JPH04328266A - 密閉形鉛蓄電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は密閉形鉛蓄電池の改良に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】電池の充電中に発生する酸素
ガスを負極で吸収させるタイプの密閉形鉛蓄電池にはリ
テーナ式とゲル式の２種類がある。リテーナ式は正極板
と負極板との間に微細ガラス繊維を主体とするマット状
のセパレータ（ガラスセパレータ）を挿入し、これによ
って放電に必要な硫酸電解液の保持と両極の隔離をおこ
なっており、無保守、無漏液、ポジションフリー等の特
徴を生かして、近年、ポータブル機器やコンピューター
のバックアップ電源として広く用いられている。

【０００３】しかし、ガラスセパレータは特殊な方法で
製造される直径１ミクロン前後の微細ガラス繊維を抄造
してマット状としたもので、一般的に用いられる鉛蓄電
池用のセパレータに比べかなり高価なことや、安定した
電池性能を得るためには極板群を強く圧迫して組み込ま
なければならないので電池の組立が困難となり、必然的
に電池の製造コストが高くなるという欠点があった。

【０００４】また、硫酸電解液を保持させることができ
るのは正、負極板間に挿入したガラスセパレータだけで
あって、開放形の液式鉛蓄電池のように極板群の周囲に
電解液を配置できないので、電池反応が電解液量で制限
され、液式電池よりも電池性能が劣るという欠点があっ
た。

【０００５】一方、ゲル式はリテーナ式よりも安価であ
るが、電池性能がリテーナ式密閉形鉛蓄電池より劣り、
使用中に硫酸ゲルから電解液が離しょうするために寿命
性能が良くないという欠点があった。

【０００６】そこでこれらの欠点を解消するために、微
細ガラス繊維を用いるリテーナ式でもなく、ゲル状の電
解液を用いるゲル式でもない密閉形鉛蓄電池が提案され
ている。すなわち、電解液保持材として高い多孔度と大
きい比表面積を有する粉体、たとえばシリカ粉体を使用
するもので、正極板と負極板との間隙および極板群の周
囲に上記粉体を充填した構成の密閉形鉛蓄電池である。

【０００７】シリカ粉体は大量に生産、販売されている
安価な材料であり、耐酸性や電解液の保持力も優れてい
るので、このタイプの密閉形鉛蓄電池の電解液保持材に
用いる粉体として優れた素材であるといえる。しかし、
この粉体を電解液保持体として用いる密閉形鉛蓄電池で
は、充電中に極板から吐き出された電解液や発生ガスと
ともにこの粉体が電池上部に移動し、正極板と負極板と
の間に空隙が生じ、電池性能を低下させることがあるこ
とがわかった。

【０００８】そこで、粉体の移動を抑えるために、粉体
の上部に多孔性の薄いシートを載置し、さらにその上に
複数個の孔を有する穿孔樹脂板を電槽内に強挿したり、
あるいは、粉体の上部でフェノール樹脂を発泡させて、
シリカ粉体を固定していた。しかし、薄い多孔性シート
と穿孔樹脂板とを併用する方法は煩雑で、電槽内に強挿
させるので穿孔樹脂板に高い寸法精度が要求されるとい
った欠点があった。

【０００９】一方、発泡フェノール樹脂の内部は連続気
泡で、気孔率も高く耐酸性にも優れているが、発泡フェ
ノール樹脂の表面にスキン層と呼ばれる膜が形成されガ
スや液の透過を阻害するので、このスキン層を破る工夫
が必要であった。

【００１０】そこで、電槽上面よりも大きく、かつ連続
気泡を有する発泡樹脂板を電槽上面から押圧し、電槽内
に挿入して上記粉体を固定する方法が提案された。この
方法は構成が簡単で、作業性も良く、上記の２つの方法
の欠点を解決することができたかに思われた。

【００１１】しかし、これらの方法は電槽の強度の大き
な電池には有効であったが、自動車用電池やフォークリ
フト用電池などに用いられる、ポリオレフィン樹脂製な
どの比較的電槽強度の小さい電池に適用するには充分で
なかった。

