JPH04267761A - 金属−プラスチック複合蓋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、注射用薬液や点滴用薬
液等の薬液を収納する容器用の密封蓋として適した、金
属とプラスチックからなる複合蓋に関するもので、より
詳細には、頂板部中央に開口部を設け、その周囲に固定
用スカート部を備えた金属製内蓋と、該開口部と密封係
合し、且つ、該頂板部と接着力を制御して密着したプラ
スチック外蓋とから成る複合蓋に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より注射用薬液や点滴用薬液等の薬
液を収納するための容器の密封用外装蓋が各種提案され
ている。例えば、特開昭５９−１４２９４９号公報には
、孔部を形成された天板と、該天板の周縁部から垂下す
るスカート部とを有する金属シェルと、該孔部を閉じる
プラスチック板状体よりなるキャップであって、該プラ
スチック板状体は、該孔部の内側に開封のための可除部
を画定する薄肉部が形成され、かつ該可除部には外方に
突出した摘み部が１体に形成されており、該プラスチッ
ク板状体は、その周辺部が該天板の孔部辺縁部の外面お
よび内面を挟むようにして押型成形によって形成されて
いて、該周辺部は該天板の孔部辺縁部に密接しているこ
とを特徴とするキャップが記載されている。

【０００３】ここに開示されているキャップも、薬液用
容器の密封蓋を意図したものであって、金属シェルの天
板に形成された孔部を閉じる状態でプラスチック板状体
が配置されており、該プラスチック板状体は、その周辺
部が、該天板の孔部辺縁部の外面および内面を挟むよう
にして形成されているため、金属シェルとプラスチック
板状体は孔部辺縁部で密接され、それらの間にガタツキ
や隙間がなく、蒸気滅菌処理や冷却時、又は保管時に埃
や雑菌が入りにくい構造を有している点で、薬液用容器
の密封蓋として評価されるものである。

【０００４】しかしながら、上記キャップは、プラスチ
ック板状体が金属シェルの孔部辺縁部においてのみその
外面および内面を挟むように密接係合しているだけであ
って、金属シェルとプラスチック板状体が接着している
訳でもないので、通常の蒸気滅菌処理や保管に際しては
密封蓋として一応の機能を有するものであるが、過酷な
各種処理や、運搬等に際しては、密封性の点で必ずしも
十分に満足しうるものとはいい難い。

【０００５】また、実開昭５４−１２８８５９号公報に
は、密閉ゴム栓１と金属製口金２とプラスチック製蓋体
３とから成り、蓋体３を指先で開封して金属製口金２の
頂面中央部に穴をあける薬用瓶蓋に於て、プラスチック
蓋体３の裏面の突出部３Ａを口金２の穴２Ａに差し込ん
で突出部３Ａの下端周３Ｂを口金２の裏面に熔着し、穴
２Ａと同心の環状剥切用筋条２Ｂを穴２Ａの外方に於て
口金２に設け、蓋体３の裾部３Ｃの内面に口金２の裾部
２Ｃに圧着する空気流通遮断用の環状リップ３Ｄを具え
た薬用瓶蓋が記載されている。

【０００６】上記薬用瓶蓋においては、予め成形された
プラスチック製蓋体の裏面に設けられた突出部を、金属
製口金の穴に差し込んで、突出部の下端周を口金の裏面
に熔着し、金属製口金とプラスチック製蓋体とはその部
分においてのみ密接係合し、さらに口金裾部に圧着する
ように形成した環状リッブで補助的に空気の流通を遮断
する構造を有している。

【０００７】しかしながら、この薬用瓶蓋も前記特開昭
５９−１４２９４９号公報記載の発明と同様に、過酷な
各種処理や運搬等に際しては密封性に問題があり、薬液
収納容器の密封用外装蓋としては信頼性に欠けるもので
ある。このように、この種容器の外蓋は、殆んどがオレ
フィン系樹脂で成形されており、この樹脂は、金属とは
殆んど接着性を示さないため、従来の複合蓋は、プラス
チック外蓋の中央下面に、金属製内蓋の開口部に係合す
るための突起部を形成しておき、両者を成形型内にセッ
トし、加熱されたポンチによってプラスチック外蓋の突
起部を溶融と同時に金属製内蓋の開口部周縁に溶着させ
ることによって係合部を形成し、両者を密接させていた
ものである。オレフィン系樹脂と金属との接着性が悪い
という技術的認識が前提にある以上、複合蓋におけるこ
のような係合は、使用時の開封作業の容易さとも相埃っ
て、むしろ当然とられるべき手段であるということがで
きる。

【０００８】しかるに、従来提起されている密封用外装
蓋は、いずれも金属蓋とプラスチック蓋が物理的に密接
係合しているだけで、接着されているものでないため蓋
周方向には回転するものであり、この回転が度重なると
次第に係合部に隙間ができてしまい雑菌の侵入を許す結
果を招き、密封用外装蓋としての機能を失うに至る。

【０００９】また前記従来の密封用外装蓋の欠点を解消
するものとして、例えば特開平１−２１３１６７号公報
及び、特開平１−３１７７４７号公報には、頂板部とそ
の周囲の固定用スカート部と、頂板部中央の開口部とを
備えた金属製内蓋及び内蓋頂板部の上面を覆う大径の頂
板部と、内蓋スカート部の上部外周に位置する短いスカ
ート部と、内蓋開口部と密封係合する離脱可能な係合部
とを備えたプラスチック外蓋から成り、該金属製内蓋は
少くとも頂板部上面に剥離可能に密着する接着性塗料層
即ち凝集破壊性密着剤含有塗料層を有し、該プラスチッ
ク外蓋は前記凝集性密着剤含有塗料層を介して内蓋に対
して蓋軸方向に剥離可能に密着している金属−プラスチ
ック複合蓋及びその製造方法が開示されている。この金
属−プラスチック複合蓋は、従来の密封用外装蓋におけ
る不十分な密封信頼性を高め、過酷な各種処理や運搬等
に際しても十分な密封信頼性を保持するとともに、開封
に際しては易剥離性を示す程度の密着構造を有するもの
である。

【００１０】しかしながら、これらの金属−プラスチッ
ク複合蓋においても、プラスチック外蓋の易開封性が必
ずしも十分でない。凝集破壊性密着剤含有塗料層を介し
ての内蓋の接着性が経時、温度変化によって影響され、
また金属製内蓋スカート部とその上部外周を覆うプラス
チック外蓋の短いスカート部との間が開いていないため
、プラスチック外蓋プラスチックの成形収縮によるタガ
締め力が外蓋開封に影響する。また一度外した外蓋は内
蓋上に固定できるため、すでに開封されたものか未開封
かの判別が困難で、開封してイタヅラされても判らず不
正使用が防止できない。

