JPH04325451A - キャスタブル組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スピネルを主成分とす
る耐火骨材を使用したキャスタブル組成物に関し、さら
に詳しくは製鋼用取鍋内張り用流し込み材や真空脱ガス
炉などの不定形のキャスタブル組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】近年、製鋼用取鍋材を主体と
する不定形キャスタブルに対する耐久性向上の要求に対
し、高純度なマグネシアやアルミナを主骨材とするアル
ミナセメント系キャスタブルが開発されており、各製鉄
所をはじめとし、その優秀性は実証されている（耐火物
　１９９０−５月号　Ｐ２８１〜２８２、１９９０−７
月号　Ｐ３７６〜３８１、及び１９９０−８月号　Ｐ４
２７〜４３４等、特開平１−８３５７５号公報、特開平
１−８７５７７号公報、特開平２−６３７３号公報、及
び特開平２−３０６６１号公報等）。

【０００３】しかしながら、いずれも耐スポーリング性
や耐スラグ浸透性などのキャスタブル硬化体としての耐
久性向上を主眼にしたものであって、不定形キャスタブ
ルの重要な特性である施工時の可使時間が十分でなく、
特に、夏場など高温施工時にミキサー内で硬化するなど
のトラブルが発生するという課題があった。

【０００５】本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭
意研究を重ね、スピネルを耐火骨材とするキャスタブル
の可使時間がスピネル中の可溶性成分によって大きく影
響され、その可溶性成分量を規定することによって、優
れた耐久性や耐スラグ性などの物性を劣化させることな
く、施工時の可使時間を確保するできるとの知見を得て
本発明を完成するに至った。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、可溶性
成分が５００ｐｐｍ以下であるスピネルを主成分とする
耐火骨材とアルミナセメントを配合してなるキャスタブ
ル組成物であり、さらに、可溶性成分中のナトリウムが
３００ｐｐｍ以下であるスピネルを主成分とする耐火骨
材とアルミナセメントを配合してなるキャスタブル組成
物である。

【０００７】以下、本発明を詳しく説明する。

【０００８】本発明に係るスピネルとは、水酸化マグネ
シウムや仮焼マグネシアなどのＭｇＯ源と、水酸化アル
ミニウムや仮焼アルミナなどのＡｌ２Ｏ３源を、所定の
割合になるように配合し、ロータリーキルン等の焼成装
置を用いて、約１８００〜１９００℃の温度で反応・焼
結させてスピネルクリンカーとしたものを、所定のサイ
ズに粉砕・篩分けしたものである。

【０００９】ＭｇＯ／Ａｌ２Ｏ３の重量比は、１／１〜
０．１／１が好ましく、０．４／１〜０．２／１がキャ
スタブル硬化体として耐久性に優れる面から好ましい。

【００１０】特に本発明においては、スピネルの可溶性
成分の量が重要である。本発明における可溶性成分は、
試料２．５ｇと脱イオン水２５ｍｌを混合し、１８０℃
、２時間の条件下で、加圧湿式分解容器により加圧抽出
したものを、原子吸光光度法やイオンクロマト法によっ
て測定したものである。

【００１１】一般に、スピネルの主な可溶性成分として
は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、硫酸根、塩
素、及びカルシウム等があるが、本発明における可溶性
成分とは、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムで
ある。

【００１２】本発明においては、その可溶性成分の合計
量が５００ｐｐｍ以下であり、可使時間確保の面から４
００ｐｐｍ以下が好ましく、そのうち、特に、可溶性成
分中のナトリウムが３００ｐｐｍ以下がより好ましく、
可溶性成分中のナトリウムが２００ｐｐｍ以下がさらに
好ましい。スピネルの可溶性成分が前述の範囲より多い
と、可使時間が不足し、夏場など高温施工時に、ミキサ
ー内やホッパー内で硬化する等のトラブルが発生する傾
向があり、好ましくない。

