JPH0429194Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、液体ヘリウム、液体水素等の低温液
体を貯蔵・移動する低温貯槽の改良に関する。

〔従来の技術〕

第２図は、従来の低温貯槽の概略図である。図
において、１は液体ヘリウム、液体水素等の低温
液体、２は低温液体１を入れる内槽、３は内槽２
への侵入熱を小さくするための真空部、４は真空
を保持し、内槽２等を保持するための外槽、５は
常温部からの侵入熱（主として輻射熱）を小さく
するために設置されている断熱用貯槽、６は断熱
用貯槽５に貯えられた液体窒素等の低温液体、７
は断熱用貯槽５のサポート、８は低温液体１を内
槽２に注入または内槽２から排出するための真空
断熱二重管、９は内槽２を加圧することにより低
温液体１を加圧して管８を介して内槽２外部にこ
れを移送するため及び低温液体１の蒸発ガスを外
部に排出するための管、１０は低温液体６を断熱
用貯槽５内部に入れるための真空断熱二重管、１
１は低温液体６の蒸発ガスを断熱用貯槽５外部に
排出するための管、１２，１３は止弁である。

内槽２に貯蔵された低温液体１は、断熱用貯槽
５及び真空部３により、常温部からの侵入熱を極
力小さくする構造となつている。また、内槽２内
部の低温液体１を加圧して管８を介して低温貯槽
の内槽２外部にこれを移送する場合、低温液体１
と同一または沸点の低い常温のガスを管９を介し
て内槽２に導入する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

内槽２内部の低温液体１を管９を介して加圧し
て、管８を介してこれを低温貯槽の内槽２外部に
移送する場合、常温のガスが管９を介して内槽２
に入るため、温度の高い常温ガスが保有する熱に
より、高価な低温液体１が多量に蒸発してしま
う。

また、加圧ガス中に不純物（水分、空気などの
高沸点ガス）が混入されると、この不純物のため
に管の閉塞や弁の故障（弁シート部の破損など）
等のトラブルの原因となる。

本考案は、上記従来の低温貯槽の欠点を改良す
ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は内部を真空状態に保持した密閉容器と
しての外槽の中に、頂部に加圧ガスを供給する管
と低温液体を取出す管を貫通させた低温液体を貯
蔵する内槽と、この内槽を囲み、その頂部に低温
液体供給管と蒸発ガス排出管を取付けて、その大
部分を低温液体で満たした断熱用貯槽とで構成さ
れた低温貯槽において、前記断熱用貯槽内に外部
と連通して加圧ガスを通す熱交換器と、これに連
続して加圧ガス中の不純物を取除く低温精製器を
装着し、その出口管の管端を前記内槽の上部に貫
装させてなることを特徴とする低温貯槽である。

第１図は、本考案に係る低温貯槽の概略図であ
る。図において、符号１〜１３は、第２図のもの
と共通であるので説明を省略する。また１４は加
圧用常温ガス導入管、１５は止弁、１６は加圧用
ガスと低温液体６が熱交換をして加圧用ガスを低
温にするための熱交換器で、管内を加圧ガスが流
れ、管外は低温液体６となつている。１７は加圧
ガス中の不純物（水分、空気などの高沸点ガス）
を加圧ガス中から分離・除去するための低温精製
器で、内部には活性炭、モレキユラーシーブス
（人工ゼオライト）等低温で物理吸着能力の高い
吸着剤が充てんされている。１８は低温精製器１
７外部にとりつけられたヒータで、低温精製器１
７内部に充てんされた吸着剤の吸着能力が低下し
た場合、吸着材を常温に戻してヒータ１８で加温
することにより吸着剤の再生ができるようになつ
ている。

加圧用常温ガス導入管１４から熱交換器１６に
入つた加圧ガスは低温液体６とほぼ同程度の温度
に冷却され、低温精製器１７で不純物を除去され
て内槽２に入り、低温液体１を所定の圧力まで昇
圧する。加圧用ガスと熱交換した低温液体６は、
加圧ガスから熱を受け取るため、低温液体６の一
部は、蒸発ガスとなつて管１１より外部に排出さ
れる。

前記加圧用常温ガス導入管１４は、内槽２を加
圧して低温液体１を加圧して管８を介して低温貯
槽外部に低温液体１を移送するためのものであ
る。また、管９は、加圧をやめて内槽２を常圧に
戻す場合のガスの排出もしくは貯蔵時の低温液体
１の蒸発ガスを外部に排出する場合に使用され
る。この際（ガスを排出する場合）、管１４を使
用することも考えられるが、通常、低温液体１
は、低温液体６より低温であり、従つて排出ガス
の温度も低温液体６より低く、熱交換器１６の外
部で低温液体６が凍結する可能性があり、熱交換
器１６の性能が低下する等の不具合が発生する。
従つて、本考案においては、管９が前記役割をは
たす。

低温精製器１７内部に充てんされた吸着剤の再
生時には、低温液体１、低温液体６は、外部に排
出されており、低温貯槽は常温状態となる。再生
にあたつては、弁１２、弁１３を閉、弁１５を開
とする。高沸点ガス、水分等の不純物排気のた
め、弁１５の上流に真空ポンプ（図示省略）が接
続されている。ヒータ１８をONすると、吸着剤
が加熱され（200℃位）、水分、空気等の不純物が
脱着され、真空ポンプで排気される。従つて、内
槽２、低温精製器１７、熱交換器１６内部は真空
となる。再生が完了するとヒータ１８をOFF、
弁１５を閉として、低温液体１と同一の常温ガス
を弁１４、または弁１３から入れて、内槽２等内
部を常圧に戻す。（空気の吸着を防ぐ。） 〔考案の効果〕 加圧ガスが、低温度で内槽に入るので、高価な
低温液体の蒸発ロスが少なくできる。また、加圧
ガス内の不純物（水分、空気などの高沸点ガス）
を低温精製器で除去できるので、不純物による、
管の閉塞、弁の故障（弁のシート部の破損など）
等のトラブルを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案による低温貯槽の概略図であ
り、第２図は、従来の低温貯槽の概略図である。 １……低温液体、２……内槽、３……真空部、
４……外槽、５……断熱用貯槽、６……低温液
体、７……断熱用貯槽のサポート、８……真空断
熱二重管、９……管、１０……真空断熱二重管、
１１……管、１２，１３……止弁、１４……加圧
用常温ガス導入管、１５……止弁、１６……熱交
換器、１７……低温精製器、１８……ヒータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部を真空状態に保持した密閉容器としての外
   槽の中に、頂部に加圧ガスを供給する管と低温液
   体を取出す管を貫通させた低温液体を貯蔵する内
   槽と、この内槽を囲み、その頂部に低温液体供給
   管と蒸発ガス排出管を取付けて、その大部分を低
   温液体で満たした断熱用貯槽とで構成された低温
   貯槽において、前記断熱用貯槽内に外部と連通し
   て加圧ガスを通す熱交換器と、これに連続して加
   圧ガス中の不純物を取除く低温精製器を装着し、
   その出口管の管端を前記内槽の上部に貫装させて
   なることを特徴とする低温貯槽。