【００１１】

【発明が解決しようとする問題点】本発明は、従来の密
封用外装蓋における不十分な密封信頼性を高め、過酷な
各種処理や運搬等に際しても十分な密封信頼性を保持す
るとともに、開封に際しては外蓋が内蓋から易剥離性を
示す程度の密着構造を有する薬液収納容器等の密封用外
装蓋を得ようとするものである。更に一度外蓋を内蓋か
ら外したら再使用できず不正使用を防止できる密封信頼
性の密封用外装蓋を得ようとするものである。

【００１２】

【問題点を解決するための手段】本発明によれば、頂板
部と、その周囲の固定用スカート部と、頂板部中央の開
口部とを備えた金属製内蓋；内蓋頂板部の上面を覆う大
径の頂板部と、内蓋スカート部の上部外周に位置する短
いスカート部とを備えたプラスチック外蓋；及び金属製
内蓋外面とプラスチック外蓋内面との間に介在して両者
を剥離可能に密着する接着性塗料層；から成る金属−プ
ラスチック複合蓋において、前記接着性塗料層の内面側
或いは外面側には、接着性塗料層とプラスチックとの接
着力を非接着性乃至弱接着性に制御する接着力制御剤層
が、その非塗布部分が周方向には連続するが径方向には
部分的に分布して存在するように設けられていることを
特徴とする金属−プラスチック複合蓋が提供される。

【００１３】前記プラスチック外蓋はオレフィン樹脂か
ら成り、前記接着性塗料層は、凝集破壊性密着剤及び変
性オレフィン樹脂を含有することが密封信頼性と開封時
の易剥離性を具備する上に好適である。また金属製内蓋
スカート部とその上部外周に位置するプラスチック外蓋
の短かいスカート部との間を開けていることが好適であ
る。

【００１４】更にまた、前記プラスチック外蓋はオレフ
ィン樹脂から成り、前記金属製内蓋の内面に変性オレフ
ィン樹脂含有接着性塗料層が設けられ、プラスチック外
蓋が内蓋開口端縁を越えて内蓋開口内面に接着する係合
部が設けられていることが好適である。

【００１５】

【作用】本発明の金属−プラスチック複合蓋は、（ｉ）
頂板部の中央に開口部を有する金属製内蓋の外面と対応
するプラスチック外蓋の内面との間に両者を剥離可能に
密着する接着性塗料層を有すること、（ｉｉ）　前記接
着性塗料層の内面側或いは外面側には、接着性塗料層と
プラスチックとの接着力を非接着性乃至弱接着性に制御
する接着力制御剤層が、その非塗布部分が周方向には連
続するが径方向には部分的分布して存在するように設け
られていることに特徴を有する。

【００１６】そして、本発明の複合蓋では、プラスチッ
ク外蓋と金属製内蓋とが雑菌や水分の侵入を防止し、且
つ過酷な処理や運搬等においても、偶発的な脱落が防止
されるように十分な密封信頼性を持って密着されている
が、外蓋を指で上方に押上げると比較的小さな開口力で
容易に開封が行われる。

【００１７】金属製内蓋頂板部外面とプラスチック外蓋
頂板部内面との間に、両者を剥離可能に密着する接着性
塗料層を設けて両者を接着させていることは、内蓋頂板
外面と外蓋頂板内面とを隙間なく密着させ内蓋と外蓋の
間に雑菌や水分の侵入することを防止し、且つ両者の偶
発的な離脱を防止しながら、しかも開封時には該接着性
塗料層で剥離し開封力の増大を防ぎ易開封性を得ること
を可能にしている。この接着性塗料としては凝集破壊性
密着剤を含有させた接着性塗料が好適である。

【００１８】凝集破壊性密着剤とは、塗膜とプラスチッ
クの密着性（接着性）を保持するとともに、それ自体の
凝集力が比較的小さく、剥離に際して、それ自体容易に
破壊を生じる材料を言う。

【００１９】好適には、プラスチック外蓋がオレフィン
樹脂より成り、該接着性塗料には、接着性を改善する変
性オレフィン樹脂と凝集破壊性密着剤とを特定の重量比
の範囲で含有させている。

【００２０】本発明において、該接着性塗料層の内面側
或いは、外面側に接着力制御層（以下マスキング層とも
いう）を設けることは、その部分の該接着性塗料層の接
着力を非接着性乃至弱接着性に制御するもので、全面接
着による接着層に歪を生じることや成形収縮によるタガ
締め効果を緩和低減することができ、外蓋内面と内蓋外
面の接着位置、接着面積を適宜変えることにより密封信
頼性を保持し乍ら開封時の開封力を低減させ易開封性能
を可能にしている。

【００２１】該マスキング層は、外蓋頂板部内面と内蓋
頂板部外面とが部分接着するように内蓋頂板部外面及び
内蓋スカート部外面に、接着性塗料層の外面側或いは内
面側に設けられている。該マスキング層の非塗布部分即
ち外蓋頂板部内面と内蓋頂板部外面との接着位置は、周
方向に連続するが径方向には部分的に分布して存在する
ように設けられているので、密封信頼性が十分に保持さ
れる。該接着位置は、内蓋頂板部の中央開口部直外と外
縁コーナーの直内とに少くとも二重に設けることが密封
信頼性を保持する上に好適である。また該マスキング層
が内蓋頂板部外面の外縁コーナーからスカート部に設け
られていることがスカート部の接着により、開封時に発
生する剪断剥離力を防止するので易開封性を可能にして
いる。

【００２２】また、金属製内蓋スカート部と、その上部
外周を覆うプラスチック外蓋の短かいスカート部との間
を開けておくことによりプラスチック外蓋の成形収縮に
よるタガ締め力が外蓋開封力に及ぼす影響を顕著に防止
でき、その上一度外した外蓋は内蓋上に固定できないた
め、開封後の再使用ができないので、不正使用やイタヅ
ラが防止され、密封信頼性をたかめることができる。

【００２３】また、プラスチック外蓋がオレフィン樹脂
より成り、金属製内蓋の内面に変性オレフィン樹脂含有
接着性塗料が設けられ、プラスチック外蓋が内蓋開口端
縁を越えて内蓋開口内面に接着する係合部として係合爪
を全周または部分的に１個所以上設けることは外蓋の偶
発的な脱落を防止し、更に開封時の係合爪の飛散を防止
する。更にまた開封時、係合爪が破断する際に軽い破断
音を発生するので、始めての開封か再開封か判別できる
ので密封信頼性が向上する。

【００２４】前記金属製内蓋外面の剥離可能に密着する
接着性塗料の接着力は１５ｍｍ幅９０°ピールテストで
大約１．０乃至３．０ｋｇｆ　程度の範囲が密封信頼性
と易開封性の点で良好に作用する。また前記金属製内蓋
内面の変性オレフィン樹脂含有接着性塗料の接着力は１
５ｍｍ幅９０°ピールテストで大約４ｋｇｆ以上あるこ
とが良好である。

