JPH04300633A - 炭素13のレーザー濃縮法 - Google Patents

炭素13のレーザー濃縮法

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JPH04300633A
JPH04300633A JP8955391A JP8955391A JPH04300633A JP H04300633 A JPH04300633 A JP H04300633A JP 8955391 A JP8955391 A JP 8955391A JP 8955391 A JP8955391 A JP 8955391A JP H04300633 A JPH04300633 A JP H04300633A
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carbon
laser
concentration
compound
ethane
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JP8955391A
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English (en)
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Shigeyoshi Arai
重義 荒井
Yoichi Ishikawa
洋一 石川
Toshio Suzuki
敏夫 鈴木
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Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、炭素13のレ−ザ−濃
縮法に関するものであり、更に詳しくは、主としてエタ
ン系のフロン化合物を含む系にレ−ザ−光を照射し、そ
の際に起こる赤外多光分解を利用した炭素13のレ−ザ
−濃縮法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】天然の炭素は、98.9%の炭素12と
1.1%の炭素13の二種類の安定同位体より構成され
ている。このうち濃縮された炭素13は、自然科学の分
野では古くからトレ−サ−として盛んに利用され、様々
な研究に多大な貢献を果たしてきた。このような利用に
加え、近年、炭素13が核スピンを持つことにより、そ
の核磁気共鳴吸収が生体内部の研究に利用され始め、特
に無侵襲検査法への応用は、医学の分野での非常に優れ
た疾患の診断法として大きな注目を集めている。このよ
うな状況から、炭素13に対する需要は、近い将来飛躍
的に拡大するものと予想されており、その効率的かつ経
済的な供給が望まれている。 【0003】現在、上記炭素13は、主として一酸化炭
素(CO)の低温蒸留によって濃縮されている。即ち、
炭素12を含む一酸化炭素(12CO)と炭素13を含
む一酸化炭素(13CO)の沸点にはわずかな違いがあ
り、先に留出する成分には炭素12が天然の組成比より
も多少多く含まれる。そこで天然のCOの蒸留を数多く
繰り返すことにより、炭素13を濃縮することが可能と
なる。 【0004】しかし、この方法では、蒸留一段あたりの
分離係数が非常に小さいので、高濃縮を達成するには、
数百メ−トルにも及ぶ大きな蒸留塔を用いて、膨大な段
数の蒸留を繰り返す必要があり、又、蒸留が平衡状態に
達し、分離が定常的に進行するまでに月単位の時間を要
する。従って、このような事情から、常に所定規模での
炭素13の分離を継続して行なっていなければならず、
需要ならびに販売実績に応じて生産量を加減することは
できない。 【0005】又、上記一酸化炭素の低温蒸留法以外には
、炭酸ガスと重炭酸イオン、或いは、炭酸ガスとカルバ
ミン酸との間の化学交換法等も提案されているが、装置
が大きくなり、しかも濃縮に時間がかかるという欠点は
、一酸化炭素の低温蒸留法と変わらない。これに対して
レ−ザ−による濃縮法は、格段に小さな装置で済み、分
離の規模も伸縮自在と考えられ、この点からもその開発
