JP6503798B2 - 耐爆裂性キャスタブル - Google Patents

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Description

本発明は、キャスタブルに関し、更に詳細には、耐爆裂性に優れ、かつ流動性に富む耐爆裂性キャスタブルに関するものである。
キャスタブルは、その乾燥工程において水蒸気などのガスによる内部蒸気圧の急上昇により、施工体に亀裂が発生することや爆裂現象が起きることが知られている。爆裂の発生は、超微粉の分散・凝集を利用して低水分化を達成した低水分キャスタブルにおいて顕著な現象である。この解決策として、キャスタブル中に金属アルミニウム粉末を添加することで亀裂発生や爆裂現象を防止する技術が広く知られている。
低セメントキャスタブルへの金属アルミニウム粉末添加による爆裂防止技術は、アルカリ性の水溶液中において金属アルミニウム粉末の水和反応時に発生した水素ガスが施工体の通気性を向上させることで亀裂の発生や爆裂現象を防止するというものである。低セメントキャスタブルは通常アルミナセメントを含有する。混練後にはアルミナセメントから混練水へCa2+イオンなどが溶出し、pHの高いアルカリ性水溶液となる。溶液のpHが高いと、金属アルミニウム粉末は水と反応して水素ガスを発生し、金属アルミニウム表面にはAl(OH)が形成される。更にpHが高くなるとAl(OH)は不安定となってアルミン酸として溶解するため、金属アルミニウム粉末と水との反応が継続し水素ガスが発生し続ける。この水素ガスの発生が爆裂防止に役立つとされている。
キャスタブルの用途の一つである高炉樋用キャスタブルでは、耐用性向上のため緻密な組織となっていることや、施工体形状が長手方向に伸びており乾燥工程における施工体の温度管理が難しいことなどを理由に、他の鉄鋼等の金属溶湯用容器(例えば、取鍋、タンディッシュ、二次精錬用容器等)用キャスタブルに比べて内部蒸気圧による亀裂の発生や爆裂現象が特に多い傾向にある。このように高炉樋用キャスタブルでは、耐爆裂性が重要視とされ、一般のキャスタブルに比べて金属アルミニウム粉末を多く添加することで施工体の通気性を確保し、亀裂の発生や爆裂現象を防止している。
水素ガス発生挙動に関し、施工体の硬化直後に水素ガス発生速度が最大になると、施工体の緻密性を保持したまま通気性を確保することができる。しかしながら、施工体の硬化前に水素ガス発生速度が最大になると、施工体に膨れが生じて施工体の緻密性が失われてしまう。また、水素ガス発生速度が最大となる時間が硬化時間に対し著しく遅延すると、気孔の生成が難しくなり通気性を十分に確保できなくなる。このように施工体の硬化直後に水素ガス発生速度が最大となるのが最適であるが、単に金属アルミニウム粉末をキャスタブルに添加すると、硬化前に水素ガス発生速度が最大になり施工体の緻密性が失われてしまうという問題点があった。それに対し、水素ガスの発生タイミングを遅延させるため、これまでにいくつかの手法が提案されている。
例えば、特許文献1には、予め樹脂を被覆させたアルミニウム粉末をアルミニウムとして0.1〜5重量%、粘土1〜8重量%、及び金属シリコンまたは/及びフェロシリコン1〜5重量%、残部を耐火骨材で構成してなることを特徴とする不定形耐火物が開示されている。特許文献1では、金属アルミニウム粉末を予め樹脂で被覆することで金属アルミニウム粉末の水和反応を抑制しようとするものである。
また、特許文献2には、骨材、結合剤及び金属アルミニウム粉末を含有する熱間施工用高強度キャスタブルにおいて、金属アルミニウム粉末100重量部当たり0.25〜5.0重量部のメチル水素ポリシロキサンを添加することを特徴とする熱間施工用高強度キャスタブルが開示されている。特許文献2では、金属アルミニウム粉末を予めメチル水素ポリシロキサン(シリコンオイル)で被覆することで水素ガスの発生タイミングを遅延させようとするものである。
更に、特許文献3には、耐火性骨材、耐火性超微粉及びアルミナセメントからなる主材の合量100質量%に対して、金属アルミニウム粉末0.01〜3重量%、DE値(還元糖量をブドウ糖量とし,デンプン糖の固形分に対する百分率で示した値)が15〜35のデンプン糖0.002〜0.1重量%及び分散剤0.01〜1重量%を添加したことを特徴とする不定形耐火物が開示されている。特許文献3では、特定のDE値を有するデンプン糖を添加することで,水素ガス発生速度が最大となる時間を遅延させようとするものである。