【００２５】

【発明の好適態様】複合蓋 本発明の複合蓋の断面図の一例を示す「図１」において
、本発明の複合蓋Ａは、金属製内蓋１とプラスチック外
蓋１０から成っている。金属製内蓋１は、アルミニウム
薄板のような金属板から形成され、頂板部２と、その周
囲には薬瓶顎部に固定するためのスカート部３と、頂板
部中央には開口部４が形成されており、外蓋１０は該内
蓋頂板部の上面を覆う大径の頂板部１１と、内蓋スカー
ト部３の上部外周に位置する短いスカート部１２と、内
蓋開口部４端縁を覆うように密着された顎部１３を有す
る。

【００２６】内蓋１の頂板部２及びスカート部３の外面
には、凝集破壊性密着剤含有接着性塗料塗膜５が設けら
れ、この塗膜５の上面の内蓋頂板部の開口部直外と外縁
コーナーの直内の周方向に連続する二重の帯状リング部
分を除く頂板部からスカート部上部にかけて周方向に連
続するマスキングインキ層６が設けられている。マスキ
ングインキ層６は、その下面の凝集破壊性密着剤含有接
着性塗料塗膜５の接着力を非接着性乃至弱接着性に低減
させる。内蓋外面と外蓋内面とは、内蓋頂板部上面にお
けるマスキングインキ層６の未塗布部分の接着性塗料塗
膜５を介して接着し、内蓋頂板部外面と外蓋頂板部内面
とが密着している。また内蓋内面には変性オレフィン樹
脂含有接着性塗料の塗膜７が設けられている。

【００２７】内蓋スカート部３とその上部外周を覆う外
蓋の短かいスカート部１２との間を隙間１５を設けて開
けている。間を開けておくことは外蓋プラスチックの成
型収縮によるタガ締め力が外蓋開封力に及ぼす影響を防
止し、開封を容易にする。また一度外した外蓋は内蓋上
に固定できないため開封が判然とするのでイタヅラ防止
、不正使用防止に役立つ。しかしながら勿論隙間１５を
設けず内蓋スカート部３と外蓋スカート部１２とを隣接
することもできる。「図２」この場合は、図ではマスキ
ングインキ層６が更に下部まで拡げ延びて設けられ両ス
カート部の接着を防止するようにする。これにより「図
１」のように隙間１５を設けた場合より劣るがスカート
部の接着により開封時に発生する剪断剥離力を防止し易
開封性を可能にする。

【００２８】また「図１」及び「図２」では、凝集破壊
性密着剤含有塗料塗膜５を内蓋外面全体に設けているが
頂板部２のみでもよい。内蓋と外蓋とは、内蓋頂板部に
おけるマスキングインキ層６の未塗布部分の位置及び面
積即ち接着位置を変えることにより密封信頼性を維持し
外蓋開封力を低減するように調節することができる。全
面接着をしないため接着歪が生ぜず接着が良好となる。 内蓋頂板部のマスキングインキ層の塗布部分６及びその
未塗布部分（接着性塗料塗膜５の露出部分）の例を「図
３」に示す。「図３−Ａ」では中央開口部４直外に一重
のリング状に接着性塗料塗膜５を露出し他はマスキング
インキ層６で被覆している。「図３−Ｂ」及び「図３−
Ｃ」では、中央開口部４の直外にリング状に接着性塗料
塗膜５を残すと共にマスキングインキ層６をはさんで１
重及び２重のリング状に接着塗料塗膜５を残している。 「図３−Ｄ」では中央開口部４の直外にリング状に接着
性塗料塗膜５を露出すると共に外側に山波形リング状に
接着性塗料塗膜５を残し、他はマスキングインキ層６を
設けている。これらの露出された接着性塗料塗膜５は、
全て周方向には連続している。好適には、「図３−Ｂ」
、「図３−Ｃ」及び「図３−Ｄ」のように、中央開口部
直外にリング状未塗布部分を設け、外縁コーナーとの間
に更に環状、山波形、波形等のリングを設け、リングが
二重以上になることが好ましい。

【００２９】またマスキングインキ層６は、接着性塗料
塗膜５の上面に設けているが、これを下面に設けること
もできる。マスキングインキ層は、印刷が容易であり、
マスキングインキ層を設けることにより接着位置、接着
面積の選定を適切に行うことができる。

【００３０】プラスチック外蓋１０は、好適には一定範
囲の成形収縮率と曲げ剛性率とを有するプラスチックで
製造される。この外蓋１０の成形及び接着は、後に詳述
する方法で行われる。内蓋開口部４と外蓋１０とは、前
述した形状で外蓋内面の一部が金属製内蓋の開口部端縁
を覆い、且つ、両者の接触部分が前記凝集破壊性密着剤
含有接着性塗料層５を介して接着されることによって密
着構造を形成するのが最も一般的であるが、内蓋開口端
縁を越えて開口内面に接着する係合部１４を形成するよ
うに外蓋を溶融成形させることもできる。係合部１４は
、全周にわたって設けることもまた部分的に複数個所を
設けることができる。「図１」及び「図２」では中心よ
り左側に係合部１４を設けない断面を右側に部分的に係
合部１４を設けている断面を示している。

【００３１】係合部１４を設けることは、外蓋が偶発的
に脱落するのを防止する。また係合部（爪）１４は、内
蓋内面の接着性塗料層７により内蓋内面に接着している
ことにより開封時の破断した爪１４の飛散を防止する。

【００３２】外蓋は、種々のプラスチック、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共
重合体、プロピレン−ブテン１共重合体等のオレフィン
系樹脂；アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン（Ａ
ＢＳ）樹脂；耐衝撃性スチレン樹脂；アクリル樹脂；ナ
イロン系樹脂；ポリエステル樹脂；ポリカーボネート樹
脂等の任意の樹脂から形成される。

【００３３】外蓋は、一般に５％未満、特に３％未満の
成形収縮率と、３０００乃至１３０００ｋｇ／ｃｍ２　
特に４０００乃至１１０００ｋｇ／ｃｍ２　の曲げ剛性
率とを有するプラスチックから成ることが好ましい。こ
れらの特性は、外蓋の易開封性と密接に関連する。外蓋
プラスチックの成形収縮率が上記範囲よりも大きいと、
内蓋スカート部と外蓋スカート部との間にタガ締力が作
用し、開封力が異常に大きくなり、易開封性が低下する
傾向がある。両スカート部を隣接せず、両スカート部の
間に隙間を設けておくことはタガ締力の緩和に役立って
いる。また成形収縮率が小さいことは、コーナー部での
外蓋のせり上りによる剥離を防止する。又、外蓋の曲げ
剛性率が前記範囲を越えて大きくなると、内蓋頂板部上
面と外蓋内面との接着剥離が全面同時剥離となるため開
封力が異常に大きくなり、またこの曲げ剛性率が前記範
囲よりも小さくなると、外蓋押上げ力が外蓋頂板部に十
分に伝達されなく、いずれも易開封性が低下する傾向が
ある。成形収縮率が上記の小さい範囲にあるプラスチッ
クで構成することにより、タガ締力を低減させて、外蓋
の上方へのズラシを有効に行うことが可能となると共に
、開口時に外蓋頂板部に押上げ力を十分に伝達させなが
ら、外蓋頂板部に適度な反りを与えて、一端部からの剥
離を進行させて易開封性を達成することができる。

