JPH04353246A - ピストンと連接棒の連結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関におけるピスト
ンと連接棒の連結構造、特にピストン冠部の下面に備え
た球面突部を、連接棒の先端に一体に備えた受板が揺動
可能に支持する、ピストンと連接棒の連結構造に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】本出願人が先に出願した特願平２−８５
６６３　号によるピストンと連接棒の連結構造は、ピス
トン冠部の下面に備えた球面突部を連接棒の先端（小端
）に形成した椀状の受板に支持し、受板を環状の押えに
支持し、環状の押えはスカート部に螺合した保持筒に支
持してなる。上述のピストンと連接棒の連結構造では、
従来のピストンピンによる連結構造に比べて、連接棒の
揺動中心がピストン冠部の上面（頂面）付近へ偏倚され
、揺動中心の偏倚分だけクランク軸の腕と連接棒とを長
くすれば、シリンダ本体の寸法や連接棒の最大傾角を変
更しないでピストンのストロークが増大し、排気量の増
加による機関の出力増大が可能になる。

【０００３】しかし、上述のピストンと連接棒の連結構
造において、断面Ｉ形の連接棒の先端に椀状の受板を接
続しただけでは、連接棒の断面中心から外面までの寸法
が腹板（ウエブ）や背板（リツジ）の部分で異なるので
、受板が連接棒の付根の部分で受ける爆発荷重は、周方
向について著しく異なる。特に、中心に近い受板が連接
棒の腹板面との付根の部分で受ける荷重が大きく、この
部分に変形が生じやすい。

【０００４】このような状況にある受板が爆発荷重を繰
り返し受けると、受板が局部的に変形し、ピストンの球
面突部や押えの球面凹部との摺動面で片当りが生じ、摺
動面の面圧が局部的に過大となり、摺動面の摩耗は無視
できないものとなる。

【０００５】

【発明が解決しようとする問題点】本発明の目的は上述
の問題に鑑み、受板が連接棒の付根の部分で受ける荷重
を均等化して、ピストンの球面突部や押えの球面凹部と
の片当りのない円滑な摺動を図る、ピストンと連接棒の
連結構造を提供することにある。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明の構成はピストン冠部の下面に備えた球面
突部とスカート部に支持した環状の押えの球面凹部との
間に、連接棒の先端に一体に形成した椀状の受板を挟ん
でピストンに連接棒を揺動可能に連結し、受板の下面中
心に断面積が次第に縮小する短い円柱部を形成し、円柱
部の周面を緩かな曲面で断面Ｉ形の連接棒の外面に接続
したものである。

【０００７】

【作用】本発明によれば、受板の下面中心に断面積が次
第に小さくなる短い円柱部を形成する。円柱部の周面を
緩かな曲面で断面Ｉ形の連接棒の外面に接続する。した
がつて、受板の受ける荷重は周方向に均等なものとなり
、受板の局部的変形が抑えられる。受板の上面とピスト
ン冠部の球面突部との係合部と、受板の下面と押えの球
面凹部との係合部とにおける摺動部は片当りのない円滑
なものとなり、局部的摩耗が抑えられる。

【０００８】

【発明の実施例】図１は本発明によるピストンと連接棒
の連結構造を示す正面断面図である。デイーゼル機関用
のピストン２はピストン冠部５の上面にくぼみを設けて
燃焼室４を形成され、周壁にピストンリングを装着する
複数の環状溝を備えられる。ピストン２の下半部は円筒
形のスカート部２３を形成する。ピストン冠部５は燃焼
室４の周壁を冷却するための環状空洞６により区画され
る平坦な下面５ａに、摺動体１２を摺動可能に当接され
る。下面５ａに係止したボール１１の下半部は摺動体１
２の上面１２ａの孔へ突出し、摺動体１２の過大な摺動
を制限する。

