JPH04312404A - 中空体の装飾品およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はイヤリング、ブローチな
どの装飾品において、貴金属細線により形成された中空
体の装飾品およびその製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば球などの中空体の装飾品は薄肉の
ため、嵩の割りには軽量であることなどから、特にイヤ
リングとしての装飾品に好適である。こうした中空体の
装飾品は、一般には、その形状の半分の各片側の部材を
ろう付けなどにより張合わせて製造するか、又は電鋳技
術などにより製造していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そのために、従来ある
中空体の装飾品は、その製造技術の問題から殆どの形状
が、例えば球形状、雫形状、ダイヤモンド形状などの単
純な形状の物しかなかった。また、そうした形状の表面
に加飾加工を施すには、中空体の装飾品の薄肉のために
切削深さなどの制約やその際の中空体の装飾品の保持方
法の問題などから技術的困難差があり、そのほとんどの
物が表面に加飾加工が施されていない。すなわち、従来
の中空体の装飾品はありふれた形状であって、その表面
の貴金属の輝きのみの審美観を購買者にアピールするも
のであった。

【０００４】ところで、貴金属線を織ったり編んだりし
た物の表面は、その独特の輝きを発することにより、時
計バンドやネックレスチェーンなどによく利用されてい
ることはよく知られている。そこで、本発明者らは貴金
属細線を織ったり編んだりして、いろいろな形状の中空
体の装飾品を製造できたら、従来にない斬新で審美観に
富んだ中空体の装飾品を得られるのではと思い、鋭意検
討した。

【０００５】

【課題を解決するための手段】その結果、本発明者らは
低融点合金の型に貴金属細線を織物状または編み物状な
どに巻き付けた後、型のみを溶融して排出してしまえば
、簡単に前述したような貴金属細線により表面を形成し
た中空体の装飾品を得られることを見出した。

【０００６】すなわち本発明は、 １．貴金属細線により外形を形成してなる中空体の装飾
品。 ２．内部に装飾材を内蔵してなる請求項１記載の中空体
の装飾品。 ３．外形の内面の一部またはほぼ全面に貴金属からなる
薄板を装着してなる請求項１または２記載の中空体の装
飾品。 ４．低融点合金で形成した型の表面に、低融点合金が外
部に溶出可能に貴金属細線を巻き付けた後、該型を加熱
溶解し、低融点合金を貴金属細線で形成された空間の外
部へ溶出して、貴金属細線により外形を形成してなる中
空体の装飾品の製造方法。 ５．装飾材を包埋した低融点合金で形成した型の表面に
、低融点合金が外部に溶出可能に貴金属細線を巻き付け
た後、該型を加熱溶解し、低融点合金を貴金属細線で形
成された空間の外部へ溶出して、貴金属細線により外形
を形成し、内部に装飾材を内蔵してなる中空体の装飾品
の製造方法。 ６．低融点合金で形成した型の表面の一部またはほぼ全
面に貴金属層を設け、該型の表面に低融点合金が外部に
溶出可能に貴金属細線を巻き付けた後、該型を加熱溶解
し、低融点合金を貴金属細線で形成された空間の外部へ
溶出して、貴金属細線により外形を形成し、内面の一部
またはほぼ全面に貴金属からなる薄板を装着してなる中
空体の装飾品の製造方法。 ７．装飾材を包埋した低融点合金で形成した型の表面の
一部またはほぼ全面に貴金属層を設け、該型の表面に低
融点合金が外部に溶出可能に貴金属細線を巻き付けた後
、該型を加熱溶解し、低融点合金を貴金属細線で形成さ
れた空間の外部へ溶出して、貴金属細線により外形を形
成し、内面の一部またはほぼ全面に貴金属からなる薄板
を装着し、内部に装飾材を内蔵してなる中空体の装飾品
の製造方法。 である。

【０００７】表面を貴金属細線で形成した中空体の装飾
品は、任意の箇所にチェーンやイヤリングの止め具など
をろう付けして、ネックレス、イヤリング、ペンダント
などとすることができる。

【０００８】本発明における貴金属細線とは、好適なも
のは金、銀、白金およびそれらの合金の単線あるいは縒
り線であるが、他の柔軟性のある貴金属の単線あるいは
縒り線でもよい。貴金属細線の単線としての線径は中空
体の審美観や作業性などの観点から重要な因子であり、
線径が直径０．０１ｍｍより細くなると次第に作業上非
能率的となる。また直径約１．０ｍｍを超えると、細線
の剛性が増し低融点合金の型に巻き難くなる。したがっ
て、好ましい線径はおよそ直径０．０２〜０．７ｍｍの
範囲である。低融点合金の型に巻き付ける貴金属細線は
、前記貴金属細線の１種または２種以上を混ぜて巻き付
けても良い。２種以上巻き付けると、貴金属細線の各種
の色の相違により、色彩的にもより審美観に富んだ中空
体の装飾品を得ることができる。