が待ち望まれている。 【0006】実際にも、レ−ザ−による炭素13の濃縮
は、例えばCHClF2で表されるフロン化合物につい
て研究されており、この化合物に関する研究の結果、下
記式のような反応が起こり、条件を適切に選ぶと、炭素
13がC2F4中に濃縮される。そして、濃縮される化
合物であるC2F4の中の炭素13の濃度(%)、即ち
、100X(C2F4中の炭素13の原子数)/(C2
F4中の炭素12と炭素13の原子数の和)は96%に
も達することが判明した。 CHClF2+nhν→CF2+HCl2CF2→C2
F4       【0007】しかしながら、光の吸収量と
C2F4の生成量を定量的に調べると、96%に高濃縮
する場合は、50%程度の濃縮にとどめた場合に比べて
、エネルギ−効率が45倍も悪化することが判明した。 このように一回のレ−ザ−照射によって炭素13を90
%以上に高濃縮することは、エネルギ−効率の極端な低
下を招き、COの低温蒸留のような在来の濃縮法を経済
的に凌駕することは困難であるため、現在は、レ−ザ−
法と従来法を併用するか、二段階にわたるレ−ザ−法に
よる濃縮が検討されている。 【0008】即ち、天然に存在する化合物から出発し、
まず、レ−ザ−法で炭素13を、得られる化合物中に3
0〜50%程度に濃縮し、続いてこの化合物に化学的な
処理を施し、再びレ−ザ−法で炭素13を90%以上に
高濃縮するか、ある程度炭素13が濃縮された化合物を
燃焼させることによりCO2に変換し、化学交換法で更
に高濃縮するという方法であり、これらの方法によれば
、炭素13が30%程度に濃縮されていれば、その後の
濃縮を在来法に切り替えても、天然濃縮のものから出発
する場合と比べ、装置の規模も必要時間数も数十分の一
で済むと考えられている。又、二段階目の濃縮にレ−ザ
−法を採用して、90%以上に濃縮することも、エネル
ギ−効率の上から極めて有利とされている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上記二段階にわたる濃
縮法に関しては、すでに、天然のメタン系化合物である
CHClF2にBr2を加え、適切な条件のもとでレ−
ザ−光を照射し、CHClF2の赤外多光子分解を誘起
することにより、炭素13が30〜40%前後に濃縮さ
れたCBr2F2を生成させ、生成したCBr2F2を
単離した後、そのまま、或いは酸素を加え、適切な条件
のもとでレ−ザ−光を照射し、炭素13を濃縮する方法
が、本発明の発明者らにより提案されている(特開平0
1−189338号公報参照)。 【0010】而して、レ−ザ−法と従来法の組み合わせ
た方法、或いは、二段階にわたるレ−ザ−法のどちらを
採用する場合も、その第一段階の赤外多光子分解は、必
ずしも選択性が高い必要はなく、むしろ生成物の収量が
大きいこと、更には、生成物が次の段階の濃縮に都合の
よい化合物であることが望ましいのであるが、上記従来
の二段階法で使用されているメタン系化合物であるCH
ClF2は、赤外多光子分解において高い選択性を示す
ものの、この化合物は、必ずしも分解し易い化合物とい
うわけではない。 【0011】本発明は、上記のような従来技術の難点に
鑑み、生成物の収量が大きく、しかも、次の段階の濃縮
に都合のよい生成物を生じる化合物を使用する、赤外多
光分解を用いた炭素13のレ−ザ−濃縮法を提供するこ
とを目的としてなされた。 【0012】上記目的を達成するため、本発明は、エタ
ン系フロン化合物と酸素を含む混合系にレ−ザ−光を照
射し、生成する酸化物中に炭素13を濃縮することを特
徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮法、及び、エタン系フ
ロン化合物と酸素を含む混合系にレ−ザ−光を照射し、
生成する酸化物中に炭素13を濃縮した後、該酸化物を
更に適宜の濃縮手段に付し、炭素13を更に濃縮するこ
とを特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮法を提供する。 【0013】又、上記目的を達成するため、本発明は、
少なくとも1つの塩素原子又は臭素原子を含むエタン系
フロン化合物と、酸素、ハロゲン及びハロゲン化水素か
