JPH0424716Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、マルチウエイ化されたダイナミツ
ク形マイクロホンに関する。

〔背景技術とその問題点〕

従来のダイナミツク形マイクロホンは、一つの
振動系及び磁気回路から構成されるフルレンジ形
のものであつた。このため、高域から低域まで幅
広い音域に対して良好な周波数特性を得ることが
困難であつた。そこで、第８図に示すように、高
域特性が良好な高音用のマイクロホンユニツト
と、低域特性の良好な低音用のマイクロホンユニ
ツトの二つのマイクロホンユニツトにより構成す
るマイクロホンのマルチウエイ化がなされ、高帯
域化がはかられている。

第８図において、５１が中空円柱状のマグネツ
ト、５２は皿状のヨーク、５３がリング状のプレ
ートである。マグネツト５１、ヨーク５２、プレ
ート５３により第１の磁気回路が構成される。プ
レート５３がマグネツト５１に固着され、マグネ
ツト５１がヨーク５２に固着される。ヨーク５２
がユニツトケース５４に固着される。ユニツトケ
ース５４には複数の孔５５が穿設されている。

ヨーク５２とプレート５３とが対向する間〓に
磁気ギヤツプが形成され、この磁気ギヤツプにド
ーム状の振動板５６に取付けられたボイスコイル
５７が挿入される。振動板５６のエツジ５８がユ
ニツトケース５４に取付けられる。

５９が円筒形のマグネツト、６０が皿状のヨー
ク、６１がデイスク状のブレートである。マグネ
ツト５９，ヨーク６０，プレート６１により第２
の磁気回路が構成される。プレート６１にマグネ
ツト５９が固着され、マグネツト５９にヨーク６
０が固着される。ヨーク６０の円筒部には複数の
孔６２が穿設されていて、この孔６２に音響抵抗
紙６３が貼着されている。ヨーク６０がユニツト
ケース５４に固着される。

ヨーク６０とプレート６１とが対向する隙間に
磁気ギヤツプが形成され、この磁気ギヤツプにド
ーム形の振動板６４に取付けられたボイスコイル
６５が挿入される。振動板６４のエツジがヨーク
６０に取付けられる。

ユニツトケース５４に中間キヤビテイ６７が取
付けられ、中間キヤビテイ６７にバツクキヤビテ
イ６８が取付けられる。中間キヤビテイ６７の中
心部に開口６９が形成され、この開口６９に音響
抵抗紙７０が貼着される。このバツクキヤビテイ
６８により、周波数特性が低域までフラツトとな
るようになされている。

ヨーク６０にイコライザ７１が固着される。イ
コライザ７１には複数の孔７２が穿設されてい
る。このイコライザ７１により、高域特性が向上
されている。

上述の従来のマイクロホンは、マグネツト５
１，ヨーク５２，プレート５３により構成される
第１の磁気回路と振動板５６とにより低音用のマ
イクロホンユニツトが構成され、マグネツト５
９，ヨーク６０，プレート６１により構成される
第２の磁気回路と振動板６４とにより高音用のマ
イクロホンユニツトが構成される２ウエイ形のダ
イナミツク形マイクロホンである。孔５５を介し
て伝えられる音により振動板５６が振動され、低
音用マイクロホンユニツトのボイスコイル５７に
音声電流が流れる。イコライザ７１の孔７２を介
して伝えられる音により振動板６４が振動され、
高音用マイクロホンユニツトのボイスコイル６５
に音声電流がながれる。ボイスコイル５７及びボ
イスコイル６５からの導線が図示せずもネツトワ
ークに接続され、このネツトワークからの導線が
外部に導出される。なお孔６２は指向孔で、この
孔６２によりマイクロホンの指向性が単一指向性
となるようになされている。

