JPH0434352Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、天井内部に設置される天井埋込形
空気調和機の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

第７図は例えば実開昭59−91512号に示された
従来の天井埋込形空気調和機の縦断面図、第８図
はその吹出部の断面拡大図である。これらの図に
おいて、１は箱状の本体、２は室内空気の吸込口
３とその他方に熱交換された空気の吹出口４とを
有する天井露出パネル，５は両案内壁６ａ，６ｂ
からなり、内部にルーバー７を有する吹出口風
路，８は送風機，９は熱交換器，１０は吹出ダク
ト，１１はフイルター，１２は天井である。

次に動作について説明する。送風機８を運転す
ることにより、室内空気は吸込口３よりフイルタ
ー１１を通つて本体１内流入し、熱交換器９にて
熱交換して冷風または温風となり、吹出ダクト１
０，吹出口風路５を介して吹出口４より再び室内
へ吹き出される。吹出方向は、吹出口風路５内の
ルーバー７を駆動することにより変更を行う。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の天井埋込形空気調和機は、以上のように
構成されているので、両案内壁６ａ，６ｂの間隔
が同一の吹出口風路５内に設けられたルーバー７
は天井露出パネル２から突出しないため意匠面等
においては良好であるが、ルーバー操作による吹
出方向の変更巾が小さいので、吹出口４を水平面
に対し、約30°傾斜するような構造に天井露出パ
ネル２が設計されているにもかかわらず，ルーバ
ー操作によつて室内環境の快適性を向上させるた
めに必要な，暖房時は温風を下方へ（吹出方向を
天井面から下方へ65°〜75°）、冷房時は冷風を水
平方向（吹出方向を天井面から下方へ10°〜20°）
に吹出方向を変更させることが困難である。その
ため、暖房時と冷房時をともに快適な室内環境を
創り出すことができないとともに天井露出パネル
２が天井面より下方に数10mm突出するという問題
点があつた。又、ルーバー７を操作することによ
り、吹出口風路５の風路面積が大きく変化するの
で、吹出口風路５における圧力損失が変化し、安
定した風量を維持することが困難となり、空気調
和機の能力が低下するという問題点があつた。

この考案は、かかる問題点を解決するためにな
されたもので、暖房時は温風を下方へ、冷房時は
冷風を水平方向にルーバー７の切換えにより吹き
出すことにより、快適性を向上することができる
とともに、性能が安定した天井埋込形空気調和機
を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案に係る天井埋込形空気調和機は、天井
面にもうけられた吹出口風路の相対する両案内壁
が吹出口近傍において、等しい曲率半径をもつ円
弧形状によつて吹出口風路を漸次縮小構造とし、
この円弧形状の曲率半径の中心とルーバーの回転
軸とを一致するとともに、両案内壁の吹出部の間
隔をルーバーの長さ以下にするようにしたもので
ある。

〔作用〕

この考案における吹出風路を形成する相対した
案内壁は吹出口側に向つて漸次縮小構造をなす等
しい曲率半径の円弧状をなし、かつ吹出口部に設
けられたルーバーはその回転軸が上記円弧状曲率
半径の中心と一致されるとともに案内壁とルーバ
ーの断面構造において、吹出口の間隔はルーバー
の長さ以下にされているので、ルーバーの角度を
変化させることにより吹出空気の角度を広い範囲
で変えることができ、暖房時は温風を下方に、冷
房時は冷風を水平に吹出す作用を有する。

〔実施例〕

第１図はこの考案の一実施例を示す天井埋込形
空気調和機の縦断面図、第２図はその吹出部の拡
大断面図である。１３ａ，１３ｂは相対し、吹出
口風路５の中心線にて対称に吹出口風路５を構成
し、良好な断熱性能を有す硬質ゴムやプラスチツ
ク樹脂等でできた案内壁、１４ａ，１４ｂは前記
両案内壁１３ａ，１３ｂの吹出口４近傍の等しい
曲率半径をもつ円弧形状の断面形状をもつ吹出
部、１５ａ，１５ｂは吹出部１４ａ，１４ｂの先
端部、１６は上記吹出部１４ａ，１４ｂの曲率半
径の中心に位置する軸１７を中心として回転自在
の断面が翼形をなすルーバーでこのルーバーの長
さｂは吹出部１４ａ，１４ｂの先端部１５ａ，１
５ｂの間隔ａと同一かそれよりも長くなつてお
り、この実施例では同一となつている。１８は薄
形（厚さ数mm）の天井露出パネルで、この吹出口
４は水平になつている。