ら選ばれる一種以上の気体を含む混合系にレ−ザ−光を
照射し、生成する化合物中に炭素13を濃縮することを
特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮法、及び、少なくと
も1つの塩素原子又は臭素原子を含むエタン系フロン化
合物と酸素、ハロゲン及びハロゲン化水素から選ばれる
一種以上の気体を含む混合系にレ−ザ−光を照射し、生
成する化合物中に炭素13を濃縮した後、該化合物を更
に適宜の濃縮手段に付し、炭素13を更に濃縮すること
を特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮法を提供する。 【0014】更に、上記目的を達成するため、本発明は
、メタン系或いはエタン系フロン化合物に対しレ−ザ−
光を照射することによって生成する炭素13が濃縮され
たオレフィン系化合物に、ハロゲンを付加せしめ、その
ハロゲン化物の赤外多光子分解により、更に炭素13の
濃縮を行なうことを特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮
法を提供する。 【0015】尚、上記第二段目の濃縮手段は、化学交換
法、蒸留法又は赤外多光子分解法或いはそれらの組み合
わせとすることができ、更に、濃縮手段が化学交換法で
ある場合は、必要に応じ適宜の化学処理を加えた後に濃
縮することができる。 【0016】このように、本発明の発明者らは、生成物
の収量が大きく、しかも、次の段階の濃縮に都合のよい
生成物を生じる化合物として、まず、エタン系のフロン
化合物に注目した。即ち、このエタン系のフロン化合物
は、分子内に炭素原子を二個含む化合物で、両原子とも
炭素13から構成される分子は、天然に0.0121%
しか存在しないので、この分子の同位体選択的な赤外多
光子分解で炭素13を濃縮するには、膨大な原料を要す
ることになり実際的ではない。一方、炭素12と13を
1個づつ含む分子は、天然に2.2%存在するが、この
分子の選択的分解では、両炭素から同じ生成物ができる
場合、生成物中に炭素12と炭素13が1:1の割合で
共存することになり、メタン系のフロン化合物の場合の
ような高濃縮は期待し得ない。これが炭素13の濃縮に
おいて、エタン系のフロン化合物が真剣に取り上げられ
なかった理由である。 【0017】しかしながら、高濃縮は二段階にわたって
達成するものとし、第一段階では炭素13を30%前後
に濃縮すれば十分とすれば、事情は別であり、エタン系
化合物の中には適当な化合物がありうる。又、炭素12
と炭素13が、それぞれに結合している原子との関係で
、異なる生成物を与えることもあり、例えばCF3CH
3に酸素を加えた系の赤外多光子分解で、選択的に励起
される分子は13C−F結合を持った分子であり、CF
3側から生成する生成物CF2O中には13Cが50%
を越えて高濃縮される可能性がある。 【0018】更に、メタン系化合物とエタン系化合物を
比較すると、後者では基準振動の数が多く、又各基準振
動がそれぞれの振動準位を持つので、振動準位が非常に
密に存在することとなる。従って、分子が次々とレ−ザ
−光を吸収する際に、準位密度が高ければ、光のエネル
ギ−に一致した付近に適当な準位が存在する可能性が高
く、多光子吸収が起こりやすいと考えられる。従って多
光子分解も起こりやすく、エタン系化合物の赤外多光子
分解の収量は大きいと予想され、このような観点から、
本発明の発明者らは、エタン系フロン化合物の赤外多光
子分解に基づく炭素13の分離について鋭意研究し、更
に関連技術の開発に成功して、本発明を完成するに至っ
た。 【0019】以下に本発明を詳細に説明する。 【0020】本発明で使用するエタン系フロン化合物は
C2FaHbXcYdで表される。aは1から5までの
数(従って、本発明で使用するエタン系化合物にはC2
F6は含まれない。)のいずれかであり、bは0から最
大5までの数のいずれかである。Xはフッ素以外のハロ
ゲン原子を、又、Yはフッ素ならびにX以外のハロゲン
原子である。c及びdは0から5までの数のどれかであ