【００１３】本発明における可溶性成分の少ないスピネ
ルを製造する方法としては、使用原料を厳選し、不純物
、特に、ナトリウム化合物を極力低いものを使用する方
法、焼成時の温度を高くして焼成度を上げる方法、製造
時に水酸化マグネシウムが混入しないように同じ焼成キ
ルンでの併産を避ける方法、及びスピネルクリンカーを
水洗処理する方法等が可能である。

【００１４】本発明では、耐火骨材としてスピネルにア
ルミナを併用することは、取鍋材として使用した際、ス
ラグによる浸食が少なく、耐久性の面で好ましい。

【００１５】ここでアルミナとは、水酸化アルミニウム
や仮焼アルミナなどのＡｌ２Ｏ３源を、ロータリーキル
ン等の焼成装置や電気炉等の溶融装置によって焼結・溶
融したものを、所定のサイズに粉砕・篩分けしたもので
あって、鉱物組成としてはα−Ａｌ２Ｏ３やβ−Ａｌ２
Ｏ３などと示される酸化アルミニウムの形態のものであ
り、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、及び
易焼結アルミナ等と呼ばれるものである。

【００１６】本発明においては、アルミナの可溶性成分
の量も重要である。一般に、アルミナの主な可溶性成分
としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、硫酸
根、塩素、及びカルシウム等があるが、本発明における
アルミナの可溶性成分とは、ナトリウムとカリウムであ
る。本発明においては、アルミナの可溶性成分の合計が
５００ｐｐｍ以下であることが可使時間確保の面から好
ましく、４００ｐｐｍ以下がより好ましく、可溶性成分
中のナトリウムが３００ｐｐｍ以下がさらに好ましく、
可溶性成分中のナトリウムが２５０ｐｐｍ以下が最も好
ましい。可溶性成分が前述範囲より多いと、可使時間が
不足し、夏場など高温施工時にミキサー内やホッパー内
で硬化する等のトラブルが発生する傾向があり好ましく
ない。

【００１７】可溶性成分の少ないアルミナを製造する方
法としては、使用原料を厳選し、不純物、特にナトリウ
ム化合物を極力低くしたり、焼成時の温度を高くして焼
成度を上げる方法や、アルミナを水洗処理する方法など
が可能である。

【００１８】本発明において、スピネルとアルミナの粒
度や配合割合は限定する必要はなく、目的とする施工体
の使用条件に合せ設定すべきものであって、一般には、
スピネル質のものと、スピネルを主体としたスピネル・
アルミナ質のものとがあり、ケースバイケースで使い分
けを行う。

【００１９】本発明のスピネル質キャスタブルとは、ア
ルミナセメントを除く骨材に全てスピネルを用いたもの
であって、一般に出銑温度が高い、例えば、１，６５０
℃以上の高炉で使用されるものである。

【００２０】これに対し、スピネル・アルミナ質キャス
タブルは、アルミナセメントを除く骨材の粗骨材部分に
スピネルを配合し、微粉骨材、例えば、１ｍｍ下微粉に
アルミナを配合したものであって、一般に出銑温度が低
い、例えば、１，６５０℃未満の高炉で使用される。

【００２１】本発明に係るアルミナセメントは、ボーキ
サイト、バイヤーアルミナ、及びアルミ残灰等のＡｌ２
Ｏ３源と、生石灰、石灰石、及び消石灰等のＣａＯ源を
使用して、溶融法及び／又は焼成法によって合成したカ
ルシウムアルミネートクリンカーを粉砕したものであっ
て、それに、さらにα−Ａｌ２Ｏ３を配合したものの使
用が可能である。アルミナセメント中の鉱物組成は、Ｃ
ａＯをＣ、Ａｌ２Ｏ３をＡとすると、Ｃ３Ａ、Ｃ１２Ａ
７、ＣＡ、Ｃ３Ａ５、ＣＡ２、及びＣＡ６等であって、
その他不純物として、２ＣａＯ・Ａｌ２Ｏ３・ＳｉＯ２
やＣａＯ・ＴｉＯ２等を含有していても良い。