このように、低音用のマイクロホンユニツトと
高音用のマイクロホンユニツトの二つのマイクロ
ホンユニツトを設けることで、広帯域にわたつて
良好な周波数特性を得ることができる。しかし、
この従来のマルチウエイ化されたダイナミツク形
マイクロホンは、低音用のマイクロホンユニツト
の振動板５６と高音用のマイクロホンユニツトの
振動板６４との取付け位置が離れていて、音源か
らの距離が相違している。このため低音用のマイ
クロホンユニツトに伝えられる音源からの音と、
高音用のマイクロホンユニツトに伝えられる音源
からの音の位相が相違し、マイクロホンを預けた
ときに高域がカツトされるなどの問題が生じるも
のであつた。また、この従来のマルチウエイ化さ
れたマイクロホンは、各々別々に磁気回路が構成
されているため、重く、部品点数が多く、大型化
してしまうという欠点を有するものであつた。

〔考案の目的〕

従つてこの考案の目的は、広帯域の音域をカバ
ーできる広帯域マイクロホンで、低音用マイクロ
ホンユニツトに伝えられる音域成分の位相と高音
用のマイクロホンユニツトに伝えられる音域成分
の位相とが略々等しくなされた広帯域マイクロホ
ンを提供することにある。この考案の更に他の目
的は、広帯域の音域をカバーできる広帯域マイク
ロホンで、小型、軽量化された広帯域マイクロホ
ンを提供することにある。

〔考案の概要〕

この考案は、一方のポールの直径が他方のポー
ルの直径よりも大きく径を有して互いに磁気的に
結合され、且つ同一軸線上に配設されてなる第１
及び第２のポールと、第１及び第２のポールに磁
束を供給する少なくとも１個のマグネツトと、第
１のポールの周囲に配置された第１のヨークと、
第１のヨークと磁気的に結合された第２のポール
周囲に配置された第２のヨークと、第１のポール
及び第１のヨークの間の磁気空〓に配される第１
のボイスコイル及び当該第１のボイスコイルが取
り付けられた第１の振動板と、第２のポール及び
第２のヨークの間の磁気空〓に配される第２のボ
イスコイル及び当該第２のボイスコイルが取り付
けられて第１の振動板よりも径の大なる第２の振
動板と、当該第２の振動板の前面側に内外を連通
させる複数の孔を有してなる中間キヤビテイと、
当該中間キヤビテイと連通するように設けられた
バツクキヤビテイと、第１の振動板の前面側に設
けられたイコライザとからなる広帯域マイクロホ
ンである。

〔実施例〕

この考案の一実施例について、以下、図面を参
照して説明する。第１図において１が中間キヤビ
テイで、中間キヤビテイ１は例えば樹脂成形品で
ある。皿状の中間キヤビテイ１の筒状部には例え
ば８個の孔２が穿設され、この中間キヤビテイ１
の底面には孔３が穿設されている。孔２に音響抵
抗紙４が貼着され、孔３に音響抵抗紙５が貼着さ
れる。中間キヤビテイ１の底面中心部にバツクキ
ヤビテイ６が固着される。

中間キヤビテイ１にヨーク７が固着される。ヨ
ーク７は中心部に開口を有する円筒状のヨークで
ある。ヨーク７の底面の周縁部が例えば２箇所切
り落とされ、この切欠にウレタン１０が埋設され
る。ウレタン１０に音響抵抗紙１１が貼着され、
音響フイルタが構成される。ヨーク７の内周側面
にリング状のプレート８が固着される。プレート
８には例えば６個の孔９が形成されている。

ヨーク７の底面にヨーク１２が固着される。ヨ
ーク１２は底部の開口を有する円筒状のヨーク
で、ヨーク１２の円筒部に例えば６個の孔１３が
穿設されている。孔１３に音響抵抗紙１４が貼着
される。

ヨーク７にリング状のマグネツト１５が固着さ
れる。マグネツト１５の断面凸字形のヨーク１６
が固着される。このヨーク１６の底部の円筒形の
ポールピース１７が固着される。ポールピース１
７の中心部には開口１８が形成されている。ヨー
ク１６にデイスク状のポールピース１９が固着さ
れる。

