JPH04292779A - 直流アーク炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【従来技術】本発明は、スクラップ鋼材等の溶解炉とし
て好適に用いられる直流アーク炉に関するものである。

【０００２】

【背景技術】一般に、よく知られているように、直流ア
ーク炉は、容器状の炉体の底部において、その略中央部
に炉底電極ピンが配設されており、かかる炉底電極ピン
と、炉体上方より挿入され、垂下される電極棒との間で
発生せしめられる直流アークの熱により、炉体内に収容
されるスクラップ鋼材等の溶解材料を溶解せしめるよう
にされた溶解炉である。

【０００３】ところで、かかる直流アーク炉における炉
底電極ピンは、通常、該電極ピンを流れる電流によるジ
ュール発熱等の熱負荷が大きいことに加えて、高温度に
加熱された溶鋼等の金属溶湯と接触することとなるとこ
ろから、損耗が著しい問題があり、またそのような電極
の周囲を構成する炉体の底部は、通常、マグネシア等の
耐火性のスタンプ材等から形成されているところから、
炉の操業時における炉体内の金属溶湯との接触により、
かかる粉体からなる耐火物、特に炉底電極ピンの周囲の
耐火物に著しい損耗が生じることとなり、それによって
炉底電極ピンにも更に悪影響を及ぼしてしまうという問
題をも、内在していた。

【０００４】

【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景にして為されたものであって、その解決すべき課
題とするところは、炉底電極ピンの周囲近傍における炉
床の著しい損耗を抑制して、炉底電極ピンへの悪影響を
良好に回避し、それによって該炉底電極ピンの損耗を有
利に低減せしめることを図り得る直流アーク炉を提供す
ることにある。

【０００５】

【解決手段】そこで、本発明者らが、かかる課題を解決
するために種々検討したところ、溶損の激しい炉底電極
ピンの周囲の炉床を構成するスタンプ材に代えて、該電
極ピンの周囲を取り巻くようにして、耐溶損性の良好な
耐火材成形物からなる一体的な耐火介装体を設けること
により、炉底電極ピンの周囲の溶損を抑制し、以て該炉
底電極ピン自体の損耗を低減し得ることを見い出した。

【０００６】そして、本発明者らが更に検討を進めた結
果、そのような耐火介装体が炉底電極ピンの周囲に密接
した状態で配設される場合には、炉底電極ピンへの通電
開始による該電極ピンの熱膨張、特に横方向への膨張に
より、耐火介装体に応力がかかるために、該応力によっ
て惹起される該耐火介装体の割れや拘束吊り切れ等を防
止すべく、炉底電極ピンとそれを取り巻く耐火介装体と
の間に所定の間隙を設ける必要があることを見い出した
のである。

【０００７】而して、本発明は、かかる知見に基づいて
完成されたものであって、その要旨とするところは、炉
床の略中央部に炉底電極ピンをその頂面が炉内に露出す
る状態で埋め込むと共に、該炉底電極ピンの周りに耐火
材成形物からなる一体的な耐火介装体を配して、かかる
炉底電極ピンと上方より炉内に垂下される電極棒との間
におけるアーク放電により、スクラップ鋼材等の溶解材
料を溶解せしめるようにした直流アーク炉において、該
炉底電極ピンと前記耐火介装体との間に、該炉底電極ピ
ンの横方向の熱膨張代よりは大きく、且つ該熱膨張代と
地金差し抑制可能な最大間隙との和よりは小さなクリア
ランスを設けるようにしたのである。

【０００８】

【作用・効果】このような構成にすることによって、本
発明に係る直流アーク炉にあっては、炉底電極ピンの周
囲近傍における炉床面の損耗が効果的に防止され得、ま
た該炉底電極ピンへの通電開始時において、該電極ピン
のジュール発熱による膨張に際して、そのような電極ピ
ンの横方向の熱膨張代が、炉底電極ピンと耐火介装体と
の間に設けられた所定のクリアランスにより吸収され得
るところから、耐火介装体への応力が有利に回避され得
ると共に、地金差しを許容しない寸法においてクリアラ
ンスが設定されているところから、そのようなクリアラ
ンスに溶鋼等の金属溶湯が侵入して、炉底電極ピンや耐
火介装体へ悪影響を及ぼすことが有利に防止され得るの
である。

【０００９】

【具体的構成・実施例】以下に、本発明を更に具体的に
明らかにするために、本発明の代表的な実施例を、図面
を参照しつつ、詳細に説明することとする。

【００１０】先ず、図１に、本発明に従う直流アーク炉
の一例が概略的に示されており、そこにおいて、直流ア
ーク炉２は、公知の耐火物からなる側壁３と緩やかに湾
曲した凹面状の底壁４とを有する炉体を備えており、そ
してこの炉体の底壁４の略中央部には、かかる底壁４を
貫通するように、鉄等の金属からなる公知の炉底電極ピ
ン６を備えた炉底電極装置８が配設されている。また、
該炉体の底壁４上において、炉底電極装置８の周囲には
、好適には、所定の耐火性粉末（スタンプ材）１４上に
煉瓦或いは耐火性粉末等からなる適当な耐火物１０が底
壁４の形状に対応して配設されており、以て炉床面が形
成されているのである。

【００１１】また、この炉体内には、図示はしないが、
よく知られているように、上方より電極棒が垂下されて
配置せしめられるようになっており、この電極棒と炉底
電極ピン６との間において直流アークが発生せしめられ
て、その熱によって、スクラップ鋼材等の鉄原料が溶解
されるようになっている。

