JPH04338170A - 炭素繊維系成形断熱材及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維系成形断熱材及びその製造方法

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JPH04338170A
JPH04338170A JP3138543A JP13854391A JPH04338170A JP H04338170 A JPH04338170 A JP H04338170A JP 3138543 A JP3138543 A JP 3138543A JP 13854391 A JP13854391 A JP 13854391A JP H04338170 A JPH04338170 A JP H04338170A
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mat
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高松 明男
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、断熱特性、特に高温断
熱特性に優れた炭素繊維系成形断熱材に関する。より詳
細には、本発明は、不活性雰囲気では極めて安定であり
、500〜2,800℃の範囲で優れた耐熱性、形態安
定性を示し、特に放射伝熱に対する優れた断熱性を有す
る炭素繊維系成形断熱材を提供する。
【0002】さらに、本発明の炭素繊維系成形断熱材は
、高温域の断熱特性に優れており、ガラスの溶融、陶磁
器類の焼成、金属の精錬、セラミックスの焼結あるいは
炭素材の焼成を行う高温炉等の断熱に用いることができ
る。さらに、本発明の炭素繊維系成形断熱材は、放射線
に対する安定性が優れており、原子炉及び原子力発電設
備の断熱材として優れた性能を示す。
【0003】
【従来の技術】高温域で使用される断熱材としては、従
来多孔質のセラミックスが多く用いられている。これら
の断熱材は、確かに優れた高温安定性を有しているが、
低い熱伝導率を与えるためには、かなりの量の穿孔を持
つことが必要とされる。これらの穿孔は完全に閉じた気
泡ではないが、気体の流通はかなり制限されているのが
普通である。これは、空孔の周辺部に気体が容易に流通
する大きな欠陥があると、セラミックス成形品の強度が
小さくなるため、それを防止する必要上、かなり小さい
通路で外部に連結しているからである。
【0004】このような形態上の特性から、従来のセラ
ミックス系断熱材は、概して急熱、急冷に弱く、スポー
リングと呼ばれる、温度変化による表面からの構造崩壊
が頻発する問題を有していた。スポーリングの少ない断
熱材を得るためには、概して気孔率が少なく、断熱特性
の良くない材料を選ぶ必要があり、断熱材の量を多く必
要とする問題を有している。
【0005】従来のセラミックス系の断熱材は、対流伝
熱及び伝導伝熱に対しては、優れた断熱効果を有してい
るが、赤外線乃至可視光など、放射伝熱の主体をなす光
線を吸収する能力が概して小さく、放射伝熱に対する断
熱効果が概して不十分である問題がある。光線を吸収す
る能力が大きい炭素系断熱材としては、膨張黒鉛を用い
たものが知られているが、原料として結晶サイズの大き
い天然黒鉛を使用する必要があり、コストが高いこと及
び不純物が多い問題がある。
【0006】これらの問題を解決するために、セラミッ
クスの繊維状物を断熱材とすることが広く行われている
。このような繊維状物は、確かに優れた断熱効果を示す
が、製造が難しいことから概して高価である問題があり
、高温炉が高価であることの一原因となっている。
【0007】また、断熱機構の面から断熱材の性能を考
えると、500℃以上の高温域では、伝熱機構の主体が
放射伝熱に移り、対流伝熱や伝導伝熱の寄与が相対的に
小さくなっていることから、200℃以下の低温域で有
効な断熱材が、必ずしも良好な性能を示さない問題があ
る。特に、セラミックス系繊維質断熱材の場合、低温域
では優れた断熱効果を有するものの、繊維の透明性が概
して良好であること、繊維の表面が極めて平滑であるこ
とから、光線を吸収、散乱させる能力が小さく、高温域
では放射伝熱の断熱効果が十分でない問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の高温
域の断熱材が、急激な温度変化に弱い問題点及び放射伝
熱に対する断熱効果が概して不十分である問題点、並び
にセラミックス系の繊維質断熱材が概して高価であり、
放射伝熱に対する断熱効果が不十分である問題点を解決
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を種々検討した結果、細径の炭素繊維材を用いて、高嵩
密度に成形処理し、炭化により非繊維状の炭化物となり
得る結合材マトリックスで炭素繊維間を点接着して、成
形形状に保持するようにした成形断熱材を用いることに
より、特に成形断熱材の厚さ方向の熱伝導率が極めて小
さくかつ放射伝熱の吸収にも優れ、高温域の断熱材とし
て極めて有用な断熱材が提供しうることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は:■  嵩密度が0.