特開昭55−95681号公報 特開昭60−226461号公報 特開平10−139556号公報
しかしながら、特許文献1に記載の不定形耐火物では、混練時の摩擦や衝撃が強いと樹脂が剥離しやすくなり、水和反応の抑制効果が不十分となってしまうという問題点があった。また、特許文献2に記載の熱間施工用高強度キャスタブルでは、混練時の摩擦や衝撃が強いとシリコンオイルが剥離しやすくなるため水和反応の抑制効果が不十分となってしまい、水素ガスの発生を十分に遅延させることができなくなるという問題点があった。更に、特許文献3に記載されている不定形耐火物では、デンプン糖を配合しているが、デンプン糖の中には粘度を上げるものもあり、混練物の流動性を悪化させてしまうという問題点があった。
このように、キャスタブル施工体の硬化直後に水素ガスの発生速度が最大になるように、水素ガスの発生タイミングを遅延させるようとしても、混練条件によっては十分な遅延効果が得られない,あるいはキャスタブルの流動性や硬化に悪影響を与えるといった多くの弊害を伴っていた。そのため従来技術では,施工に必要な良好な流動性を維持しつつ,爆裂を防止する適切な方法がないのが現状であった。
従って、本発明の目的は、適正な硬化時間、良好な流動性を有し、かつ緻密で、耐爆裂性に優れたキャスタブルを提供することにある。
キャスタブル中の金属アルミニウム粉末と水との反応は、pHに大きく影響される。pH8未満の領域では、この反応はほとんど起こらないが、pH8以上になると、pHの上昇と共に反応性が増していく。キャスタブルにおけるpHの上昇は、アルミナセメントからのセメント鉱物の溶解に起因する。アルミナセメントは、12CaO・7Al(以下、C12と記載する)、CaO・Al(以下、CAと記載する)、CaO・2Al(以下、CAと記載する)、コランダム、非晶質成分など複数のセメント鉱物からなるのが一般的で、アルミナセメントの種類によって鉱物組成やその量比が異なる。 なお、本明細書において、「鉱物組成」は、JIS K 0131「X線回折分析通則」の内標準法に従って定量するものとする。
本発明者らは、セメント鉱物の種類によって溶解速度が異なるため、アルミナセメントの種類によってpHの上昇挙動に違いが生じ、結果として水素ガス発生挙動にも影響を与えるのではないかと考えた。アルミナセメントの種類が水素ガス発生に与える影響を調査した事例はなく、本発明者らは、種々のアルミナセメントを適用した金属アルミニウム粉末含有キャスタブルについて調査した結果、溶解性が高く早期にpHを上昇させるC12と非晶質成分をできるだけ含まない、CAを主成分とするアルミナセメントを用いたキャスタブルにおいて水素ガスの発生タイミングを遅延させる効果があることを見出した。
従って、本発明は、キャスタブルに使用されるアルミナセメントの鉱物組成として、CAを主成分とし、C12及び非晶質成分をできるだけ含まないアルミナセメントを用いることによって、流動性の低下や施工体の硬化時間の遅延といった弊害を生じさせず、金属アルミニウム粉末の反応を抑制して水素ガス発生タイミングを遅延できるという知見に基づくものである。
即ち、本発明は、耐火性原料85〜99.5質量%及びアルミナセメント0.5〜15質量%からなる原料配合物に、金属アルミニウム粉末及び/またはアルミニウム合金粉末を外掛け0.01〜3質量%含有してなるキャスタブルにおいて、アルミナセメントは、その鉱物組成としてのCA含有量が85%以上のものであることを特徴とする耐爆裂性キャスタブルに係るものである。
また、本発明の耐爆裂性キャスタブルは、高炉樋用キャスタブルであることを特徴とする。
本発明によれば、耐火性原料、アルミナセメント、金属アルミニウム粉末及び/またはアルミニウム合金粉末からなるキャスタブルのアルミナセメントとして、その鉱物組成におけるCA含有量が85%以上のものを使用することにより、混練物の流動性低下や施工体の硬化時間の遅延等の弊害を招くことなく、容易に水素ガスの発生タイミングを遅延することができ、耐爆裂性に優れ、緻密な施工体を得ることができるという効果を奏するものである。
