JPH0427611Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、衛生陶器素地又は陶芸素地等を泥漿
鋳込み成形する際に用いる泥漿鋳込み型の改良に
関する。

【従来の技術】

従来、泥漿鋳込み型は、複数個の分割型部材を
組合せることにより、内部に鋳込み空間を形成し
たものである。泥漿鋳込み型の一例としては、第
３図に示すものがある。この泥漿鋳込み型１は、
洋風便器素地を成形するものであつて、石膏等で
成形した分割型部材を上型２と下型３と横型４，
５とで構成し、これら分割型部材を組合わせて内
部に鋳込み空間６を形成してある。この泥漿鋳込
み型１を用いた鋳込み作業は、次の如き手順で行
なわれる。先ず、乾燥させた泥漿鋳込み型１の下
型３の排泥口３ａを栓体７で閉塞した後、上型２
の泥漿供給口２ａから泥漿を供給して鋳込み空間
６内を泥漿で充満させる。充満した泥漿は、泥漿
中の水分の一部が時間の経過と共に上型２、下型
３及び横型４，５に吸水され、これら型の内表面
で泥漿中の粉体成分の一部が着肉層８となる。次
に、所定時間が経過しならば、下型３から栓体７
を外すことにより鋳込み空間６内から未着肉の泥
漿９を排出した後、適宜時間放置して着肉層８の
含水率を低下させる。最後に、分割型部材である
上型２、下型３及び横型４，５を分割する脱型作
業を経て洋風便器素地を得る。なお、分割した上
型２、下型３及び横型４，５は、最適含水率（例
えば、0.1〜0.2％）となるまで乾燥させて次の泥
漿鋳込み工程に用いる。

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記上型２は、鋳込み空間６を形成
する内表面２ｂの単位表面積Ａとこの単位表面積
Ａを形成する吸水層２ｃの体積Ｖとの比率Ａ／Ｖ
を、内表面２ｂの曲率が大きいな実質的に平坦と
みなすことができる平坦領域２−１，２−２と内
表面２ｂの曲率が小さな凹凸領域２−３とで比較
したとき、凹凸領域２−３の方が相当小さい。こ
のことは、泥漿鋳込みの終了した上型２を乾燥さ
せるとき、凹凸領域２−３の方が平坦領域２−
１，２−２よりも乾燥し難いことを意味する。そ
こで、上型２を乾燥させる際には、凹凸領域２−
３の乾燥を促進するために、凹凸領域２−３に向
つて扇風機等で強制的に風を吹付て行なわれてい
た。上型２が乾燥したか否かの判定は、作業者が
内表面２ｂに手を接触させて経験に基づいて行な
つていた。ところが、吸水層２ｃの内部の乾燥に
ついては、層厚み及び内表面２ｂの面積等の諸条
件に影響されるため、内表面２ｂの乾燥状況だけ
で判断することは難しく、殊に凹凸領域２−３の
判断は非常に困難である。このため、作業者は、
上型２の乾燥判定を誤断することがあり、凹凸領
域２−３の吸水層２ｃの内部が未乾燥又は過乾燥
の上型２を泥漿鋳込み工程に送り出すことがあ
る。 吸水層２ｃの内部が未乾燥又は過乾燥の上型２
で鋳込み成形したときには、この様な吸水層２ｃ
に対応する箇所の着肉層８が所定の含水率となら
ず、脱型する際に変形又は切断し、規格通りの鋳
込み成形素地を得ることができない。 本考案は、上記問題点を解決するために、吸水
層の含水率を適宜検知することが可能な水分セン
サーを埋設した泥漿鋳込み型の提供を目的とす
る。

【課題を解決するための手段】

本考案に係る水分センサーを埋設した泥漿鋳込
み型（以下、「本案型」としう）の要旨は、泥漿
鋳込むための泥漿鋳込み型において、吸水層に水
分センサーを埋設し、この水分センサーのリード
線を外部に引出したことである。

【作用】

水分センサーのリード線を水分測定器に接続す
れば、吸水層における水分センサーが埋設された
箇所の水分率を容易に測定することができる。こ
の測定した含水率に基づいて型の乾燥状態を知る
ことができ、最適含水率の型を泥漿鋳込み工程に
送出すことが可能となる。

【実施例】

以下、本案型を図面に示す実施例に基づいて説
明する。 第１図は本案型を洋風便器素地の泥漿鋳込みに
用いた状態を示す縦断面図、第２図は本案型の製
作工程の途中を示す縦断面図である。 本案型１１は、上型１２の吸水層１２ｃに水分
センサー１９を埋設し、この水分センサー１９の
リード線２０を外部に引出したことに特徴があ
る。水分センサー１９を埋設する最適な箇所とし
ては、脱型のときに着肉層８に亀裂が発生し易い
所に対応する箇所であり、例えば内表面１２ｂの
単位表面積Ａとこの単位表面積Ａを形成する吸水
層１２ｃの体積Ｖとの比率Ａ／Ｖが小さくなる凹
凸領域１２−３（洋風便器素地の便器鉢の底部を
成形する領域）である。水分センサー１９は、直
流電気抵抗式等の適宜形式のものが選択され、泥
漿鋳込み成形に影響を与えないように小型のもの
を選択すると共に内表面２２ｂから30〜50mmの深
さの層内部に埋設する。 水分センサー１９が埋設された上型１２を用い
た本案型１１は、泥漿鋳込み成形が終了した後、
乾燥工程に送られる。この乾燥工程において、上
型１２は、水分センサー１９のリード線２０を水
分測定器２７に接続することにより、水分センサ
ー１９が埋設された吸水層２２ｃ内部の水分率が
測定される。上型１２は、最適含水率（例えば
0.1〜0.2％）となつたときに、その乾燥が停止さ
れる。 次に、水分センサー１９を埋設した上型１２の
製造手順を第２図に基づいて説明する。先ず、上
ケース型２２の下面所定箇所に合成樹脂等からな
る固定具２１を配設し、この固定具２１に水分セ
ンサー１９及びリード線２０を固定すると共にリ
ード線２０の先端２０ａを供給口２２ａから外部
に引出す。次に、上ケース型２２、下ケース型２
３及び横ケース型２４，２５を組合せて内部に空
間２６を形成する。続けて、上ケース型２２の供
給口２２ａから石膏液等からなる型材料２８を流
し込んで空間２６内を型材料２８で充満させる。
所定時間の経過により型材料２８が硬化したなら
ば、最後に、上ケース型２２、下ケース型２３及
び横ケース型２４，２５を分割して上型１２（第
１図参照）を得る。

【考案の効果】

以上詳述の如く、本案型は、含水率の測定によ
り、最適含水率の型を泥漿鋳込み成形工程へ確実
に送出すことができる。その結果、本案型は、鋳
込み成形工程における脱型の際に着肉層が変形又
は切断することなく規格通りの成形素地を得るこ
とが可能となり、歩留の向上が図れる実用的効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案型を洋風便器素地の泥漿鋳込みに
用いた実施例を示す縦断面図、第２図は本案型の
製作工程の途中を示す縦断面図、第３図は従来の
泥漿鋳込み型を示す縦断面図である。 ２２ｃ……吸水層、１９……水分センサー、２
０……リード線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 泥漿を鋳込むための泥漿鋳込み型において、吸
   水層に水分センサーを埋設し、この水分センサー
   のリード線を外部に引出したことを特徴とする水
   分センサーを埋設した泥漿鋳込み型。