【００２２】特に、本発明においてはキャスタブルとし
ての耐久性、耐火性、及び耐スポーリング性等の面から
、Ａｌ２Ｏ３が７０％以上のアルミナセメントが好まし
く、ＣａＯが２０％以下、Ａｌ２Ｏ３が７７％以上、及
びＳｉＯ２が０．１％以下の成分割合のアルミナセメン
トがより好まし。

【００２３】さらに、本発明に係るアルミナセメントは
、ＪＩＳ　Ｒ　２５２１記載の方法によるフロー試験で
、３０℃、混練６０分後のフロー値が２８０ｍｍ以上と
なるものを使用することが好ましく、３００ｍｍ以上と
なるものを使用することが、キャスタブルに配合した際
の施工水量を減少でき、キャスタブルとしての可使時間
や流動性を確保できる面からより好ましい。

【００２４】本発明における耐火骨材とアルミナセメン
トの割合は、目的とする施工体の要求特性によって適宜
決定すべきものであって、特に限定されるものではない
が、通常、取鍋材に使用するスピネル質キャスタブルや
スピネル・アルミナ質キャスタブルでは、耐火骨材７０
〜９５重量部、アルミナセメント３０〜５重量部の割合
が好ましく、後述のアルカリ金属炭酸塩を使用した場合
は、その可使時間延長効果から、耐火骨材８５〜９４重
量部、アルミナセメント１５〜６重量部が最も好ましい
。

【００２５】本発明では、施工性や可使時間を損なわな
い範囲で、耐久性向上のために、マグネシアクリンカー
、スピネルコーティングしたマグネシア、及び粒界にチ
タン酸マグネシウムを含有させたスピネルやペリクレー
ス等を代替又は併用することも可能である。

【００２６】また、必要に応じて、シリカヒュームや超
微粉アルミナなどの無機質超微粉や、キャスタブル硬化
体乾燥時の爆裂防止材として、金属アルミニウム、有機
質繊維、及び乳酸アルミニウム等を配合することも可能
である。

【００２７】前記各材料の混合方法は、特に規定される
ものではなく、常法のキャスタブルの製法にならい、Ｖ
型ブレンダー、コーンブレンダー、ナウタミキサー、パ
ン型ミキサー、及びオムニミキサー等によって混合する
方法が可能である。

【００２８】さらに、本発明では、作業性や可使時間向
上の目的で、可使時間の確保が容易でしかも強度不足や
硬化不良等の併害の少ないアルカリ金属炭酸塩の使用が
好ましい。アルカリ金属炭酸塩としては、Ｋ２ＣＯ３、
Ｎａ２ＣＯ３、ＫＨＣＯ３、及びＮａＨＣＯ３等の試薬
や工業品が挙げられ、そのうちの一種又は二種以上が使
用可能である。アルカリ金属炭酸塩の粒度はキャスタブ
ル注水時に溶解し易い粉末品が好ましい。特に、１００
ｍｅｓｈ以下が好ましく、２００ｍｅｓｈ以下がより好
ましい。また、キャスタブルとしての長期貯蔵の面から
無水品が好ましい。アルカリ金属炭酸塩の可使時間延長
効果は、Ｋ２ＣＯ３＞Ｎａ２ＣＯ３＞ＫＨＣＯ３＞Ｎａ
ＨＣＯ３の順に良好であり、入手しやすさからＮａ２Ｃ
Ｏ３を使用することが最も好ましい。本発明のキャスタ
ブル組成物におけるアルカリ金属炭酸塩の分析は、ＧＣ
−ＭＳ、Ｃ１３ＮＭＲ、ＨＰＬＣ、ＦＴ−ＩＲ、及び放
射化分析法等で測定可能である。