本発明の耐爆裂性キャスタブルは、耐火性原料、アルミナセメント、金属アルミニウム粉末及び/またはアルミニウム合金(以下、金属アルミニウム粉末等と記載する)から構成されるキャスタブルであり、アルミナセメントとしてその鉱物組成としてのCA含有量が85%以上のものを使用するところに特徴があり、このようなアルミナセメントを使用することで、爆裂防止のためにキャスタブル中に配合されている金属アルミニウム粉末等からの水素ガスの発生タイミングを適正化することができる。
本発明の耐爆裂性キャスタブルにおいて、耐火性原料の配合量は、85〜99.5質量%、好ましくは90〜99質量%の範囲内である。ここで、耐火性原料の配合量が85質量%未満であると、アルミナセメントの配合量が多くなり過ぎて、施工体の耐食性が低下し、また、混練水のpHの上昇が早く、金属アルミニウム粉末等の水和反応が早期に始まり硬化前に水素ガスが発生するために好ましくない。また、耐火性原料の配合量が99.5質量%を超えると、アルミナセメントの配合量が少なくなりすぎて、施工体に強度を付与できず、また、混練物中のpHが十分上昇せず、金属アルミニウム粉末等の水和反応が進みにくくなることで水素ガス発生が大幅に遅くなり、水素ガス発生をコントロールできなくなるために好ましくない。
本発明の耐爆裂性キャスタブルにおいて、耐火性原料の種類は特に限定されるものではなく、公知、慣用のものを使用することでき、例えば、アルミナ原料、アルミナ−シリカ原料、シリカ原料、粘土原料、スピネル原料、マグネシア原料、ジルコン原料、ジルコニア原料、炭化珪素原料、カーボン原料等の1種または2種以上を使用することができる。
また、耐火性原料の粒度も特に限定されるものではないが、本発明の耐爆裂性キャスタブルに所定の流動性を付与することができる適切な粒度構成とすることが好ましい。例えば、耐火性原料の粒度構成を、1mm以上の粒子35〜65質量%、好ましくは40〜60質量%、0.1mm以上1mm未満の粒子5〜35質量%、好ましくは10〜30質量%、0.1mm未満の粒子15〜45質量%、好ましくは20〜40質量%とすることができる。
また、本発明の耐爆裂性キャスタブルにおいて、アルミナセメントは、その鉱物組成としてCA含有量が85%以上、好ましくは90%以上のものである。CAを主成分とし、反応性の高いC12や非晶質成分の含有量を低減することにより、金属アルミニウム粉末等からの水素ガスの発生タイミングを遅延させることが可能となり、水素ガス発生抑制剤を添加する必要がなくなり、水素ガス発生抑制剤を配合することに付随する上述のような問題点を回避することができる。アルミナセメントのCA含有量が85%未満であると、C12や非晶質成分の含有量が増えることで水素ガスの発生が早まり、水素ガス発生遅延効果が得られないために好ましくない。なお、アルミナセメントのCAを除く他の鉱物組成としては、C12、CA、コランダム、非晶質成分等を含有することができる。
上述のようなアルミナセメントの配合量は0.5〜15質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲内である。アルミナセメントの配合量が0.5質量%未満であると、施工体の強度が不足し、また、混練物中のpHが十分上昇せず、金属アルミニウム粉末等の水和反応が進みにくくなることで水素ガス発生が大幅に遅くなり、水素ガス発生をコントロールできなくなるために好ましくない。アルミナセメントの配合量が15質量%を超えると、施工体の耐食性が低下し、また、混練水のpHの上昇が早く、金属アルミニウム粉末等の水和反応が早期に始まり硬化前に水素ガスが発生するために好ましくない。なお、アルミナセメントの粒度は特に限定されるものではなく、例えば、メディアン粒子径が30μm以下、好ましくは25μm以下のアルミナセメントを使用することができる。
本発明の耐爆裂性キャスタブルにおいては、上記耐火性原料とアルミナセメントからなる原料配合物に対して外掛けで0.01〜3質量%、好ましくは0.03〜1質量%の金属アルミニウム粉末等を配合する。ここで、金属アルミニウム粉末等の配合量が0.01質量%未満であると、発生する水素ガス量が少なく、耐爆裂性が低下するために好ましくない。また、金属アルミニウム粉末等の配合量が、3質量%を越えると、発生する水素ガス量が多く、施工体組織の緻密性が損なわれ耐食性が低下するために好ましくない。