なお上記以外は第７図に示す従来の装置と同様
なものである。上記のように構造された天井埋込
形空気調和機において、送風機８を運転すること
により、吸込口３よりフイルター１１を通つて本
体１内に取り入れられた室内空気は、熱交換器９
にて熱交換して、吹出ダクト１０を通り、冷房時
は、ルーバー１６を軸１７を中心として回動し、
図の一点鎖線に示す位置に固定することにより、
吹出口風路５を構成する案内壁１３ａの円弧形状
をなし、吹出口４側に向つて縮小構造とする吹出
部１４ａと翼形のルーバー１６の下面に沿つて冷
風は流れるので、ほぼ水平方向（一点鎖線矢印：
吹出方向は水平より下方に０〜10°）に吹き出す
ことができる。従つて居住者に冷風の影響を与え
ることなく、万遍なく室内を冷房することができ
る。暖房時は、ルーバー１６を図の破線に示す位
置に固定することにより、等しい曲率半径をもつ
円弧形状にて吹出口４側に向つて縮小構造をする
吹出部１４ａ，１４ｂとその間に位置する翼形の
ルーバー１６の作用によつて温風は下方に吹き出
し（破線矢印：吹出方向は水平より下方に65°〜
75°）、温風は床面まで充分に到達し、床面に沿つ
て遠くまで流れるので、第３図の特性図中イに示
すように、上下温度差の少ない良好な室内環境を
つくることができる。なおこの図でロは第７図に
示す従来装置の特性である。第４図はルーバー１
６の角度Ａと吹出角度の関係を示す特性図であ
り、この図からも分かるようにルーバー１６の角
度Ａを52°から70°に変化させることにより、空気
流の吹出角度Ｂを０〜90°と広角に変化させるこ
とが可能である。

以上は、両案内壁１３ａ，１３ｂの両先端部１
５ａ，１５ｂの間隔ａがルーバー１６の長さｂと
同一の場合であるが、この間隔ａとルーバー１６
の長さｂとをａ＞ｂ，例えばａ＝1.2bとすると第
５図に示すようにルーバー１６の角度Ａを変化さ
せても吹出角度Ｂを大きく変化させることが困難
となり、冷暖房に応じた吹出角度Ｂを設定するこ
とができない。又、ルーバー１６の角度Ａの変化
による吹出口風路５における圧力損失に対する損
失係数の変化は、第６図イに示すように、従来の
装置ロと比較して少ないので、風量変化が少なく
安定した能力を維持することができる。

なお上記実施例においては天井露出パネル２に
設けられた吹出口風路５の両案内壁１３ａ，１３
ｂ及びルーバー１６は天井の内部に配置されるの
で、天井面より下方へは、厚さ数mmの天井露出パ
ネル２のみが突出するだけである。

さらに上記実施例では、薄い天井露出パネルに
吹出口風路の案内壁が配置された場合について述
べたが、従来装置の吹出口に、前記実施例の吹出
口風路の両案内壁及びルーバーを配置することに
より、冷風及び温風の吹出方向を大きく切り換え
ることができ、上記実施例と同様の効果を奏す
る。

〔考案の効果〕

この考案は以上のように構成されているので吹出
口風路内に設けられたルーバーの操作により、冷
風及び温風を真下から水平方向に大きく吹出角度
を切り換えることにより、冷房時には冷風を水平
方向に吹き、居住者に冷風の影響を与えることな
く、万遍なく室内を冷房し、暖房時は温風を下方
に吹き、温風を床面まで充分に到達させることに
より、上下温度差の少ない快適な室内環境を創造
するとともに、冷風及び温風を真下に吹き、直接
気流にあたることもできる。又、ルーバーの切換
において吹出口風路における圧力損失の変化も少
ないので、安定した風量を送風し、安定した空気
調和機の性能を維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す天井埋込形
空気調和機の縦断面図、第２図はその吹出部の拡
大断面図、第３図は第１図に示す実施例と従来の
天井埋込形空気調和機の暖房時における室の温度
分布図、第４図は第１図の実施例によるルーバー
角度と吹出角度の関係を示す特性図，第５図はル
ーバーの長さｂと吹出口の間隔ａをａ＝1.2bとし
たときのルーバー角得と吹出空気流角度との関係
を示す特性図、第６図は第１図の実施例と従来例
と従来装置とのルーバー角度と損失係数の特性
図、第７図は従来の天井埋込形空気調和機の縦断
面図、第８図はその吹出部の拡大断面図である。
図において、１は本体、３は吸込口、４は吹出
口、５は吹出口風路、８は送風機、９は熱交換
器、１０は吹出ダクト、１３ａ，１３ｂは案内
壁、１４ａ，１４ｂは吹出部、１５ａ，１５ｂは
先端部、１６はルーバー、１７は軸、１８は天井
露出パネルである。なお図中同一符号は同一また
は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内部に熱交換器と送風機とを備え、天井内に
   配設される本体、この本体の天井面に設けられ
   た室内空気吸込部と熱交換空気吹出部、この吹
   出部に設けられた吹出空気流方向を変化させる
   ルーバーを備えてなる天井埋込形空気調和機に
   おいて、上記吹出部を中心線に対し対称の相対
   する２つの案内壁で形成し、この案内壁はその
   吹出風路を吹出口側に向つて漸次縮小構造をな
   す等しい曲率半径を有する円弧状に形成し、こ
   の円弧状曲率半径の中心と上記ルーバーの回転
   軸とを一致するとともにこの両案内壁とルーバ
   ーの断面構造において、両案内壁の間隔をルー
   バーの長さ以下にしたことを特徴とする天井埋
   込形空気調和機。 (2) ルーバーはその断面形状が翼形をなすことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の天井埋込形空気調和機。