JPH0427273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は新規な低漏洩磁束型スピーカーに関す
る。詳しくは、漏洩磁束を著しく低下せしめるこ
とができると共に、組立て作業が容易で、コスト
の低減を図ることもできる新規な低漏洩磁束型ス
ピーカーを提供しようとするものである。

背景技術とその問題点 スピーカーの漏洩磁束は回路に種々の影響を与
えるため極力小さいことが好ましい。特に、カラ
ーテレビジヨン受像機においては、ブラウン管に
近接してスピーカーが配置されることが多いた
め、スピーカーの漏洩磁束が大きいとこれによつ
て電子ビームの照準が狂わされ色ずれの原因とな
つたりする不都合がある。

そこで、漏洩磁束を低減するための種々の工夫
が提案されているが、その中に漏洩磁束を打ち消
すための別のマグネツトを設けたものがある（特
公昭36−15851号公報参照）。

これは基本的には第６図に示す如きものであ
る。即ち、界磁部ａを、センターポールｂを備え
たヨーク板ｃと、前記センターポールｂを囲むよ
うにヨーク板ｃに支持されたメインマグネツトｄ
と、該メインマグネツトｄの反ヨーク板側に配置
され前記センターポールｂとの間にボイスコイル
のために空隙ｅを形成する中心孔ｆを有するプレ
ートｇと、磁化方向がメインマグネツトｄと逆に
されると共に前記ヨーク板の反メインマグネツト
側に支持された環状の補助マグネツトｈと、凹状
空間ｉを有し該空間ｉの奥部で前記補助マグネツ
トｈと接し開口部において前記プレートｇと適当
な間隙ｊを有するように配置されたバツクカバー
ｋとによつて構成したものである。

このようにすることによつて、間隙部ｊに生じ
るメインマグネツトｄの磁束を同じ箇所ｊに生じ
る補助マグネツトｈの磁束によつて打ち消して、
これによつて、界磁部ａからの漏洩磁束を低減し
ようとするものである。

ところが、このような界磁部ａでは間隙部ｊが
あるため、漏洩磁束を思つたより低くすることが
できないという問題の他、各マグネツトｄ，ｈの
磁束の利用効率に無駄がある等の問題がある点に
鑑みて、プレートｇの周縁部とバツクカバーｋの
開口部とを結合した第７図に示す如きものが提案
されている（特開昭55−118299号公報参照）。尚、
第７図のものにおける各部材は第６図に示したも
のと殆んど同様であるので、第６図において付し
た符号と同じ符号を付して説明は省略する。とこ
ろで、第７図のものにあつては、プレートｇの外
径とバツクカバーｋの開口部内径とがぴつたりと
一致するように精度良く形成しない限り、両者を
間隙が生じないように係合することは不可能であ
る。少しでも寸法が狂うと、結合不能となつた
り、あるいはまた間隙が生じ漏洩磁束が生じてし
まう。

従つて、第７図に示したものは机上の論として
可能でも、実用上、即ち、コスト、製造の容易性
等の点から見れば実施することは殆んど不可能に
近いといつても過言ではない。

考案の目的 本考案は、従来のスピーカーにあつた上記した
問題点に鑑みて為されたものであり、漏洩磁束を
著しく低下せしめることができると共に、組立て
作業が容易で、コストの低減を図ることもできる
新規な低漏洩磁束型スピーカーを低減することを
目的とする。

考案の概要 センターポールを備えたヨーク板と、前記セン
ターポールを囲むようにヨーク板上に配設された
環状のメインマグネツトと、該メインマグネツト
の上記に配設され前記センターポールとの間にボ
イスコイルのための空隙を形成する中心孔を有す
るプレートと、磁化方向がメインマグネツトと逆
にされると共に前記ヨーク板の下面側に配設され
た環状の補助マグネツトと、前記のメインマグネ
ツト、ヨーク板及び補助マグネツトを収納する凹
状空間を有し該空間の底面部で補助マグネツトと
当接すると共に、開口部先端の直径が前記プレー
トの外径より稍小さいバツクカバーとから成る界
磁部を備えた低漏洩磁束型スピーカーであつて、
前記プレートの下面側周縁部に全周に亘つてバツ
クカバーの開口部先端と嵌合する嵌合部を設け、
この開口部に前記バツクカバーの開口部先端を嵌
入することによつて前記開口部先端と前記プレー
トの周縁部とを結合すると共に、前記嵌合部に嵌
入されたバツクカバーの嵌合部先端の内面及び外
面のうち少なくとも一方の面が前記嵌合部の位置
規制面と当接することによつて前記開口部先端の
前記プレートに対する半径方向の位置が規制され
ることを特徴とする。

