JPH0429409B2 - - Google Patents

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JPH0429409B2
JPH0429409B2 JP60112129A JP11212985A JPH0429409B2 JP H0429409 B2 JPH0429409 B2 JP H0429409B2 JP 60112129 A JP60112129 A JP 60112129A JP 11212985 A JP11212985 A JP 11212985A JP H0429409 B2 JPH0429409 B2 JP H0429409B2
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は血液より血球成分と血漿成分とを分離
する血漿分離器に関するものであり、更に詳しく
は複合多孔質膜を内蔵し、血液溶出性成分を含ま
ず、かつ内部に水が存在しない、新規な医療用血
漿分離器に関する。 (従来の技術) 近年、高分子化合物を材料とした多孔質膜が医
療分野に於て広く利用され、特に血液を膜分離法
により各種成分に分離する技術が実用化されてき
ている。中でも血液を血球成分と血漿成分とに分
離する血漿分離器は、血漿成分に病因を持つ患者
の血漿を分離、廃棄して健常人の血漿を補充する
血漿交換療法、血漿を分離後浄化し患者に返却す
る血漿浄化療法あるいは健常人から血漿のみを採
血する血漿採取さらには保存血を血球成分と血漿
成分に分離する保存血血漿分離など多くの医療目
的に使用され始めている。 この血漿分離器が広く普及するために、分離の
効率が良く短時間で処理ができること、操作が簡
便であること、安価に供給できることと並んで医
学的に安全性が高いことが非常に重要である。 このような見地から各種の素材からなる新しい
多孔質膜を有する血漿分離器が提案されている。 これらの血漿分離器は多孔質膜の素材の特性に
より次の二種類の大別される。第1の種類は、疎
水性ポリマーよりなる多孔質膜を内蔵する血漿分
離器であり、該疎水性ポリマーの例として、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン等が報
知されている。疎水性ポリマーよりなる多孔質膜
の特徴としては、血液のような水系液体処理時に
水による膨潤が少ない機械的強度が強く、また水
による強度低下が小さいため、血液漏れという重
大な事故の可能性が小さいことなどが挙げられ
る。 しかし、疎水性ポリマーよりなる多孔質膜の欠
点として、血液のような水系液体は疎水性ポリマ
ーを濡らさないため、多孔質膜の細孔中への浸透
が困難であり、このような疎水性ポリマーからな
る多孔質膜を内蔵する血漿分離器はそのままで
は、血漿ロ過能力はなく血漿分離器として使用で
きない。そのため疎水性ポリマーよりなる多孔質
膜を予め親水化処理することが必要であり、かか
る親水化処理の方法としては界面活性剤で疎水性
多孔質膜を処理する方法、水と混合可能な低表面
張力有機溶剤を細孔内に浸透させた後、水と置換
する方法等がある。しかしながら、界面活性剤で
処理した血漿分離器では、血漿分離器に血液中な
らびに血漿中に界面活性剤が溶出した安全上問題
がある。 また低表面張力有機溶剤を用いる方法では、親
水化の効力は置換された水が細孔内に満たされて
いる間のみ有効であり、乾燥により血漿等水系溶
液透過能力は失なわれる。乾燥後も水系溶液の透
過性を維持するためにはグリセリン、ポリエチレ
ングリコール等の湿潤剤を用いることが必要にな
り、これら湿潤剤は界面活性剤と同様に血液中に
ならびに血漿中への溶出の問題を有する。 血漿分離器の第2の種類は親水性ポリマーより
なる多孔質膜を内蔵する血漿分離器であり、該親
水性ポリマーの例として、再生セルロース、セル