【００２９】

【実施例】以下本発明を実施例にて説明する。

【００３０】実施例１ 耐火骨材の成分であるスピネルやアルミナの品質バラツ
キの中から表１に示すように可溶性成分値の異なるもの
を選び出した。

【００３１】

【表１】

【００３２】このスピネルとアルミナ、さらには、アル
ミナセメントを、表２に示す配合にしたがい、オムニミ
キサーで混合しキャスタブル組成物を製造し、３５℃恒
温室内で、下記方法によってその物性を測定した。結果
を表２に併記する。

【００３３】＜物性の測定＞ １）可溶性成分の分析：加圧湿式分析容器に、試料２．
５ｇと脱イオン水２５ｍｌを入れ、１８０℃、２時間、
加圧抽出した溶液を日本ジャーレルアッシュ社製原子吸
光光度分析装置モデル　ＡＡ８８０により分析し定量し
た。 ２）キャスタブル物性 ■可使時間：モルタルミキサーにて注水後５分間混練し
たキャスタブルを、ナイロン袋内に入れ、触指にて硬化
するまでに要した時間とした。 ■発熱時間：同様に混練したキャスタブルを、少量ポリ
ビーカーに採取し、白金測温抵抗体と打点記録計によっ
て、注水から発熱ピークまでにかかった時間とした。 ■初期フロー：フローテーブルにより１５回タップした
後の広がり径をＪＩＳ　Ｒ２５２１　に準じて測定した
。

【００３４】＜使用材料＞ 耐火骨材α：スピネル、新日本化学社製商品名「ＳＰＬ
−Ｓ」〃　　β：アルミナ、昭和電工社製商品名「ＳＲ
Ｗ」〃　　γ：　　　　〃　　、　　　　　　　　〃　
　　　　　　　「ＲＷ９２」アルミナセメント　　：電
気化学工業社製商品名「ハイアルミナセメントスーパー
２」

【００３５】

【表２】

【００３６】表２に示すように、本発明のキャスタブル
組成物は、スピネル又はスピネルとアルミナの可溶性成
分量を限定することで十分な可使時間を確保できる。

【００３７】実施例２ 表３に示す配合を用いたこと以外は実施例１と同様に行
った。結果を表３に併記する。

【００３８】

【表３】

【００３９】実施例３ 実施例１実験Ｎｏ．１−　３のスピネルとアルミナを多
量の水で水洗後　１００℃で乾燥した。この耐火骨材の
可溶性成分を測定したところ、Ｎａ＋　２９５ｐｐｍ、
Ｋ＋　４．０ｐｐｍ、Ｍｇ＋２．０ｐｐｍ計３０１ｐｐ
ｍであった。実施例１に準じ、水洗した耐火骨材９０重
量％とアルミナセメント１０重量％を配合し、その物性
を測定した結果、初期フロー　１７６ｍｍ、可使時間１
３分、発熱時間８時間２０分と、水洗前の骨材を使用し
た実施例１実験Ｎｏ．１−　２に比べ、著しく良好な物
性が得られた。

【００４０】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明のキャスタブル組成物は不定形キャスタブルの重要な
特性である可使時間を、必要にしてかつ十分確保でき、
流動性を向上できる。このため、キャスタブルの持って
いる耐スポーリング性、耐スラグ性、及び耐久性を損う
ことなく、施工性を大幅に改善でき、ミキサー内やホッ
パー内で発生していた可使時間不足による硬化を防止で
きる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　可溶性成分が５００ｐｐｍ以下である
   スピネルを主成分とする耐火骨材とアルミナセメントを
   配合してなるキャスタブル組成物。
2. 【請求項２】　　可溶性成分中のナトリウムが３００ｐ
   ｐｍ以下であるスピネルを主成分とする耐火骨材とアル
   ミナセメントを配合してなるキャスタブル組成物。