【０００９】低融点合金の型は、主にＰｂ、Ｓｎ、Ｂｉ
、Ｃｄなどの成分から構成された共晶合金からなる低融
点合金の溶湯を、球状、ダイヤモンドの形状のような多
角面体状、円柱状、円錐状、雫状、その他動物、人物、
植物などの象形物状などの立体形状の鋳型に注入して得
られる。型の稜線を鋸歯状に形成すると、貴金属細線が
巻き付け易くなる。低融点合金は、鋳型としてプラスチ
ックを繰り返し使用でき、かつ鋳型への注入時および中
空体外部への型の加熱溶出時は熱湯程度の温度で良く、
特別に加熱設備を必要とせず容易に作業できる、融点が
約１５０℃以下のものが最適である。低融点合金以外の
融点が低いものとして水溶性樹脂があるが、これを型材
として使用した場合、本発明者の検討したところでは形
状の精度上の問題、リサイクル使用ができないなどの点
から適していないことがわかった。

【００１０】型の中に、後に中空体の骨格材となるもの
を予め埋め込んでおき、型を溶融して貴金属細線により
表面を形成してなる中空体を形成したさいに、前記骨格
材を中空体の一部を構成するようにしてもよい。

【００１１】貴金属細線を型に巻き付けるには、手動あ
るいは機械的に、織物状、編み物状あるいは単に螺旋状
にそれぞれを単独あるいは組合わせて、すなわち型の形
状、線径、デザイン的効果などを考慮して、自由自在に
思うままに型に密着して巻き付ければよい。例えば、型
の一部分は貴金属細線で編まれており、他の部分は貴金
属細線が互いに交差させて織りあげて巻き付けてもよい
。あるいは、球状の場合などは、その表面を放射状に配
設して巻き付けてもよい。しかし、型を加熱溶融した際
に、低融点合金が貴金属細線で形成された中空体の空間
外部へ、貴金属細線間から溶出可能に、あるいは一部貴
金属細線を巻かない箇所を設け、そこから溶出可能にし
て巻き付ける必要がある。

【００１２】型の表面に形成する貴金属層は金、銀、白
金、その他の貴金属およびその合金からなり、それらの
うち１種類または２種類以上の貴金属であり、かつ部分
ごとにそれらの貴金属を用いて別々の層を形成してもよ
い。層の厚さは厚いほうが中空体にした場合の耐変形性
を改善できるという点から、好ましい厚さは約１０μｍ
以上である。また貴金属層は型の全面に設けると、型を
加熱溶融した際に、低融点合金が貴金属細線で形成され
た中空体の空間外部へ溶出不可能となるため、少なくと
も１か所の低融点合金の排出口となる部分を残す必要が
ある。貴金属層の形成にあたっては、めっき技術などに
より形成することができ、前記排出口となる部分は耐め
っき薬品の性質を具備した樹脂をレジスト膜として利用
することにより簡単に形成することができる。また、印
刷技術を利用して前記レジスト膜の所望のパターンに形
成すると、尚一層の審美観に富んだ中空体の装飾品を得
ることができる。

【００１３】中空体の内部に内蔵した装飾材は、主に金
、銀、白金、その他の貴金属およびその合金の小径な塊
の貴金属物品、ダイヤモンド、エメラルド、水晶、オパ
ール、パールなどの通常宝飾品として用いられている貴
石類、あるいは例えばダイヤカット状の天然あるいは人
工の鉱物などのような中空体の内部にあって輝いたり、
それが存在することにより中空体の価値観を高める物品
なら何でも良い。例えば、鈴などの音色や物品同志のぶ
つかり合う音などにより音感的に価値観を高める物品で
も良い。これらの装飾材は予め低融点合金の型中に包埋
しておき、型を加熱溶融し、低融点合金が貴金属細線で
形成された中空体の空間外部へ溶出させることにより中
空体の内部に内蔵することができる。これらの装飾材は
中空体内で固定されていてもあるいは固定されていなく
てもどちらでも良い。

【００１４】本発明における中空体とは、前述したよう
に低融点合金の排出口を有する場合もあり、完全に貴金
属細線で外形が密閉された状態の物のみを言うのではな
く、数カ所に前記排出口となる貴金属細線が巻かれてい
ない部分があっても中空体という。

【００１５】

【作用】貴金属細線が整然と織りなして中空体の外形を
構成しているので、従来では味わえなかった中空体の表
面の複雑な輝きと優美な審美観に富んだ外観を発現した
。さらには、この中空体の装飾品の内部に装飾材を内蔵
したことにより、あるいは／および中空体の装飾品の内
面に貴金属薄板を設けたことにより、尚一層審美観は向
上した。