実施例 以下に、本考案低漏洩磁束型スピーカーの詳細
を図示した各実施例に従つて説明する。

第１の実施例 第１図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第１
の実施例１を示すものである。

図中２は界磁部であり、センターポール３を備
えたヨーク板４と、メインマグネツト５と、プレ
ート６と、補助マグネツト７と、そして、バツク
カバー８とから成る。

ヨーク板４は磁性体から成り、その前面の中心
から同じく磁性体から成るセンターポール３が一
体的に突設されている。メインマグネツト５は環
状をしており、ヨーク板４の前面にセンターポー
ル３を囲むように配置固定されている。プレート
６は磁性体から成り、メインマグネツト５の前面
に固着されている。プレート６の中心部には中心
孔９が形成されており、前記センターポール３は
この中心孔９に挿通され、センターポール３と中
心孔９との間に図示しないボイスコイルが挿通さ
れるギヤツプ１０が形成される。

１１はプレート６の周縁部後面に全周に亘つて
形成された嵌合溝であり、その奥面１１ａが前記
バツクカバー８の開口部先端面１２が突設する突
接面とされ、また、溝１１の側面１１ｂ，１１ｂ
がバツクカバー８の開口部先端面１２のプレート
６の半径方向に対する位置を規制するための位置
規制面とされている。そして、この嵌合溝１１の
幅、即ち、位置規制面１１ｂと１１ｂとの間の間
隙はバツクカバー８の開口部の厚さより稍大きく
されている。

補助マグネツト７は環状をしており、前記ヨー
ク板４の後面に固着されている。そして、この補
助マグネツト７はその磁化方向が前記メインマグ
ネツト５と逆向きにされている。即ち、メインマ
グネツト５と補助マグネツト７とはそのヨーク板
４に固着された側の面が同極となるようにされて
いる。

バツクカバー８は凹状空間１３を有するように
形成されており、その奥部前面に前記補助マグネ
ツト７が固着されている。また、バツクカバー８
の前面開口部の径は前記プレート６に形成された
環状の嵌合溝１１の径と略同じになるように形成
されている。そして、バツクカバー８の開口先端
部１４はプレート６の嵌合溝１１に嵌合され、こ
の状態が接着等によつて固定される。そして、こ
の状態において、バツクカバー８の開口部先端面
１２はプレート６の嵌合溝１１の突接面１１ａに
突設し、また、バツクカバー８の開口先端部１４
の両側面の少なくとも一は嵌合溝１１の位置規制
面１１ｂ，１１ｂの少なくとも一と接触する状態
となる。

上記したスピーカー１においてはバツクカバー
８の開口部がプレート６の周縁部全周に亘つて確
実に接触するため、バツクカバー８の開口部とプ
レート６の周縁部との間から漏洩磁束が発生する
ことがなく、従つて、漏洩磁束をきわめて低い値
に抑えることができる。

しかも、バツクカバー８とプレート６との結合
は、プレート６に形成した嵌合溝１１にバツクカ
バー８の開口先端部１４を嵌合するという方法に
よつて達成されるので、寸法上多少バラツキがあ
つても、両者の結合に支障を来すことがない。

更に、メインマグネツト５と補助マグネツト７
とはそれぞれ着磁された状態で組み込まれるた
め、両者の反発力が働き各部材の組み付けに際し
て半径方向への位置ずれを起し易いものである
が、上記スピーカー１においては、バツクカバー
８の開口先端部１４をプレート６の嵌合溝１１に
嵌合することによつて、位置規制面１１ｂ，１１
ｂがバツクカバー８の開口先端部１４のプレート
６の半径方向に対する位置を規制するため、セン
ターポール３−ヨーク板４−メインマグネツト５
−プレート６から成る第１の組立体と、補助マグ
ネツト７−バツクカバー８から成る第２の組立体
に予め組み立てておき、それからこれら第１及び
第２の組立体を結合する、という組立順序を採る
ことによつて、上記各部材をきわめて精度良く、
かつ、容易に組み付けることができる。