【００３４】外蓋を構成するプラスチックの成形収縮率
及び曲げ剛性率は、樹脂の種類と充填材の配合量とに関
係する。樹脂の種類により成形収縮率はまちまちであり
、例えば低密度ポリエチレンは大きく、ポリプロピレン
はこれより低く、ポリカーボネートは著しく小さい。 したがって、樹脂単味で成形収縮率及び曲げ剛性率が上
記範囲内にあればこれを用いることができる。また、樹
脂中の充填材を含有させると、その配合量の増大に伴っ
て、成形収縮率は減少し且つ曲げ剛性率は増大するよう
になる。かくして、樹脂の種類を選び、或は更に充填剤
の配合量を選ぶことにより、所期の成形収縮率と、曲げ
剛性率とを得ることができる。また充填剤は着色を目的
として含有させることができる。価格及び成形性の点で
好適な樹脂は高密度ポリエチレン及びポリプロピレンで
ある。

【００３５】無機充填剤としては、ルチル型またはアナ
ターゼ型の二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト等の
無機白色顔料；バライト、沈降性硫酸バライト、炭酸カ
ルシウム、石膏、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、
焼成或は未焼成クレイ、炭酸バリウム、アルミナホワイ
ト、合成乃至天然のマイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、炭酸バリウム等の白色体質顔料；カー
ボンブラック、マグネタイト等の黒色顔料；ベンガラ等
の赤色顔料；シエナ等の黄色顔料；群青、コバルト青等
の青色顔料を挙げることができるが、本発明に使用し得
る無機フィラーは上に例示したものに限定されない。

【００３６】これらの無機フィラーは、樹脂中への分散
が容易に且つ一様に行われるように、その平均粒径が０
．０５乃至２０μｍの範囲にあるのが良く、また絞り成
形性の点では、比重が２．０乃至９．０の範囲にあるの
が望ましい。更に、隠蔽性やバリヤー性の点では、ＪＩ
Ｓ　　Ｋ−５１０１による隠蔽力が５０ｃｍ２　／ｇ以
上のものである。

【００３７】無機フィラーを充填して使用する際の充填
量は、樹脂の種類と物性、着色と隠蔽度等によって異な
るが、通常樹脂基準で０．１乃至３０重量％、特に０．
２乃至２０重量％の範囲にあることが望ましい。また各
種有機顔料を着色の為に充填して使用することができる
。

【００３８】内蓋を構成する金属板としては、純アルミ
ニウム或はアルミニウム合金から形成された軟質金属板
や、ブリキ、ティンフリースチール、ニッケルメッキ板
等の表面処理鋼板が使用され、その厚みは一般に０．１
５乃至０．３ｍｍ、特に０．２乃至０．２５ｍｍの範囲
内にあるのが良い。

【００３９】接着性塗料層に用いられる塗料は、金属と
の密着性と耐腐食性とに優れたものが好ましい。このよ
うな塗料は、熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂
、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムア
ルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリア
リルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、油性樹脂、或は熱可塑性樹脂塗料、例えば、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−マレイ
ン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共
重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等を挙
げることができる。これらの樹脂塗料は単独でも２種以
上の組合わせでも使用される。

【００４０】好適な塗料は、エポキシ−フェノール系塗
料のように、エポキシ樹脂成分とこれに対する硬化剤樹
脂成分とから成る塗料である。必ずしも必要ではないが
、金属とプラスチックとの間に剥離性接着が得られない
場合、この塗料中に凝集破壊性密着剤を含有させて使用
するのが良い。

【００４１】凝集破壊性密着剤としてはこれに限定され
ないが、次のものが使用される。 １．脂肪族炭化水素系 合成パラフィン 石油系ワックス ペトロラタム

【００４２】２．脂肪族、脂肪族アルコール高級脂肪酸 動物または植物油脂から得られた脂肪酸及びそれらの脂
肪酸を水素添加したもので、炭素数が８〜２２のものヒ
ドロキシステアリン酸 直鎖脂肪族一価アルコール 動物または植物油脂またはそれらの脂肪酸エステルを還
元または天然ロウを分解蒸留して得られる炭素数４以上
のもの トリデシルアルコール

【００４３】３．ポリグリコール ポリエチレングリコール　　分子量２００〜９５００の
もの ポリプロピレングリコール　　分子量１０００以上のも
のポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン−ブロッ
ク重合体 分子量１９００〜９０００のもの

【００４４】４．アマイド、アミン 高級脂肪酸アマイド オレイルパルミトアマイド ステアリルエルカミド ２ステアロミドエチルステアレート エチレンビス脂肪酸アマイド ＮＮ′オレイルステアリルエチレンジアミンＮＮ′ビス
（２ヒドロキシエチル）アルキル（Ｃ１２〜Ｃ１８）ア
マイド ＮＮ′ビス（ヒドロキシエチル）ラウロアマイドＮアル
キル（Ｃ１６〜Ｃ１８）トリメチレンジアミンと反応し
たオレイン酸 脂肪酸ジエタノールアミン ジ（ヒドロキシエチル）ジエチレントリアミンモノアセ
テートのジステアリン酸エステル

【００４５】５．一価、多価アルコールの脂肪酸エステ
ル ステアリン酸ｎ−ブチル 水添ロジンメチルエステル セバチン酸ジブチル〈ｎ−ブチル〉 セバチン酸ジオクチル 〈２エチルヘキシル、ｎ−オキチル共〉グリセリン脂肪
酸エステル グリセリンラクトステアリル ペンタエリスリトールのステアリン酸エステルペンタエ
リストールテトラステアレートソルビタン脂肪酸エステ
ル ポリエチレングリコール脂肪酸エステルポリエチレング
リコールモノステアレートポリエチレングリコールジオ
レエート ポリエチレングリコールモノオレエートポリエチレング
リコールジオレエート ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステルポリエチレ
ングリコールトール油脂肪酸エステルエタンジオールモ
ンタン酸エステル １，３ブタンジオールモンタン酸エステルジエチレング
リコールステアリン酸エステルプロピレングリコール脂
肪酸エステル

