JPH04342892A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、空気調和装置等に適
用されるロータリ圧縮機に係り、とくにローラの上下両
面におけるシール対策を備えたロータリ圧縮機に関する
。

【０００２】

【従来の技術】この種のロータリ圧縮機は、特開昭６３
−１６７０９５号公報に開示されているように、密閉さ
れたケーシングの内部上下にモータと圧縮ユニットとを
収容してなり、モータの出力軸を兼ねるクランク軸で圧
縮ユニットのローラを回転駆動し、ローラとシリンダと
の間に形成された圧縮室内に吸入されたガスを加圧送出
するように構成されている。

【０００３】上記ローラはシリンダ内に上下の微小隙間
を介して収容されている共に、ローラの中心部にはクラ
ンク軸嵌入孔が穿設されており、このクランク軸嵌入孔
へクランク軸を介して油室より潤滑油が供給されている
。これにより、高速回転しているローラによる摩擦損失
を低減したり、ローラの磨耗や焼損の防止等を図ってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したロータリ圧縮
機において、ローラのクランク軸嵌入孔内の潤滑油は、
ローラの上下両面とシリンダとの隙間に流入すると、高
速回転しているローラの遠心力やローラ内外の圧力差等
によって圧縮室にまで洩れ出す。漏れ出た潤滑油は、高
温になっており、圧縮室内の吸入ガスを加熱膨脹させる
ため、吸入ガスの実質吸入質量が減少して圧縮機の容積
効率が低下するという問題があった。

【０００５】このような潤滑油の洩れ対策として、ロー
ラの上下の隙間を小さくしたり、該隙間の長さを大きく
してシール幅を増加する場合には、潤滑油の粘性によっ
て摩擦損失が増加し、機械効率の低下を招くことになる
。また、このローラの上下両面とシリンダとの間にチッ
プシールを施す場合には、シール機能を十分に発揮させ
る上で高精度の加工が要求されるために製作が難しく、
しかも部品点数が増加するという問題がある。

【０００６】さらに、上記のローラでは、回転中の上下
移動を防止する措置は採られていないため、シリンダと
の摩擦条件によってはシリンダとの上下の隙間の範囲内
で振動しながらあるいは上下一方の側に偏って回転する
。このため、間欠的にあるいは恒常的に上下の隙間の差
が大きくなることがある。そして、潤滑油の洩れ量は隙
間の大きさの２〜３乗に比例して増加するので、上下の
隙間の差が大きくなると、上下の隙間が均等に保持され
ている場合に比べ、洩れ量が飛躍的に増加するという問
題もあった。

【０００７】このため、上記圧縮機においては、上下の
隙間から圧縮室への潤滑油の洩れを防止することは困難
なものとなっていた。

【０００８】この発明は、かかる問題点に鑑みてなされ
たものであって、機械損失の増加や部品点数の増加をき
たすことなく簡単な加工で、ローラの上下の隙間におけ
る潤滑油のシールができるようにすることを目的として
いる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１に係る発明が講じた手段は、ローラの上
下両面にローラの回転方向に向かって傾斜した条溝を形
成し、ローラの回転によって条溝に流入した潤滑油をロ
ーラの中心側に向かわせようとするものである。

【００１０】具体的には、ケーシング（１）の内部にモ
ータ（２）と、圧縮ユニット（３）とが収容され、該圧
縮ユニット（３）は、シリンダ（４）と、該シリンダ（
４）内に収納されてシリンダ（４）の内周壁に沿って回
転するローラ（５）とを備え、該ローラ（５）には、上
記モータ（２）の駆動軸（２６）が嵌入する駆動軸嵌入
孔（２５）が穿設され、該駆動軸嵌入孔（２５）には潤
滑油が供給されてなるロータリ圧縮機を前提とする。

【００１１】そして、上記ローラ（５）の上下両面（５
ａ），（５ｂ）にはそれぞれ複数本の条溝（３０），（
３０）……が形成されている。さらに、該各条溝（３０
），（３０）……は、内端が駆動軸嵌入孔（２５）に開
口し、外端が上記上下両面（５ａ），（５ｂ）の外周縁
に位置する閉塞端に形成され、かつ内端から外端に向か
ってローラ（５）の回転方向に傾斜した構成となってい
る。

【００１２】請求項２に係る発明が講じた手段は、ロー
ラ上下両面に形成した条溝によってくさび膜圧力を発生
させ、これにより発生した油膜反力でシールを行うもの
である。

【００１３】具体的には、上記ロータリ圧縮機において
、ローラ（５）の上下両面（５ａ），（５ｂ）にはそれ
ぞれ複数本の条溝（３０），（３０）……が形成されて
いる。さらに、該各条溝（３０），（３０）……は、ロ
ーラ（５）の中心側から外方に向かって形成されると共
に、回転方向後方側の側面が、溝底部（３２）から回転
方向後方側の溝エッジ（３３）に向かって漸次後方に傾
斜した傾斜面（３４）に形成された構成となっている。