ロースジアセテート、ポリビニルアルコール、エ
チレン−ビニリアルコール共重合体などが報告さ
れている。親水性ポリマーよりなる多孔質膜の特
徴としては、該膜の細孔表面が親水性であるため
血液のような水系液体は細孔中への浸透が可能で
あり、疎水性多孔質膜の場合とは異なり親水化処
理が不要な点が挙げられる。しかしながら、親水
性ポリマーよりなる多孔質膜の欠点としては、湿
潤状態から乾燥状態へ変化させた場合の収縮が大
きいため、凍結乾燥のような特殊な乾燥法や湿潤
剤として多量のグリセリンを付着させるような処
理が必要である、乾燥状態から湿潤状態へ変化時
に膨潤が大きい、水により機械的強度が大きい低
下する等が挙げられる。血漿分離用多孔質膜にお
いては、分子量の高い蛋白質を含む血漿成分の透
過を必要とするため大きい孔径と、高い空孔率が
要求され、これらの欠点はさらに強められること
になる。 (発明が解決しようとする問題点) 血漿分離器はその最終商品形態から大別すると
水充填タイプと乾燥タイプに分けられる。水充填
タイプは血漿分離器内部空間に無菌蒸留水が充填
されたものであり、使用前に蒸留水を生理食塩水
に置換(プライミング)するのみですぐ使用でき
るという利点を有するが、滅菌法が限定され、水
充填後に可能な滅菌法としては、高圧蒸気滅菌、
またはγ線滅菌があるが、いずれも血漿分離器全
体が耐熱性または耐γ線性を有する必要がある。 また、水存在状態で商品として出荷されるた
め、重量が重く、また万が一細菌の汚染があつた
場合には細菌の大量増殖の可能性もある。一方乾
燥タイプの血漿分離器は滅菌法としてほとんどす
べての素材に使用可能かつ安全、確実な滅菌法で
あるエチレンオキサイドガス滅菌が使用可能であ
り、細菌の増殖に関しても乾燥状態では増殖速度
は低く安全性の高いものである。 しかしながら、公知の多孔質膜を内蔵する血漿
分離器においては、乾燥タイプの血漿分離器は知
られているが、多孔質膜の素材として疎水性ポリ
マーを用いたものは必然的に親水化のために界面
活性剤、またはグリセリン、ポリエチレングリコ
ール等の湿潤剤を付着させている。また親水性ポ
リマーを用いたものは、乾燥時の収縮防止のため
にグリセリン等を付着させており、血液溶出性物
質を含まない乾燥タイプの多孔質膜内蔵型血漿分
離器は知られていない。エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体のような親水性ポリマーを用いた多
孔質膜は、かりにグリセリン等の湿潤剤を用いず
に乾燥できたとしても、その多孔質膜は血液のよ
うな水系液体により湿潤した時の膨潤による寸法
変化、機械強度の低下、強度の吸水が起きるとい
う欠点を有する。湿潤による寸法変化は、中空糸
状の多孔質膜を内蔵する血漿分離器の場合、糸状
の乱れを生じさせ、血流の不均一を生じたり、使
用後の返血が充分にできない残血等の問題を起こ
す。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、これら公知の多孔質膜を内蔵す
る血漿分離器の欠点を改良し、安全性に優れた血
漿分離器を得るべく鋭意検討の結果、本発明に到
達した。即ち本発明の要旨は多孔質膜を内蔵する
血漿分離器であつて、以下の(a)、(b)、(c)の要件を
有することを特徴とする乾燥血漿分離器にある。 (a) 多孔質膜は疎水性高分子からなる多孔質構造
マトリツクスと該マトリツクスの細孔表面を実
質的に被覆する水不溶性の親水性高分子からな
る被覆層により形成された複合多孔質膜であ
る。 (b) 多孔質膜は界面活性剤、湿潤剤等の血液溶出
性の有機または無機化合物を実質的に含まな
い。 (c) 血漿分離器の内部空間のどこにも水が存在し
ない。 内部空間のどこにも水が存在しないことは、血
漿分離器を構成する多孔質膜の細孔空間、中空糸