【００４６】６．トリグリセライド、ワックス水添食用
油脂 １２−ヒドロオキシステアリン酸のグリセリンエステル
水添魚油 牛脂 スパームアセチワックス モンタンワックス カルナバワックス 密蝋 木蝋 一価脂肪族アルコールと脂肪族飽和酸エステル〈例：硬
化鯨油ラウリルステアレート、ステアリルステアレート
〉

【００４７】７．高級脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ
土類金属、亜鉛及びアルミニウムの塩（金属石鹸）

【０
０４８】８．低分子量オレフィン樹脂低分子量ポリエチ
レン 低分子量ポリプロエチレン 酸化ポリエチレン 低分子量酸変性オレフィン樹脂

【００４９】９．その他 プロピレングリコールアルギネート ジアルキルケトンアクリルコポリマー（例えばモンサン
ト社製モダフロー等）。

【００５０】凝集破壊性密着剤は塗料樹脂固形分当たり
０．１乃至５重量％、特に０．０２乃至２重量％の範囲
で用いるのがよい。また塗膜の厚みは、一般に１．０乃
至１５μｍ、特に１．５乃至１０μｍの範囲にあるのが
よい。塗料中に配合された凝集破壊性密着剤は、塗料の
焼付乃至乾燥時に塗膜表面に浮上し、塗膜とプラスチッ
クとを凝集破壊可能に密着させる作用を行う。

【００５１】尚、プラスチックがオレフィン系樹脂から
成る場合には、上記塗料中に接着性促進成分として変性
オレフィン樹脂を配合して、密着性の程度を調整するこ
とができる。この目的に使用する変性オレフィン樹脂乃
至樹脂組成物としては、式 式中、Ｒは水素原子または炭素数４以下のアルキル基で
ある。 のオレフィンの重合体または共重合体、例えば、低密度
、中密度、或は高密度のポリエチレン、ポリプロピレン
、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブデン−１、ポ
リペンテン−１等を幹ポリマーとし、これにアクリル酸
、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸等のカルボン酸、上記カルボン酸の無水物、
塩、エステル及びアミドをグラフト変性したもの、或は
、変性オレフィン樹脂を未変性のオレフィン系樹脂とブ
レンドしたものを挙げることができる。

【００５２】凝集破壊性密着剤と該変性オレフィン樹脂
の割合は１：２乃至１：３００、特に１：４乃至１：２
００の重量比で用いることができる。

【００５３】凝集破壊性密着剤含有接着性塗料のプラス
チックとの接着力は１５ｍｍ幅９０°ピールテストで大
約１．０乃至３．０ｋｇｆ程度の範囲、特に１．５乃至
２．５ｋｇｆ程度の範囲が好適である。接着力が１．０
ｋｇｆを下廻ると外蓋が偶発的に剥離するおそれがあり
、また３．０ｋｇｆを上廻ると外蓋の易開封性が低下す
る。

【００５４】また内蓋内面接着性塗料は、上記と同様の
接着性塗料が使用されるが、ただし凝集破壊性密着剤を
含有せず、プラスチックへの接着力は１５ｍｍ幅９０°
ピールテストで大約４．０ｋｇｆ以上、特に５ｋｇｆ以
上が好適である。接着力が４．０ｋｇｆ以上あることは
プラスチック外蓋が内蓋中央開口部端縁を越えて内蓋開
口内面に接着する係合部の接着が確実で過酷な処理、運
搬中その他偶発的に外蓋のはずれることがない様接着を
強化する。また指先で外蓋を開封する際に折れて残る係
合部が飛散するのを防止する。

【００５５】接着力制御層（マスキングインキ層）は、
凝集破壊性密着剤含有接着性塗料層に作用して、プラス
チック外蓋と該接着性塗料層との間の接着力を非接着性
乃至弱接着性に低下させるものである。

【００５６】使用し得る樹脂としては、酸素の存在下に
酸素を捕捉して硬化し、樹脂状の固体を形成し得るもの
が使用され、例えば亜麻仁油、桐油、荏油、脱水ヒマシ
油等の乾性油；リノール酸、リノレイン酸、エレオステ
アリン酸、脱水リシノレイン酸、脱水ヒマシ油等の乾性
油脂肪酸；これら乾性油又は乾性油脂肪酸で変性された
樹脂等が好適に使用し得る。こゝで、乾性油又は乾性油
脂肪酸で変性された樹脂とは、乾性油又は乾性油脂肪酸
を物理的に混合して変性した樹脂及び乾性油又は乾性油
脂肪酸で化学的に変性した樹脂、並びにこれらの混合物
を包含するものである。変性可能な樹脂としては、該乾
性油又は乾性油脂肪酸と相溶性乃至化学反応性をもつ任
意の熱可塑性又は熱硬化性の樹脂が使用でき、例えばロ
ジンとその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、ロジン変
性フェノール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メ
ラミン又はユリヤの如きアミノ樹脂、オレオレジナス系
樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、或いは塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マ
レイン酸共重合体、ビニルブチラール等のビニル樹脂が
挙げられ、これらは夫々単独で用いてもよく、或いは２
種又はそれ以上組合せて用いることもできる。

【００５７】変性の程度は、変性すべき樹脂の種類、接
着性塗料層の種類、外蓋プラスチックの種類等により広
範に変えることができるが一般に、変性すべき樹脂体乾
性油又は乾性油脂肪酸の重量比が７０：３０〜２０：８
０の範囲となるようにするのが好ましい。しかしながら
本発明で好適に使用し得る樹脂としては、乾性油又は乾
性油脂肪酸で変性されたアルキッド樹脂、乾性油又は乾
性油脂肪酸で変性されたエポキシ樹脂等が挙げられる。

【００５８】マスキングインキ層は、これら樹脂に必要
に応じて適当な溶剤、顔料、染料その他ドライヤー（例
えばナフテン酸コバルド、ナフテン酸マンガン、その他
ナフテン酸金属塩など）、熱安定剤などを加えて無色又
は有色のインキを調製し、このインキを用いて、通常の
方法、例えば平版印刷、オフセット印刷、凸版印刷等に
より、該マスキングインキ層を形成することができる。 該マスキングインキ層の形成は、通常金属板上の接着性
塗料層上に特定のパターン形状に印刷されるが、逆に金
属板上にマスキングインキ層を印刷して形成し、その上
にマスキングインキ層及びその未塗布部分を含め全面に
接着性塗料層を形成する方法も採ることができる。

【００５９】製造工程 本発明においては、上記複合蓋を、金属内蓋の外面を型
面の一部としてプラスチックを外蓋に成形し、プラスチ
ック外蓋と金属内蓋とを仮接着して両者を一体化する工
程と、一体化された金属内蓋及びプラスチック外蓋を加
圧下に高周波誘導加熱して両者の界面で本接着を行う工
程とで製造する。