ヨーク７とプレート８とヨーク１２とは磁気的
に結合されていて、マグネツト１５からの磁束は
ヨーク７を介してプレート８に供給される。ヨー
ク１６とポールピース１７及びポールピース１９
とは磁気的に結合されていて、マグネツト１５か
らの磁束はポールピース１７に供給されると共に
ポールピース１９に供給される。従つて、ポール
ピース１７とプレート８とが対向する間〓及びポ
ールピース１９とヨーク１２とが対向する間〓に
磁気ギヤツプが形成される。

ポールピース１７とプレート８との間に形成さ
れた磁気ギヤツプにドーム形の振動板２５に取付
けられたボイスコイル２６が挿入される。振動板
２５のエツジ２７がプレート８に取付けられる。

ポールピース１９とヨーク１２との間に形成さ
れた磁気ギヤツプにドーム形の振動板２０に取付
けられたボイスコイル２１が挿入される。振動板
２０のエツジ２２がヨーク１２に取付けられる。
ヨーク１２に例えば８個の孔を有するイコライザ
２３が取付けられる。

ヨーク１６とヨーク１２により形成される空〓
に、例えば樹脂材２８が介在され、この空〓の容
積が制限されている。

マグネツト１５、ヨーク７、プレート８及びヨ
ーク１６、ポールピース１７からなる磁気回路と
振動板２５からなる振動系とにより低音用のマイ
クロホンユニツトが構成される。ウレタン１０及
び音響抵抗紙１１を介して振動板２５に伝えられ
る音は、このウレタン１０及び音響抵抗紙１１に
より構成される音響フイルタによりふかれノイズ
が除去される。振動板２５が振動するとボイスコ
イル２６に音声電流が流れ、この音声電流がボイ
スコイル２６から導出される導線（図示せず）を
介して例えば後述の第５図に示すネツトワークに
供給される。なお、マイクの指向性を単一指向性
とするために、指向孔として孔２が設けられ、ま
た、低域の特性をフラツトにするために、バツク
キヤビテイ６が設けられている。

第２図は、この低音用マイクロホンユニツトの
周波数特性を示すものである。第２図に示す周波
数特性図において、A₁がマイクロホンを音源に
対して正面に向けた0°のときの周波数特性を示
し、A₂がマイクロホンを音源に対して垂直に向
けた90°のときの周波数特性を示し、A₃がマイク
ロホンを音源に対して背面に向けた180°のときの
周波数特性を示すものである。

マグネツト１５、ヨーク７、ヨーク１２及びヨ
ーク１６、ポールピース１９からなる磁気回路と
振動板２０からなる振動系とにより高音用のマイ
クロホンユニツトが構成される。イコライザ２３
を介して取り入れられる音により振動板２０が振
動し、ボイスコイル２１に音声電流が流れる。こ
の音声電流がボイスコイル２１から導出された導
線（図示せず）を介してネツトワークに供給され
る。なお、マイクの指向性を単一指向性とするた
めに指向孔１３が設けられている。また、樹脂材
２８により容積が制限され、高域特性が向上され
ている。

第３図は、この高音用マイクロホンユニツトの
周波数特性を示すものである。第３図に示す周波
数特性図において、B₁がマイクロホンを音源に
対して正面に向けた0°のときの周波数特性を示
し、B₂がマイクロホンを音源に対して垂直に向
けた90°のときの周波数特性を示し、B₃がマイク
ロホンを音源に対して背面に向けた180°のときの
周波数特性を示すものである。

第４図は、二つのマイクロホンユニツトにより
得られる総合周波数特性を示すものである。第４
図においてC₁がマイクロホンを音源に対して正
面に向けた0°のときの周波数特性を示し、C₂がマ
イクロホンを音源に対して垂直に向けた90°のと
きの周波数特性を示し、C₃がマイクロホンを音
源に対して背面に向けた180°のときの周波数特性
を示すものである。