01〜0.5g/cm3 、2,200℃における成形
断熱材の厚さ方向の熱伝導率が1.0kcal/m・h
r℃以下、炭素繊維の含有率が約60〜95重量%であ
り、かつ非繊維状の炭化物の介在により成形形状を保持
することを特徴とする、炭素繊維系成形断熱材であり、
さらに■  非繊維状の炭化物が、フェノール樹脂、フ
ラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピッチの群から選ば
れた1種もしくは2種以上の物質に由来する点にも特徴
を有し、
【0011】■  炭素繊維が平均単繊維直径1〜9μ
mを有するものである点にも特徴を有し、■  炭素繊
維がピッチ系のものであり、かつ温度20℃、相対湿度
65%の雰囲気中で吸湿性が2%以下である点にも特徴
を有する。
【0012】さらに、■  (a)プリカーサー繊維を
メルトブロー法で紡糸する紡糸工程に直結した工程でシ
ート状に捕集してマット状物とし、(b)その後不融化
、軽度炭化処理をし、(c)得られた炭素繊維からなる
マット状物を所要枚数積層し、2〜100パンチ/cm
2 の密度のニードルパンチを行い、(d)さらに、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピ
ッチの群から選ばれた1種もしくは2種以上の物質を含
浸した後、樹脂の硬化を行い、該含浸した物質を炭化さ
せることを特徴とする、炭素繊維系成形断熱材の製造方
法をも提供する。
【0013】以下、更に詳細に説明する。本発明の炭素
繊維系成形断熱材に用いられる炭素繊維としては、好ま
しくは平均単繊維直径1〜9μmを有するものが必要で
ある。なお、ニードルパンチなどの成形処理する前の軽
度炭化処理した炭素繊維の平均単繊維直径は、高温焼成
した炭素繊維の平均単繊維直径より若干(約10%程度
)大きい。
【0014】この平均単繊維直径とは、無作為に抽出さ
れた例えば100個の単繊維試料を光学顕微鏡或いは電
子顕微鏡により測定したそれぞれの値の平均値により表
される。また、2,200℃における成形断熱材の厚さ
方向の熱伝導率を1.0kcal/m・hr℃、好まし
くは0.7kcal/m・hr℃以下にすることが望ま
しい。この際に、平均単繊維直径が9μm以上の場合、
該熱伝導率が1.0kcal/m・hr℃未満に抑える
ことが難しい。また、1μm未満の場合、プリカーサー
の繊維化の段階で種々のトラブルを生じ易くなり、繊維
状を示さぬ異形粒子の混入や糸切れの多発を生じるので
好ましくない。
【0015】このように、断熱材の構成繊維として炭素
繊維径が細いものを用いることにより、放射伝熱に対す
る断熱効果が極めて高くなる。また、該炭素繊維として
は、断熱効果の高い形状への紡糸等の面から、石油ピッ
チ系、石炭ピッチ系等のピッチ系のものであることが望
ましく、特に好ましくはメソフェースピッチ系のもので
ある。
【0016】また、該炭素繊維としては、吸湿性が小さ
いものであることが望ましい。特に、温度20℃、相対
湿度65%の雰囲気中で吸湿性が2%以下であることが
好ましく、特に好ましくは0.1%以下である。従って
、該炭素繊維から上記のような吸湿性の小さい炭素繊維
系成形断熱材が製造できる。ピッチ系炭素繊維のうちで
も、メソフェースピッチを原料とするものは、より吸湿
性が小さいので本発明の炭素繊維系成形断熱材として好
適な性質を有する。
【0017】断熱材として使用する際に、吸湿性が大き
い場合には、室温からの立ち上がり時に水分の蒸発が生
じて、断熱効果を低下させる問題があり、また、炭素繊
維の周囲雰囲気中に水蒸気を持ち込み、高温時の炭素繊
維の劣化の原因となる問題がある。
【0018】本発明において、炭素繊維間に介在して該