【００６０】第一工程におけるプラスチック外蓋の成形
はコンプレッション・モールディング（圧縮成形）やイ
ンサート射出成形等の任意の手段で行い得るが、成形速
度や成形の容易さの点で前者のコンプレッション・モー
ルディングが特に優れている。第二工程における高周波
誘導加熱は、強制冷却された高周波誘導加熱コイルをプ
ラスチック外蓋に押圧させ、該コイルに通電することに
より行うのがよく、特に金属製内蓋を界面温度が１７０
〜２３０℃の温度となるように加熱し、加熱後直ちに冷
却するのがよい。

【００６１】図面を参照して、本発明の各工程を説明す
る。

【００６２】本発明方法の実施に用いる装置の全体の配
置を示す「図４」において、この装置は大まかに言って
、成形ステーション２０と高周波接着ステーション２１
とから成る。成形ステーション２０には、多数のコンプ
レッション・モールディング用金型２２を備えたコンプ
レッション・モールディングターレット２３が回転可能
に設けられている。このコンプレッション・モールディ
ング・ターレット２３の最上流位置には、金属製内蓋１
を各金型２２に供給するための入口ターレット２４が設
けられており、金属製内蓋フィーダー２５から入口シュ
ート２６を通して送られる金属製内蓋を各金型２２に供
給する。この入口ターレット２４よりも若干下流側に、
外蓋形成用プラスチックを各金型２２に供給するための
押出機２７が配置され、押出機２７のダイヘッド２８か
ら押出されるプラスチック溶融物は、ロータリカッター
２９で所定量に切断され、各金型２２に供給される。

【００６３】コンプレッション・モールディング金型（
圧縮成形装置）２２の詳細な構造及び成形操作を説明す
るための「図５」、「図６」、「図７」及び「図８」に
おいて、図示の圧縮成形装置は、全体として３０で示す
雄型と、全体として３１で示す雌型を具備している。

【００６４】雄型３０は、開閉可能な外側部材３２を含
んでいる。開閉可能な外側部材（以下開閉部材という）
３２の中央部には、金属製内蓋１（接着性塗料層、マス
キング層等を省略し図示していない）を予めインサーす
る把持部３３が設けられており、その把持部３３は、外
側把持部３４とその中央部に形成された実質上鉛直方向
に延びる円形貫通孔内を昇降可能な内側把持部３５とを
含んでいる。内側把持部３５は成形時には外側把持部３
４と共に把持部３３を形成するが、成形後には内側把持
部３５が実質上鉛直方向へ押上げられることによって、
成形された複合蓋を金型から外すエジェクターシリンダ
として作用させることができる。

【００６５】図では、開閉部材３２の凸部上面は、外側
に平面部３６とその内側に凹部から更に内蓋１のスカー
ト部の上部までほゞ斜めに立上る曲面部３７を有してい
る。開閉部材３２の凸部上面の内側にかゝる曲面部３７
を設けることにより成型時にプラスチック外蓋のスカー
ト部と内蓋のスカート部との間に隙間ができタガ締め効
果を低減防止している。曲面部３７の形状はプラスチッ
ク外蓋のスカート部の形状、その内蓋スカート部との間
の隙間の開き度等によりいろいろ変えられる。またプラ
スチック外蓋スカート部と内蓋スカート部との間に間隙
を設けない場合には、このような曲面部３７は設けず、
開閉部材３２の凸部上面は一様な平面とすることができ
る。

【００６６】雄型３０には加熱及び冷却ができるように
加熱冷却機構３８が組込まれている。

【００６７】雌型３１は、略円筒形状の可動外側部材４
０と外側部材４０の中央部に形成された円形貫通孔４１
内を昇降する可動内側部材４２を含んでいる。外側部材
４０の下部外側内周面４３は雄型３０における開閉部材
３２の凸部周面４４と対応せしめられている。雌型３１
の外側部材４０の下部内側内周面４５は、把持部３３に
インサートされた金属製内蓋１のスカート部を取巻くプ
ラスチック外蓋スカート部の肉厚に相当する間隔をもっ
て雄型３０の開閉部材３２の凸部の曲面部３７と対応し
、下部内側内周面の下端４６は雄型３０の開閉部材３２
の凸部外側の平面部３６と成形時当接するように対応せ
しめられている。

【００６８】可動内側部材４２の下端面４７は、プラス
チック外蓋の形状に応じて環状凹部（或いは凸部）など
の模様が刻設されている。また可動内側部材４２には加
熱冷却機構４８が設けられている。

【００６９】圧縮成形開始前において、雄型３０及び雌
型３１は、「図５」に示される状態に位置付けられてい
る。雄型３０の把持部３３に、例えばアルミニウムのよ
うな軟質金属から成形された内蓋１をインサートし、開
閉部材３２を閉じて内蓋１を固定する。この上に、所要
量のプラスチック５０を溶融状態で供給する。次いで、
雄型３０と雌型３１を「図６」に示すような前型閉工程
に付す。即ち、雌型３１における外側部材４０を「図６
」に示す下限位置まで下降せしめる。かかる下限位置に
おいては、外側部材４０の下部内側下端４６が開閉部材
３２の凸部上面の平面部３６（当接部）に当接し、外側
部材４０は停止する。この前型閉工程を遂行することに
より、雌型３１の外側部材４０の下部内周面４５と、雄
型３０における開閉部材３２の凸部上面の曲面部３７（
当接部の内側の上面）とでプラスチック外蓋のスカート
部を規定する空間が形成される。

【００７０】次いで、圧縮工程を遂行する。即ち「図７
」に示すように、雌型３１の内側部材４２を所要の圧縮
力で下降せしめて、プラスチック５０を圧縮成形する。 かくして、雄型における開閉部材３２、金属内蓋１及び
把持部材３３と、雌型３１の内側部材４２及び外側部材
４０との間に規定される型空間部分によって複合蓋にお
けるプラスチック外蓋の天面壁１１及びスカート部１２
が、金属製内蓋１に仮接着した状態で形成される。 得られた一体化物は、金型を開放し内側把持部３５を鉛
直方向に押上げ、金型から外される。次いで雄型３０の
開閉部材３２を次の内蓋を挿入する為に開く。（図８）
この段階では、一体化物（複合蓋）における外蓋と内蓋
の接着状況はほゞ「図９」の状態となっている。

【００７１】再び「図４」に戻って、コンプレッション
・モールディング・ターレット２３の最下流側には、成
形ステーションで形成された金属内蓋−プラスチック外
蓋一体化物を、高周波接着ステーション２１に移送する
ための乗替ターレット５１が設けられている。高周波接
着ステーション２１にも、多数の高周波加熱ヘッド５２
を備えた高周波接着ターレット５３が回転可能に設けら
れている。

