JPH0428996Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は建築構造物が経年変化によりひび割れ
による亀裂が生じた個所或いはモルタル、タイル
が浮き剥がれた浮陸部に耐久性ある接着剤を注入
するための注入器に関する。

従来技術 コンクリート等の構造物の壁面に生じた亀裂は
補強或いは雨漏り対策として亀裂上の適当間隔に
注入器を取り付けこの取り付け部以外の個所をシ
ールしておき注入器内のエポキシ樹脂等の接着剤
を亀裂部に注入することが行われている。この注
入器として例えば特開昭58−123971号が知られて
いる。これには注射器形容器と、該容器を装入で
きる管状部を有して壁面に固着する取付板と、注
射器形容器の押棒にかけられたゴムとよりなる容
器が示され、容器に充填した接着剤をゴムの弾力
によつて押し出すようにしている。また特開昭61
−117367号には壁面に固定する注入用ノズルと、
ノズルに取付ける変形可能な接着剤容器と該容器
を内包して注入用ノズルに取り付ける耐圧の筒状
容器、仕切板、蓋体とが示されていて圧力ガスを
注入して接着剤を押し出すようになつている。

考案が解決しようとする問題点 第１のものではゴムによつてプランジヤを引張
つて接着剤を押し出すものであるためプランジヤ
の前進によつて次第に押し出し圧力が減少して充
分な所期の注入がし難かつた。また第２のもので
は１個所への取付けに接着剤容器を取りつけ、更
に耐圧容器を取付け、耐圧容器に仕切板を嵌装
し、密閉蓋を取り付けるなど手間がかかり高所で
は特にその作業性が問題である。

問題点を解決するための手段 構造物の亀裂部または浮陸部に貼り付ける側５
と反対側に注入口２より大径の外開きのテーパ穴
７を有し筒壁対称位置にリード付切欠９，１０を
形成した円筒部８を突設した注入座１と、一端に
前記テーパ穴７に挿入され該穴面と接触して液密
とする部材１４を被冠するとともに前記リード付
切欠９，１０に係合するピン１７を側方に突設し
た中空注入筒１２を有し他端にねじ部１８を刻設
し液密とする部材１９を被冠した接着剤を充填す
る変形しがたい管状の容器１１と、該容器１１の
ねじ部１８に螺合するねじ部２２を有し中心穴２
３に液密とする部材２５を嵌装した蓋体２１と、
前記容器１１内に摺動可能且つ液密に嵌装された
ピストン２６に突設されその突設基部と外端に開
口する流体路３０が穿設され該蓋体の中心穴を貫
通する長い押棒２９を有する押出し部材と、該押
出し部材の押棒２９端に設けられ指をかけて引き
出すハンドル部３６を有し指で開口可能な一方向
弁を有する継手３５とよりなるものである。

実施例 以下本考案の実施例を図面にもとづき説明す
る。構造物の天井、壁、床面等の亀裂部に対する
注入座１の取り付け面は中心に注入口２が開口し
た平坦部３に中心より離れて円弧状の凸部４が円
周上に配置形成され、その外側に凸部４の頂面と
平坦部３の面との間に位置する角形の接着面５が
フランジ状に形成され、該面の数個所に穴６が穿
設されている。接着剤は接着面５に塗布せられ凸
部４によつて接着剤の厚みが決められ且つ注入口
２への流入が防止され、穴６に流入する接着剤に
よつて接着強度が高められる。接着面５は平坦面
でなく表面が滑らかでない方が接着面積が広くな
り強度が高まる。また又凸部４の円弧は必ずしも
円弧状でなく複数個の突起でもよい。注入座１の
接着側と反対側には中心に注入口２より大径で外
側が開いたゆるいテーパ穴７が形成された円筒８
が同心に設けられており、円筒８の側面の対称位
置で軸線と平行な切欠９が数mm削設されつづいて
円周方向の同方向のリード付切欠１０が数mm削設
されている。

注入座１の円筒８のテーパ穴７に嵌入される接
着剤容器１１は流出口１６を中心に穿設した注入
筒１２が端面より同心に突設されており、注入筒
１２はテーパ穴７に挿入される太さで同じかほぼ
同じテーパ１５に形成され先端部に円周溝１３が
削設されていて、ここに挿入時に液密とするＯリ
ング１４が嵌装されている。円周溝１３より容器
１１側で注入筒１２の側面の対称位置に切欠９，
１０に係合するピン１７が２本突設されていて、
容器１１が注入座１の円筒８のテーパ穴７に嵌入
されピン１７が切欠９の底位置まで入つた時容器
１１を旋回させるとピン１７が切欠１０のリード
に沿つて動き容器１１が穴に引き込まれＯリング
１４がテーパ穴内面に圧着される。このとき注入
筒１２のテーパ１５はテーパ穴７と少しの隙間が
生じるようにピン１７，切欠１０が形成されてい
る。容器１１の注入筒１２と反対側は容器１１の
ストレートの穴で底なしに形成されていて端部外
周に雄ねじ１８が刻設されているとともに雄ねじ
１８につづいてＯリング１９を嵌装する環状溝２
０が形成されている。