【００１６】型に低融点合金を用いているので、型を単
に低温度で加熱溶融するのみで、中空体の装飾品を得る
ことができ、温度により貴金属細線、貴金属層および装
飾材に変色、低融点合金のそれらへの付着による汚れを
きたすことがない。

【００１７】

【実施例】実施例１ シリコン２液型ＲＴＶゴムＫＥ１３００（信越化学工業
株式会社製）の鋳型に約１００℃に加熱した低融点合金
（製品名Ｕ−アロイ７０：Ｂｉ−Ｐｂ−Ｓｎ−Ｃｄ合金
、融点約７０℃；大阪アサヒメタル工場株式会社製）の
溶湯を注入し、冷却した後、鋳型より凝固した前記低融
点合金を取り出し、図１に示すような一辺が１０ｍｍの
頂点ＡＢＣＤＥの正六面体で稜線を鋸歯状にした型Ｋを
製造した。次いで直径０．２５ｍｍの１８Ｋ金合金細線
（Ａｕ７５％、Ａｇ２５％）Ｓを図２に示すように、辺
ＡＢ上を始点として辺ＡＤに沿って矢印１方向に巻き、
辺ＤＥに掛けて折り曲げ、辺ＡＤに沿って矢印２方向に
巻く。次いで辺ＡＣに掛けて折り曲げ、辺ＡＢに沿って
矢印３方向に巻く。次いで辺ＢＥに掛けて折り曲げ、辺
ＡＢに沿って矢印４方向に巻く。次いで辺ＡＤに掛けて
折り曲げ、辺ＡＣに沿って矢印５方向に巻く。次いで辺
ＣＥに掛けて折り曲げ、辺ＡＣに沿って矢印６方向に巻
く。以下同様にして、矢印７、８、９、１０、１１、１
２、１３・・・方向に巻きあげていき、型Ｋを１８Ｋ金
合金細線Ｓで、低融点合金が１８Ｋ金合金細線Ｓ間から
溶出可能に、前面を覆うまで密着巻き付けた。その後、
約１００℃の熱湯中に前記型Ｋを浸漬し、前記型Ｋを溶
融して、低融点合金を巻き付けた１８Ｋ金合金細線Ｓ間
を通して排出した。その結果、図３に示されるような、
表面に低融点合金の付着がない、１８Ｋ金合金細線Ｓで
構成された正六面体の籠状の中空体の装飾品Ｔを得た。

【００１８】実施例２ 実施例１と同様にして得た鋳型にダイヤカットした石英
ガラスの小片をいれた後、実施例１と同様にして、一辺
が１０ｍｍの正六面体で稜線を鋸歯状にした、前記石英
ガラスの小片が包埋した低融点合金の型を製造した。次
いで直径０．２５ｍｍの１８Ｋ金合金（Ａｕ７５％、Ａ
ｇ２５％）細線を実施例１と同様にして巻き付けた後、
型を溶融して、低融点合金を巻き付けた１８Ｋ金合金細
線間を通して排出した。その結果、表面に低融点合金の
付着がない１８Ｋ金合金細線で構成された図３と同様な
、正六面体の籠状の内部にダイヤカットした石英ガラス
の小片の装飾材を内蔵した中空体の装飾品を得た。

【００１９】実施例３ 実施例１と同じ樹脂の鋳型に、低融点合金（製品名Ｕ−
アロイ１０２：融点約１０２℃；大阪アサヒメタル工場
株式会社製）の溶湯を注入し、実施例１と同様の図１に
示すような型を製造した。次いで、前記型の２か所の側
面部分にエポキシ樹脂のレジスト膜をコーテングした後
、型の表面に約５０μｍの１８Ｋ合金（Ａｕ７５％、Ｃ
ｕ２０％、Ｃｄ５％）の層のメッキ処理をしてから、実
施例１と同様にして直径０．５ｍｍの白金細線を巻き付
けた後、３０％グリセリン溶液、約１２０℃の熱湯中に
前記型を浸漬し、前記型を溶融して、低融点合金を巻き
付けた白金細線Ｓ間を通して排出した。その結果、図３
と同様な、表面に低融点合金の付着がない、白金細線で
構成され、その内面のほぼ全面に前記１８Ｋ合金の薄板
を装着した正六面体の籠状の中空体の装飾品を得た。

