JPH0426689Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、デイーゼルエンジンの燃料噴射装置
に関するもので、特にジヤークタイプの噴射ポン
プから高圧管を介して供給された高圧燃料をチエ
ツク弁によつて燃料噴射装置内部に蓄え、その後
ニードル弁の作動により噴射口から噴射するよう
にした燃料噴射装置の改良に係るものである。

（従来の技術） 従来のこの種の燃料噴射装置ではチエツク弁の
開閉を支配するセツトスプリングはニードル弁の
開閉を支配するスプリングと共通であつた。この
場合、燃焼からの要求でニードル弁の開弁圧は高
くそのためのスプリングとしては強いセツト力を
必要としていた。しかしこのスプリングがチエツ
ク弁開閉用のスプリングと共用のためチエツク弁
の開弁圧も上昇し、チエツク弁が特定の領域で開
弁しなくなるという不具合がある。

このため本考案者らは先に出願した実願昭55−
115028号（実開昭57−42165号）にて上記不具合
を解決した燃料噴射ノズルを提案した。

この先願の燃料噴射装置は第２図に示すように
なつていて、先端に噴射口ａを設け、また基端部
に導管ｂを有する栓体ｃを固着したボデイｄ内
に、軸方向に摺動することにより上記栓体ｃの導
管ｂを開閉するチエツク弁ｅを嵌合し、またボデ
イｄ内で、かつチエツク弁ｅと噴射口ａの間に、
一側部に噴射口ａの弁座ｆに対向するニードル弁
ｇを設けたフランジｈを摺動自在に嵌合し、この
フランジｈとチエツク弁ｅとの間に、チエツク弁
ｅを閉じ方向に付勢するチエツク弁用スプリング
ｉを介装し、またフランジｈとボデイｄの間に、
ニードル弁ｇを噴射口ａ側へ付勢するニードル弁
用スプリングｊを介装し、さらに上記フランジｈ
の一側面に、ボデイｄ内の圧力を受けて上記チエ
ツク弁用スプリングｉ及びニードル弁用スプリン
グｊの付勢力に坑してニードル弁ｇが噴射口ａか
ら離間する方向にフランジｈを移動するための受
圧面を構成した構成となつている。

（考案が解決しようとする問題点） 上記従来の燃料噴射ノズルでは胴部の径方向寸
法が大きくなり、エンジンへ装着のためのスペー
スを大きくとる必要があり、実用上問題となる。

（問題点を解決するための手段及び作用） 本考案は上記のことにかんがみなされたもの
で、ノズル本体の蓄圧室の長手方向中間部に棚部
を設け、この棚部とニードル弁のスプリング座と
の間、及び棚部とチエツク弁との間にそれぞれ別
体のスプリングを内装すると共に、チエツク弁
に、先端部がニードル弁に摺動可能に嵌合する弁
杆を設けると共に、チエツク弁にこれを貫通する
通孔を設けた構成となつており、上記両スプリン
グがノズル本体内に長手方向に配置され、また高
圧燃料の供給によりチエツク弁が押動されるとき
に、このときの高圧燃料が弁杆の通孔を介してニ
ードル弁にも直接作用してこのときのニードル弁
にはニードル弁用のスプリングによる押し力のほ
かに上記高圧燃料による圧力が作用される。

（実施例） 本考案の実施例を第１図に基づいて説明する。

図中１は蓄圧室１ａを有するノズル本体で、こ
のノズル本体１の基端部に燃料の供給口２が、ま
た先端部に噴射口３が開口されており、さらに蓄
圧室１ａの内部にニードル弁用スプリング４によ
り噴射口３側へ付勢されたニードル弁５が摺動自
在に内挿してある。

上記ニードル弁５は小径部５ａと大径部５ｂと
からなり、小径部５ａの先端で上記噴射口３を開
閉自在に閉鎖するようになつている。また大径部
５ｂの端部にスプリング座５ｃが設けられてお
り、このスプリング座５ｃにニードル弁用スプリ
ング４の一端が当接されている。このニードル弁
５を噴射口３側へ付勢する上記ニードル弁用スプ
リング４の他端はノズル本体１の中間部に突設さ
れた棚部１ｂに支持されている。