なお、金属アルミニウム粉末等は特に限定されるものではなく、一般にキャスタブルの爆裂防止用として使用されているものなどが使用でき、例えば、アトマイズ法、乾式粉砕法、湿式粉砕法等で製造されたものを使用することができる。また、金属アルミニウム粉末等としては、純アルミニウム粉末、アルミニウム−珪素等のアルミニウム合金粉末を使用することができる。ここで、金属アルミニウム粉末等のアルミニウム純度は95質量%以上、好ましくは98質量%以上である。金属アルミニウム粉末等のアルミニウム含量が95質量%未満であると、不純物の影響を受けて混練水との反応性にばらつきが生じ、耐爆裂性が低下するために好ましくない。
金属アルミニウム粉末等の粒度は、特に限定されるものではなく、例えば、0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下のものを使用することができる。ここで、金属アルミニウム粉末等の粒度が0.3mmより粗いと混練水との反応速度が低下し、耐爆裂性が低下することがある。
なお、本発明の耐爆裂性キャスタブルには、分散剤、硬化時間調整剤、酸化防止剤等のキャスタブルに通常使用されている添加剤を使用することもできる。分散剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属燐酸塩、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属フミン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリカルボン酸ナトリウム塩等のキャスタブルに一般的に使用される物質やこれらと同等の効果が得られる物質を使用することができる。また、その中から複数種の分散剤を使用することもできる。分散剤の配合は、耐火性原料及びアルミナセメントからなる原料配合物に対して外掛けで0.01〜2質量%、好ましくは0.02〜1質量%である。分散剤の配合量が外掛けで0.01質量%未満または2質量%を超えると、分散効果が低下しキャスタブルとしての良好な流動性を得ることができないために好ましくない。
硬化時間調整剤もまた特に限定されるものではなく、例えば、消石灰、塩化カルシウム、アルミン酸ソーダ、炭酸リチウム等の硬化促進剤や、ホウ酸、シュウ酸、クエン酸、グルコン酸、炭酸ソーダ、砂糖等の硬化遅延剤を使用することができる。また、その中から複数種の調整剤を使用することもできる。また、酸化防止剤も特に限定されるものではなく、例えば、金属シリコン、炭化硼素等を使用することができる。
本発明の耐爆裂性キャスタブルは、上記原料を公知、慣用の方法により混合することにより製造することができ、例えば、ナウターミキサー、オムニミキサー、V型ミキサーやその他同等の混合能力を有するミキサーを使用することができる。
また、本発明の耐爆裂性キャスタブルと水との混練方法についても特に限定されるものではなく、例えば、ボルテックスミキサー、モルタルミキサーやその他同等の混合能力を有するミキサーを使用することができる。混練水も特に限定されるものではなく、例えば、家庭用浄水、工業用浄水等を使用することができる。また,シリカゾル,アルミナゾル等のバインダーを含んだ液体を使用することもできる。
更に。本発明の耐爆裂性キャスタブルの施工方法も特に限定されるものではなく、例えば、振動装置を用いた流し込み施工、鏝塗り施工等を使用することができる。
上述のような構成を有する本発明の耐爆裂性キャスタブルは、特に、耐爆裂性が重要とされる高炉樋用キャスタブルへ適用することが好適である。本発明の耐爆裂性キャスタブルを高炉樋用キャスタブルとして使用する場合には、耐火性原料をアルミナ原料、スピネル原料、炭化珪素原料等を主体とすることで、耐高炉スラグ性、耐溶銑性、耐スポーリング性に優れたキャスタブルとなり、高炉の主樋、溶銑樋、スラグ樋、傾注樋、樋カバー等に好適に適用することができる。
この場合、アルミナ原料としては、Al含有量が80質量%以上、好ましくは85質量%以上のものとを使用することで、良好な耐食性を得ることができる。ここで、アルミナ原料としては、例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、仮焼アルミナ、ボーキサイト、バン土頁岩等の1種または2種以上を使用することができる。