【０００９】環状空洞６はピストン冠部５に嵌合した仕
切板８により冷却室を区画される。仕切板８は周方向反
対側に入口９（図において右側）と出口１０とを備える
。環状空洞６の断面は周方向に一様ではなく、入口９で
狭く、出口１０で広くなつている。摺動体１２は中心に
貫通路１４を設けられ、貫通路１４の下端は円錐状に広
くなつている。摺動体１２の上面１２ａに潤滑油を保留
する環状溝１３が設けられ、環状溝１３から下方へ延び
る複数の通路１５が設けられる。摺動体１２は下面に球
面突部１２ｂを形成され、球面突部１２ｂに子午線方向
に延びる溝１２ｃを設けられる。

【００１０】連接棒３４は先端に椀状の受板３１を一体
に形成され、受板３１の上面の球面凹部３１ａは摺動体
１２の球面突部１２ｂを支持する。球面凹部３１ａに係
止したボール３２の上半部が前述の溝１２ｃへ係合され
、連接棒３４は図において左右にのみ揺動可能とされる
。受板３１の下面は球面突部３１ｂを構成する。球面突
部３１ｂは環状の押え１９に形成した球面凹部１９ａへ
摺動可能に支持される。押え１９の上半部に補強のため
のスリーブ１８が嵌合される。スリーブ１８の上端縁は
径内方へ突出され、押え１９の上端面に重ね合され、か
つ適当な手段により押え１９に結合される。スリーブ１
８の外周面に係止したボール１７の左半部が、スカート
部２３の内周面に設けた軸方向溝へ係合され、押え１９
はピストン２に対し回転を阻止される。

【００１１】スカート部２３の内周面に設けたねじ孔へ
保持筒２２が螺合され、保持筒２２の中間部に設けた段
部２２ａに押え１９の下端面が支持される。保持筒２２
の緩みはスカート部２３の環状溝に係止した止め輪２４
により抑えられる。上述の構成から明らかなように、連
接棒３４の受板３１は、ピストン冠部５の下面に備えた
摺動体１２と、スカート部２３に支持した押え１９との
間に挟まれ、機関の運転に伴つて図において左右に揺動
する。

【００１２】環状空洞６へ冷却のための油を貫流させる
ために、押え１９とスリーブ１８に入口通路２０と出口
通路２１が設けられる。シリンダ本体の下端部に配設し
た公知の油ジエツト２５から噴出された油は、押え１９
の入口通路２０、仕切板８の入口９を経て環状空洞６へ
入り、燃焼室４の周壁を冷却し、仕切板８の出口１０か
ら環状空洞１６へ溜る。環状空洞１６の油は押え１９の
球面凹部１９ａと受板３１の球面突部３１ｂとの間を潤
滑し、スカート部２３へ流下する。同時に、環状空洞１
６の油は受板３１の球面凹部３１ａと摺動体１２の球面
突部１２ｂとの間を潤滑して受板３１の中心に溜り、連
接棒３４の内部通路を経てスカート部２３へ流出する。 また、環状空洞１６の油は摺動体１２の上面１２ａとピ
ストン冠部５の下面５ａとの間を潤滑し、貫通路１４を
経て受板３１の中心へ流れる。環状空洞１６の残余の油
は押え１９の出口通路２１からスカート部２３を経て機
関のクランク室へ流下する。

【００１３】機関の爆発行程で、ピストン２にこれを押
し下げる荷重が作用し、この荷重は摺動体１２を経て受
板３１へ伝達され、連接棒３４を介してクランク軸に回
転を与える。この時、断面Ｉ形の連接棒３４は、受板３
１の下面中心を突き上げるような反力を及ぼす。椀状の
受板３１の下面に断面Ｉ形の連接棒を単に接続した構成
では、受板３１の下面にＩ形の文字を打ち込むような反
力が作用し、この結果球面凹部３１ａに局部的変形が生
じると、摺動体１２の球面突部１２ｂとの摺動面に片当
りが生じ、偏摩耗が生じる。