【００７２】高周波加熱ヘッド５２の詳細な構造を示す
「図１０」において、ターレット５３の周囲には高周波
加熱ヘッド５２と昇降動可能な蓋支持体５４とが軸方向
に対となって設けられている。高周波加熱ヘッド５２は
、押圧用ブロック５５と、このブッロクの押圧面５６側
に埋込まれた高周波コイル５７及び効率を高めるための
フェライト５８及び強制冷却するための冷媒通路５９を
有している。

【００７３】一方、蓋支持体５４は、金属製内蓋１内に
挿入できる先端部６０を有し、この先端部は、電気絶縁
性材料、例えばセラミックで形成されており、蓋支持体
５４は、ノックアウトリング６１内に昇降可能に設けら
れている。蓋体支持体５４には、冷媒通路６５が組込ま
れ強制冷却できるようになっている。

【００７４】蓋体Ａの供給位置（乗替ターレット５１と
の接続位置）においては、蓋支持体５４は、「図１０」
の状態に比して下降位置にあり、蓋体Ａは蓋支持体５４
により、プラスチック外蓋１０が高周波加熱ヘッド５２
と対面するような位置関係で保持される。次いで蓋支持
体５４が上昇して、プラスチック外蓋１０を金属内蓋１
に押圧する。これと同時にコイル５７に通電され、金属
内蓋１に渦電流が誘導され、金属内蓋１が選択的且つ急
速に前述した温度に加熱される。これにより、金属内蓋
１と接触するプラスチック外蓋１０のごく表面部分が溶
融されて、本接着が行われる。この段階でも係合爪を形
成させることができる。尚図では係合爪を省略している
。必要な通電時間は、電気的入力やプラスチックの種類
によっても相違するが、一般に０．０３乃至１．０秒、
特に０．０５乃至０．６秒の極く短時間である。通電を
遮断すると、加熱ヘッド５２及び蓋支持体５４が常に強
制冷却されていることから、接合部の冷却による固定が
迅速に行われ、十分に固定されたあと、蓋支持体５４が
下降し加圧がとかれる。（図１１）

【００７５】形成さ
れる複合蓋は、「図４」に示す出口ターレット６２の位
置で蓋支持体５４がノックアウトリング６１の上端より
下降して蓋支持体５４からノックアウトされた後出口タ
ーレット６２に移され、出口シュート６３を通して、製
品ホッパー６４へと排出される。この段階で外蓋頂板部
内面と内蓋頂板部外面とが隙間や潜在的な隙間なしに密
着し確実に接着され、本発明の複合蓋が得られる。

【００７６】

【効　　果】本発明の複合蓋は、叙上の様に外蓋内面と
内蓋外面とがマスキング層を設けて剥離可能に接着する
接着性塗料層の周方向に連続するが径方向に部分的に分
布して存在する接着面で実質的に接着され、しかも外蓋
頂板部内面と内蓋頂板部外面とが隙間や潜在的な隙間な
しに密着し確実に接着されており、その結果として外蓋
と内蓋との間を雑菌や水分の通過が生ぜず衛生的特性に
優れており、且つ過酷な処理や運搬等においても、偶発
的な脱落が防止され、十分な密封信頼性をもち、外蓋の
開封が容易である。

【００７７】外蓋スカート部と内蓋スカート部との間に
隙間を設けることは、プラスチック外蓋の成形収縮によ
るタガ締め効果を著しく低減するので外蓋の開封力を低
減し易開封性にする。また外蓋を開封後再使用すること
を防止し不正使用やイタヅラが防止され、密封信頼性を
たかめる。

【００７８】プラスチック外蓋が内蓋開口端縁を越えて
内蓋開口内面に接着する係合部を設けることは、過酷な
処理（レトルト殺菌等）、運搬中の振動、衝撃、その他
偶発的にも外蓋が脱落するのを防止され、密封信頼性を
たかめている。更に開封時係合部の破断音の発生が密封
信頼性に寄与する。

【００７９】

【実施例】実施例１ 表面にマレイン酸変性ポリプロピレンを３．０ＰＨＲ、
凝集破壊性密着剤としてジアクリルケトン−アクリルコ
ポリマー（モンサント社製商品名モダフロー）０．０５
ＰＨＲを添加したエポキシ−フェノール樹脂系塗料を塗
布し、裏面にマレイン酸変性ポリプロピレン６．０ＰＨ
Ｒを添加したエポキシ−フェノール樹脂系塗料を塗布し
た板厚０．２３ｍｍのアルミ板（Ａ３００４−Ｈ１４，
ＣＰ−２０）の表面にマスキングインキとして０．２重
量％のナフテン酸コバルト、１重量％のナフテン酸マン
ガンを含む亜麻仁油脂肪酸変性アルキッド樹脂〔グリセ
リン／無水フタール酸／亜麻仁油脂肪酸＝１／１／１（
モル比）〕９０重量部、酸化チタン２重量部、ミネラル
スピリット８重量部とからなるインキをパターン印刷し
マスキングインキ層を形成させたものを打抜いて「図１
」に示すと同様の直径２０ｍｍ開口部の穴径１０ｍｍの
内蓋を作成した。

【００８０】尚上記マレイン酸変性ポリプロピレン及び
モダフロー含有のエポキシ−フェノール樹脂系塗料の接
着力は１５ｍｍ幅９０°ピールテストで２．０ｋｇｆで
あった。

【００８１】次に図に示す装置を用いて曲げ剛性率５５
００ｋｇｆ／ｃｍ２　、成形収縮率１．３％のポリプロ
ピレン系樹脂と前記内蓋との複合蓋を圧縮成形、仮接着
した。 成形条件は以下の通りである。 雄型温度　　　　　　　　４０℃ 雌型温度　　　　　　　　３０℃ 型締時間　　　　　　　　１．８秒 次に「図５」に示す装置を用いて、ポリプロピレン外蓋
とアルミ内蓋とを加圧し高周波誘導加熱して両者の界面
で本接着した。この本接着で係合爪が円周を等分するよ
うに６個所形成された。成形条件は以下の通りである。

【００８２】通電時間　　　　　　　　０．５秒加圧冷
却時間　　　　２．０秒 こうして得られた複合蓋をレトルト殺菌後、浸透液によ
り内蓋と外蓋境界面の密封性評価を行ったところ、液の
浸透は全くなく密封性は完全であった。次にこの複合蓋
の開封性を評価するため内蓋と外蓋の引剥力を測定した
ところ、０．８〜１．４ｋｇｆの値を示し、良好な易開
封性を有していた。