炭素繊維を成形形状に保持するために用いる、非繊維状
の炭化物は、原料としてフェノール樹脂、フラン樹脂、
アミノ樹脂、タール及びピッチの群から選ばれた1種も
しくは2種以上の物質に由来するものである。本発明で
は、上記の特定の樹脂またはタールなどを結合材として
用いたので、炭素繊維のマット状物を単に積層しただけ
のものでなく、中間段階で樹脂またはタールなどによっ
て繊維間を接着して成形することができて、かなり複雑
な形状の成形断熱材を提供できる。
【0019】本発明の炭素繊維系成形断熱材は、嵩密度
が0.01〜0.5g/cm3 、好ましくは0.05
〜0.5g/cm3 ;2,200℃における成形断熱
材の厚さ方向の熱伝導率が1.0kcal/m・hr℃
以下、好ましくは0.7kcal/m・hr℃以下;炭
素繊維の含有率が約60〜95重量%であり、かつ非繊
維状の炭化物の介在により成形形状を保持される点に特
徴を有する。
【0020】すなわち、本発明の成形断熱材の嵩密度は
、0.01〜0.5g/cm3 、好ましくは0.05
〜0.5g/cm3 であることが望ましい。断熱効果
を上げるには、断熱材中に内在するガス層を出来る限り
細孔化することが好ましい。また、断熱材中の炭素繊維
の配向がZ軸方向に連続化しない限り、嵩密度を大きく
する程断熱効果が向上するが、断熱材の製造上の限界や
コスト的に見て、上記0.01〜0.5g/cm3 の
嵩密度が適用可能である。
【0021】嵩密度が0.01g/cm3 未満と小さ
すぎると、光の散乱効果が低くなるためか熱伝導率が大
きくなり、逆に嵩密度が0.5g/cm3 を越えて大
きすぎても熱伝導率が大きくなってしまい、断熱効果が
下がる。成形断熱材の嵩密度は、ニードルパンチの密度
或いは炭化の際に加える圧力などの大きさを調節するこ
とにより、所定の嵩密度にすることができる。
【0022】本発明の炭素繊維系成形断熱材は、構成炭
素繊維の含有率が約60〜95重量%、好ましくは約7
0〜80重量%であることが望ましい。逆に、炭化によ
り非繊維状の炭化物となる結合材マトリックスの含有率
が約5〜40重量%、好ましくは約10〜30重量%と
なることが望ましい。すなわち、成形断熱材の断熱性の
観点から見ると、厚み方向(断熱したいZ方向)には炭
素繊維、マトリックスとも連続することは好ましくなく
、X、Y平面にのみ配向しているのが良いと考えられる
【0023】一般に、該マトリックスは加工などに耐え
るように成形形状の保持のために、用いられるものであ
り、一般に点接着で繊維間を接着するのが良く、マトリ
ックス自体出来るだけ少ないのが良いが、成形形状を保
持するためには或る程度のマトリックス量の確保が必要
であり、通常マトリックスの含有率が約10〜40重量
%である。
【0024】本発明で言う炭素繊維の含有率又はマトリ
ックス結合材の含有率は、繊維単味の熱処理による黒鉛
化収率をベースにした計算値である。また、本発明にお
いて定義される炭素繊維系成形断熱材の熱伝導率の測定
方法は、JIS  A  1412「保温材の熱伝導率
測定方法」による。ただし、温度の測定に該規格のよう
な熱電対を使用することは困難であるので、放射温度計
を使用する。
【0025】本発明の炭素繊維系成形断熱材は、2,2
00℃における成形断熱材の厚さ方向の熱伝導率が1.
0kcal/m・hr℃以下、好ましくは0.7cal
/m・hr℃以下である。すなわち、本発明の炭素繊維
系成形断熱材は、前述のとおり、特に(イ)断熱材の構
成繊維として特に平均単繊維直径1〜9μmと言う細径
のものを用い、(ロ)結合材マトリックスの含有率を、
点接着により炭素繊維間を成形状態に保持できる程度の
約5〜40重量%としかつ、(ハ)成形断熱材の嵩密度
が特に0.01〜0.5g/cm3 、好ましくは0.