また、スピネル原料としては、MgO含有量とAl含有量の合計量が80質量%以上、好ましくは85質量%以上のものを使用することで、良好な耐食性を得ることができる。スピネル原料としては、例えば、MgO−Al系の電融スピネル、焼結スピネル等を使用することができる。なお、スピネル原料の化学組成は理論組成のものに限らず、Al含有量の高いアルミナリッチスピネルやMgO含有量の高いマグネシアリッチスピネルを使用することもできる。なお、複数種のスピネル原料を併用することもできる。
なお、高炉樋用キャスタブルへ適用する場合には、耐火性原料のうち、アルミナ原料とスピネル原料の1種または2種の合計量を5〜95質量%、好ましくは20〜80質量%とすることが良い。これらの合計量が5質量%未満であると、溶銑に対する耐食性が低下するために好ましくない。また、これらの合計量が95質量%を超えると、スラグに対する耐食性が低下するために好ましくない
また、炭化珪素原料としては、SiC含有量が80質量%以上、好ましくは85質量%以上のものを使用することで、良好な耐食性を得ることができる。炭化珪素原料としては、例えばアチソン法等によって製造されたものを使用することができる。耐火性原料のうち、炭化珪素原料の配合量は5〜95質量%、好ましくは20〜80質量%とすることが良い。炭化珪素原料の配合量が5質量%未満であると、スラグに対する耐食性が低下するために好ましくない。また、炭化珪素原料の配合量が95質量%を超えると、溶銑に対する耐食性が低下するために好ましくない。
また、アルミナ原料、スピネル原料及び炭化珪素原料以外のその耐火性原料として、例えば、シリカ原料、粘土原料、マグネシア原料、カーボン原料、金属アルミニウム粉末等を除く金属添加物等の1種または2種以上を配合することもできる。この場合、その他の耐火性原料の配合量は、アルミナ原料、スピネル原料及び炭化珪素原料の合計量に対して外掛けで15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。その他の耐火性原料の配合量が外掛けで15質量%を超えると、耐食性が低下するために好ましくない。
本発明の耐爆裂性キャスタブルを以下の実施例により更に詳細に説明する。
以下の表1に記載する配合にて本発明品の耐爆裂性キャスタブルを、表2に記載する配合にて比較品のキャスタブルを調製した。
Figure 0006503798
Figure 0006503798
表中、
電融アルミナ:Al含有量95質量%品;
電融スピネル:MgO含有量とAl含有量の合計量が92質量%で、理論組成のMgO−Al系電融スピネル;
炭化珪素:SiC含有量97質量%品;
金属アルミニウム粉:アルミニウム含有量99質量%、最大粒径75μm以下品;
縮合燐酸ナトリウム:分散剤;
その他耐火性原料:シリカ超微粉1.5質量%、粘土1.5質量%、粉末ピッチ2質量%。
なお、上記表中、耐火性原料の合計量を100質量%にした際の電融アルミナ、スピネル、炭化珪素原料の粒度毎の配合の詳細と、原料毎の内訳を示し、また、粒度について1mm以上、0.1mm以上1mm未満、0.1mm未満の量についてその内訳を示した;
「水素ガス発生タイミング」の評価は以下に示す方法で行った。混練したキャスタブルを容器に100g図り取り、容器に管付きのゴム栓をし、水上置換法を用い、発生した水素ガスをメスシリンダーで捕集し、捕集した水素ガス量を一定時間毎に記録することで、水素ガス発生速度が最大となる時間を求めた。また、キャスタブルの硬化時間を、アスカーゴム硬度計C2(高分子計器製)を用いて指示値80以上で硬化と判定し求めた。水素ガス発生速度が最大となる時間を、硬化時間を100として規格化(以下、水素ガス発生タイミング指数)し、100よりも大きければ硬化後に水素ガス発生速度が最大となったことを表し、水素ガス発生遅延効果があったと言える。表中の評価欄において、ガス発生タイミング指数が130以上169以下を「◎」、100以上129以下または170以上199以下を「○」、99以下または200以上を「×」とした;