膜の内部空間、膜と容器により囲まれる空間等の
いずれにも液体状の水が存在しないことを意味す
る。 (作用及び実施態様) 本発明の乾燥血漿分離器は内蔵する多孔質膜が
疎水性高分子からなる多孔質構造マトリツクスと
該マトリツクスの細孔表面を実質的に被覆する水
溶性の親水性高分子からなる被覆層により形成さ
れた複合多孔質膜であるため、疎水性多孔質膜と
同様に、血液との接触時に水による膨潤ならびに
水による強度低下が殆どなく、また表面が親水性
高分子からなるため水濡れ性が良く特に親水化の
前処理を行うことなしに血漿分離器として使用で
きる。また血漿分離器に内蔵される複合多孔質膜
は乾燥、湿潤を繰り返しても寸法変化、性能の変
化がほとんどないため、その製造にあたつてグリ
セリンのような湿潤剤を用いるこのなく容易に乾
燥ができ、また親水化のための界面活性剤も不要
なため、溶液溶出性の成分を実質的に全く含まな
い安全性の高い多孔質膜である。また血漿分離器
は内部空間のどこにも水が満たされていない乾燥
血漿分離器であるため、軽量であり輸送コストも
安くまた滅菌法は特に制限を受けない。滅菌法と
してはエチレンオキサイドガス滅菌、高圧蒸気滅
菌、γ線滅菌のいずれでも使用でき、特に血漿分
離器を構成する素材に限定を受けないエチレンオ
キサイドガス滅菌ができるという利点を有する。
また、乾燥血漿分離器であるため、滅菌後の保存
期間中の無菌性も確実である。 本発明で言う多孔膜を内蔵する血漿分離器と
は、少なくとも血液を血球と血漿に分離する多孔
質膜、分離される血液を導入するための血液導入
口、血球が濃縮される血液を導出するための血液
導出口、および分離された血漿を導出するための
血漿導出口を必須の構成要件とする血漿分離器で
あり、その形態、大きさ等は特に問わない。 また本発明でいう血漿分離器とは、主に血液よ
り血球と血漿を分離することを目的とする装置で
あり、血漿交換、血漿浄化等の治療用のみなら
ず、健常人より血漿採取、保存血の分離等の用途
に用いられるものであり、さらに本液を有形成分
と液体成分に分離する目的にも同様に用いること
ができ、例えば癌性腹水から癌細胞を除去する腹
水処理器としても使用できる。 本発明の血漿分離器に用いられる多孔質膜の形
態は特に問わず、例えば平膜状、中空糸状のもの
が用いられるが、小型で効率良く分離ができる中
空糸状が好ましい。 また多孔質膜の細孔の平均孔径ならびに空孔率
は、通常血漿分離膜として用いられる範囲のもの
であれば本発明の対象となり、好ましい平均孔径
の範囲は0.1〜2.0μm、空孔率の範囲は50〜90体
積%である。 本発明において使用される疎水性高分子とは水
に濡れない高分子であり、純水との接触角が約70
度以上を示す高分子である。このような疎水性高
分子は水による膨潤、ならびに機械的強度の低下
は殆んど無い。疎水性高分子の代表的な例として
はポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
イン、ポリ弗化ビニリデン、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリジ
メチルシロキサシ、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリアセタールなどがあげられる。これらの
中でも多孔質構造マトリツクスの製造にあたつ
て、溶剤その他の添加物を加えずに製造できる延
伸開孔法の原理が適用できるポリオレフインが好
ましく、とりわけ充分に大きい孔径の多孔質構造
マトリツクスが得られるポリエチレンが好まし
い。 本発明において使用される水不溶性の親水性高
分子とは、水不溶性でかつ水に漏れる高分子であ
り、純水との接触角が約60度以下を示す高分子で
ある。このような親水性高分子の例としては、セ
ルロース、セルロースジアセテート等のセルロー