【００１２】すなわち、電池の充電中に正極から発生す
る酸素ガスを負極で吸収させるタイプの密閉形鉛蓄電池
には、負極での酸素吸収反応が追いつかなくなるほど多
量の酸素ガスが正極から発生するような大きな電流で充
電された場合に電池の内圧が高くなって電池が破裂する
のを防ぐために電池内圧が電池外部の圧力よりもやや高
くなったときに電池内のガスを逃がすための弁が設けて
ある。この弁は電池外から酸素ガスが流入して負極が酸
化されるのを防ぐために、電池内圧が電池外部の圧力よ
り小さい場合は閉じており、電池内圧が電池外部のそれ
よりも高い場合にのみ開くようになっている。この弁が
開くときの電池内圧と電池外部の圧力との差、すなわち
開弁圧は電池の大きさや用途によって異なるが、通常０
．０５〜０．２気圧に設定されている。

【００１３】上述した自動車用電池やフォークリフト用
電池などに用いられる、ポリオレフィン樹脂製などの比
較的電槽強度の小さい電池では大きな電流で充電したと
きに弁が開くまでの電池内圧の上昇によって電槽壁が膨
れてしまうことがある。

【００１４】このことは粉体の移動を抑えるために、粉
体の上部に多孔性の薄いシートを載置し、さらにその上
に電槽内へ強挿した穿孔樹脂板と電槽内壁との間、ある
いは電槽上面から押圧した発泡樹脂板と電槽内壁との間
に隙間を生じることになり、充電中に極板から吐き出さ
れた電解液や発生ガスとともに粉体がこの隙間を通って
電池上部に移動し、正極板と負極板との間に空隙が生じ
、電池性能を低下させることがわかった。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は、正極板と負極
板の間隙および極板群の周囲に高い多孔度および大きい
比表面積を有する粉体を充填し、電池の充放電に必要、
充分な量の硫酸電解液を実質的に該粉体に含浸保持させ
た密閉形鉛蓄電池の問題点、すなわち充電中に極板から
吐き出された電解液や発生ガスとともに粉体が電池上部
に移動し、正極板と負極板との間に空隙が生じ、電池性
能を低下させることを防ぐもので、その要旨は上記粉体
の上部にガスや電解液は通すが該粉体は通さない多孔板
を載置しあるいは押圧し、電槽内壁に沿うように蓋の下
部に設けたロの字状の突起により上方から該多孔板の上
面の四周内側を押さえて固定するとともに電槽と蓋とを
溶着あるいは接着することにある。

【００１６】

【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。 図１は本発明による密閉形鉛蓄電池の要部断面図で、電
槽１には正極板、負極板および隔離体とで構成された極
板群２が挿入され、正極板と負極板との間隙および極板
群の周囲には高い多孔度および大きな表面積を有する粉
体３が充填されている。

【００１７】この粉体３は多孔度が高く表面積が大きい
ために、電解液を多量にかつ強く保持することができる
。本実施例においてはシリカ粉体を用いた。この粉体３
の上部に多孔板４が載置されている。

【００１８】この多孔板４は耐酸性を有し、ガスや電解
液は通すが粉体は通さないものでなければならない。こ
こでは発泡フェノール樹脂板を用いた。また、この多孔
板は電槽横断面よりやや小さいものを用いたが、電槽横
断面と同じ大きさのものを強挿、あるいはそれよりも大
きな弾性を有する多孔板を押圧してもよい。

【００１９】この多孔板４は蓋７の下部に設けたロの字
状の突起５で押さえられている。この突起５は電槽内壁
に沿うように蓋７の下部に設けられており、多孔板４の
上方から多孔板４の上面６の四周の内側を押さえて固定
している。

【００２０】本実施例では蓋７の下部に設けたロの字状
の突起５の先端は多孔板４の上面６を押え、さらに多孔
板４の内部にまで食い込んでいるが、蓋７の下部に設け
たロの字状の突起５と多孔板４の上面６との間に隙間が
生じないようにすればよい。このようにして蓋７の下部
に設けたロの字状の突起５を多孔板４の上面６に押さえ
つけるとともに蓋７と電槽１とを溶着あるいは接着する
。

【００２１】ロの字状の突起５、電槽１、蓋７および多
孔板４とで構成される空間９はロの字状の突起５によっ
て多孔板４の上面６の四周内側を押え込むことさえでき
ればできるだけ小さくするのが望ましい。

【００２２】充電中のガス発生によって電池内圧が上昇
して電槽１が膨れると、従来の電池では電槽１が膨らむ
ことによって、粉体３の吹き上がりを防止している多孔
板４と電槽１との間に隙間が生じ、そこから粉体が吹き
上がってしまう。