【００１４】

【作用】上記の構成により、上記ロータリ圧縮機におい
て、モータ（２）を駆動すると、ローラ（５）はシリン
ダ（４）の内周壁に沿って回転している。そうすると、
外部の低圧流体が圧縮室（１３）内に吸入されてしだい
に圧縮され、加圧されたガスはシリンダ（４）よりケー
シング（１）内へ吐出される。また、駆動軸（２６）に
よってローラ（５）の駆動軸嵌入孔（２５）に潤滑油が
供給され、ローラ（５）とシリンダ（４）の隙間には潤
滑油が流入する。

【００１５】一方、請求項１に係る発明によれば、ロー
ラ（５）の回転に伴って上下両面（５ａ），（５ｂ）の
条溝（３０），（３０）……が回転すると、ローラ（５
）とシリンダ（４）の隙間に圧入された潤滑油が条溝（
３０），（３０）……に流入する。そして、流入した潤
滑油は、回転する条溝（３０），（３０）……に沿って
駆動軸嵌入孔（２５）へ押し戻されることになる。

【００１６】請求項２に係る発明によれば、上下の条溝
（３０），（３０）……の回転方向後方側の側面は溝底
部（３２）から回転方向後方側の溝エッジ（３３）に向
かって漸次後方に傾斜した傾斜面（３４）に形成されて
いるので、シリンダ（４）との隙間には先すぼまりの空
間が形成される。回転中のローラ（５）が上下一方の側
に偏ったために反対側の隙間が小さくなっているときに
は、ローラ（５）の回転に伴って移動する条溝（３０）
，（３０）……が、条溝（３０），（３０）……内に流
入した潤滑油をその粘性によって先すぼまりの空間に圧
入し、くさび膜圧力が発生する。このくさび膜圧力によ
る油膜反力がローラ（５）に作用し、ローラ（５）の上
下の偏りが修正されることになる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、請求項１に係る発明によ
れば、ローラ（５）の上下両面（５ａ），（５ｂ）の条
溝（３０），（３０）……が回転することにより、ロー
ラ（５）とシリンダ（４）の隙間に介在する潤滑油を駆
動軸嵌入孔（２５）へ押し戻することができ、機械損失
の増加や部品点数の増加をきたすことなく、簡単な加工
でローラの上下の隙間における潤滑油のシールを行うこ
とができる。その結果、圧縮室（１３）への潤滑油の洩
れを低減できることから、容積効率の低下を防止するこ
とができる。

【００１８】また、請求項２に係る発明によれば、くさ
び膜作用を有する上下の条溝（３０），（３０）……に
より油膜反力を発生させることができ、上下の隙間を均
等に保持することができ、上下の隙間における潤滑油の
流通量、すなわち、洩れ量を低減することができる。そ
の結果、容積効率の低下を確実に防止することができる
。

【００１９】

【実施例】この発明に係るロータリ圧縮機の実施例を図
面に基づいて示す。

【００２０】第１図および第２図にこの発明の第１実施
例を示す。図中において、ロータリ圧縮機は、密閉バレ
ル状のケーシング（１）と、これの内部上下に配設され
たモータ（２）および圧縮ユニット（３）とからなり、
モータ（２）の動力を駆動軸（２６）を介して圧縮ユニ
ット（３）へ伝動し、冷媒ガスなどの流体を圧縮してい
る。

【００２１】圧縮ユニット（３）は、シリンダ（４）と
、該シリンダ（４）内に収容されてシリンダ（４）の内
周壁に沿って回転するローラ（５）と、上記シリンダ（
４）の外面に設けられたフロントマフラ（６）と、上記
ローラ（５）に外接する仕切りブレード（７）とを備え
ている。シリンダ（４）によって、ケーシング（１）の
内部は下方の油室（８）と、上方の加圧ガス室（９）と
に区分されている。

【００２２】シリンダ（４）は、上記ローラ（５）を収
容するシリンダ本体（１０）と、該シリンダ本体（１０
）の上下端を塞ぐフロントプレート（１１）およびリヤ
プレート（１２）とから構成され、シリンダ（４）の内
部に圧縮室（１３）が形成されている。

【００２３】シリンダ本体（１０）は、円盤状の金属ブ
ロックからなり、移動不能にケーシング（１）の内面に
固定されており、上記圧縮室（１３）とケーシング（１
）内とを連通する吐出口（１５）と、該吐出口（１５）
を開閉するリード弁（１６）と、上記圧縮室（１３）と
ガス入口管（１４）とを連通する入口通路（１７）とが
形成されている。