ス誘導体、コラーゲン等で例示される天然高分子
およびその誘導体の他に、親水性モノマー単位と
疎水性モノマー単位からなる各種合成共重合体が
挙げられる。共重合体の種別としてはランダム共
重合体、ブロツク共重合体、グラフト共重合体の
いずれでも良い。親水性モノマー単位としては官
能基として、水酸基、カルボキシル基、アミド
基、アミノ基、スルホン酸基、オキシエチレン
基、等親水性官能基を有するものが好ましくその
例としては、ビニルアルコール、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、アクリル酸、アクリルアミ
ド、ビニルピロリドン、オキシエチレン等のモノ
マー単位が挙げられる。疎水性モノ単位としては
官能基として、アルキル基、アルキレン基、ハロ
ゲン基、フエニル基、ジメチルシロキサン基、等
疎水性官能基を有するものが好ましく、その例と
してエチレン、プロピレン、弗化ビニリデン、テ
トラフルオロエチレン、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン、スチレン、ジメチルシロキサン、エチレン
テレフタレート、ビスフエノールAカーボネイ
ト、アミノウンデカン酸、芳香族ウレタン等のモ
ノマー単位が挙げられる。 以上の親水性高分子の中でも、親水性モノマー
単位と疎水性モノマー単位からなる共重合体は、
親水性と疎水性のバランスの調節が容易で、疎水
性高分子からなる多孔質構造マトリツクスとの接
着性の調節が可能となり好ましい。該共重合体に
用いられる親水性モノマー単位の分率は40〜85重
量%の範囲が好ましい。親水性モノマー単位の量
が40%未満では該共重合体の親水性は不充分であ
り、85%を越えると疎水性高分子からなる多孔質
構造マトリツクスとの接着性が弱められる。疎水
性モノマー単位の例として最も好ましいものはエ
チレンである。該モノマー単位は代表的な疎水性
多孔質構造マトリツクスの素材であるポリエチレ
ンと同じ化学構造であることから該マトリツクス
との接着性に優れ、また化学的にも極めて安定で
あり医療用具の素材として安全性の高いものであ
る。親水性モノマー単位の例として最も好ましい
ものはビニルアルコールある。該モノマー単位は
水酸基を有する最も単純なビニルモノマー単位で
あり、化学的に安定であり、生体に対する適合性
も良く、また親水性も強いため比較的少量の分率
でも共重合体は親水性を示す。 本発明の血漿分離器に内蔵される多孔質膜は前
記疎水性高分子からなる多孔質構造マトリツクス
と該マトリツクスのの細孔表面を実質的に被覆す
る前記水溶性の親水性高分子からなる被覆層より
形成される。多孔質構造マトリツクスとは、片面
より他方の面に貫通する細孔を有する多孔質構造
物であり、その製法は通常の多孔質膜の製法を利
用でき、湿式相転換法、溶融相分離法、延伸開孔
法など公知の方法が採用できる。その中でも延伸
開孔法は、結晶性高分子を中空糸またはフイルム
状に成型した後、冷延伸により結晶ラメラ間を開
裂させ、さらに熱延伸により孔径を拡大させ多孔
質膜を作る方法であり、高分子素材に溶剤その他
の添加物を加えずに延伸という物理的手段によつ
て多孔質構造物を製造するもので、残留溶剤等の
問題が全くないので好ましい方法である。 被覆層は多孔質構造マトリツクスの細孔表面を
実質的に被覆する親水性高分子層であり、被覆層
の厚みは好ましくは単分子層である約10〓以上で
あり、厚みの上限は特にない。被覆層の量を多孔
質構造マトリツクスの単位表面積当りの重量で表
わすと約1×10-3g/m2以上、2×10g/m2程度
以下が好ましい。 本発明でいうところの血液溶出性の化合物と
は、多孔質膜の親水性のためあるいは乾燥収縮を
防ぐため、さらには多孔質構造形成のため添加さ
れる、有機または無機化合物であり、かつ血液に