り、全体としてa+b+c+d=6である。 【0021】本発明では、上記のようなエタン系フロン
化合物に、酸素を加えた混合系にレ−ザ−を照射し、そ
の系における赤外多光子分解を利用し、生成する酸化物
中に炭素13を濃縮する。 【0022】尚、赤外多光子分解とは、赤外領域に吸収
を持つ気体化合物に、その吸収と合致する波長領域の高
出力赤外レ−ザ−のパルス光を照射すると、個々の分子
が数十個にも及ぶ光子を逐次吸収し、分解する現象であ
る。赤外領域の吸収は、分子内部の核の振動に関係して
おり、核の質量の差が吸収の位置に反映する。例えばフ
ロン化合物では、C−F結合の伸縮振動による非常に鋭
い吸収が1100cm−1付近にあり、12C−Fと1
3C−Fの間でその吸収が25cm−1程度ずれている
。そこで13C−Fの結合を含む分子が強く吸収する適
切な波長のレ−ザ−の発振線を用い、炭素13を持つ分
子を選択的に励起して分解を起こさせ、分解生成物中に
炭素13を濃縮することができる。これがCO2レ−ザ
−を利用した赤外多光子分解に基づく炭素13の濃縮の
原理である。 【0023】分子に多光子を吸収させるには、通常レ−
ザ−光の強度を単位面積あたり数ジュ−ル(このような
単位面積当たりのレ−ザ−光の強度をフルエンスと呼ぶ
)以上に高める必要がある。そのためには、レ−ザ−光
を赤外レンズで小さな面積に焦光し、焦点近傍において
フルエンスを赤外多光子分解を引き起こすに十分な程に
高める方法を用いる。 【0024】赤外レ−ザ−で最も開発の進んでいるもの
はCO2レ−ザ−であり、赤外多光子分解を利用した同
位体分離においても、通常はこのレ−ザ−を使用する。 尚、このレ−ザ−は900〜1100cm−1の波数範
囲の光を発振する。 【0025】従って、上記の式で表されるフロン化合物
に、適切な波長のCO2レ−ザ−パルス光を、適切なフ
ルエンスで照射すると、光は分子内のC−F結合の伸縮
振動を励起する。そして多光子吸収の結果、分子の内部
エネルギ−が分解に必要なエネルギ−値を越えると、赤
外多光子分解が観測され始めるのである。 【0026】一方、少なくとも1つの塩素原子又は臭素
原子を含むエタン系フロン化合物を使用する場合は、こ
の化合物と、酸素、ハロゲン及びハロゲン化水素から選
択される1種以上の気体を含む混合系にレ−ザ−光を照
射すればよく、これにより、やはり生成する化合物中に
炭素13を濃縮することができる。尚、ハロゲンを使用
する場合は、臭素が好ましく、ハロゲン化水素を使用す
る場合は、ヨウ化水素が好ましい。 【0027】又、メタン系或いはエタン系フロン化合物
に対しレ−ザ−光を照射することにより炭素13が濃縮
されたオレフィン系化合物が生成するが、このような場
合は、生成したオレフィン化合物に対しハロゲンを付加
せしめ、そのハロゲン化物の赤外多光子分解により、更
に炭素13の濃縮を行なえばよい。 【0028】尚、メタン系フロン化合物の中で、CHC
lF2は低いフルエンスで同位体選択的な赤外多光子分
解を起こすことで注目を集めているが、この分子の同位
体選択的な分解には、3J/cm−2或いはそれ以上の
フルエンスが必要とされている。一方、エタン系フロン
化合物を検討してみると、分子により分解のしやすさは
異なるが、例えばCBrF2CBrF2は後述するよう
にわずか2J/cm−2でも分解を開始する。赤外多光
子分解における収率がフルエンスの3乗或いは4乗とい
う高次の冪に比例することを考慮すると、この差は非常
に大きいといえる。 【0029】而して、本発明における反応は、以下のよ
うな態様に大別することができる。 【0030】(1)  C2FaHbXcYd+nhν
→C2FaHbXcY(d−1)+Y 特にYがBr又はIの場合に、この型が多い。C2Fa
HbXcY(d−1)は不対電子を持ったラジカルであ
り、酸素が共存すると、細い反応機構は不明ながらCF
2Oで代表されるハロゲン化カルボニルを生じ、これは
水蒸気に接すると加水分解してCO2に変化する。CO
2は、そのままHCO3−又はカルバミン酸との化学交
換法による第二段階の炭素13の濃縮に利用できる。又
、CF2Oに水素ガスを添加して紫外光を照射すると、