第２の実施例 第２図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第２
の実施例１Ａを示すものである。尚、この第２の
実施例及び以後に説明する実施例は何れも、プレ
ート４とバツクカバー８との係合部の構造のみが
前記第１の実施例１と異なるだけであるので、そ
の異なる点についてのみ詳細に説明し、前記第１
の実施例１と同じ部分には第１の実施例１におい
て付した符号と同一の符号を付して説明は省略す
る。

１５はプレート６の周縁部の後面側に全周に亘
つて形成された切欠であり、この切欠１５を構成
している２つの面のうち、プレート６の前面と略
平行に延びる面１５ａが突接面となり、該突接面
１５ａに対して垂直に延びる面１５ｂが位置規制
面となる。

しかして、バツクカバー８の開口部先端部１２
はプレート６の突接面１５ａに突設し、また、バ
ツクカバー８の開口先端部１４の内面がプレート
６の位置規制面１５ｂと当接する。

この第２の実施例１Ａにおいても、バツクカバ
ー８はその開口先端部においてプレート６と確実
に接触する共に、バツクカバー８とプレート６と
の位置合せが為されるので、前記第１の実施例１
におけると同様の効果を奏することができる。

変更例 第３図は前記第２の実施例１Ａの変形例を示す
ものであり、これはプレート６に形成される位置
規制面１５b′を前面側に行くに従つて外方へ変位
する傾斜面とし、これに対応して、バツクカバー
８の開口先端部１４′を外開きになるように傾斜
させたものである。

このように構成することによつて、組み付け性
が向上すると共に、バツクカバー８の開口先端部
１４′のプレート６周縁部に形成された各面１５
ａ，１５b′への接触もより確実に為される。

第３の実施例 第４図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第３
の実施例１Ｂを示すものである。

この実施例１Ｂにおいては、プレート６の周縁
部に後方へ突出する環状の突条１６を一体に形成
し、プレート６の後面のうち突条１６に接した面
１６ａを突接面とし、突条１６の内側面１６ｂを
位置規制面としたものである。

従つて、この実施例１Ｂにおいても、バツクカ
バー８の開口先端部１４はプレート６に形成され
た突接面１６ａ及び位置規制面１６ｂと突設及び
当接し、これによつて前記第１の実施例１におけ
る同様の効果を奏する。

尚、この第３の実施例１Ｂにおいて、前記第２
の実施例１Ａの変形例におけると同様に、位置規
制面１６ｂを傾斜面とし、また、バツクカバー８
の開口先端部１４を傾斜させても良い。ただ、こ
の場合傾斜の方向は前記第２の実施例の変形例と
は逆になり、位置規制面１６ｂは前方に行くに従
い内側へ変位する傾斜面とされ、バツクカバー８
の開口先端部１４はこれに対応した形成に傾斜せ
しめられる。

第４の実施例 第５図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第４
の実施例１Ｃを示すものである。

この実施例１Ｃにおいては、バツクカバー８の
開口先端部１４Ｃは略「く」の字状に屈曲され、
それに対応して、プレート６の嵌合溝１１Ｃが第
１の実施例１におけるもの１１より幅広に形成さ
れている。

これによりバツクカバー８の開口先端部１４ｃ
はプレート６の嵌合溝１１Ｃに圧入状に嵌合さ
れ、プレート６とバツクカバー８との結合がより
確実となる。

尚、上記何れの実施例においても、バツクカバ
ー８を多少ばね性を有する材料によつて形成する
と、上記効果を確実に奏することができるし、ま
た、寸法精度を多少粗くすることができる。

尚、上記何れの実施例においても、互いに結合
される各部材間には接着剤を介在させるようにす
ると、互いの結合を強固にすることができる。ま
た、プレートの周縁部とバツクカバーの開口先端
部との間にも接着剤を介在させるようにしても良
い。