05〜0.5g/cm3 と高嵩密度になる成形状態に
するなどにより、(ニ)上記熱伝導率値で示される極め
て高い断熱効果を発揮できると共に、特に放射伝熱に対
して優れた断熱特性を示す点で技術的意義がある。
【0026】本発明の炭素繊維系成形断熱材の製造は、
好ましくは、(a)プリカーサー繊維をメルトブロー法
で紡糸する紡糸工程に直結した工程でシート状に捕集し
てマット状物とし、(b)その後不融化、軽度炭化処理
をし、(c)得られた炭素繊維からなるマット状物を所
要枚数積層し、2〜100パンチ/cm2 の密度のニ
ードルパンチを行い、(d)さらに、フェノール樹脂、
フラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピッチの群から選
ばれた1種もしくは2種以上の物質を含浸した後、樹脂
の硬化を行い、(e)該含浸した物質を炭化させること
により行われる。
【0027】以下、更に詳細に製造法を説明する。 (a)工程; (イ)プリカーサー繊維の製造に用いる紡糸工程は、遠
心紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法など任意の
紡糸手段が採用できるが、メルトブロー法によるものが
、単繊維の太さの小さいものが比較的容易に製造できる
ので好ましい。単繊維の細いものほど表面の曲率半径が
小さいため、その表面において光を散乱する能力が大き
い傾向があり、放射伝熱に対する断熱に大きく寄与する
と考えられている。
【0028】また、単繊維の細いものほど、対流伝熱に
対する断熱に寄与することが知られている。このような
ことから、メロトブロー法による繊維は、高温域におけ
る断熱特性に優れていると考えられる。
【0029】特に、本発明に用いるプリカーサー繊維の
中で、メルトブロー法により製造されたピッチ繊維が、
成形断熱材の構成繊維として特に優れている。その理由
は、この繊維が概して直線的でなく、カールやクリンプ
を有しているためである。繊維が直線的でない部分は、
ニードルパンチの際に繊維に移動できる余裕を与え、繊
維が切断される割合が少ない上、繊維が絡合している場
所で、シート状物の面に斜めになっている割合が高くな
り、繊維を介しての伝導伝熱が少なくなり、断熱効果が
阻止されない利点がある。
【0030】また、特にメソフェースピッチ系の炭素繊
維を用いることにより、低吸湿性の炭素繊維成形断熱材
を与える。具体的には、メルトブロー法による紡糸を行
う場合には、通常、紡糸口金温度290℃〜360℃、
気体温度310〜380℃、気体の噴出速度100〜3
40m/秒の紡糸条件で、高速の気体を噴出するスリッ
ト又はノズル中に設けた紡糸孔から紡糸すれば良い。
【0031】(ロ)また、本発明の製造法において、紡
糸工程に直結した工程でシート状に捕集してマット状物
とすることが好ましい。このような方法によると、従来
の不織布の製造工程に比べて、開繊やカーディングのよ
うな伸度の小さい繊維を損傷する工程を含まないために
、製品に微細化した繊維を含まない利点がある。
【0032】微細化した繊維は、断熱材の使用時に移動
して周辺を汚染したり、換気装置のフィルターに詰まる
問題を有する。さらに、紡糸工程に直結した工程でシー
ト状に捕集する方法では、概して低コストでシートを製
造することができる利点を有する。
【0033】(ハ)本発明の方法では、上記(a)工程
における、シート状に捕集する工程に続いて、必要に応
じて、得られたプリカーサー繊維シート状物を連続的に
クロスラップさせて、目付けムラのないマット状物(積
層シート)にしても良い。
【0034】(b)工程; 本発明の方法において、不融化、軽度炭化処理は、常法
に従って任意に適用できる。例えば、不融化処理は、昇
温温度0.2〜13℃/分、好ましくは2〜10℃/分
で200〜400℃の温度条件で、空気、酸素又はNO
x等の酸化性ガスの雰囲気中で熱処理することにより行
われる。
【0035】更に、炭化処理は、その後に、ニードルパ
ンチ処理など賦形処理を行う関係上、軽度の炭化処理が
好ましい。例えば、常法に従って、窒素ガスなどの不活
性ガス中で5〜100℃/分の昇温温度で300〜15
00℃、好ましくは500〜1000℃で炭化する。
【0036】(c)工程; 次に、得られた不融化、炭化繊維マット状物をその目的
・用途に応じて所要枚数積層し、ニードルパンチ処理す
る。この場合に、2〜100パンチ/cm2 の密度の
ニードルパンチを行う必要がある。ニードルパンチ密度
が2パンチ/cm2 未満の場合、得られた炭素繊維系
成形断熱材の強度が弱くなるため、ハンドリング性の点