フッ素が脱離してCOを生成し、このCOもそのまま低
温蒸留による炭素13の濃縮に利用することが可能であ
る。 【0031】C2FaHbXcY(d−1)は、例えば
ヨウ素I2、或いはヨウ化水素HIが共存すると、脱離
したYの代わりにI又はHが入ったエタン系フレオン化
合物が生成する。I2の代わりにCl2或いはBr2が
共存すれば、Cl又はBrが入る。この際、新しく生成
した化合物は、そのまま赤外多光子分解による炭素13
の濃縮の原料とすることができる。 【0032】(2)エタン系のフロン化合物の赤外多光
子分解では、C−C結合が切断されて2個のメチルラジ
カルを生ずる場合がある。このメチルラジカルは、酸素
が共存すればハロゲン化カルボニルに、又、ヨウ化水素
又はハロゲン分子が存在すると、水素或いはハロゲン置
換されたメタン系フロン化合物に変化し、レ−ザ−法に
よる第二段階の炭素13の濃縮に直接利用することがで
きる。 【0033】(3)分子的脱離 水素とフッ素、或いは水素と塩素を含むエタン系フロン
化合物では、フッ化水素又は塩化水素などが分子的に脱
離して、後に不飽和二重結合を持ったエチレン系の分子
が生ずることがある。この場合はO2が共存しても直接
的な影響は現われ難いが、ハロゲン分子が存在すると、
それが不飽和結合に付加して、分子内に更にハロゲン原
子を多く持つエタン系の分子を生成する。このような分
子は、しばしば赤外多光子分解に基づく炭素13の濃縮
の作業物質ともなる。 【0034】尚、本発明では、レ−ザ−法だけによる高
濃縮も、無論可能である。例えば、先に述べた用にCH
ClF2の赤外多光子分解では、炭素13が濃縮された
C2F4が生成する。炭素13の濃度を30〜40%に
押さえると、この過程の収率はかなり高い。そこで生成
したC2F4にBr2を作用させて、C2Br2F4に
変換し、このジブロモテトラルフルオロエタンの赤外多
光子分解で炭素13を高濃縮することもできるのである
。又、C2Br2F4とBr2の混合気体にCO2レ−
ザ−のパルス光を照射して、炭素13が濃縮されたCB
r2F2を製造し、そのCBr2F2を単離して、再び
同位体選択的な赤外多光子分解で炭素13を高濃縮する
ことも容易である。 【0035】以上のように、本発明は炭素13の高濃縮
において、様々な方法を可能にするもので、発明の意義
は極めて大きい。 【0036】以下に本発明を実施例により説明する。 【0037】 【実施例1】天然の同位体組成比の2torrのC2F
5Clに、5torrのBr2を加えた混合系に、CO
2TEA(Transversely Excited
 Atomospheric)レ−ザ−の929.02
cm−1の発振線に該当するパルス光を2000回照射
した。フルエンスは10Jcm−2前後である。照射後
のガスクロマトグラフによる分析ではCF3Br、CF
2BrCl、C2F5Brなどの生成を確認した。従っ
て赤外多光子分解の初期過程は、 と考えられる。各ラジカルとBr2との反応によって、
これら生成物の生成を説明することができる。各生成物
中の炭素13の濃度は約14%前後であり、この段階で
も濃縮が起こっているが、いずれの生成物も赤外多光子
分解で更に炭素13を濃縮することができる。ここでい
う炭素13の濃度とは、生成物中の炭素12及び炭素1
3の中で、炭素13が占める百分率である。以上は本発
明の態様の項で述べた(1)及び(2)の場合に対応す
る。 【0038】而して、本発明方法による炭素13の濃縮
は、図1に示すような装置を用いて行なった(以下の実
施例も同様)。即ち、赤外線を透過するKBrの窓を取
付けた反応管1に試料気体を採取して、炭酸ガスレーザ
ー装置2からのレーザー光を、赤外レンズ3で適宜に集
光して、反応管1に照射するのである。尚、図1中、4
はアイリス、5はガスハンドリングシステム、6はパワ
ーメーターを表している。 【0039】上記のようにレーザー光を照射する際には
、レーザーの波数、フルエンス、添加気体の種類、各気
体の圧力等に十分注意を払わなければならない。そして
、照射後、照射試料中の各生成物をガスクロマトグラフ
7で分離して生成量を測定し、更に炭素の同位体の組成