第５図は、この考案の一実施例におけるネツト
ワークの構成の一例を示すものである。高音用マ
イクロホンユニツト３０から導出される導線に可
変抵抗３１が並列接続される。低音用マイクロホ
ンユニツト３２から導出される導線にコンデンサ
３３が並列接続される。高音用マイクロホンユニ
ツト３０と可変抵抗３１の一方の接続点と低音用
マイクロホンユニツト３２とコンデンサ３３の一
方の接続点とが共通接続される。高音用マイクロ
ホンユニツト３０と可変抵抗３１の他方の接続点
が端子３４に接続され、低音用マイクロホンユニ
ツト３２とコンデンサ３３の他方の接続点が端子
３５に接続される。端子３４、３５からマイクロ
ホン出力が導出される。

第６図はこの考案の他の実施例である。この他
の実施例は、第１図に示すこの考案の一実施例と
基本構成は同様であるが、この他の実施例では、
ポールピース１９、ヨーク１６、ポールピース１
７が一体成形されている。また、ウレタン１０及
び音響抵抗紙１１からなる音響フイルタの代わり
に、複数の孔３６が設けられ、また、樹脂材２８
が省かれている。

磁気回路は、第７図に示すように、ヨーク１６
とポールピース１７との間に円筒状のマグネツト
３７を設ける構成としてもよい。

〔考案の効果〕

この考案に依れば、低音用のマイクロホンユニ
ツトの磁気回路を構成するポールと高音用のマイ
クロホンユニツトの磁気回路を構成するポールと
が磁気的に結合されているので、二つのマイクロ
ホンユニツト間の距離を短縮することができる。
従つて、低音用のマイクロホンユニツトに伝えら
れる音域成分の位相と高音用のマイクロホンユニ
ツトに伝えられる音域成分の位相とを略々等しく
することができる。また、この考案に依れば、磁
気回路の一部が共通化されているので、部品点数
が少なく、小型、軽量化されたマルチウエイのマ
イクロホンを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の断面図、第２図
はこの考案の一実施例の低音用マイクロホンユニ
ツトの周波数特性図、第３図はこの考案の一実施
例の高音用マイクロホンユニツトの周波数特性
図、第４図はこの考案の一実施例の総合周波数特
性図、第５図はこの考案の一実施例に適用される
ネツトワークの一例の接続図、第６図はこの考案
の他の実施例の断面図、第７図はこの考案の更に
他の実施例の一部断面図、第８図は従来のマイク
ロホンの断面図である。 ７，１２，１６，５２，６０……ヨーク、１
５，３７，５１，５９……マグネツト、１７，１
９……ポールピース、２０，２５，５６，６４…
…振動板、２１，２６，５７，６５……ボイスコ
イル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 一方のポールの直径が他方のポールの直径より
   も大きく径を有して互いに磁気的に結合され、且
   つ同一軸線上に配設されてなる第１及び第２のポ
   ールと、 上記第１及び第２のポールに磁束を供給する少
   なくとも１個のマグネツトと、 上記第１のポールの周囲に配置された第１のヨ
   ークと、 上記第１のヨークと磁気的に結合された上記第
   ２のポール周囲に配置された第２のヨークと、 上記第１のポール及び上記第１のヨークの間の
   磁気空〓に配される第１のボイスコイル及び当該
   第１のボイスコイルが取り付けられた第１の振動
   板と、 上記第２のポール及び第２のヨークの間の磁気
   空〓に配される第２のボイスコイル及び当該第２
   のボイスコイルが取り付けられて上記第１の振動
   板よりも径の大なる第２の振動板と、 当該第２の振動板の前面側に内外を連通させる
   複数の孔を有してなる中間キヤビテイと、当該中
   間キヤビテイと連通するように設けられたバツク
   キヤビテイと、上記第１の振動板の前面側に設け
   られたイコライザとからなる広帯域マイクロホ
   ン。