溶解性を有するものである。その例としてはイオ
ン性あるいは非イオン性界面活性剤、グリセリ
ン、ポリエチレングリコール、炭酸カルシウム、
シリカ等が挙げられる。これらの化合物は血液に
溶出し、溶血、血液凝固、その他生体に対し毒性
を示すことが知られており、これらの化合物は実
質的に本発明の血漿分離器に含まれてはならな
い。実質的に含まれないとは生物学的影響を示す
量以下であることをいう。 本発明の多孔質膜を内蔵する血漿分離器は以下
の製造例により製造される。即ち、公知の製造方
法により得られた疎水性高分子からなる多孔質構
造マトリツクスを該マトリツクスのままあるいは
該マトリツクスを内蔵する血漿分離器の形状に組
み立てた後、水不溶性親水性高分子を有機溶剤ま
たは有機溶剤と水との混合溶剤に溶解した溶液に
浸漬処理し、該親水性高分子で該マトリツクスの
細孔表面を被覆せしめる。引き続き該処理に用い
た溶剤を乾燥させて該親水性高分子の被覆処理を
完成する。多孔質構造マトリツクスをそのまま被
覆処理を行つた場合は該処理により作成された親
水性複合多孔質膜を血漿分離器に組みこんで本発
明の血漿分離器が完成する。本発明の水不溶性親
水性高分子を溶解する有機溶剤はそれぞれの高分
子の良溶媒から選ばれるが、その溶剤は極性有機
溶剤であることが好ましい。極性の高い有機溶剤
を用いて疎水性高分子表面に親水性高分子溶液を
被覆することにより、極性の高い親水性残基が被
覆層の表面に露出して、被覆層表面の親水性が良
好になる。親水性高分子の溶剤の極性を高めるた
めには、該高分子の溶解性を阻害しない範囲内
で、該溶剤に水を加えた混合溶剤を用いることが
好ましい。好ましい極性溶剤としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール
類、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイ
ソプロパノール等のハロアルコール、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチウホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド等が例示できるが、沸点が低く乾燥が容易で、
安全性の高いエタノールが特に好ましい。溶解す
る親水性高分子の濃度は被覆に適した任意の濃度
を選ぶことができるが、例えば0.1〜5重量%程
度の濃度を選ぶことができる。被覆処理は一回の
処理でも良いが、比較的低濃度で数回繰り返すこ
ともできる。多孔質構造マトリツクスの状態で本
処理を施す場合は、一定の大きさに切断した該マ
トリツクスをバツチ式に処理することもできる
が、連続した、平膜状または中空糸状多孔質構造
マトリツクスを長手方向に走行させ連続的に処理
することもできる。該多孔質構造マトリツクスが
中空糸状でも、構造が多孔質であるため、親水性
高分子の溶液は該マトリツクスの内部まで容易に
浸透でき被覆処理を行うことができる。親水性高
分子溶液の被覆に引き続き処理溶剤を乾燥させて
親水性複合多孔質膜または該膜を内蔵する血漿分
離器が製造される。親水性複合多孔質膜は血漿分
離器に組み立てられる。溶剤の乾燥方法は通常の
真空乾燥、熱風乾燥等の方法をとることができ、
連続した親水性複合多孔質膜を走行状態で連続的
に乾燥することもできる。 本発明の血漿分離器の滅菌はエチレンオキサイ
ドガス滅菌、高圧蒸気滅菌、またはγ線滅菌のい
ずれの滅菌法も可能である。ただし後二者の滅菌
を行うためには血漿分離器を構成するすべての部
材が高圧蒸気またはγ線に耐えるものでなければ
ならない。エチレンオキサイドガス(EOG)滅
菌を用いれば、通常医療用具として用いられる殆
どすべての部材はEOGにより影響を受けずに使
用できるので使用部材の限定を受けず、また高圧
蒸気やγ線のような過酷な条件にさらさないの