【００２４】ローラ（５）は、シリンダ（４）内に数十
μｍ程度の上下の隙間を介して収容されており、中心部
には駆動軸嵌入孔（２５）が穿設されており、この駆動
軸嵌入孔（２５）には駆動軸（２６）を介して油室（８
）より潤滑油が供給されている。また、駆動軸嵌入孔（
２５）はケーシング（１）内の空間と連通しており、圧
縮室（１３）よりケーシング（１）内に吐出された加圧
ガスの圧力が作用している。そのため、駆動軸嵌入孔（
２５）に流入した潤滑油は、加圧ガスの圧力によってロ
ーラ（５）とシリンダ（４）との隙間に圧入されている
。

【００２５】さらにシリンダ本体（１０）内には、上記
仕切りブレード（７）が収容されており、該仕切りブレ
ード（７）は先端がローラ（５）につねに当接するよう
に付勢されている。この仕切りブレード（７）により、
圧縮室（１３）は低圧室（１９）と高圧室（２０）とに
区画されている。

【００２６】モータ（２）は前記加圧ガス室（９）の上
下中央付近に配置されており、そのステータ（２１）を
ケーシング（１）の内面に固定し、ロータ（２２）を駆
動軸（２６）の上部に固定している。加圧ガス室（９）
の内部は、モータ（２）によってこれより下方の１次空
間（９ａ）と、モータ（２）より上方の２次空間（９ｂ
）とに区分されており、これら両空間（９ａ），（９ｂ
）はロータ（２２）とステータ（２１）との間の小さな
隙間（Ｅ）等を介して連通している。２次空間（９ｂ）
に臨むケーシング（１）の上壁にはエルボ状のガス出口
管（２３）が設けられている。

【００２７】また、この発明の特徴として、図３に示す
ように、ローラ（５）の上下両面（５ａ），（５ｂ）に
はそれぞれ複数本の条溝（３０），（３０）……が形成
され、該条溝（３０），（３０）……は、図４に示すよ
うに、内端が駆動軸嵌入孔（２５）に開口し、外端が上
記上下両面（５ａ），（５ｂ）の外周縁に位置する閉塞
端に形成され、かつ内端から外端に向かってローラ（５
）の回転方向に弧状に湾曲している。また、条溝（３０
），（３０）……は、図５に示すように、矩形状断面に
形成されると共に、数十μｍから１００μｍまでの深さ
に設定されている。

【００２８】次に、ロータリ圧縮機の圧縮動作について
説明する。

【００２９】運転状態において、モータ（２）の駆動に
よりローラ（５）はシリンダ本体（１０）の内周壁に沿
って回転し、外部の低圧ガスが入口通路（１７）より低
圧室（１９）内に吸入され、吸入ガスは圧縮されて高圧
となり、リード弁（１６）を押し開き、フロントマフラ
（６）を経て１次空間（９ａ）に吐出される。駆動軸嵌
入孔（２５）には駆動軸（２６）を介して油室（８）よ
り潤滑油が供給されている。また、駆動軸嵌入孔（２５
）には潤滑油で満たされており、潤滑油は、ケーシング
（１）内の加圧ガスの圧力によってローラ（５）とシリ
ンダ（４）との隙間に圧入されている。

【００３０】一方、ローラ（５）の回転に伴って上下両
面（５ａ），（５ｂ）の条溝（３０），（３０）……が
回転すると、隙間に圧入された潤滑油が条溝（３０），
（３０）……に流入する。そして、流入した潤滑油は、
回転する条溝（３０），（３０）……に沿って駆動軸嵌
入孔（２５）へ押し戻されることになる。

【００３１】したがって、ローラ（５）の上下両面（５
ａ），（５ｂ）の条溝（３０），（３０）……が回転す
ることにより、ローラ（５）とシリンダ（４）の隙間に
介在する潤滑油を駆動軸嵌入孔（２５）へ押し戻するこ
とができ、機械損失の増加や部品点数の増加をきたすこ
となく、簡単な加工でローラの上下の隙間における潤滑
油のシールを行うことができる。その結果、圧縮室（１
３）への潤滑油の洩れを低減できることから、容積効率
の低下を防止することができる。

【００３２】次に、図６〜図８にこの発明の第２実施例
を示す。各図は図３のＣ−Ｃ線断面図である図５の相当
図である。

【００３３】この実施例は、上下の条溝（３０ａ），（
３０ａ）……がローラ（５）の中心側から外方に向かっ
て形成されると共に、回転方向後方側の側面が、溝底部
（３２）から回転方向後方側の溝エッジ（３３）に向か
って漸次後方に傾斜した傾斜面（３４）に形成したもの
である。図６の上下の条溝（３０ａ），（３０ａ）……
は、レの字状の断面形状に形成されており、上記傾斜面
（３４）は平坦面に形成されている。

