうようにする方法、あるいはタイ
マーまたはモータの負荷電流の検出による信号で
制御するなどの方法を実施できる。

第２図は通常型の渦巻ポンプを用いた場合で２
１は通常の呼び水式の渦巻ポンプ、２２はその吸
込口で、この吸込口２２に吸水管２３を連結する
が、その途中を倒立Ｕ字形に屈曲してその頂点の
部分を内側に、吸込口２２の方への水の流れは許
容するがその逆は許さない逆止弁式の吸水弁２４
を設けてこの吸水弁２４と吸込口２２の間を吸込
室２５とする。

また、ポンプ２１の吐出口２７には、揚水管２
８を連結するが、この揚水管２８も倒立Ｕ字形に
屈曲してその頂部と吐出口２７の間を吐出室２９
とするが、この吐出室２９の容積はポンプ２１内
の渦巻室の容積と吸込室２５の容積を合せた容積
より大きくする。

この第２の実施例の場合も前記の第１の実施例
の運転方法と全く同じで、吸込室２５と渦巻室の
水が吐出室２９内へ上昇したのち、元へ下降する
運動を何回か繰返したのち、揚水が開始される。

〔効果〕

この発明は前記のようにインペラの間欠運転に
より渦巻室と吸込室内の水と吸込室に続く吸水口
側の空気とを撹拌混合しながら、この空気と水の
混合水を吐出室に移動させて気水分離すること
と、気水分離した水を再び渦巻室と吸込室内に戻
して再びインペラで撹拌混合しつつ吐出室へ移動
させることの繰返しにより吸水管内の空気を排除
して吸水を行なうものであるから、従来の自吸水
を循環させる方法に比較して吸込管内の空気の排
出速度が著しく速くなり、運転開始から吸水が始
まるまでの時間が従来の自吸ポンプに比較して著
しく短縮される。また、従来の自吸ポンプのよう
な水の循環のための自吸孔がないので、揚水開始
ののちもポンプ効率は低下しない。

従つて、温水や気泡の出る液を送るポンプ、遠
心分離力の弱い小型のポンプに最適でこれらのポ
ンプの場合も安定した強力な自吸作用が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の自吸方法を実施する渦巻ポ
ンプの第１の実施例を示す縦断側面図、第２図は
同じく第２の実施例を示す一部縦断側面図であ
る。 １，２１……渦巻ポンプ、２……渦巻室、３…
…インペラ、８，２５……吸込室、９……吸込
口、１０，２４……吸水弁、１１……吸水口、１
４，２９……吐出室、１６，２７……吐出口、２
３……吸水管、２８……揚水管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 渦巻室にインペラを設けて、このインペラの
   回転による遠心力で吸込口から吸込んだ水を吐出
   口に送り出す渦巻ポンプにおいて、渦巻室の吸込
   口に連通する吸込室を上記吸込口から上方に向け
   て形成し、この吸込室上端には吸水管に連通する
   吸水口を設け、この吸水口には吸込室から吸水管
   への逆流を阻止する吸水弁を設け、吐出口の上部
   には揚水管に通じる吐出室を設けて、この吐出室
   の容積を渦巻室と吸込室の容積を合せた容積より
   大とし、渦巻室と吸込室に水が貯溜されている条
   件で渦巻室内のインペラの回転により渦巻室と吸
   込室の水を撹拌して吸水口側の空気と水を混合し
   ながら渦巻室と吸込室の水を吐出室に移動させ
   て、この吐出室内で静置状態となつた水と空気の
   混合水から気泡となつて分離した空気を揚水口へ
   排出し、インペラの停止により渦巻室と吸込室に
   水が戻つた条件で再びインペラの回転を始めるこ
   との繰返えしにより水に混合した吸水口側の空気
   を排出して吸水口側の真空度を高める水と空気の
   交換操作を繰返えして吸水口に続く吸水管内の空
   気を排除し、吸水を開始したのちはインペラを連
   続運転とすることを特徴とする渦巻ポンプにおけ
   る自吸方法。