で、分解生成物の毒性なども問題にならず好まし
い。 次に本発明の効果を明らかにするために、実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。なお、諸物性の測定は下記の方
法で行つた。 〔平均孔径(μm)〕 水銀ポロシメータにより求めた孔径−空孔容積
積分曲線上で、全空孔容積の1/の空孔容積を示す
孔径。 〔血漿ロ過速度(ml/分)〕 牛ACD(クエン酸−クエン酸ナトリウム−ブド
ウ糖)加血液(ヘマトリツト35%)を用い37℃に
て、血流60ml、膜に対する差圧50mmHgを掛けた
ときの血漿ロ過量を測定。 〔溶出物試験〕 厚生省の透析用人工腎臓基準を準用した。 実施例 1 高密度ポリエチレン(密度0.968、MI値5.5商品
名ハイゼツクス2208J)を円形二重紡口を用い、
紡口温度150℃で紡糸し、得られた中空糸を115℃
で2時間アニール処理した後、室温で30%、つい
で105℃で400%熱延伸を施し中空糸状ポリエチレ
ン多孔質構造マトリツクスを得た。該マトリツク
の内径は330μm、膜厚は50μmであつた。 ビニルアルコール含量72重量%のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、(日本合成化学工業社
製商品名ソアノールE)を75容量%エタノール水
溶液に加熱溶解させ0.5重量%溶液とした。上記
中空糸状マトリツクス1700本を束ね、50℃に維持
されたエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液
に10分間浸漬した。次いで過剰の共重合体溶液を
除いたのち50℃の熱風で3時間乾燥し、溶媒を完
全に除去した。得られた中空糸状複合多孔質膜の
束を、内径24mmポリカーボネート製円筒容器に収
容し、両端をウレタン接着剤で固定し、中空糸束
モジユールを製造した。複合多孔質膜の孔径は
0.70μm、中空糸束の有効長さは13cm、有効膜面
積は0.23m2であつた。該モジユールをエチレンオ
キサイドガスで滅菌して乾燥血漿分離器を得た。 この血漿分離器の血漿分離能を測定するため先
ず該分離器を生理食塩水でプライミングしたが、
湿潤に伴う中空糸膜の膨潤は認められなかつた。 血漿分離能は血流60ml/分の時に17ml/分の血
漿が分離され高い能力を示した。また厚生省の透
析用人工腎臓基準を準用して本血漿分離器の溶出
物試験、生物学試験、無菌試験を行つたところ、
いずれも合格であり高い安全性が確認された。さ
らに雑種成犬を用い本血漿分離器の体外循環実験
を行なつた。抗血液凝固剤としACD液(クエン
酸−クエン酸ナトリウム−ブドウ糖液)を用い、
60ml/分の血液を体外循環し、定量ポンプで200
ml/分の血漿を採取する実験を20分間行つた。実
験跡の血漿分離器の血液接触面は生理食塩水で洗
浄後グルタルアルデヒドで固定し、走査型電子顕
微鏡で観察した。本実験中血液の溶血現象は全く
認められず、犬の血球成分の数の変動も殆ど認め
られなかつた。また、中空糸内部への残血も殆ど
見られず、さらに膜表面の電子顕微鏡観察でも血
球の付着も殆んど見られず、フイブリンの形成も
全く見られず、血液に対する悪影響がないことが
確認された。 実施例 2 特開昭57−49467号に開示された方法に従いN,
N−ビス−2ヒドロキシエチル−ヘキサデシルア
ミンを用いた溶融相分離法により中空糸状ポリプ
ロピレン多孔質構造マトリツクスを得た。製造に
用いたN,N−ビス−2−ヒドロキシエチル−ヘ
キサデシルアミンを完全に除くため3時間のエタ
ノール洗浄に加え、クロロホルムにより16時間ソ
ツクスレー抽出を施した。この多孔質構造マトリ
ツクス束を円筒容器に収容して両端を接着し中空
糸束モジユールとして成形したものは、そのまま
では膜は水漏れ性を示さず、血漿透過能力はなか