【００１４】図２，３に示すように、本発明は爆発荷重
を受板３１から連接棒３４へ円滑に伝達し、特に球面凹
部３１ａの局部的変形を抑えるために、受板３１と連接
棒３４との接続部の断面形状を特定するものである。こ
のため、受板３１の下面中心に緩かな凹曲面で短い円柱
部３５を接続し、円柱部３５の下端を緩かな凹曲面で断
面Ｉ形の連接棒３４に接続する。詳しくは、受板３１の
下面すなわち球面突部３１ｂと円柱部３５とは、曲率Ｒ
１の緩かな曲面４１で接続する。換言すれば、受板３１
の下面中心にから突出する円柱部３５は、断面積が次第
に縮小するが、連接棒３４の断面を囲むような外径とさ
れる。

【００１５】図３に示すように、連接棒３４の断面は腹
板３７の両端に、腹板３７よりも幅の広い背板３６を一
体に備える。円柱部３５と連接棒３４との接続部では、
円柱部３５の周面は緩かな曲面４２で背板３６の外面３
６ａに接続する。同様に、円柱部３５の周面は曲率Ｒ３
の緩かな曲面４３で背板３６の外面３６ｂに接続する。 また、円柱部３５の周面は曲率Ｒ４の緩かな曲面４４で
腹板３７の外面３７ａに接続する。

【００１６】本発明によれば上述のように、受板３１と
連接棒３４との間に円柱部３５が介在し、円柱部３５の
上端周面は受板３１の下面に緩かな曲面４１で接続し、
円柱部３５の下端周面は連接棒３４の各外面に緩かな曲
面４２，４３，４４で接続するので、受板３１が受ける
爆発荷重は無理なく連接棒３４へ伝達され、連接棒３４
からの突上げ反力により受板３１の球面凹部３１ａが局
部的に変形する恐れはない。したがつて、球面凹部３１
ａと球面突部１２ｂとの円滑な揺動ないし摺動が確保さ
れる。各曲面４１〜４４はそれぞれ凹面であるから、連
接棒を鍛造する場合に、成形加工が容易である。

【００１７】

【発明の効果】本発明は上述のように、ピストン冠部の
下面に備えた球面突部とスカート部に支持した環状の押
えの球面凹部との間に、連接棒の先端に一体に形成した
椀状の受板を挟んでピストンに連接棒を揺動可能に連結
し、受板の下面中心に断面積が次第に縮小する短い円柱
部を形成し、円柱部の周面を緩かな曲面で断面Ｉ形の連
接棒の外面に接続したものであつて、重量増加を最低限
に抑えつつ、連接棒に対する受板の接続部の剛性強度を
向上し得るので、受板が受ける荷重は周方向にほぼ均等
に分散して連接棒へ伝達される。この結果、連接棒のピ
ストンに対する円滑な揺動運動が確保され、信頼性が高
められる。こうして、連接棒に対する受板の付根の部分
に局部的に過大な応力が生じ、受板が局部的に変形し、
変形部分がピストン冠部の球面突部との摺動により偏摩
耗するという問題が解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るピストンと連接棒の連結構造の正
面断面図である。

【図２】同連接棒の先端部を示す側面断面図である。

【図３】同連接棒の先端部を示す底面断面図である。

【符号の説明】

５：ピストン冠部　　５ａ：下面　　１２ｂ：球面突部
　　１９：押え　　２２：保持筒

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストン冠部の下面に備えた球面突部とス
   カート部に支持した環状の押えの球面凹部との間に、連
   接棒の先端に一体に形成した椀状の受板を挟んでピスト
   ンに連接棒を揺動可能に連結し、受板の下面中心に断面
   積が次第に縮小する短い円柱部を形成し、円柱部の周面
   を緩かな曲面で断面Ｉ形の連接棒の外面に接続したこと
   を特徴とする、ピストンと連接棒の連結構造。