で問題となり、好ましくない。
【0037】また、ニードルパンチ密度が100パンチ
/cm2 以上の場合、断熱材の面に垂直方向に配向す
る炭素繊維の含有率が大きくなるため、伝導伝熱に関す
る熱伝導率が高くなり、断熱効果が低下するので好まし
くないし、さらに、繊維の切断により成形断熱材の強度
が小さくなるので好ましくない。
【0038】(d)工程; (イ)まず、ニードルパンチ処理済のマット状物に、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピ
ッチの群から選ばれた1種もしくは2種以上の物質であ
り、かつ炭化により非繊維状の炭化物になり得る結合材
マトリックスを含浸し、炭素繊維間を成形状態に保持で
きる程度に点接着する。この場合、結合材マトリックス
の含浸量は、成形断熱材を保形できる範囲の最小量でよ
く、好ましくは成形断熱材中のマトリックスの含有率が
約5〜40重量%に相当する量で良い。
【0039】(ロ)続いて、含浸結合材マトリックスを
常法に従って、例えば加熱などの手段により硬化する。 (ハ)最後に、該処理物を常法に従って炭化する。例え
ば、窒素ガスなどの不活性ガスの存在下で900〜20
00℃に一定時間熱処理することにより行われる。本発
明の炭素繊維系成形断熱材は、上記のように炭素繊維の
シート状物を単に積層しただけのものでなく、中間段階
(d)で樹脂またはタール類などによって炭素繊維間を
接着して成形することができるので、かなり複雑な形状
にすることができる。
【0040】
【作用】高温域の伝熱は、放射伝熱が主体となるため、
対流伝熱及び伝導伝熱が主体の低温域の伝熱とはかなり
様相が異なっている。本発明の炭素繊維系成形断熱材は
、放射伝熱にあずかる光線の吸収能力及び散乱能力に優
れており、放射伝熱に対する断熱効果が良好である。
【0041】本発明の炭素繊維系成形断熱材が放射伝熱
に対する断熱効果が大きい理由は、単繊維の細いものほ
ど表面の曲率半径が小さいため、光を散乱する能力が大
きく、放射伝熱に対する断熱に大きく寄与することと考
えられる。また、本発明の炭素繊維系成形断熱材の原料
の中で、メルトブロー法により製造されたプレカーサー
ピッチ繊維が特に優れている理由としては、繊維が概し
て直線的でなく、カールやクリンプを多く含有すること
にある。繊維が直線的でない部分は、ニードルパンチの
際に繊維が移動できる余裕を与え、繊維が切断する割合
が少なくなる上、繊維が絡合している場所でマット状物
の面に斜めになっている割合が高くなり、繊維を介して
の伝導伝熱が少なくなり、絡合が進んでいる割に、断熱
効果が阻害されない利点を有する。
【0042】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、これらは本発明の範囲を制限しない。
【実施例1】軟化点284℃、メソフェーズ含有率10
0%の石油系ピッチを原料として、メルトブロー法によ
り繊維を製造し、ネットコンベヤーの上に30g/m2
 の目付け量のピッチ繊維シートを捕集した。この連続
的に得られたシートを水平クロスラッパーにて積層し、
600g/m2 の目付け量の目付けムラのない積層シ
ートとした。
【0043】このピッチ繊維の積層シート状物を、空気
中昇温速度5℃/分で300℃まで昇温させつつ熱処理
して不融化した後、更に不活性気体中で昇温速度5℃/
分で615℃まで昇温させて軽度に炭化させた。引き続
き、パンチ密度13回/cm2 として嵩密度0.11
g/cm3 のマット状物を作製した後、このマット状
物を2枚重ね、繊維含有率90重量%になるように、レ
ゾール型フェノール樹脂(大日本インキ工業(株)製 
 「プライオーフェン」)を該マット状物に浸漬し、1
65℃で加熱硬化した。
【0044】このマット状成形物を最高温度2000℃
で炭化を行って、嵩密度0.15g/cm3 のマット
状物とした。得られたマット状物中の単繊維平均直径は
6.5μmであった。得られたマット状物の2200℃
における熱伝導率を、石川島播磨重工業(株)製断熱材
高温熱伝導率測定装置(ITC25−VRII)により
測定すると、熱伝導率は0.26kcal/m・hr℃
であった。
【0045】
【実施例2】実施例1と同様にしてメルトブロー法によ
り紡糸し、不融化したマット状物を軽度炭化の際に加え
る圧力を1〜20kg/cm2 に変更して種々の嵩密
度を持つシート状物を得た。このシートを実施例1と同
様にして7回/cm2 のパンチ密度でニードルパンン
チし、繊維含有率90重量%になるように実施例1で使
用したと同じレゾール型フェノール樹脂を含浸し、16