【００３４】したがって、上記傾斜面（３４）により、
上下の条溝（３０ａ），（３０ａ）……とシリンダ（４
）との隙間には先すぼまりの空間（Ａ）が形成される。 回転中のローラ（５）が上下一方の側に偏ったために反
対側の隙間が小さくなっているときには、ローラ（５）
の回転に伴って移動する条溝（３０ａ），（３０ａ）…
…が、条溝（３０ａ），（３０ａ）……内に流入した潤
滑油をその粘性によって先すぼまりの空間（Ａ）に圧入
し、くさび膜圧力が発生する。このくさび膜圧力による
油膜反力がローラ（５）に作用し、ローラ（５）の上下
の偏りが修正されることになる。

【００３５】この実施例によれば、くさび膜作用を有す
る上下の条溝（３０），（３０）……により油膜反力を
発生させることができ、ローラ（５）を上下の隙間を均
等に保持することができ、上下の隙間における潤滑油の
流通量、すなわち、洩れ量を低減することができる。そ
の結果、容積効率の低下を確実に防止することができる
。

【００３６】また、図７および図８は第２実施例の変形
例であって、図７は上下の条溝（３０ｂ），（３０ｂ）
……の傾斜面（３４）が外方側膨出状の曲面に形成され
たものである。図８は上下の条溝（３０ｃ），（３０ｃ
）……の全面が内側膨出状の曲面に形成されたものであ
る。この変形例においても、第２実施例と同様の効果を
発揮することができる。

【００３７】なお、第１実施例における上下の条溝（３
０），（３０）……は、回転方向に弧状に湾曲したもの
に限らず、両端間が直線状に形成されて回転方向に傾斜
したものであってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例を示し、ロータリ圧縮機
の縦断正面図である。

【図２】この発明の第１実施例を示し、図１おけるＡ−
Ａ線断面図である。

【図３】この発明の第１実施例を示し、ローラの拡大平
面図である。

【図４】この発明の第１実施例を示し、図３おけるＢ−
Ｂ線断面図である。

【図５】この発明の第１実施例を示し、図３おけるＣ−
Ｃ線断面図である。

【図６】この発明の第２実施例を示し、図５相当図であ
る。

【図７】この発明の第２実施例の変形例を示し、図５相
当図である。

【図８】この発明の第２実施例の変形例を示し、図５相
当図である。

【符号の説明】

１　　　　ケーシング ２　　　　モータ ３　　　　圧縮ユニット ４　　　　シリンダ ５　　　　ローラ ２５　　駆動軸嵌入孔 ２６　　駆動軸 ３０　　条溝 ３２　　溝底部 ３３　　回転方向後方の溝エッジ ３４　　条溝の傾斜面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ケーシング（１）の内部にモータ（２
   ）と、圧縮ユニット（３）とが収容され、該圧縮ユニッ
   ト（３）は、シリンダ（４）と、該シリンダ（４）内に
   収納されてシリンダ（４）の内周壁に沿って回転するロ
   ーラ（５）とを備え、該ローラ（５）には、上記モータ
   （２）の駆動軸（２６）が嵌入する駆動軸嵌入孔（２５
   ）が穿設され、該駆動軸嵌入孔（２５）には潤滑油が供
   給されてなるロータリ圧縮機において、上記ローラ（５
   ）の上下両面（５ａ），（５ｂ）にはそれぞれ複数本の
   条溝（３０），（３０）……が形成され、該各条溝（３
   ０），（３０）……は、内端が駆動軸嵌入孔（２５）に
   開口し、外端が上記上下両面（５ａ），（５ｂ）の外周
   縁に位置する閉塞端に形成され、かつ内端から外端に向
   かってローラ（５）の回転方向に傾斜していることを特
   徴とするロータリ圧縮機。
2. 【請求項２】　　ケーシング（１）の内部にモータ（２
   ）と、圧縮ユニット（３）とが収容され、該圧縮ユニッ
   ト（３）は、シリンダ（４）と、該シリンダ（４）内に
   収納されてシリンダ（４）の内周壁に沿って回転するロ
   ーラ（５）とを備え、該ローラ（５）には、上記モータ
   （２）の駆動軸（２６）が嵌入する駆動軸嵌入孔（２５
   ）が穿設され、該駆動軸嵌入孔（２５）には潤滑油が供
   給されてなるロータリ圧縮機において、上記ローラ（５
   ）の上下両面（５ａ），（５ｂ）にはそれぞれ複数本の
   条溝（３０），（３０）……が形成され、該各条溝（３
   ０），（３０）……は、ローラ（５）の中心側から外方
   に向かって形成されると共に、回転方向後方側の側面が
   、溝底部（３２）から回転方向後方側の溝エッジ（３３
   ）に向かって漸次後方に傾斜した傾斜面（３４）に形成
   されていることを特徴とするロータリ圧縮機。