つた。上記の多孔質構造マトリツクスを実施例1
に準じ、エチレン−ビニルアルコール共重合体と
してビニルアコール含量77重量%の共重合体(ク
ラレ社製商品名エバールEP−F)を用いた以外
は同様の方法でエチレン−ビニルアルコール共重
合体被覆層を形成せしめ、複合多孔質膜を製造し
た。該複合多孔質膜の内径は300μm、膜厚150μ
m、孔径は0.60μmであつた。この複合多孔質膜
を実施例1に準じて、有効膜面積0.23m2の中空糸
束モジユールに成形し、エチレンオキサイドガス
で滅菌した乾燥血漿分離器を得た。実施例1と同
様に血漿分離器を測定したところ15ml/分の血漿
が分離された。 実施例 3 実施例1で用いたものと同じ中空糸状ポリエチ
レン多孔質構造マトリツクスを用い、表1に示す
種々の親水性モノマー単位と疎水性モノマー単位
からなるブロツク共重合体を用いて各種複合多孔
質膜を作成し、実施例1と同様に中空糸束モジユ
ールに成形し、乾燥蛋白質分離器を得た。表1に
は被覆層高分子を構成する親水性ブロツク、疎水
性ブロツク、該親水性ブロツクの分率、複合多孔
質膜の製造に用いた被覆層高分子の溶剤、および
実施例1と同様に試験した血漿分離能力を示す。
【表】 (発明の構成) 本発明の血漿分離器は、湿潤による膜の寸法変
化、機械的強度の低下がなく、また親水化剤とし
て界面活性剤等の血液溶出性化合物を含んでおら
ず、さらに乾燥状態で保存されるため無菌性の維
持が容易であり、安全性に優れた血漿分離器であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 多孔質膜を内蔵する血漿分離器であつて、以
    下の(a)、(b)、(c)の要件を有することを特徴とする
    乾燥血漿分離器。 (a) 多孔質膜は疎水性高分子からなる多孔質構造
    マトリツクスと該マトリツクスの細孔表面を実
    質的に被覆する水不溶性の親水性高分子からな
    る被覆層により形成された複合多孔質膜であ
    る。 (b) 多孔質膜は界面活性剤、湿潤剤等の血液溶出
    性の有機または無機化合物を実質的に含まな
    い。 (c) 血漿分離器の内部空間のどこにも水が存在し
    ない。 2 疎水性高分子がポリオレフインである特許請
    求の範囲第1項記載の乾燥血漿分離器。 3 ポリオレフインがポリエチレンである特許請
    求の範囲第2項記載の乾燥血漿分離器。 4 多孔質構造マトリツクスが延伸開孔法により
    製造された多孔質構造マトリツクスである、特許
    請求の範囲第2項または第3項記載の乾燥血漿分
    離器。 5 水不溶性の親水性高分子が、親水性モノマー
    単位と疎水性モノマー単位からなる共重合体であ
    り、該親水性モノマー単位の分率が40〜85重量%
    である特許請求の範囲第1〜4項のいずれか1つ
    に記載の乾燥血漿分離器。 6 疎水性モノマー単位がエチレンである特許請
    求の範囲第5項記載の乾燥血漿分離器。 7 親水性モノマー単位がビニルアルコールであ
    る特許請求の範囲第6項記載の乾燥血漿分離器。 8 多孔質膜が中空糸状である特許請求の範囲第
    1〜7項のいずれか1つに記載の乾燥血漿分離
    器。
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DE8686106559T DE3672898D1 (de) 1985-05-27 1986-05-14 Hydrophile poroese composite-membran, verfahren zu ihrer herstellung und ein plasma-separator.
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