この雄ねじ１８には雌ねじ２２を有する蓋体２
１が螺着されＯリング１９によつて液密とされ
る。この蓋体２１の中心に貫通穴２３が穿設され
内側の環状凹溝２４にＯリング２５が嵌装されて
いる。容器１１には接着剤が吸入されるがその接
着剤を吸入、押出すためのピストン２６が嵌装さ
れている。このピストン２６は外周の２本の環状
溝２７にそれぞれＯリング２８が嵌装されて内面
との間を液密としている。そしてピストン２６の
後側には押棒２９が中心に突設されていて、この
押棒中心に空気穴３０が穿設され、突設基部にお
いて容器１１のピストン２６後側の室に開口３１
している。さらに押棒２９の突出端には雌ねじ３
２が刻設されていてここに周知のワンタツチ接手
または逆止弁付の継手３５が螺着されている。

逆止弁の継手３５は基部に手掛けハンドル３６
が両側方に突設された口金３７内には下面が弁座
となる弁栓３８が螺合されており、その中心を弁
棒３９が移動可能に挿通され、ばね４０によつて
弁が常時弁座４１に圧接され容器に送り込まれた
圧力空気の洩れを防ぎ、この状態で弁棒３９の先
端４２は口金３７より少し突出した状態となつて
いる。

作 用 建築構造物のコンクリートの天井、壁等の亀裂
部の下地の清掃処理をし、注入座１の接着面５に
接着剤が凸部４より僅かに盛り上がるように塗布
した注入座１を亀裂部に当て押さえ付ける。注入
座１は凸部４が壁面に当接し盛り上がつた分の接
着剤は円周上の円弧状の凸部４によつて外方に押
され一部は穴６から注入座の裏側にはみだし、ま
た一部は凸部４の円周上の切目から平坦部３に流
入するが量は僅かで深い平坦部３に溜まり注入口
２に流れ込むことなく隙間に残つた大量の接着剤
で壁面に接着される。このように注入座１を亀裂
面に接着していく。一方地上では所定の充填剤通
常エポキシ系の接着剤を混合して作成しておき、
注入筒１２の先を接着剤に突つ込みハンドル３６
に指をかけ且つ弁棒３９の先端４２を指で押して
逆止弁付の継手３５を開口し容器１１の後室を大
気に開放し押棒２９を引き出す。ピストン２６の
移動で容器１１の前室は負圧となり注入筒１２の
流出口１６より接着剤が容器内に吸い込まれ容器
１１内に充填される。注入筒外側に付着した接着
剤をふきとり、この容器１１の注入筒１２を壁面
に固着済みの注入座１の円筒８のテーパ穴７に挿
入し容器１１の注入筒のピン１７を円筒８の切欠
９に係合させ注入容器を押しながら旋回させると
ピン１７がリードの切欠１０にはまり込み、注入
容器は注入座１側に引き込まれＯリング１４がテ
ーパ穴７に圧着されて液密に取り付けられる。こ
のようにして各亀裂部の注入座１に注入容器が取
り付けられると、圧力源と接続された図示しない
ホースのタイヤの空気入れと同じ周知の構造の図
示しない供給口金を逆止弁の継手３５に押し当て
る。弁棒３９が押し込まれ弁を開き圧力空気が押
棒２９の中心空気穴３０を通つて開口３１より容
器１１の後室に送り込まれる。この空気圧により
ピストン２６が前進させられ前室の接着剤は流出
口１６より注入座１の注入口２を経て壁の亀裂部
に注入されるものである。なお容器、ピストンの
材料は接着剤の付着が少ないかまたは容易に取り
去ることができるポリプロピレン若しくはポリエ
チレン材等が好ましい。

効 果 以上詳述したように本考案は接着剤充填容器に
ピストンを嵌装しそれに突設した押棒中心より圧
力流体を送り込んでピストンを押すようになした
ので、亀裂、浮陸部への注入は安定した圧力によ
つて確実に行うことができ、層状に充填された粘
度の異なる異種の樹脂を注入する場合でも円滑且
つ確実に行うことができる。また押棒を引き出す
ことによつて注射器のように接着剤が吸い込まれ
るので操作が簡単であるとともに必要なる量を充
填することが自由である。

【図面の簡単な説明】

第１図は注入座に容器をとりつけた状態を示す
断面図、第２図は注入座の接着側平面図、第３図
は注入座の側面図、第４図は逆止弁の縦断面図で
ある。 １……注入座、８……円筒、１１……容器、１
２……注入筒、１７……ピン、２１……蓋体、２
６……ピストン、２９……押棒、３０……空気
穴、３５……逆止弁、３６……ハンドル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 構造物の亀裂部または浮陸部に貼り付ける側と
   反対側に注入口より大径の外開きのテーパ穴を有
   し筒壁対称位置にリード付切欠を形成した円筒部
   を突設した注入座と、一端に前記テーパ穴に挿入
   され該穴面と接触して液密とする部材を被冠する
   とともに前記リード付切欠に係合するピンを側方
   に突設した中空注入筒を有し他端にねじ部を刻設
   し液密とする部材を被冠した接着剤を充填する管
   状の容器と、該容器のねじ部に螺合するねじ部を
   有し中心穴に液密とする部材を嵌装した蓋体と、
   前記容器内に摺動可能且つ液密に嵌装されたピス
   トンに突設されその突設基部と外端との開口部を
   連結する流体路が中心に穿設され前記蓋体の中心
   穴を貫通する長い押棒を有する押出し部材と、該
   押出し部材の押棒端に設けられ指をかけて引き出
   すハンドル部を有し指で開口可能な一方向弁を有
   する継手とを含んでなることを特徴とする接着剤
   注入器。