を質量分析機器8で分析した。 【0040】 【実施例2】天然の同位体組成比の5TorrのCF3
CHBrClにCO2TEAレ−ザ−の1082.30
cm−1の発振線に該当するパルス光を500回照射し
た。フルエンスは3Jcm−2程度である。照射後のガ
スクロマトグラフによる分析では、C2F3Hの生成を
確認した。質量分析器による分析の結果、炭素13の濃
度は25%に達することが判明した。照射試料に5To
rrのBr2を加えて放置後、ガスクロマトグラフで分
析したところ、臭素の付加したCHBrFCBrF2の
生成が認められた。この生成物は赤外多光子分解で更に
炭素13を濃縮することが可能である。以上は本発明の
態様の項で述べた(3)の場合に対応する。 【0041】 【実施例3】天然の炭素の同位体組成比の10Torr
のC2Br2F4に、5TorrのBr2を加えた混合
系に、CO2TEAレ−ザ−の1077.30cm−1
の発振線に該当するパルス光を2000回照射した。レ
−ザ−のフルエンスは2.2Jcm−2とした。照射後
の赤外吸収スペクトルには、CBr2F2による吸収が
認められ、CBr2F2が生成していることを示してい
る。更にガスクロマトグラフによる分析結果からもCB
r2F2の生成が確認された。質量分析器による分析で
は、CBr2F2のフラグメントイオンである 【化1】 の各イオンの強度の解析から、CBr2F2中の炭素1
3の濃度は23%であることが判明した。ここでいう炭
素13の濃度とは(CBr2F2中の13Cの数)/(
CBr2F2中の12Cと13Cの数の合計)×100
で定義される。これは本発明の態様の項で述べた(2)
の場合に対応し、生成したメタン系フレオン化合物中に
炭素13が濃縮されていることを示す。尚、CBr2F
2は赤外多光子分解で炭素13を高濃縮することが可能
な化合物である。 【0042】 【実施例4】天然の炭素の同位体組成比の10Torr
のC2Br2F4に、5TorrのO2を加えた混合系
に、CO2TEAレ−ザ−の1071.88cm−1の
発振線に該当するパルス光を600回照射した。レ−ザ
−のフルエンスは2.2Jcm−2とした。照射後の試
料に水を加え、発生したCO2の中の炭素13の濃度を
測定した結果、その値は21%であった。これは本発明
の態様の項で述べた(2)の場合に対応し、初期生成物
であるハロゲン化カルボニルの加水分解により最終的に
CO2が生成し、この中に炭素13が濃縮されているこ
とを示す。無論このCO2は化学交換法などにより、更
に炭素13の濃度を高めることができる。 【0043】 【実施例5】天然の炭素の同位体組成比のC2Br2F
4にBr2を加えた混合系を対象に、実施例3で述べた
照射条件のもとで、大型のCO2TEAレ−ザ−と大型
反応装置を使用して、炭素13が20%濃縮されたCB
r2F2を大量に製造した。この際CBr2F2はガス
クロマトグラフ法により単離した。次にこのCBr2F
2を4Torr採取し、2TorrのO2を加え、CO
2レ−ザ−の1039.37cm−1の発振線に該当す
るパルス光を2Jcm−2のフルエンスで照射した。パ
ルスの回数は200回である。照射後の試料に水を加え
、発生したCO2の中の炭素13の濃度を測定した結果
、その値は90%であった。これは本発明の態様の項で
述べた炭素13の高濃縮に対応する。 【0044】 【実施例6】天然炭素の同位体組成比の50Torrの
CHClF2に、CO2TEAレ−ザ−の1045.0
2cm−1の発振線に該当するパルス光を照射し、炭素
13が30%にまで濃縮されているC2F4を製造した
。この際長さ3mの大型の反応管を用い、レ−ザ−光は
赤外レンズで焦光して照射した。フルエンスは焦点付近
で8Jcm−2であった。ガスクロマトグラフを用いて
C2F4を分離し、これにBr2の気体を加えたところ
、C2Br2F4が発生した。このようにして生産され
た炭素13を30%程度含むC2Br2F45Torr
に、5TorrのO2を加え、CO2レ−ザ−の107
7.30cm−1の発振線に該当するパルス光を照射し
た。フルエンスは2.2Jcm−2である。1000パ
ルス照射した後、試料に水を加え生成したCO2の中の