【００２３】しかしながら、本発明によれば電槽１が膨
れて多孔板４と電槽１との間に隙間が生じても粉体３は
ロの字状の突起５、電槽１、蓋７および多孔板４とで構
成される空間９に吹き上がるだけである。この空間９に
粉体３が吹き出してくると当然電池内部に粉体３が充填
されていない部分が生じることになる。吹き出してくる
粉体３の量がわずかで電池性能に影響を及ぼさないよう
にするために、ロの字状の突起５、電槽１、蓋７および
多孔板４とで構成される空間９をできるだけ小さくする
ようにしなければならないのである。

【００２４】そこで、蓋７の下部に設けたロの字状の突
起を設ける位置を種々変えて、ロの字状の突起５、電槽
１、蓋７および多孔板４とで構成される空間９の容積が
粉体の占める容積に対する割合を５〜２０％の範囲で調
整して公称容量約３０Ａｈの電池を組み立てた。比較の
ために電槽上面よりも大きな発泡フェノール樹脂板を押
圧して粉体を固定しただけの従来電池も試験に供した。

【００２５】試験はまず粉体の吹き上がりを防止する効
果を見るために１０Ａの電流で充電を行ない、そののち
５時間率放電および低温高率放電に供した。従来電地に
は２Ａの小さな電流で充電した電池も加えた。結果を表
１に示す。

【００２６】

【表１】

【００２７】２Ａで充電を行なった従来電池Ａでは電槽
の膨れもみられず、粉体が吹き上がることもなかったが
、１０Ａで充電を行なった電池Ｂでは電槽が膨らんで粉
体が発泡フェノール樹脂板の上部に吹き出した。この電
池Ｂの放電容量は２Ａで充電した電池と比べ大幅に低下
した。

【００２８】一方、蓋の下部に設けたロの字状の突起で
発泡フェノール樹脂板を押さえた電池Ｃ〜Ｆでは１０Ａ
で充電を行なっても発泡樹脂板の上部に粉体が吹き出し
てくることはなかった。また、放電容量をみてもロの字
状の突起、電槽、蓋および発泡フェノール樹脂板とで構
成される空間の容積が粉体の占める容積に対する割合が
１０％以下であれば、２Ａで充電した粉体の吹き上がり
が認められなかった従来電池Ａと比べ電池性能に差はみ
られなかった。

【００２９】しかし、ロの字状の突起、電槽、蓋および
発泡フェノール樹脂板とで構成される空間の容積が粉体
の占める容積に対する割合が１５％以上になると放電性
能がやや低下してきた。これは１０％以下であれば粉体
の充填密度が若干低くなる程度であるが、１５％以上に
なると粉体の充填密度の低下だけではまかなえなくなっ
て大きな空隙が生じてしまうためかも知れない。

【００３０】本実施例では単電池について示したが、自
動車用電池のようなモノブロック式の電池にも適用でき
ることは言うまでもない。また、モノブロック式の電池
では単電池の並び方によっては、例えば６つの単電池は
順に並んだ構成の電池では、両端の２つの単電池にのみ
本発明を適用し、残りの単電池には多孔板を強挿あるい
は押圧するだけでもよい。

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば蓋
の下部に設けたロの字状の突起でもって粉体の吹き上が
りを防止するための多孔板を押さえて固定するだけで従
来の欠点を解消することができ、工業的価値は非常に大
きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による密閉式鉛蓄電池の要部断面図

【符号の説明】

１　　電槽 ２　　極板群 ３　　粉体 ４　　多孔板 ５　　突起 ６　　多孔板４の上面 ７　　蓋 ９　　空間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　正極板と負極板の間隙および極板群の
   周囲に高い多孔度および大きい比表面積を有する粉体を
   充填し、電池の充放電に必要、充分な量の硫酸電解液を
   実質的に該粉体に含浸保持させた密閉形鉛蓄電池であっ
   て、該粉体の上部にガスおよび電解液は通すが該粉体は
   通さない多孔板を載置しあるいは押圧し、電槽内壁に沿
   うように蓋の下部に設けたロの字状突起により上方から
   該多孔板の上面の四周内側を押さえて固定するとともに
   電槽と蓋とを溶着あるいは接着したことを特徴とする密
   閉形鉛蓄電池。