「耐爆裂性の評価」は、電気炉を用いた急加熱試験により行った。混練したキャスタブルを直径80mm×高さ80mmの金枠に鋳込み、室温で24時間養生することによって得られた供試体を一定温度に保持した電気炉内に投入し、20分後に供試体を取り出し、爆裂の有無を確認した。炉内温度を50℃毎に変更し、供試体が爆裂するまでこの操作を反復して行った。爆裂が生じなかった最高炉内温度を爆裂限界温度とし、耐爆裂性の評価指標とした。爆裂限界温度が高いほど、耐爆裂性に優れていることを示す。表中の評価欄において,爆裂限界温度が700℃以上を「◎」、600℃以上650℃以下を「○」、550℃以下を「×」とした;
「耐スラグ侵食性の評価」は、流し込み成形したキャスタブルを供試体とし、回転ドラム法によるスラグ侵食試験により行った。侵食剤として高炉スラグ(CaO/SiO質量比が1.2)を1時間当たり1.2kg使用し、1600℃で4時間行った。高炉スラグは1時間毎に排出して新しい高炉スラグと交換した。加熱方法はアーク加熱である。試験終了後に溶損深さを測定し、比較品1の供試体の溶損深さを100として規格化した。スラグに対する溶損指数(以下、スラグ溶損指数)が小さいほど耐スラグ侵食性に優れていることを示す。表中の評価欄において、スラグ溶損指数が62以下を「◎」、63以上125以下を「○」、126以上146以下を「△」、147以上を「×」とした;
「耐溶銑侵食性の評価」は、流し込み成形したキャスタブルを供試体とし、高周波誘導炉内張り法による溶銑侵食試験により行った。侵食剤として銑鉄を13kg使用し、1600℃で4時間行った。試験終了後に溶損深さを測定し、比較品1の供試体の溶損深さを100として規格化した。溶銑に対する溶損指数(以下、溶銑溶損指数)が小さいほど耐溶銑侵食性に優れていることを示す。溶銑溶損指数が62以下を「◎」、63以上125以下を「○」、126以上146以下を「△」、147以上を「×」とした;
「評価1」は、一般的な用途のキャスタブルについてのもので、評価項目は「ガス発生タイミング」と「耐爆裂性」とした。1つでも「×」があるものについては「不可」とし、「◎」が2個のものについては「良」とし、その他については「可」とした;
「評価2」は、高炉樋用キャスタブルについてのものであり、評価項目は「ガス発生タイミング」、「耐爆裂性」、「耐スラグ侵食性」及び「耐溶銑侵食性」とした。1つでも「×」があるものについては「不可」とし、「◎」が2個以上のものについては「良」とし、その他については「可」とした。
本発明品は、評価1に関して、いずれも「ガス発生タイミング」と「耐爆裂性」において良好な特性を有していた。また、評価2に関して、いずれも「ガス発生タイミング」、「耐爆裂性」、「耐スラグ侵食性」及び「耐溶銑侵食性」において良好な特性を有していた。
これに対して、比較品1及び2は、CA含有量が40質量%と75質量%のアルミナセメントを使用した例であり、従来一般に使用されてきたアルミナセメントであるが、施工体の硬化前に水素ガス発生速度が最大となった。
比較品3は、アルミナセメントの配合量が少ない場合であり、水素ガス発生が大幅に遅延した。
比較品4は、アルミナセメントの配合量が多い場合であり、施工体の硬化前に水素ガス発生速度が最大となり、また耐食性が低下していた。
比較品5は、金属アルミニウム粉末の配合量が少ない場合であり、水素ガスの発生量が少なく耐爆裂性が低下していた。
比較品6は、金属アルミニウム粉末の配合量が多い場合であり、ガス発生のタイミング、耐爆裂性共に良好であった。しかし、水素ガスの発生量が過剰となり、緻密な組織にならず、耐食性が低下していた。
本発明の耐爆裂性キャスタブルは、鉄鋼用の高炉樋内張り耐火物を形成するための高炉樋用キャスタブルとして有効に使用することができる。

Claims (2)

  1. 耐火性原料85〜99.5質量%及びアルミナセメント0.5〜15質量%からなる原料配合物に、金属アルミニウム粉末及び/またはアルミニウム合金粉末を外掛け0.01〜3質量%含有してなるキャスタブルにおいて、アルミナセメントは、その鉱物組成としてのCaO・Al含有量が85%以上のものであることを特徴とする耐爆裂性キャスタブル。
  2. 耐爆裂性キャスタブルは、高炉樋用キャスタブルである、請求項1記載の耐爆裂性キャスタブル。
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