JPH04279523A - 免疫賦活油脂加工品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、手術侵襲により術後の
免疫力の低下した患者の免疫賦活に関し、より詳細には
、かかる患者に免疫を賦活するのに有用な油脂加工品に
関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、病院における医療行為において、
例えばその術前・術後の栄養改善が患者の回復に多大な
影響を及ぼすことが認識され、栄養物の施与が単に患者
の栄養状態の保持に留まらず、一つの消極的治療法と見
なされるものとなっている。

【０００３】特に、手術侵襲による術後の免疫力の低下
は、術後の回復を遅らせあるいは術後に合併症が発生し
やすい一因ともなっていた。このため出来るだけ早期か
らの栄養の補給が行われると共に、種々の免疫賦活のた
めの手段が講じられて来た。しかしながら、術後早期か
らの脂質の補給については、免疫賦活の点から満足すべ
き脂質がないのが実情である。

【０００４】これ迄、リノール酸に対するエイコサペン
タエン酸および／またはドコサヘキサエン酸の含有量が
１〜３０％になるように調製された構成脂肪酸を含む栄
養食品が、血栓症、動脈硬化の予防・治療に使用されう
ることは知られている（特開昭６０−２１６２）。また
、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、γ−リ
ノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸のような高度不飽和
脂肪酸を脂質中に５重量％以上含有している経管栄養組
成物も知られている（特開昭６１−５８５６０）。しか
しながら、これらとて術後早期の免疫賦活の点からは満
足すべきものではない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
、術後早期に免疫能を発揮する脂質について鋭意検討し
た結果、驚くべきことに、ω−３系脂肪酸またはω−３
系脂肪酸を脂肪酸構成成分とするエステル、リン脂質も
しくはグリセリドが、ＮＫ細胞の活性を高めて、術後早
期に免疫能を改善しうることを見出した。

【０００６】また、本発明者らは、ω−３系脂肪酸とω
−６系脂肪酸とが一定の割合で共存するときに、ω−３
系脂肪酸とω−６系脂肪酸とが拮抗的に作用して、術後
早期にＮＫ活性を発揮することを見出した。

【０００７】本発明者らは、かかる知見に基づき更に検
討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである
。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ω
−３系脂肪酸またはω−３系脂肪酸を脂肪酸構成成分と
するエステル、リン脂質もしくはグリセリドを含有する
免疫賦活油脂加工品に関するものである。

【０００９】本発明はまた、免疫賦活油脂加工品の構成
脂肪酸中、ω−３系脂肪酸としての含有量が、ω−６系
脂肪酸に対して１〜８倍量、好ましくは３〜７倍量にな
るように調整されている上記免疫賦活油脂加工品に関す
るものである。

【００１０】本発明の油脂加工品はＮＫ細胞の活性を高
めるので、術後早期に投与することにより免疫能の低下
を抑えかつ合併症（感染）を防止することが可能である
。Ｔ細胞およびＢ細胞が免疫的効果を発揮するまでに数
日から数十日かかるのに対して、ＮＫ細胞はＴ細胞やＢ
細胞に属さないリンパ球であって、体内に入ってきた異
物（特にウイルス等）に対して即座に食作用を示す。 従って、ＮＫ細胞は、術後の物理的侵襲が加わって免疫
能が低下した状況下で早期に免疫能を発揮し、Ｔ細胞が
分化するまでまたＢ細胞から抗体が産生されるまで、合
併症（感染）を最小限に留めておく上で重要な働きをし
ている。

【００１１】本発明の油脂加工品は、ＮＫ細胞の活性増
強剤としての経腸用脂肪製剤であり、例えばカプセル剤
、液剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、懸濁剤、乳剤などの種
々の剤型で、公知の経腸栄養剤に添加して投与すること
が出来る。この場合の投与量は、成人に対して１日当り
ω−３系脂肪酸またはω−３系脂肪酸を構成脂肪酸とす
るエステル、リン脂質もしくはグリセリドを、ω−３系
脂肪酸として、０．１〜５０ｇの範囲、好ましくは０．
３〜４０ｇの範囲の量とされる。

【００１２】ω−３系脂肪酸等は天然に存在する高級不
飽和脂肪酸であって、実際上毒性を有しないものである
ので、上記した投与量を超える量で投与することも可能
である。

【００１３】本発明の油脂加工品は、例えば、糖質、蛋
白質またはその分解物、脂質、ミネラルおよびビタミン
などを主成分とする既知の経管栄養組成物、ならびに既
知の栄養食品等に添加して使用することができる。

【００１４】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。

【００１５】

【実施例１】胃部分切除術が施行された胃癌症例１２例
をそれぞれ６例ずつの２群に分け、術中にトライツ靭帯
より３０ｃｍ肛門側の空腸に８Ｆｒの経腸用チューブを
約３０ｃｍ挿入し術後の投与ルートとした。

【００１６】経腸栄養剤としては、アミノ酸１７．６重
量％、大豆油０．６重量％およびデキストリン７９．４
重量％ならびに残りビタミンおよびミネラルからなるも
のを使用した。この栄養剤８０ｇに、以下の構成脂肪酸
組成を有する油脂加工品ＡおよびＢを３０ｇを添加し、
Ａ群およびＢ群とし無脂肪経静脈栄養剤群をコントロー
ルとした。

【００１７】

【表１】 投与方法および投与速度は、次の通りである。

【００１８】経腸栄養剤８０ｇに油脂加工品ＡおよびＢ
３０ｇを添加し、微温湯にて溶解し全量を４００ｍｌと
した。これを、術翌日より５０ｍｌ／ｈｒ×２単位、第
２病日より７０ｍｌ／ｈｒ×３単位、第３病日より第７
病日までは８０〜１００ｍｌ／ｈｒ×４単位投与し、Ｎ
Ｋ活性などについて各群間で比較検討した。

【００１９】各油脂加工品と経腸栄養剤とは容易に混和
し、この混合物の経腸用チューブの通過性も良好で、チ
ューブの閉塞も無かった。

【００２０】血清中脂肪酸含量の術前値に対する術後７
日目の値の変化率は、Ａ群の場合、Ｃ２０：５、Ｃ２２
：６といったω−３系脂肪酸は有意の上昇（それぞれ４
８９％および１３６％）が認められ、逆にＣ１８：２、
Ｃ２０：４といったω−６系脂肪酸は減少（９１％およ
び９３％）が認められた。また、Ｂ群の場合、ω−６系
脂肪酸はほぼ術前値が維持された。

【００２１】ＮＫ活性については、公知の方法に従って
術前および術後７日目の比活性を測定し、術前に対する
術後の比を計算したところ、Ａ群の場合、１よりも高く
活性の上昇が認められたが、Ｂ群の場合、ほぼ１であっ
て活性は変らず、またコントロールの場合、１よりも低
く活性の減少が認められた。結果は図１に示される。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ａ群、Ｂ群、Ｃ群についての術後／術前のＮＫ
活性の比を棒グラフで示すものである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ω−３系脂肪酸またはω−３系脂肪酸
   を脂肪酸構成成分とするエステル、リン脂質もしくはグ
   リセリドを含有する免疫賦活油脂加工品。
2. 【請求項２】　　免疫賦活油脂加工品の構成脂肪酸中、
   ω−３系脂肪酸としての含有量が、ω−６系脂肪酸に対
   して１〜８倍量になるように調整されていることを特徴
   とする請求項１に記載の免疫賦活油脂加工品。