【００２０】実施例４ 実施例１と同じ樹脂の鋳型にダイヤカットしたチタン酸
ストロンチウムの小片を入れた後、低融点合金（製品名
Ｕ−アロイ１０２：融点約１０２℃；大阪アサヒメタル
工場株式会社製）の溶湯を注入し、実施例１と同様にし
て、一辺が１０ｍｍの正六面体で稜線を鋸歯状にした、
前記チタン酸ストロンチウムの小片が包埋した低融点合
金の型を製造した。次いで、型の表面の部分に約５０μ
ｍの１８Ｋ合金（Ａｕ７５％、Ｃｕ２０％、Ｃｄ５％）
の層のメッキ処理をしてから、実施例１と同様にして直
径０．５ｍｍの白金細線を巻き付けた後、３０％グリセ
リン溶液、約１２０℃の熱湯中に前記型を浸漬し、前記
型を溶融して、低融点合金を巻き付けた白金細線Ｓ間を
通して排出した。その結果、図３と同様な正六面体の籠
状の中空体であって、表面に低融点合金の付着がない、
白金細線で構成され、その内面の部分に前記１８Ｋ合金
の薄板を装着し、内部にチタン酸ストロンチウムの小片
の装飾材を内蔵した中空体の装飾品を得た。

【００２１】

【発明の効果】本発明の中空体の装飾品は、貴金属細線
で構成した、さらには内部に貴石、貴金属などの装飾材
および／又は内面に貴金属の薄板を装着した中空体の装
飾品であるので、装身品の表面に特別な加飾加工をする
ことなく成形と同時に装飾品として、従来にない特殊な
輝きを持った審美観に富んだ斬新な外観を有することが
でき、価値感に富んだ装飾品を得ることができた。また
、嵩の割りには従来の技術で得られた中空体の装飾品よ
りもさらに軽量にできるので、イヤリングとして使用し
てもさほど耳たぶに負担をかけないですむという利点が
ある。

【００２２】低融点合金の型に貴金属細線を巻き付けて
中空体の装飾品を製造するので、どんな形状の中空体の
装飾品でも簡単に製造でき、また型を溶融した際に、簡
単に低融点合金を回収でき、その低融点合金を再度利用
できるので原価的にも有利である。

【００２３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の型の図である。

【図２】１８Ｋ合金細線の型への巻き付け方を示す図で
ある。

【図３】実施例の中空体の装飾品の平面の状態を示す概
略図である。

【符号の説明】

Ａ　　正六面体の頂点 Ｂ　　正六面体の頂点 Ｃ　　正六面体の頂点 Ｄ　　正六面体の頂点 Ｅ　　正六面体の頂点 Ｋ　　型 Ｓ　　１８Ｋ合金細線 Ｔ　　中空体の装飾品 １〜１３　　１８Ｋ合金細線の型への巻き付け方を示す
矢印の順番

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　貴金属細線により外形を形成してなる
   中空体の装飾品。
2. 【請求項２】　　内部に装飾材を内蔵してなる請求項１
   記載の中空体の装飾品。
3. 【請求項３】　　外形の内面の一部またはほぼ全面に貴
   金属からなる薄板を装着してなる請求項１または２記載
   の中空体の装飾品。
4. 【請求項４】　　低融点合金で形成した型の表面に、低
   融点合金が外部に溶出可能に貴金属細線を巻き付けた後
   、該型を加熱溶解し、低融点合金を貴金属細線で形成さ
   れた空間の外部へ溶出して、貴金属細線により外形を形
   成してなる中空体の装飾品の製造方法。
5. 【請求項５】　　装飾材を包埋した低融点合金で形成し
   た型の表面に、低融点合金が外部に溶出可能に貴金属細
   線を巻き付けた後、該型を加熱溶解し、低融点合金を貴
   金属細線で形成された空間の外部へ溶出して、貴金属細
   線により外形を形成し、内部に装飾材を内蔵してなる中
   空体の装飾品の製造方法。
6. 【請求項６】　　低融点合金で形成した型の表面の一部
   またはほぼ全面に貴金属層を設け、該型の表面に低融点
   合金が外部に溶出可能に貴金属細線を巻き付けた後、該
   型を加熱溶解し、低融点合金を貴金属細線で形成された
   空間の外部へ溶出して、貴金属細線により外形を形成し
   、内面の一部またはほぼ全面に貴金属からなる薄板を装
   着してなる中空体の装飾品の製造方法。
7. 【請求項７】　　装飾材を包埋した低融点合金で形成し
   た型の表面の一部またはほぼ全面に貴金属層を設け、該
   型の表面に低融点合金が外部に溶出可能に貴金属細線を
   巻き付けた後、該型を加熱溶解し、低融点合金を貴金属
   細線で形成された空間の外部へ溶出して、貴金属細線に
   より外形を形成し、内面の一部またはほぼ全面に貴金属
   からなる薄板を装着し、内部に装飾材を内蔵してなる中
   空体の装飾品の製造方法。