【００１２】そして、このような直流アーク炉において
、炉底電極装置８を構成する炉底電極ピン６の径方向外
側には、所定の耐火材成形物を用いて予め成形された、
一体的な円筒状の耐火介装体を構成するスリーブ１２が
、その内壁面と炉底電極ピン６との間に所定のクリアラ
ンス：ａを形成した状態で設けられている。なお、本実
施例においては、かかるスリーブ１２は、炉底電極ピン
６と共に、炉底電極装置８を構成する一部材とされてい
るが、該炉底電極装置８とは別体として配設されるもの
であっても、何等差支えない。

【００１３】このような炉底電極ピン６とスリーブ１２
との間に設けられたクリアランス：ａは、その寸法が小
さ過ぎると、炉底電極６の通電時における横方向への熱
膨張が吸収され得ず、スリーブ１２に対して応力が及ぶ
こととなり、それによって、かかるスリーブ１２に亀裂
や吊り切れ等が発生する恐れがあり、一方、クリアラン
ス：ａが大き過ぎると、溶鋼等の金属溶湯が侵入，所謂
地金差しを許容することとなり、そのような地金が炉底
電極ピンと一体化すると、炉底電極ピンの熱膨張時にク
リアランスが消失してしまうところから、それによって
、スリーブ１２が応力を受けることとなるのである。

【００１４】従って、本発明において、そのようなクリ
アランス：ａは、炉底電極ピン６の材質やスリーブ１２
の材質等に応じて、該炉底電極ピン６の横方向への熱膨
張代よりは大きく、且つ該熱膨張代と地金差しが抑制さ
れ得る最大寸法との和よりは小さい寸法において、設定
されるのである。

【００１５】ところで、このような構成の直流アーク炉
において、スクラップ鋼材等を溶解せしめるに際しては
、常法に従って、容器状の炉体内に溶解材料を充填し、
該炉体開口部の上方より黒鉛電極等の電極棒を挿入し、
垂下せしめて、かかる開口部を図示しない所定の蓋部材
により覆蓋した状態で、該電極棒と炉底電極ピン６との
間で通電を行ない、それによって発生する直流アークの
熱により、溶解材料を溶解せしめるのである。

【００１６】そして、本発明にあっては、該炉底電極ピ
ン６の周囲に耐火材成形物からなるスリーブ（耐火介装
体）１２を配設し、更にそれら電極ピン６とスリーブ１
２との間に所定のクリアランス：ａが設けられるように
したことにより、炉底電極ピン６の周囲の溶損を著しく
抑制し得、また炉底電極ピン６の通電時における横方向
への膨張は、そのようなクリアランス：ａにより吸収さ
れると共に、かかるクリアランス：ａ内への地金差しは
良好に抑制され得ることとなり、以てスリーブ１２の割
れ等の発生を効果的に抑制し、ひいては炉底電極ピン６
への悪影響も抑制し得るところから、該炉底電極ピン６
自体の損耗をも低減せしめることが出来たのである。

【００１７】因みに、図１に示される如き直流アーク炉
（２）において、炉底電極ピン（６）としては、直径：
２４７．５ｍｍの鉄棒（Ｓ１５Ｃ）からなる電極を用い
、またスリーブ（１２）としては、マグネシアカーボン
からなる、内径：２５０ｍｍの円筒状成形体を用いて構
成し、そしてかかるアーク炉を使用して、常法に従って
スクラップ鋼材等を溶解せしめたところ、炉底電極ピン
の熱膨張によるスリーブの割れ等は何ら認められず、従
ってスリーブの割れによる剥離物等の混入しない、良好
な溶鋼が得られた。

【００１８】以上、本発明をその実施例に基づいて具体
的に説明してきたが、本発明は、かかる記述に何等限定
的に解釈されるものでは決してなく、本発明の範疇を逸
脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々
なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、
理解されるべきである。

【００１９】例えば、前記実施例においては、炉底電極
ピンとして、単一の電極ピン（６）構造を採用している
が、本発明にあっては、複数本の電極ピンを剣山状に配
設してなる炉底電極ピンであっても、同様に採用可能で
あり、その場合には、それら電極ピンを取り巻く耐火介
装体としては、電極ピンの数に対応して、各電極ピンと
の間に所定のクリアランスを形成する通孔が複数設けら
れた煉炭状の耐火材成形物が用いられることとなり、そ
のようなクリアランスを設けることによって、各電極ピ
ンの熱膨張を吸収する一方、地金差しを有効に抑制する
ことが出来るのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明に従う直流アーク炉を概略的に
示す縦断面説明図である。

【符号の説明】

２　　直流アーク炉　　　　　　　　　　　　　　　　
　　４　　底壁６　　炉底電極ピン　　　　　　　　　
　　　　　　　　　８　　炉底電極装置１２　　耐火介
装体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　炉床の略中央部に炉底電極ピンをその
   頂面が炉内に露出する状態で埋め込むと共に、該炉底電
   極ピンの周りに耐火材成形物からなる一体的な耐火介装
   体を配して、かかる炉底電極ピンと上方より炉内に垂下
   される電極棒との間におけるアーク放電により、スクラ
   ップ鋼材等の溶解材料を溶解せしめるようにした直流ア
   ーク炉にして、該炉底電極ピンと前記耐火介装体との間
   に、該炉底電極ピンの横方向の熱膨張代よりは大きく、
   且つ該熱膨張代と地金差し抑制可能な最大間隙との和よ
   りは小さなクリアランスを設けたことを特徴とする直流
   アーク炉。