炭素13の濃度を測定したところ52%の値を得た。こ
れは本発明の態様の項で述べた炭素13の高濃縮に対応
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明で使用する装置の構成図である。
【符号の説明】
1  反応管 2  炭酸ガスレーザー装置 3  赤外レンズ 4  アイリス 5  ガスハンドリングシステム 6  パワーメーター 7  ガスクロマトグラフ 8  質量分析器

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  エタン系フロン化合物と酸素を含む混
    合系にレ−ザ−光を照射し、生成する酸化物中に炭素1
    3を濃縮することを特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮
    法。
  2. 【請求項2】  エタン系フロン化合物と酸素を含む混
    合系にレ−ザ−光を照射し、生成する酸化物中に炭素1
    3を濃縮した後、該酸化物を更に適宜の濃縮手段に付し
    、炭素13を更に濃縮することを特徴とする炭素13の
    レ−ザ−濃縮法。
  3. 【請求項3】  上記濃縮手段は、化学交換法、蒸留法
    又はレ−ザ−濃縮法或いはそれらの組み合わせである請
    求項2に記載の炭素13のレ−ザ−濃縮法。
  4. 【請求項4】  上記濃縮手段が化学交換法である場合
    は、必要に応じ適宜の化学処理を加えた後に濃縮する請
    求項2又は3に記載の炭素13のレ−ザ−濃縮法。
  5. 【請求項5】  少なくとも1つの塩素原子又は臭素原
    子を含むエタン系フロン化合物と、酸素、ハロゲン及び
    ハロゲン化水素から選ばれる一種以上の気体を含む混合
    系にレ−ザ−光を照射し、生成する化合物中に炭素13
    を濃縮することを特徴とする炭素13のレ−ザ−濃縮法
  6. 【請求項6】  少なくとも1つの塩素原子又は臭素原
    子を含むエタン系フロン化合物と、酸素、ハロゲン及び
    ハロゲン化水素から選ばれる一種以上の気体を含む混合
    系にレ−ザ−光を照射し、生成する化合物中に炭素13
    を濃縮した後、該化合物を更に適宜の濃縮手段に付し、
    炭素13を更に濃縮することを特徴とする炭素13のレ
    −ザ−濃縮法。
  7. 【請求項7】  上記濃縮手段は、化学交換法、蒸留法
    又はレ−ザ−濃縮法或いはそれらの組み合わせである請
    求項6に記載の炭素13のレ−ザ−濃縮法。
  8. 【請求項8】  上記濃縮手段が化学交換法である場合
    は、必要に応じ適宜の化学処理を加えた後に濃縮する請
    求項6又は7に記載の炭素13のレ−ザ−濃縮法。
  9. 【請求項9】  ハロゲンが臭素である請求項5又は6
    に記載の炭素13のレ−ザ−濃縮法。
  10. 【請求項10】  ハロゲン化水素がヨウ化水素である
    請求項5又は6のいずれかに記載の炭素13のレ−ザ−
    濃縮法。
  11. 【請求項11】  メタン系或いはエタン系フロン化合
    物に対しレ−ザ−光を照射することによって生成する炭
    素13が濃縮されたオレフィン系化合物に、ハロゲンを
    付加せしめ、そのハロゲン化物の赤外多光子分解により
    、更に炭素13の濃縮を行なうことを特徴とする炭素1
    3のレ−ザ−濃縮法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006103870A1 (ja) * 2005-03-28 2006-10-05 Taiyo Nippon Sanso Corporation 酸素同位体の濃縮方法及び濃縮装置
US7893377B2 (en) 2003-03-04 2011-02-22 Taiyo Nippon Sanso Corporation Method for concentrating oxygen isotope

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