上記ニードル５の大径部５ｂにはスプリング座
５ｃの端面中央に開口する盲孔５ｄが穿設されて
おり、この盲孔５ｄにチエツク弁６の弁体６ａよ
り突設された弁杆６ｂの先端が摺動自在に嵌装さ
れている。上記弁体６ａはチエツク弁用スプリン
グ７にて上記燃料の供給口２を閉じる方向に付勢
されている。この弁体６ａを付勢するチエツク弁
用スプリング７は上記ニードル弁用スプリング４
と同様にノズル本体１の棚部１ｂに支持されてい
る。チエツク弁６には弁体６ａ、弁杆６ｂを貫通
する通孔６ｃが設けられている。そして上記弁杆
６ｂの先端と、盲孔５ｄの底部の間には弁体６ａ
が供給口２を、そしてニードル弁５で噴射口３を
閉じている状態でニードル弁５のストローク分に
相当する間隙が形成されている。

上記構成において、図示しない噴射ポンプより
高圧燃料が供給口２へ供給されると、チエツク弁
６の弁体６ａが押動されて高圧燃料は蓄圧室１ａ
内へ流入する。このときニードル弁５は間隙を
有する盲孔５ｄの底部にも高圧燃料が直接供給さ
れ、その圧力により押付けられているため噴射口
３を開放しない。

次に燃料の供給が終了するとチエツク弁６がチ
エツク弁用スプリング７の付勢力にて押動されて
供給口２が閉じられる。そしてこれと同時に盲孔
５ｄの底部にかかつていた圧力も抜けてこの圧力
によるニードル弁５の押付けが開放されるから、
ニードル弁５は、蓄圧室１ａ内の燃料の圧力でニ
ードル弁用スプリング４に坑して移動し、蓄圧室
１ａ内の燃料が噴射口３よりシリンダ内へ噴射さ
れる。噴射が終了すると、蓄圧室１ａ内の圧力も
低下してニードル弁５はニードル弁用スプリング
４の付勢力にて移動して噴射口３が閉じられる。

上記作動において、ニードル弁５はニードル弁
用スプリング４により、またチエツク弁６はチエ
ツク弁用スプリング７によりそれぞれ単独に付勢
される。

（考案の効果） 本考案によれば、ニードル弁とチエツク弁６を
付勢する両スプリング４，７はノズル本体１内に
長手方向に配置されるから、両スプリング４，７
を装入するためのスペースは直径方向に小さくな
り、従つて燃料噴射装置の外径を小さくでき、エ
ンジンへ装着のためスペースを小さくすることが
できる。

また本考案によれば、ニードル弁５及びチエツ
ク弁６のそれぞれのスプリングのセツト力を相互
に関係なく任意に設定することができる。

そして特に本考案によれば、高圧燃料の供給に
よりチエツク弁６が押動されたときに、このとき
の高圧燃料が弁杆６ｂの通孔６ｃを介してニード
ル弁５にも直接作用してこのときのニードル弁５
にはスプリングによる押し力のほかに上記高圧燃
料による圧力が直接作用することになり、この高
圧燃料の供給初期、すなわち、蓄圧室１ａにまだ
高圧燃料が充満する前の時期において、ニードル
弁６を閉じる方向の力が充分作用されて、この高
圧燃料の供給初期におけるニードル弁５の閉じ状
態でのニードル弁用のスプリング４の付勢力を特
に強くしないでも燃料噴射途中での漏れ出しが防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す概略的な断面
図、第２図は従来例を示す概略的な断面図であ
る。 １はノズル本体、１ａは蓄圧室、１ｂは棚部、
２は燃料供給口、３は噴射口、４，７はスプリン
グ、５はニードル弁、５ａは小径部、５ｂは大径
部、５ｃはスプリング座、５ｄは盲孔、６はチエ
ツク弁、６ａは弁体、６ｂは弁杆、６ｃは通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基端部に燃料供給口２を、先端部に噴射口３を
   有するノズル本体１の蓄圧室１ａ内で、かつ噴射
   口３に対向する部分に、一端側にスプリング座５
   ｃを有する大径部５ｂを、他端側に上記噴射口３
   を開閉する小径部５ａを設けたニードル弁５を、
   また燃料供給口２に対向する部分に、上記燃料供
   給口２に対向する弁体６ａを設けたチエツク弁６
   をそれぞれ摺動自在に内装し、また蓄圧室１ａの
   長手方向中間部に棚部１ｂを設け、この棚部１ｂ
   と上記ニードル弁５のスプリング座５ｃとの間、
   及び棚部１ｂと上記チエツク弁６との間にそれぞ
   れ別体のスプリング４，７を内装し、さらに上記
   ニードル弁５の大径部５ｂに盲孔５ｄを設け、ま
   た上記チエツク弁６に、先端部がこのニードル弁
   ５の盲孔５ｄに摺動自在に嵌合する弁杆６ｂを設
   けると共に、このチエツク弁６に、これを貫通す
   る通孔６ｃを設けたことを特徴とするデイーゼル
   エンジンの燃料噴射装置。