【００８３】比較例１ 実施例１において、マスキングインキ層を設けないで実
施例１と同様にして圧縮成形、高周波誘導加熱して複合
蓋を得た。この複合蓋をレトルト殺菌後、浸透液により
内蓋と外蓋境界面の密封性評価を行ったところ、液の浸
透は全くなく密封性は完全であったけれども、この複合
蓋の開封性を評価するため内蓋と外蓋の引剥力を測定し
たところ２．５ｋｇｆ以上の値を示し、開封が困難であ
った。 比較例２ 実施例１において用いたマレイン酸変性ポリプロピレン
、モダフロー含有エポキシ−フェノール樹脂系塗料（１
５ｍｍ幅９０°ピールテスト接着力２ｋｇｆ）の代わり
に１５ｍｍ幅９０°ピールテスト接着力が０．８ｋｇｆ
の酸変性ポリプロピレン、モダフロー含有エポキシ−フ
ェノール樹脂系塗料を使用して、またマスキングインキ
層を形成しないで、実施例１と同様にして圧縮成形、高
周波誘導加熱して複合蓋を得た。

【００８４】この複合蓋をレトルト殺菌後、浸透液によ
り内蓋と外蓋境界面の密封性評価を行ったところ、液の
浸透が見られ、密封性が不十分であった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の複合蓋の好適な一例を示す縦断面図。

【図２】本発明の複合蓋の他の一例を示す縦断面図。

【図３】本発明の複合蓋の内蓋頂板部のマスキングイン
キ層の塗布部分と未塗布部分（実質的接着部）のパター
ン例を示す平面図。

【図４】本発明に係る複合蓋の製造装置全体の配置図。

【図５】本発明の複合蓋に係る圧縮成形方法を実施する
ための圧縮成形装置の要部とその作動手順を示す断面図
。

【図６】本発明の複合蓋に係る圧縮成形方法を実施する
ための圧縮成形装置の要部とその作動手順を示す断面図
。

【図７】本発明の複合蓋に係る圧縮成形方法を実施する
ための圧縮成形装置の要部とその作動手順を示す断面図
。

【図８】本発明の複合蓋に係る圧縮成形方法を実施する
ための圧縮成形装置の要部とその作動手順を示す断面図
。

【図９】本発明に係る複合蓋の圧縮成形方法で得られた
成形蓋の縦断図面の一部。

【図１０】本発明の複合蓋に係る高周波誘導加熱接着を
実施するための高周波誘導加熱装置の要部とその作動手
順を示す断面図。

【図１１】本発明の複合蓋に係る高周波誘導加熱接着を
実施するための高周波誘導加熱装置の要部とその作動手
順を示す断面図。

【符号の説明】

Ａ　　　　複合蓋 １　　　　金属製内蓋 ２　　　　内蓋頂板部 ３　　　　内蓋スカート部 ４　　　　内蓋中央開口部 ５　　　　内蓋外面の凝集破壊性密着剤含有接着性塗料
層６　　　　マスキングインキ層 ７　　　　内蓋内面の接着性塗料層 １０　　　　プラスチック外蓋 １１　　　　プラスチック外蓋頂板部 １２　　　　外蓋スカート部 １３　　　　内蓋開口端縁を覆う外蓋の顎部１４　　　
　内蓋と外蓋との係合部 １５　　　　内蓋スカート部と外蓋スカート部との間の
隙間２０　　　　圧縮成形ステーション ２１　　　　高周波接着ステーション ２２　　　　コンプレッション・モールディング用金型
２３　　　　コンプレッション・モールディング・ター
レット ２４　　　　入口ターレット ２５　　　　金属内蓋フィーダー ２６　　　　入口シュート ２７　　　　押出機 ２８　　　　ダイヘッド ２９　　　　ロータリカッター ３０　　　　雄型 ３１　　　　雌型 ３２　　　　開閉部材 ３３　　　　把持部 ３４　　　　外側把持部 ３５　　　　内側把持部 ３６　　　　開閉部材凸部上面の外側平面部３７　　　
　開閉部材凸部上面の内側曲面部３８　　　　加熱冷却
機構 ４０　　　　雌型の可動外側部材 ４１　　　　円形貫通開孔 ４２　　　　雌型の可動内側部材 ４３　　　　外側部材の下部外側内周面４４　　　　開
閉部材の凸部周面 ４５　　　　外側部材の下部内側内周面４６　　　　外
側部材の下部内側内周面の下端４７　　　　内側部材の
下端面 ４８　　　　加熱冷却機構 ５０　　　　溶融状態で供給された合成樹脂材料５１　
　　　乗替ターレット ５２　　　　高周波加熱ヘッド ５３　　　　高周波接着ターレット ５４　　　　蓋支持体 ５５　　　　押圧用ブロック ５６　　　　ブロックの押圧面 ５７　　　　高周波コイル ５８　　　　フェライト ５９　　　　冷媒通路 ６０　　　　蓋支持体先端部 ６１　　　　ノックアウトリング ６２　　　　出口ターレット ６３　　　　出口シュート ６４　　　　製品ホッパー ６５　　　　冷媒通路

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　頂板部と、その周囲の固定用スカート
   部と、頂板部中央の開口部とを備えた金属製内蓋；内蓋
   頂板部の上面を覆う大径の頂板部と、内蓋スカート部の
   上部外周に位置する短いスカート部とを備えたプラスチ
   ック外蓋；及び金属製内蓋外面とプラスチック外蓋内面
   との間に介在して両者を剥離可能に密着する接着性塗料
   層；から成る金属−プラスチック複合蓋において、前記
   接着性塗料層の内面側或いは外面側には、接着性塗料層
   とプラスチックとの接着力を非接着性乃至弱接着性に制
   御する接着力制御剤層が、非塗布部分が周方向には連続
   するが径方向には部分的に分布して存在するように設け
   られていることを特徴とする金属−プラスチック複合蓋
   。
2. 【請求項２】　　前記プラスチック外蓋はオレフィン樹
   脂から成り、前記接着性塗料層は、凝集破壊性密着剤及
   び変性オレフィン樹脂を含有する請求項１記載の金属−
   プラスチック複合蓋。
3. 【請求項３】　　前記接着性塗料には、凝集破壊性密着
   剤と変性オレフィン樹脂とが１：２乃至１：３００の重
   量比で含有されている請求項２記載の金属−プラスチッ
   ク複合蓋。
4. 【請求項４】　　金属製内蓋スカート部とその上部外周
   に位置するプラスチック外蓋の短かいスカート部との間
   を開けている請求項１記載の金属−プラスチック複合蓋
   。
5. 【請求項５】　　前記プラスチック蓋はオレフィン樹脂
   から成り、前記金属製内蓋の内面に変性オレフィン樹脂
   含有接着性塗料層が設けられ、プラスチック外蓋が内蓋
   開口端縁を越えて内蓋開口内面に接着する係合部が設け
   られている請求項１記載の金属−プラスチック複合蓋。