5℃で加熱硬化し、さらに2000℃まで昇温して全体
を炭化し、得られた種々のマット状物(成形用断熱材)
について実施例1と同様にして嵩密度及び熱伝導率を測
定したところ、以下のとおりであった。
【0046】なお、炭化後の繊維の単繊維平均直径は6
.5μmであった。
【表1】   *1 ;g/cm3 、*2 ;  kcal/m
・hr℃なお、試験番号No. 1〜4は実施例、No
. 5は比較例である。
【0047】
【実施例3】軟化点238℃石炭系等方性ピッチを原料
とし、実施例1と同様の装置を用いてメルトブロー法に
より紡糸を行い、実施例1と同様にしてシート状に採取
し、不融化、軽度炭化を行い、積層してニードルパンチ
を行ってマット状物としたものについて、実施例1と同
様にして繊維含有率90重量%になるようにレゾール型
フェノール樹脂を含浸して硬化、炭化した後に熱伝導率
の測定を行ったところ、0.60kcal/m・hr℃
であった。なお、炭化後の単繊維平均直径は7μmであ
った。
【0048】
【実施例4】実施例1と同様の装置を用いてメルトブロ
ー法により紡糸を行い、その際に紡糸孔1個当たりのピ
ッチの吐出量を変えて単繊維の平均直径の異なる繊維を
作り、実施例1と同様にしてシート状に採取し、不融化
、軽度炭化を行い、2枚積層し、ニードルパンチ(パン
チ密度7回/cm2 )を行い、フェルト状化した。得
られたフェルト状物に実施例1と同様にしてレゾール型
フェノール樹脂を含浸して硬化、炭化し、嵩密度が0.
1g/cm3 になるものを作った。
【0049】得られた種々のフェルト状物(成形用断熱
材)について、実施例1と同様にして単繊維平均直径及
び熱伝導率を測定したところ、以下のとおりであった。
【表2】 *1 ;μm、*2 ;  kcal/m・hr℃なお
、試験番号No. 1〜3は実施例、No. 4、5は
比較例である。
【0050】
【発明の効果】本発明の炭素繊維系成形断熱材は、不活
9090、、では極めて安定であり、500〜2800
℃の範囲で優れた耐熱性、形態安定性を示し、放射伝熱
に対する優れた断熱材を提供する。
【0051】また、本発明の炭素繊維系成形断熱材は、
高温域の断熱特性に優れており、ガラスの溶融、陶磁器
類の焼成、金属の精練、セラミックスの焼結或いは炭素
材の焼成を行う高温炉の断熱に用いることが出来る。ま
た、本発明の炭素繊維系成形断熱材は、放射線に対する
安定性が優れており、原子炉及び原子力発電設備の断熱
材として優れた性能を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  嵩密度が0.01〜0.5g/cm3
     、2,200℃における成形断熱材の厚さ方向の熱伝
    導率が1.0kcal/m・hr℃以下、炭素繊維の含
    有率が約60〜95重量%であり、かつ非繊維状の炭化
    物の介在により成形形状を保持することを特徴とする、
    炭素繊維系成形断熱材。
  2. 【請求項2】  非繊維状の炭化物が、フェノール樹脂
    、フラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピッチの群から
    選ばれた1種もしくは2種以上の物質に由来することを
    特徴とする、請求項1記載の炭素繊維系成形断熱材。
  3. 【請求項3】  炭素繊維が平均単繊維直径1〜9μm
    を有するものであることを特徴とする、請求項1又は2
    記載の炭素繊維系成形断熱材。
  4. 【請求項4】  炭素繊維がピッチ系のものであり、か
    つ温度20℃相対湿度65%の雰囲気中で吸湿性が2%
    以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか
    に記載の炭素繊維系成形断熱材。
  5. 【請求項5】  (a)プリカーサー繊維をメルトブロ
    ー法で紡糸する紡糸工程に直結した工程でシート状に捕
    集してマット状物とし、(b)その後不融化、軽度炭化
    処理をし、(c)得られた炭素繊維からなるマット状物
    を所要枚数積層し、2〜100パンチ/cm2 の密度
    のニードルパンチを行い、(d)さらに、フェノール樹
    脂、フラン樹脂、アミノ樹脂、タール及びピッチの群か
    ら選ばれた1種もしくは2種以上の物質を含浸した後、
    樹脂の硬化を行い、該含浸した物質を炭化させることを
    特徴とする、炭素繊維系成形断熱材の製造方法。
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