考案の効果 以上に記載したところから明らかなように、本
考案低漏洩磁束型スピーカーは、センターポール
を備えたヨーク板と、前記センターポールを囲む
ようにヨーク板上に配設された環状のメインマグ
ネツトと、該メインマグネツトの上面に配設され
前記センターポールとの間にボイスコイルのため
の空隙を形成する中心孔を有するプレートと、磁
化方向がメインマグネツトと逆にされると共に前
記ヨーク板の下面側に配設された環状の補助マグ
ネツトと、前記のメインマグネツト、ヨーク板及
び補助マグネツトを収納する凹状空間を有し該空
間の底面部で補助マグネツトと当接すると共に、
開口部先端の直径が前記プレートの外径より稍小
さいバツクカバーとから成る界磁部を備えた低漏
洩磁束型スピーカーであつて、前記プレートの下
面側周縁部に全周に亘つてバツクカバーの開口部
先端と嵌合する嵌合部を設け、この嵌合部に前記
バツクカバーの開口部先端を嵌入することによつ
て前記開口部先端と前記プレートの周縁部とを結
合すると共に、前記嵌合部に嵌入されたバツクカ
バーの開口部先端の内面及び外面のうち少なくと
も一方の面が前記嵌合部の位置規制面と当接する
ことによつて前記開口部先端の前記プレートに対
する半径方向の位置が規制されることを特徴とす
る。従つて、本考案においては、プレートの周縁
部とバツクカバーの開口部先端とを確実にピツタ
リと結合できるので、漏洩磁束をきわめて低い値
に抑えることができる。また、バツクカバーの開
口先端のプレートに対する位置を規制することも
できるので、メインマグネツトと補助マグネツト
との間に反発力が働いているにもかかわらず、各
部材間の位置合わせを正確にかつ容易に為すこと
もできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第１
の実施例を示す要部の縦断面図、第２図は本考案
低漏洩磁束型スピーカーの第２の実施例を示す要
部の縦断面図、第３図は第２の実施例の変形例を
示す要部の縦断面図、第４図は本考案低漏洩磁束
型スピーカーの第３の実施例を示す要部の縦断面
図、第５図は本考案低漏洩磁束型スピーカーの第
４図の実施例を示す要部の縦断面図、第６図は従
来の低漏洩磁束型スピーカーの一例を示す要部の
縦断面図、第７図は従来の低漏洩磁束型スピーカ
ーの別の例を示す要部の縦断面図である。 符号の説明、１……低漏洩磁束型スピーカー、
１Ａ……低漏洩磁束型スピーカー、１Ｂ……低漏
洩磁束型スピーカー、１Ｃ……低漏洩磁束型スピ
ーカー、２……界磁部、３……センターポール、
４……ヨーク板、５……メインマグネツト、６…
…プレート、７……補助マグネツト、８……バツ
クカバー、９……中心孔、１０……空隙、１１…
…嵌合部、１１ｂ……位置規制面、１２……開口
部先端、１３……凹状空間、１５……嵌合部、１
５ｂ……位置規制面、１５b′……位置規制面、１
６……嵌合部、１６ｂ……位置規制面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 センターポール３を備えたヨーク板４と、 前記センターポール３を囲むようにヨーク板４
   上に配設された環状のメインマグネツト５と、 該メインマグネツト５の上面に配設され前記セ
   ンターポール３との間にボイスコイルのための空
   隙１０を形成する中心孔９を有するプレート６
   と、 磁化方向がメインマグネツト５と逆にされると
   共に前記ヨーク板４の下面側に配設された環状の
   補助マグネツト７と、 前記のメインマグネツト５、ヨーク板４及び補
   助マグネツト７を収納する凹状空間１３を有し該
   空間１３の底面部で補助マグネツト７と当接する
   と共に、開口部先端の直径が前記プレート６の外
   径より稍小さいバツクカバー８とから成る界磁部
   ２を備えた低漏洩磁束型スピーカーであつて、 前記プレート６の下面側周縁部に全周に亘つて
   バツクカバー８の開口部先端１２と嵌合する嵌合
   部１１，１５，１６を設け、 この嵌合部１１，１５，１６に前記バツクカバ
   ー８の開口部先端１２を嵌入することによつて前
   記開口部先端１２と前記プレート６の周縁部とを
   結合すると共に、 前記嵌合部１１，１５，１６に嵌入されたバツ
   クカバー８の開口部先端１２の内面及び外面のう
   ち少なくとも一方の面が前記嵌合部１１，１５，
   １６の位置規制面１１ｂ，１５ｂ，１６ｂと当接
   することによつて前記開口部先端１２の前記プレ
   ート６に対する半径方向の位置が規制される。 ことを特徴とする低漏洩磁束型スピーカー